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ミステリの祭典

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ハンプティ・ダンプティは塀の中

作家 蒼井上鷹
出版日2006年12月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点
(2016/09/18 13:05登録)
塀の中と言っても刑務所ではなく留置場、つまり起訴前の人が入れられる所です。ハンプティ・ダンプティはもちろん、『僧正殺人事件』以来ミステリには縁の深いマザー・グースからの引用で、一応の探偵役マサカさんのこと。この人、他の被留置者からはゆでたまごみたいと言われているのです。
5編からなる連作短編集で、レギュラーは4人、そこへ他の人が同じ留置室に入ってきて、というのが第4話までのパターンです。最初の『古書蒐集狂は罠の中』は4人目のレギュラー(「おれ」)と前の人との交代ということになるのですが。
第4話が特に意表を突く結末でおもしろく、第2話の叙述形式も全編読み終えてからなるほどと思える構成で、なかなか楽しく読めたのです。しかし最終話は、その冒頭で明かされる設定もあまり好きになれませんでしたし、推理がごちゃごちゃしすぎで断定に論理的欠陥もあり、がっかりでした。

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