空さんの登録情報 | |
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平均点:6.12点 | 書評数:1515件 |
No.895 | 6点 | 内海の輪 松本清張 |
(2016/08/17 16:16登録) 表題作と『死んだ馬』の犯罪小説2編を収録。 連作『黒の様式』第6話として最初『霧笛の町』のタイトルで書かれた表題作は文庫本で200ページぐらいの短めの長編です。瀬戸内の町を巡る半分ぐらいまでは、こんなに長くする必要があるのかなと思っていたのですが、その後主人公にやっと殺意が芽生えてきてからは、ここまで引き延ばしているからこその作品だなと思えました。『古代史疑』等を著した作者らしく、遺跡発掘もストーリーに絡んできて、そこから(当然そうなるんでしょうねという感じではありますが)ある偶然が警察の疑惑を引き起こすことになります。最終的な証拠については、最初の方に出てくるのが鮮やかに決まりますが、その部分を読んだ時何となく伏線じゃないかと予測できました。 中編『死んだ馬』は悪女と、彼女に翻弄される才能ある建築設計家を描いた犯罪小説で、まあまあといったところでしょうか。 |
No.894 | 6点 | 死体は沈黙しない キャサリン・エアード |
(2016/08/13 23:43登録) エアードは、訳者あとがきでは、アガサ・クリスティーの後継者という評価のある作家とされているとのことですが、本作を読む限りでは、むしろ違いの方が目立つ感じを受けました。基本的にフーダニット作家であるクリスティーに対して、本作では犯人の意外性にはこだわっていません。それよりも、糖尿病で死んだ老婦人に莫大な遺産があったのはどうしてなのかということが、最大の謎になったミステリです。事件の全体像は全然見えないままに、何となくこんなこともありそうだとは思っていたのですが。その老婦人を「糖尿病で殺す」アイディアもありますが、これは途中で明かされます。 作者の特徴とされているユーモアは文章表現にかなりの部分を負っていますが、ちょっと鼻につきます。クロスビー刑事の天然キャラは現実にはあり得ないだろうと思えるものの、結構気に入りました。 |
No.893 | 7点 | 非情の街 トマス・B・デューイ |
(2016/08/09 23:18登録) デューイが最初の作品 "Hue and Cry" を発表したのは1944年だそうですから、まさにハードボイルドの巨匠ロス・マクドナルドと同年デビューです。そしてシカゴの私立探偵マックのシリーズが始まるのは巻末解説では1953年となっていますが、英語版Wikiによれば1947年。 この探偵の名前については、本作には、「あなたの名前はそれだけなの?…ただの『マック』なの?」「どうも、たいへん個人的なことを質問するんですね」というセリフが出てきます。そんなことまできっちり書くのは、正義感あふれる社会派要素が強い固ゆでな作風のデューイらしいところかもしれません。それだけにロスマク等に比べると、文学的香りはさほど感じられません。 原題は "The Mean Streets"(最後にsが付きます)ですから、非情というより卑しいといった感じでしょうか。Theのないスコセッシ監督の映画とは無関係ですが、描かれる世界は同じです。 |
No.892 | 5点 | ダウンタウンの通り雨 都筑道夫 |
(2016/08/05 23:14登録) 私立探偵西連寺剛を主人公とした収録3編のうち、表題作は中編で、他の2編は短編です。3編のうち最もハードボイルドっぽい感じがするのは表題作で、ハワイで失踪人探しをする話。途中で主人公が殴られたり、その後殺人まで起こったりと、いかにもな展開です。失踪事件の真相は長さのわりに3編中最もあっけない感じで、殺人の経緯も納得はできるものの特にどうということもないのが、不満でした。 『油揚坂上午前二時』は西連寺探偵の近所で起こったちょっとした出来事に彼が関係したことから始まります。結末のつけ方に味わいがある作品ですが、途中でタイトルの油揚坂についての蘊蓄が、この作者らしいところで、そこも楽しめます。 蘊蓄と言えば最後の『首くくりの木』では、この言葉についての歴史的考察だけでなく、チャンドラーの映画シナリオ『ブルー・ダリア』(そんなのがあるとは知らなかった)なんてことまで語られます。 |
No.891 | 6点 | 島 ボアロー&ナルスジャック |
(2016/08/01 23:31登録) 中編2編が収録されています。最初の『譫妄』の方が長く、原書ではこちらの “Delirium” 方が本のタイトルになっています。殺人を犯してしまったほとんどアルコール中毒の建築家の一人称形式で語られる話です。その酩酊感とでもいうか、タイトルどおりの意識の混濁状態が独特な味わいを出しています。最後の方は、多少意外な展開になっていくとも言えますが、隠されていた真相は平凡でした。 『島』の叙述は三人称形式ながら、ほとんどが、生まれた島に久しぶりに帰ってきた男の視点から、『譫妄』とも共通する疑心暗鬼が描かれています。ただし本作の方は3/4近くまでは、ほとんど何も起こりません。最後になって突然このコンビ作家らしいミステリ的な展開になり、さらに意外なオチをつけています。ただ、真相の明かし方は不自然と思えますが、ではどうすればいいのかとなると、難しいでしょうね。 |
No.890 | 7点 | 狂った殺し チェスター・ハイムズ |
(2016/07/27 22:50登録) チェスター・ハイムズ初読です。特に暴力的なイメージをなんとなく持っていた作家だったのですが、実際に読んでみると、そんな先入観とはかなり違った印象を受けました。最初の方の捜査部分は、ブロディ部長刑事の尋問に墓掘りと棺桶も立ち会い、普通に警察小説っぽい感じです。だいたいその主役コンビが刑事で、しかも警察組織の中で特に一匹いや二匹狼的存在というわけでもないのですから、ハードボイルドの基本パターンからは外れています。 少なくとも本作では墓掘りと棺桶の側からよりも、他の登場人物の視点から描かれた部分の方が多く、今一方の主役とも言えるジョニーの視点からの部分の方が、ハードボイルドな雰囲気です。20世紀半ばのニューヨーク市ハーレム地区に住む人々の生活感がたっぷり味わえるのが魅力的です。いや、謎解き的にもすぐその疑念を持ったとは言え、クリスティーあたりをも思わせる意外性がありました。 |
No.889 | 5点 | 奥上高地殺人事件 梓林太郎 |
(2016/07/23 13:18登録) 梓林太郎は、トラベル・ミステリ等によくある「○○殺人事件」のタイトルには必ずしもこだわっていないようですが、本作は死体発見から始まるパターンではないにもかかわらず、あえてこのようなタイトルにしたのは、なぜなんだろうと思ってしまいました。実際の内容は、北アルプスでの遭難らしき事件から、東京に住む女の誘拐へ、そして身代金要求の後、やっと起こる殺人で殺されるのは意外なことに…というものです。 そのようなストーリー展開はなかなかおもしろく読ませてくれます。文章力も手軽なエンタテインメントとしてはまずまずでしょう。しかし2つの殺人とも都合のいい偶然を利用し、さらにある登場人物が重要事実を隠していたのは、いただけません。結局、読み終えてみると、これは捜査側である道原刑事の視点よりも、他のある登場人物の視点を中心に書いた方がよかったのではないかと思えてしまいました。 |
No.888 | 6点 | 影の護衛 ギャビン・ライアル |
(2016/07/19 22:50登録) 原題は “The Secret Servant”。明らかに secret service を思わせる言葉ですが、servant は公務員の意味。1980年に発表されたライアル8作目の本作は、前作『裏切りの国』以来5年ぶりに書かれた作品です。かなり寡作な作家であることは間違いありませんが、これほど間をおいたのはこれが初めてです。 それまで毎回主人公を変えていた作者が、マクシム少佐のシリーズを開始したということでも、注目すべき作品と言えるでしょう。作者初のスパイ小説とも言われ、確かにスパイも登場しますが、読み終えてみるとちょっとどうかなという気もしました。さらにこれまた作者として初めてなのが、三人称形式で書いた小説だということだそうです。実際のところ本作は一人称形式では無理なところがあります。 その無理な代表的部分が、第二次大戦中のアフリカでの戦争小説的部分です。この部分の迫力が最も印象的でした。 |
No.887 | 5点 | とむらいは俺がする ハドリー・チェイス |
(2016/07/13 23:21登録) タイトルの言葉は、主人公ニック・イングリッシュによって語られます。自殺とみられていた私立探偵だった弟の死が、次の事件が起こって殺人らしいとわかるのですが、その背後関係についてニックは公にしたくない事情があるため、警察には知らせずに「とむらいはおれがやる」ということになるのです。 チェイスらしく、殺人は次から次へと起こりますが、本作ではほとんどが悪役の単独犯です。この悪役には手下が2人いるのですが、どちらも殺人に直接手を貸すことはありません。主役のニックが成り上がりの金持で、さらに名声を求めているのに対し、悪役が徹底して冷酷であるが故の悪知恵を武器にするというのは、このタイプの小説の通常設定とは逆パターンなのが工夫でしょう。そんなこともあって、ジャンル的には、ハードボイルドとするかスリラーと見るか、迷うところですが、一応後者にしてみました。 |
No.886 | 7点 | ペトロフ事件 鮎川哲也 |
(2016/07/09 15:50登録) 作者が子ども時代を過ごした戦前の満州を舞台としたこの長編第1作は、最初本名の中川透名義だったそうですが、現在読めるのはその後かなり改稿したもののようです。3人の容疑者全員にアリバイがあり、それらを次々に崩していく趣向は、参考にしたというクロフツの『ポンスン事件』との共通点を確かに感じさせます。 3人目の時刻表利用は作者の得意とするところです(というより本作がその第1弾)が、1人目と2人目のアリバイの絡み合い具合もなかなかうまくできていると思いました。角川文庫版で230ページ程度という短さの中に、それだけのトリックをつめこんでいるのもたいしたものですが、さらに満州の雰囲気もよく出ていますし、戦争批判を鬼貫と容疑者の一人とが語り合う(日露戦争を話題にしているのですが、)ところが書かれた時代の重みを感じさせるなど、小説としてもかなり充実した内容になっています。 |
No.885 | 7点 | 分解された男 アルフレッド・ベスター |
(2016/07/05 00:01登録) 現代ハードSFの父とも呼ばれるヒューゴー・ガーンズバックにちなんで名づけられたヒューゴー賞の、第1回(1953)受賞作です。かなり以前にそんな評判になったSFとして読んだことのある本作ですが、今回再読してみると、むしろミステリ要素の方が強い作品だと感じました。確かにSFだからこそ効果的な文章スタイルは当時としては斬新だったでしょうが、SFとしての内容はさほど革新的とも思えません。テーマ的にはむしろ古典中の古典と言えます。 ではミステリとしてはというと、本作はアシモフやホーガンのような謎解き系ではありません。テーマに関わる謎はありますが、すぐ見当がつくようなものです。それよりもテレパシーを持つエスパーたちが犯罪を防止・捜査する未来社会で、ライバル会社社長の殺人を企てた人物の視点を中心に描かれた犯罪心理サスペンスとして、その斬新な文章があればこその迫力を出しているのが魅力です。 |
No.884 | 6点 | チェシャ猫は見ていた マーシャ・マラー |
(2016/07/01 22:24登録) この私立探偵シャロン・マコーン・シリーズの第3作では、前作に出てきた鳥恐怖症とかチョコレート好きといった彼女の設定には、全然触れられていません。まあ、毎回鳥を登場させるわけにもいかないでしょうけど、本作ではクッキーをほおばる男に冷ややかに銃を突きつけたりして、今後これらの設定はどうなるんだろうと思わせられます。 原題は “The Cheshire Cat’s Eye”。本書で綴りを初めて知ったのですが、そうしてみると本当の発音はチェシャイアって感じなんですね。あのルイス・キャロルの猫の眼ということですが、チェシャ猫をデザインした傘つきのティファニーの灯油ランプのことで、事件の中で重要な役割を果たします。ただ、クライマックスでシャロンが犯人をおびきだすためにこのランプを使うのですが、実際にはわざわざ高価な工芸品を使う必要などないわけで、ここだけは安易な思いつきの効果狙いとしか思えませんでした。 |
No.883 | 4点 | 有馬記念殺人事件 狩野洋一 |
(2016/06/26 15:34登録) 狩野洋一は麻雀の方はプロで、すぐれた入門書を書いていたそうですが、小説となると、今ひとつという気がします。競馬ミステリと言えば当然ディック・フランシスが頭に浮かびますし、本作の根本プロットだけを見れば、フランシスにも同レベルの作品はかなりあるでしょう。しかし濃密な文章と緊迫感で読ませるフランシスに比べると、本作はなんとも気の抜けたビールのような感じがするのです。 本格派と言うには、偽アリバイの扱いがおざなりですし、真犯人の発見も推理によるものではありません。一方、競馬の牧場を裏で操る者の追及は、社会派と呼べるほどではありません。結局、緊迫感はとぼしいものの、ジャンルとしてはスリラー系としました。 作者自身のあとがきに、実在のものと同じ名や場所が登場するが、実在のものとは何も関係ないと書かれていますが、作中の有馬記念では武豊とかオグリキャップとか…ふーん。 |
No.882 | 5点 | 蛇 ミッキー・スピレイン |
(2016/06/23 22:45登録) マイク・ハマーが久々にカムバックしての第2作です。ヴェルダとの再会シーンから始まりますが、その冒頭部分からなかなかいい雰囲気を出しています。犯人の設定がスピレインらしくないとも思えますが、それだけにまあ意外性があるとも言えるでしょう。 しかし、ハマーが銃を突き付けられ危機一髪になるシーンが3回あるのですが、どれも偶然助かり、しかも『大いなる殺人』みたいな伏線もないのでは、ハマーって、やたら運がいいだけじゃないかと思えてしまい、偶然のパターンを変えてはいても、さすがに安易と言わざるを得ません。 最後部分も、犯人がいつの間にか現れて、しかも犯人はそこに以前に来たことがないとしか思えない展開になるのは、説得力に欠けます。犯人がその場所を知らなかったとは考えにくいですし、知らなかったとしても、ハマーとヴェルダを尾行するのはかなり困難な場所なのです。 |
No.881 | 6点 | エヴィー ヴェラ・キャスパリ |
(2016/06/18 15:52登録) 1960年発表の作品ですが、時代設定は1928年。エヴィーことエヴリン・アシュトンと同じフラットで共同生活を送るルイーズの一人称形式で、当時広告代理店で働いていたルイーズの追憶として描かれた作品です。巻末解説には、若い頃コピーライターや通信教育ディレクターを務めていた作者の実体験が色濃く反映されていると書かれていますが、確かに納得できます。 ルイーズの感情がともかくじっくり描きこまれていて、全体の半分ぐらいでやっと殺人が起こるまで、ほとんどミステリという感じがしません。エヴィーの恋人が誰かという謎はあるのですが、簡単に想像できるだけでなく、かなり早い段階であっさり明かしてしまいます。巻末解説では真犯人についてもいろいろ書かれていますが、要するに肩すかしで、プロットだけ見ればたいした話ではありません。しかし女性の生き方を描いた小説としては、なかなか読みごたえがありました。 |
No.880 | 6点 | 眼 水上勉 |
(2016/06/14 22:46登録) 『耳』『爪』と並んで、身体の部分1文字のタイトルを付けた作品。水上勉には、警察と民間人とが協力して事件解決に当たる作品も多いのですが、この3作はいずれも警察の丹念な捜査を描いた、その意味では警察小説的な作品です。で、本作はその3作の中では、最もおもしろくできていると思いました。 光文社文庫版巻末の解題では、詐欺事件から殺人事件へと発展していく展開を、松本清張の『眼の壁』と比較していますが、水上勉は既にミステリ第1作の『霧と影』を、詐欺事件から始めています。本作は、最後まで詐欺が殺人と密接に結びついているところが、『眼の壁』や『霧と影』とは異なる点でしょう。それだけにシンプルではありますが、きっちりと構成された作品です。タイトルの眼に関する記述はところどころに出てきますが、ラストは最初の家宅捜査開始時に想像したとおりの眼の扱いでした。 |
No.879 | 6点 | 怒った会葬者 E・S・ガードナー |
(2016/06/10 21:38登録) かなり以前に原書で買って読んだものを再読してみました。ガードナーの英文はやっぱり読みやすいと再認識。法律用語も文脈からすぐ見当がつきます。 今回の事件は、メイスンが休暇中に滞在中のホテルで依頼を受けるというものです。都会の有名な弁護士を相手にするというので、検察側もやたら気負っているのが微笑ましい感じもします。タイトルの会葬者については、その人を発見する過程が、かなりまぐれ当たり的かなという気はします。しかしその他の点については、足跡の問題、壊れた鏡の問題など、全体的にかなりうまくまとまった作品だと思いました。最後は、法廷でメイスンが真犯人を指摘するいつものパターンではなく、被告人は無罪の可能性が高いことを示す証言があったところで、判事が検事とメイスンを控室に呼んで話し合い、さらにその後デラとポール・ドレイクへの説明という形で真相は明かされます。 |
No.878 | 7点 | 愛されない女 フランセス・ファイフィールド |
(2016/06/06 21:42登録) 実際に弁護士として活躍するファイフィールドの第1作。 訳者あとがきでは、イギリスの裁判制度について「ご承知のように、英国には日本のような検察制度がない」と書かれていますが、そのことを承知している日本人ってどれくらいいるのでしょうか。私自身、『ユダの窓』を読んでいたので、訴追側も法廷弁護士が日本の検事の役割をすることだけは知っていたという程度です。主人公のヘレン・ウェストは公訴官とされていますが、これは訴追側の事務弁護士で、裁判前の検事の役を担当する法律家のこと。 一応ヘレンを主人公とは書きましたが、小説は彼女を含め、様々の人物の視点を次々に入れ替えていく構成になっています。この手法は既読のシリーズ第4作『逃げられない女』と同じで、犯人の視点からの部分もかなりあります。それぞれの登場人物が歩んできた道が、じっくり描かれているところが読みどころの作品で、これは気に入りました。 |
No.877 | 5点 | 華やかな死体 佐賀潜 |
(2016/06/01 22:50登録) 久々の再読。狙いは非常におもしろいと思いました。講談社文庫版の巻末に引用されている、乱歩賞選考委員だった木々高太郎の言葉どおり、「…という一本が最初から通っていたので、読み終って、やはり『意外な解決』になった」作品です。(解説の木々の言葉を全文引用するとネタばらしになってしまいます。) ただし読んでいて、主役の検事はバカじゃないかと思えてきたのも確かです。なにしろ、動機が不明瞭なままの上、当人へのアリバイの有無確認さえしないまま逮捕してしまうなど、指紋の証拠があるにしても無茶でしょう。その指紋にしたところで、ただついていればいいのでななく、どんな状況でその場所にその形でついたかを明確に説明できなければならないのは当然なんですが。 この結末の後、その原則は特定個人にのみ適用されるのではないかと考えると、法律的には再度のどんでん返しもできそうな気がするのですが… |
No.876 | 4点 | 死体のC スー・グラフトン |
(2016/05/28 16:39登録) 1987年のアンソニー賞を受賞したキンジー・シリーズ第3作ですが、個人的にはグラフトンは受賞作以外(FとH)の方がおもしろく感じたという今までの状態をさらに補強する結果になってしまいました。 いや、7割ぐらいまでは、充分楽しめていたのですが、これから謎が次第にほぐれてくるという段階になってからがどうも間の抜けた感じになっているのです。本筋とは無関係なキンジーの家主の事件はというとそれまでサスペンスフルな場面もあったのに随分あっさりと片付いてしまい、何だか拍子抜けです。メインの依頼人の「自動車事故」の方も、最後の場面はキンジーが明らかに異常な状況であることに気づかないという、あり得ないようなご都合主義に加え、犯人が長時間のんびりしていた理由も全く定かでなく、さらに決着の仕方も妙にあっけないという、冴えない結果になっていました。 |