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ミステリの祭典

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ダウンタウンの通り雨
西連寺剛シリーズ

作家 都筑道夫
出版日1981年05月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点
(2016/08/05 23:14登録)
私立探偵西連寺剛を主人公とした収録3編のうち、表題作は中編で、他の2編は短編です。3編のうち最もハードボイルドっぽい感じがするのは表題作で、ハワイで失踪人探しをする話。途中で主人公が殴られたり、その後殺人まで起こったりと、いかにもな展開です。失踪事件の真相は長さのわりに3編中最もあっけない感じで、殺人の経緯も納得はできるものの特にどうということもないのが、不満でした。
『油揚坂上午前二時』は西連寺探偵の近所で起こったちょっとした出来事に彼が関係したことから始まります。結末のつけ方に味わいがある作品ですが、途中でタイトルの油揚坂についての蘊蓄が、この作者らしいところで、そこも楽しめます。
蘊蓄と言えば最後の『首くくりの木』では、この言葉についての歴史的考察だけでなく、チャンドラーの映画シナリオ『ブルー・ダリア』(そんなのがあるとは知らなかった)なんてことまで語られます。

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