皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 本格/新本格 ] きこえる |
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道尾秀介 | 出版月: 2023年11月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 3件 |
![]() 講談社 2023年11月 |
No.3 | 6点 | パメル | 2025/09/08 19:10 |
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音声と文章から真相が浮かび上がる聴覚を用いて楽しむ5編からなる体験型ミステリ。各編の重要な場面でQRコードが登場し、それを読み取ると音声を聞くことが出来る。それにより文字だけでは表現しきれないニュアンスが出るように臨場感や不気味さを演出している。
「聞こえる」ライブハウス経営者の関ケ原良美と同居し、音楽活動をしていた夕紀乃は、何者かに殺されてしまう。幽霊の声が録音されたデモテープをめぐるミステリ。最後のメッセージが不気味に響きゾッとさせられた。 「にんげん玉」怪しげな資産運用ゼミナールに参加した主人公が講師の正体に気付き、一発逆転の賭けに出る。巧妙なミスリードが仕掛けられていて、体験型ミステリの醍醐味が詰まっている。 「セミ」富岡少年と「セミ」と呼ばれる同級生の友情を、カセットテープを軸に描いた勘違いが招く悲劇。世界の見え方がガラリと変わる真相と、子供の痛切な想いが胸に刺さる。 「ハリガネムシ」塾講師の主人公が、ある方法で生徒に迫る危機を察知するという緊迫感ある物語。最後の音声で急に声が大きくなることで真相が明らかになる。 「死者の耳」夫婦が奇妙な死を遂げたマンションで何が起こったのかを、ICレコーダーに記録された音声から推理する。音声だけでは分からない真相があり、読者を裏切る仕掛けが印象的。 「小説を読む」という行為に「音声を聞く」という要素を加えたこの作品集は、まさに現代ならではの実験的作品である。音声を聞き情報を読み解き、真相に辿り着く興奮を味わえる。 |
No.2 | 5点 | 鷹 | 2025/08/15 20:46 |
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QRコードを読み取り音声を聞くのが面倒くさいし、イヤホンをつけないと音が聞きづらいくて私には合いませんでした。 |
No.1 | 7点 | まさむね | 2024/06/03 20:34 |
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各短編の結末に(時に冒頭や作中にも)ある二次元コードでYouTubeにアクセス。その音声…によって真相が…という趣向。臨場感も出て、この手法自体は面白いと思いましたね。もっと効果的な使い方もありそうだし、続編を期待したいところ。採点は短編ごとにマチマチだけれど、新鮮さと今後への期待を込めて加点。
①聞こえる:冒頭の短編なのに、分かりにくかったなぁ。 ②にんげん玉:ふむふむ。いかにも作者らしい仕掛け。 ③セミ:本作品中のベスト。ある意味で作者らしい内容と締め方。 ④ハリガネムシ:むしろ「その後」が気になった。 ⑤死者の耳:おっと。そういう使い方もアリだったか。 |