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ミステリの祭典

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作家 ボアロー&ナルスジャック
出版日1971年02月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 5点 クリスティ再読
(2019/03/10 23:32登録)
ボア&ナルって傑作・名作は多いのだけど、今ひとつ「巨匠」感が薄いのは、何でかなあ?なんて思うのだが、本作でもそうなのだが、初期に確立したスタイルの自己模倣が多いせいかも。中編2つを収録した本書、「譫妄」は「悪魔のような女」+「犠牲者たち」みたいだし、記憶と現実の齟齬に苦しむ「島」は「影の顔」の焼き直しみたいなものだし..と過去作品の既視感が強いんだよね。ううん、困った。まあ手慣れた筆なので、そう退屈というわけではないんだけど、驚きや意外性はまったくない。仕掛けも斬新というほどでもないし....強いて言えば「譫妄」の、主人公の追い詰められっぷりが、本人はともかく実はどうでもイイ話だったりして、虚しいあたり、かなあ?
積極的に褒める材料には乏しい。仕方ないか。

No.1 6点
(2016/08/01 23:31登録)
中編2編が収録されています。最初の『譫妄』の方が長く、原書ではこちらの “Delirium” 方が本のタイトルになっています。殺人を犯してしまったほとんどアルコール中毒の建築家の一人称形式で語られる話です。その酩酊感とでもいうか、タイトルどおりの意識の混濁状態が独特な味わいを出しています。最後の方は、多少意外な展開になっていくとも言えますが、隠されていた真相は平凡でした。
『島』の叙述は三人称形式ながら、ほとんどが、生まれた島に久しぶりに帰ってきた男の視点から、『譫妄』とも共通する疑心暗鬼が描かれています。ただし本作の方は3/4近くまでは、ほとんど何も起こりません。最後になって突然このコンビ作家らしいミステリ的な展開になり、さらに意外なオチをつけています。ただ、真相の明かし方は不自然と思えますが、ではどうすればいいのかとなると、難しいでしょうね。

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