home

ミステリの祭典

login
内海の輪

作家 松本清張
出版日1974年05月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点 蟷螂の斧
(2019/11/11 18:10登録)
(再読)裏表紙より~『新進の考古学者・江村宗三は、元兄嫁の西田美奈子と十四年ぶりに再会し、情事を重ねていた。彼女は二十も年上の男と再婚していた。ある日、宗三は美奈子から妊娠を告げられる。夫と別れ、子を産む決意だという。順風満帆の生活が瓦解する恐怖に、やがて宗三の心に殺意が芽生えていき……。』~
 これほど手垢のついた内容を小説にするということは、よほどの自信の表れなのでしょう。解説(阿刀田高氏)で、著者の作品には考古学者、不倫、偶然が多いと言っています。本作も偶然が重要な要素なのですが、これは許せる範囲(笑)。殺人までの心理描写よりも、事件後の考古学者らしい心の動きがポイントですね。

No.1 6点
(2016/08/17 16:16登録)
表題作と『死んだ馬』の犯罪小説2編を収録。
連作『黒の様式』第6話として最初『霧笛の町』のタイトルで書かれた表題作は文庫本で200ページぐらいの短めの長編です。瀬戸内の町を巡る半分ぐらいまでは、こんなに長くする必要があるのかなと思っていたのですが、その後主人公にやっと殺意が芽生えてきてからは、ここまで引き延ばしているからこその作品だなと思えました。『古代史疑』等を著した作者らしく、遺跡発掘もストーリーに絡んできて、そこから(当然そうなるんでしょうねという感じではありますが)ある偶然が警察の疑惑を引き起こすことになります。最終的な証拠については、最初の方に出てくるのが鮮やかに決まりますが、その部分を読んだ時何となく伏線じゃないかと予測できました。
中編『死んだ馬』は悪女と、彼女に翻弄される才能ある建築設計家を描いた犯罪小説で、まあまあといったところでしょうか。

2レコード表示中です 書評