最悪 |
---|
作家 | 奥田英朗 |
---|---|
出版日 | 1999年02月 |
平均点 | 7.14点 |
書評数 | 22人 |
No.22 | 6点 | zuso | |
(2024/01/26 22:05登録) それぞれの事情で精神的、経済的に追い詰められた町工場の社長、女性銀行員、パチプロの三人が、物語のある点で交わり、さらなる狂気の世界へと突入する。 三人が出会うまでの、エピソードを一つ一つ積み上げて、一人の人生がほんの些細なところから狂いだし、どんどん壊れていく様を諧謔味をきかせて描く部分もいいが、三人の主人公が出会う中盤以降のオフビートな展開もいい。 |
No.21 | 8点 | 斎藤警部 | |
(2021/12/17 08:18登録) こりゃあ寝食忘れるわなぁ。時空歪むわなぁ。。。主人公はハナッから問題まみれの三人(濃淡は大いにある)。互いに距離のある三つ巴で漏斗の斜面を転がり落ち続け、、やがて「●」近くで●●する様な物語。いっやー、巻き込むこと巻き込まれること!ちょっと見ゲーム風の様で、その実リアリティ噴出されまくり。リアルな感触強すぎて「スカッと爽快イヤミス!」と割り切った高みの見物が出来ない程の凄まじさ。一度愉しんだら二度と読み返したくないキッツイ本だが、学べるポイントは多々ある。 「いやなことがあるというのは、人生の真っただなかにいる証拠だ」 さて怖るべきリーダビリティで激走に激走を重ねた挙句、これで万が一、終結がアンビリーバボな大逆転お花畑、四方丸くのハッピーエンディングだったら世紀のバカクライム奇書罪で焚書に処す所だが。。 ん、最後の集団ドコスコ逃走劇だけ、少なからずタレたか。。ただ、そこも登場人物の関係性や何やらに工夫はあって面白い。でもやっぱ急にお気楽ムゥドになったよな。。人間、疲れ切ると緩くなるってことか。 と、そこへ。。。。。。!! 最後、小さな◯◯をむしろ安定させる重しの様に、大きなしこりは残ったが、そのしこりさえ眩しく輝いていた。 そうそう、町工場仕事の描写が(いい時も悪い時も)良かったです。 てか、とにかく全体的にデッラ面白い。 |
No.20 | 3点 | レッドキング | |
(2019/07/11 17:02登録) これも面白かった。でも後味悪くて、何よりミステリではないのでオマケしてもこの点数だけれど。 |
No.19 | 7点 | HORNET | |
(2017/10/16 21:04登録) 「無駄」を読んで著者の文章が気に入り、続いて読んだ。期待を裏切らない面白さ。読み進める手が止まらない退屈しない展開、さり気無い描写の巧みさで、早くも自分の中では「まず、ハズレはない作家」ぐらいに思えてきている。 複数の人物のストーリーが並行して描かれ、結末に向けて一つになっていくパターンはおなじみの(?)手法。前半は町工場の経営者、銀行勤めのOL、半グレの青年の三者の物語だが、それぞれに起伏があり、しかもリアルで面白い。ただ、それぞれの「敵」がまた憎らしく、何とかしようと思うほどに泥沼にはまっていく様は、感情移入して読んでいるとこっちもストレスが溜まってくる(笑) 三者のストーリーが一つになる後半はかなりドタバタ劇に近い無節操さ。なんとなく消化不良な終わり方のように感じてしまうところもあり、この点数。 |
No.18 | 7点 | いいちこ | |
(2016/04/27 10:47登録) 年齢も仕事もバラバラ、どこにでもいそうな平々凡々とした3人が、ちょっとしたトラブルに刹那的・場当たり的に対応するうちに、大きなトラブルに巻き込まれ、最終盤にその3人が1点に収斂するドタバタ劇。 スピード感とサスペンスを維持しつつ、現実味のあるストーリーを展開しながら、人物像を深く掘り下げていく手際、高いリーダビリティは見事。 盛りあがりに欠ける結末だけが残念ではあるが、犯罪小説の佳作と評価 |
No.17 | 5点 | パメル | |
(2016/02/15 13:30登録) 全く関係の無い三人の人生がリンクし最悪な方向に 進んでいく犯罪小説 とにかくこの三人はそれぞれ運が悪すぎてやる事なす事 裏目裏目になってしまう 読んでて暗くなってくる リアルな心理描写で読みやすい事は読みやすい 少しでもミステリ色があれば印象も変わったと思うのだが |
No.16 | 5点 | smk | |
(2014/02/04 23:48登録) リーダビリティは高いものの、3人のストーリーを丁寧に追っているためか話がなかなか進まず冗長な印象。 ラストも最後の悪あがきがなんだったんだろうというぐらい、当たり前の結末に。 けっきょく、『最悪』だったのはラス前でぼやいていたお〇さんだったんではなかろうか。 ミステリではないので△1点でこの点数。 |
No.15 | 5点 | take5 | |
(2013/10/26 14:02登録) 耳栓して集中、600ページ3時間強。久しぶりに一気読み。3視点で読みやすいですがミステリーというより社会派。 下請けの辛さや銀行のしょうもなさは書けていますがそれぞれの家族像までは…という感想です。 犯罪小説をかえたという帯がついていたらしいですが賛同出来ず。 余談ですがミステリーって何なんでしょう、謎らしい謎がなくても犯罪があればミステリー?文句ではなくて分からなくなりました |
No.14 | 8点 | E-BANKER | |
(2012/12/30 21:59登録) 1999年発表。デビュー作「ウランバーナの森」に続く長編2作目。 作者の小説家としての才能が開花した作品なのだろうと思う1作。 ~不況にあえぐ零細鉄工所社長の川谷は、近隣住人との軋轢や取引先の無理な頼みに頭を抱えていた。銀行員のみどりは、家庭の問題やセクハラに悩んでいた。和也は、トルエンを巡ってヤクザに弱みを握られてしまった。全く無縁だった三人の人生が交差したとき、運命は加速度をつけて転がり始める。比類なき犯罪小説!~ 『人間、悩んだり困ったときは、とりあえず空を見上げて、それから深呼吸してみようよ』・・・ って、登場人物たちに思わず声をかけたくなった。 序盤から中盤までは、川谷・みどり・和也の三人が徐々に追い込まれていく顛末が順に語られていく。 とにかく小市民の川谷、意に沿わぬ仕事のせいで鬱気味のみどり、ヤクザにも普通の社会人にもなれない中途半端な和也・・・それぞれの生活がリアリティたっぷりに描写され、特に煮え切らない川谷の姿には何となくシンパシーを感じてしまった。 ただし、本作の真価は、まるでギアチェンジしたように加速がつく終盤以降。 三人に突然のように訪れる不幸の連続、連鎖。 そして、全く別々の生活を営んでいた見ず知らずの三人が、ある時間、ある場所でクロスすることに! 文庫版512頁目は、これぞ「劇的な瞬間」のひとこと。 それ以降は、タイトルどおり「最悪」の道へ転がり落ちた三人の末路が語られていく・・・ ラストは少し薄日がさしたような終わり方になってるのが救いだろうか。 まぁ、うまいよなぁー。 さすがのストーリーテリングと言うほかありません。 「サスペンス」とはこうあるべきとでもいうようなスピード感と盛り上げ方。 主役級以外の登場人物の一人一人についてまで、十分に造形がなされていて、読者はすぐに感情移入できてしまう。 これぞ小説家の「腕」に違いない。 (特に、太田の夫や松村などは強烈な印象を残す・・・) 結構な分量なのだが、できれば一気読みすることをお勧めしたい。 そして、自身の「幸せとは何か」について、何となく空を見上げて考えてみるのもよいのでは? |
No.13 | 9点 | Q-1 | |
(2012/08/31 22:26登録) ミステリー要素は皆無に近いですが、とにかく面白かったです。 久しぶりに寝る間を惜しんで貪り読みました。 序盤の100ページくらいはいったい何が起こるのか全く予想もできませんでしたが、 まるで接点のない3人が徐々に偶然ではなく必然的に交錯してゆく様は作り込まれてるなと感じました。 いい意味で予想の斜め上を行く話の展開も最高に面白かったです。 |
No.12 | 9点 | ナナ | |
(2012/07/24 08:48登録) 私としては氏の最高傑作だと思います。ラストも素敵です。お勧めします。 |
No.11 | 8点 | abc1 | |
(2010/04/03 18:58登録) 面白かった。リーダビリティが高く、途中で本を閉じることができなかった。 最後はもっとハチャメチャでもよいと思ったが、意外と現実的に着地。これはこれでいいと思う。期待していたラストとは違ったけど。 個人的は太田夫妻に何か不幸が起こって欲しかった。 |
No.10 | 7点 | touko | |
(2010/02/25 22:53登録) 書きようによっては、陰惨なプロレタリア文学もどきやフェミニズム系の告発ものやノアールものになったりしそうな題材を、リアリズムに基づいているのに、テンポよく、時にユーモアさえ感じさせる筆致で、ジェットコースタームービー的なハラハラ感を楽しく味わせてくれるエンタメとしてまとめています(荒唐無稽なのに社会が悪いと告発調の「レディ・ジョーカー」と好対照?)。 群像劇の主人公達3人が出会ってからは、もう少し弾けてしまった方が、耐えて耐えて最後に爆発という日本の娯楽映画の王道パターンになった気もしますが、作中で言及されていた「俺たちに明日はない」のようなラストも覚悟して読んでいたので、「中くらいなりおらが春」って感じのラストは、いい意味で予想を裏切られ、読後感も悪くなかったです。 |
No.9 | 7点 | あびびび | |
(2009/11/02 04:49登録) ある時期の3,4人の人生はついてなくて、最悪に向かって突き進んでいく。それぞれの立場はまったく異質なもので、ほとんどつながりはないが、最後にドッキングして、その破壊力は膨大なものに…。 どこにも謎はないが、そのスピード感に圧倒される。まだ読んでないが、「邪魔」もこんな展開なのだろうか? |
No.8 | 10点 | りんちゃみ先輩 | |
(2009/09/19 20:22登録) こんなに面白く読んだ小説は初めてだ。スピードある文章について行ける引込まれ感があった。内容も現実感がある。「邪魔」も読みたい。 |
No.7 | 6点 | いけお | |
(2008/02/12 03:39登録) 場面ごとの構成なんかは見事。 前半は夢中になったが後半は謎が無くそうでもなかった。 |
No.6 | 5点 | 深夜 | |
(2008/01/17 20:44登録) 好評な本ですが、個人的にはあまり入り込めなかったです。そんなに先を読みたくなかったな。 |
No.5 | 10点 | itokin | |
(2008/01/16 17:27登録) 最後までハラハラどきどきで一気に読まずにはいられないとはこのような作品を言うのだろう。文句なしに面白かった。 |
No.4 | 7点 | シーマスター | |
(2007/12/07 22:24登録) 近隣に住みながらも全く異なる世界に生きる無関係な3人(チンピラ、OL、鉄工自営)の物語が3交代で順次進み、やがて・・・という例のパターン。 3人はそれぞれジワジワと不幸の砂穴にはまっていく・・・が、 チンピラは自業自得の面が少なからずあるし、 女子行員の災難も(可哀相だが)さほど珍しい話でもない。 しかし町工場のオヤジは不運の女神に虐められているとしか言いようがない。元々情けないタイプなだけに、のめされていく様は哀れを通り越して喜劇的ですらあり、少々食傷気味にもなるが、そこまでヤラレるからこそ後の狂態も分からなくもないものになっている。(この辺が本作の真骨頂だと思う) 中盤から3人のストーリーが合流するまでは、登りつめて行きそうな展開なのだが、そこからはどうも締まりのない感じで、どこが話のピークなのかピンボケ気味のため盛り上がり感はイマイチ。 結局この話はドキドキサスペンスというより、普通の人が犯罪に巻き込まれたり、どん底に追い込まれたあげく異常行動に至ってしまう背景やプロセスを読者に自分事のようにリアルに実感させる、という点において秀逸な作品なのであろう・・・と個人的には感じた。 |
No.3 | 8点 | VOLKS | |
(2007/10/19 16:18登録) ミステリィなのか、否かは別として。 平行して進むそれぞれの人物の生活が、見事に絡んでくる筋書きが見事だと感じた。スピード感のある文章に引き込まれた。 |