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ミステリの祭典

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連続殺人鬼 カエル男

作家 中山七里
出版日2011年02月
平均点5.70点
書評数23人

No.23 3点 レッドキング
(2023/01/30 23:48登録)
屍体を吊るし・潰し・解体し・燃やし、オマケに「見立て作文」まで残す連続猟奇殺人鬼。被害者は殺され順に「あ」「い」「う」・で始まる苗字だった・・。嫌いじゃないぞ、この手のやつ。倒叙で露骨な「ダミー」出して、如何にもな操りネタを派手に二段落ちさせて、最後にもう一ヒネリ付けて。それは良いが、精神医療や音楽ネタの「解説文」を、青く生硬なまま小説にぶち込んだり、それ以上に格闘描写の、まあ、クドいことクドいこと・・おおきくマイナス。

No.22 6点 バード
(2020/09/08 00:47登録)
(ネタバレあり)
私は時々、印象的なタイトルという理由で読み始めることがあり、本書はそういう理由で挑戦した。
結果、本書は楽しめた。しかし、積極的に他の中山本に手出そうって気にはならなかった。点数は、好きな点とイマイチな点がせめぎ合った結果である。

好きな点
・カエル男の猟奇性、気味の悪さの演出力 (別の作家さんだが、『スマホを落としただけなのに』はこの位不気味な犯人を配置した方がより盛り上がったと思うんだよなぁ。)
・事件の三重構造 (二重構造までは当然予想してたので、そこで終わらなかったのは良かった。)
・オチ (初めから変わった名前だと思っていたが、ラストのためだったのね。実は、オチが本書で一番のお気に入り。)

イマイチ点
・ミッシリング周り (現代視点では法則が面白くない。二人目の被害者の時点で正解が頭に浮かんだし。また、理由もありきたりだった。ただ、元ネタ?と思われる『ABC殺人事件』で頭をよぎった、人をそこまで都合よく操れるのかねぇ?というひっかかりは、本作では特に無かった。)
・メインの題材がきわどい (少なくとも私は好きでないです。)
・文章 (『ドビュッシー』でも少し感じたが、純粋に中山さんの文章と相性悪いかも。難しい言葉を使う割に説得力が薄い。作者の能力に対し、少し背伸び気味な本文という印象。また、キャラクター造形も、ワンパターンなヤクザ的キャラばかりでイマイチっす。)

No.21 5点 Kingscorss
(2020/09/06 20:56登録)
基本的には楽しく拝読させてもらったんですが、(実質)デビュー作だけあって色々粗が目立ちます。

犯行の流れがクリスティーの超有名作のアレのパクリ(リスペクト?)やどんでん返しを含む構成やネタが手垢のついた色々な有名作に似ているのは目をつぶるとして、筆致の面で所々しつこい言い回しが多い気がします。あと、やはり一番ダメだなぁと思ったのは、アクションの描写が病的に長く、完全に蛇足なこと。とにかく無駄に長くて退屈。あんなに詳細にアクションを書き込まなくてもいいんじゃないかと激しく思いました。全体的にアクションシーンは全部退屈だったのですが、特に警察署襲撃の描写はしつこすぎて読んでて苦痛でした…

アクションシーンをもっとスリムするだけでもっともっと面白くなったのに、すごくもったいないなぁというのが感想です。

グロい描写が苦手、手垢のついたトリックや構成に面白さを感じない読者ならもっと点が低くなること必至です… ただ、(実質)デビュー作でここまでのミステリー小説を書ききったのはひとえに中山七里さんの才能のなせる技だと感服しました。

No.20 3点 ねここねこ男爵
(2020/04/25 19:07登録)
同作者の「さよならドビュッシー」と共にこのミス大賞最終選考にダブルエントリーされたというエピソードをもつ本作。大賞は結局ドビュッシーの方だったのだが、本作を読んで納得した…というか、こちらは出来が著しく劣るように思う。
作者は過去の選評を読んで研究し「選考委員ウケを狙って書けばいける」と踏んで本作のプロットを考えたそうで、事実だとすれば選考基準に疑問を抱きたくなる。大賞どころか最終選考に残るクオリティとは思えないのだが。

本作は一応社会派だろうから本格の視点で批評するのは的外れであることを承知の上で言うと(ネタバレ風味)、
1.連続殺人の意図(の一つ)が手垢のついたもの
2.ミッシングリンクが手垢のついたもの
3.どんでん返しの連続のつもりなのだろうが、仕掛けが手垢のついたもの…なのでスレた読者には早い段階で完全に見透かされる
4.項目2などから、ラストの1行も完全に予想通り
5.作者の誠実さなのだろうが、手掛かりの置き方が見え透いている
6.一応言い訳めいた事は言っているが、猟奇殺人にする必然性が無い。「密室殺人だから、密室の謎が解けない限り捕まらない」と言ってるのと同じでこんな理屈は通らない
7.普段「捜査に先入観を持ち込むな」と言う刑事が、本作では先入観を持ちまくり語りまくりで違和感がすごい…というか読者に刷り込もうというのがミエミエ
8.マスコミの報道や、警察署を襲撃する暴徒などの描写が大分おかしい。「マスコミもネットも恐れているんだ」この程度の、しかも第一の事件だけでビビるなんてありえない

つまり、本作は本格ですでに濫用され消費されゴミ箱行きとなった出し殻パーツをリサイクルし社会派風に仕立て上げたもの。組み合わせ方はデビュー前の素人とは思えないほど素晴らしいが、そもそものパーツ自体が過去の偉大な作家たちの創造物なので、他人の褌で相撲をとっていることに変わりはない。

リサイクルの腕は化け物級、ただし伏線等の描写はやはり素人+αというところか。もっとも前述の通り作者は意図的にこのように書いているようなので、そうするとデビュー前の時点ですでに選考委員すら手玉に取っていたのかも知れない。ただ自分のようなひねくれた読者は対象外だったのだろう。

No.19 3点 雪の日
(2020/04/11 07:36登録)
どんでん返しを期待したが、期待外れだった。

No.18 8点 HORNET
(2018/12/01 20:46登録)
 フックで顔面を貫通させられ吊るされた女、車のプレス機で圧縮され肉塊にさせられた男、五体をバラバラにされた上に臓器までバラバラにされた少年……と、酸鼻を極める連続殺人と、そこに残された「きょう、かえるを・・・」のメモ。
 こういう話、大好き。
 解説を読んで初めて知ったのだが、本作品は著者のデビュー作「さよならドビュッシー」とともに「このミス大賞」の最終候補に残ったのだとか。同作者の作品が最後まで残るのは異例のこと(そりゃそうだろう)で、最終的に「ドビュッシー」に軍配が上がったのだが、審査員の中にはこちらを推す人もいたそうで。
 このエピソードからも、中山七里の並外れた才能が窺える。
 
 何がどうなって、の仕組みはともかく、正直、真犯人は登場の時点でそうではないかと思っていた。そういう意味ではあたってしまった。だが、作中に挿入される過去の話の人物の正体には完全にヤラれた。「そういうこと!?ヤラれた!!」と思わず声に出して言ってしまった。
 ラストのオチも秀逸。始めから堂々と示されているのに、気付きそうで気付かない盲点を作る点で天才だと思う。
 とても楽しめた。

No.17 6点 VOLKS
(2018/11/07 20:21登録)
読みものとして楽しめましたが、随所にキツイ描写がありましたね。
普通の人間が精神を冒されていくわけですから、そりゃ並大抵のことではなく、かなり厳しい経験をしていることは想像出来ますが、それにしても虐待、暴力、陵辱、それら無しにこういった内容のストーリーを展開させることは無理なんでしょうかね。
言い方は間違えているかもしれませんが、安易過ぎるというか、そんな感じが拭えません。
ですが、続編にも手が出てしまいますね。

No.16 6点 人並由真
(2018/05/08 15:39登録)
 一気読みさせられたし、西村寿行の『白骨樹林』を上回るような警察署内のクライシスも、これはこれで良いと思う。
 ただし、すでに作者の手癖がわかっている読者には伏線が丁寧すぎて、事件の構造に早々と気づいてしまうだろう。
 主人公・古手川刑事の過去設定は、御子柴弁護士とは別種の、しかしどこか通じ合う鬱屈ぶりが良い。
 さて続編を読みましょうか(笑)。

No.15 5点 邪魅
(2017/02/26 15:30登録)
嫌いではないですよ
ただまあ、ね

途中の警察署に一般人が押しかけてくるシーンはどうも……
いや、ミステリ小説にリアリティは要らないと思うのですが、しかしこのシーンはどうもいただけませんでした
情報開示したところで、って気もしますし

No.14 5点 パメル
(2016/07/14 01:10登録)
サイコサスペンス
登場人物が少ない事もありあの人物が最初に疑われて
犯人はあの人物だろうと予想しながら読んでいったらその通りだった
暗闇の中での暴力描写はくどいぐらい長すぎる
最後の最後で驚きの真相が明かされるがこれがどんでん返しといえるのだろうか?
大体こんなことが本当に可能なのか疑問に残る

No.13 6点 名探偵ジャパン
(2014/09/16 09:51登録)
最後のどんでん返しは驚いたが、犯人の計画については、そんなにうまく行くのかな? と、心理学は全く分からないながらも、疑問に思った。
これが純然たるエンタテインメントに徹したサスペンスなら、舞台装置として多少の誇張はありだと思うが、(例えば、「サブリミナル映像で人を操った」くらい許す)、最後の仕掛けからしてこれはミステリだし、軽くないテーマを扱っているのだから、ちょっと無茶な演出じゃないかな? と感じた。
犯人(もしくは作者)が自分の計画と目的に酔うあまり、ある法則に則るためだけに、無関係に殺された被害者への言及がないことも気になった。
死体の描写はスプラッタ、暴動シーンはサスペンス、犯人との暗闇での戦闘シーンは、「魁!男塾」かよ! と突っ込んでしまいたくなるような戦略を駆使したバトルっぷり。と、随所に作者のサービス精神があふれている。私は、もっと簡潔にしてくれ、と思ったが。

No.12 7点 ドクターマッコい
(2013/03/05 08:04登録)
作家のピアノ作品に対する造詣の深さには敬服するばかり
で、自分も悲愴ソナタを聴き直しました。

物語の展開も素晴らしかったです。

No.11 5点 ayulifeman
(2012/10/08 09:51登録)
死体処理の方法とかちょっとエグくて読むのつらかった。
あと音楽の描写の部分、これは前作でもそうだけどくどくてあまり好きではない。
でも物語は嫌いではない。

No.10 4点 makomako
(2012/08/12 10:28登録)
この作者が同時に「さよならドビュッシー」を書いていたことにまず驚きました。「さよなら」の爽やかさだけではどうしても物足りずに毒をこの作品につぎ込んだのでしょうか。
 残酷シーンやグロいシーンはどうも苦手で、こういったもので楽しむことはできそうにありません。
 まあそれなりによくできた作品とは思いますが。

No.9 6点 touko
(2012/07/29 12:51登録)
翻訳家&書評家の大森望が、この作品を選考した時、ライバルはマイケル・スレイド(的な作品だ)と評していたというので、期待して読んでみました。

なるほど、主人公は刑事、えぐい殺人方法のシリアルキラーの跋扈、随所に挿入される謎めいた犯人らしき人物のサイコな過去、やり過ぎなアクションシーン、どんでん返し、意外な犯人、後味の悪いオチ……と、まさにマイケル・スレイド。

違いは圧倒的なリーダービリティのよさと、マイケル・スレイドがカナダ、アメリカ、イギリス等多国を舞台にしたり、各地の歴史や伝承を取り込んだりして、やたらとスケールの大きな作品を書くのに比べて、埼玉がメインと実にこじんまりとしているところ。

でも、こっちの方が断然お行儀がよく、まとも(平凡とも言えますが)で万人向け、ミステリとしても、突出したところはないものの、無難にまとまっていて、出来はいいと思います。

暴動シーンはやり過ぎでリアリティがないと評判悪いようですが、マイケル・スレイド的なんでもあり悪趣味世界を基準にすると、これでも優等生すぎる、もっと弾けてしまってもいいようにすら感じてしまったり(笑)。

もっとも、精神障害の扱い方は、現代の小説にしては流石にご都合主義で微妙……。

No.8 4点 haruka
(2012/01/16 22:12登録)
どんでん返しを期待して読んだが、既視感のあるトリックで、序盤でオチが読めてしまった。残虐シーンや暴力の描写も効果的とは言い難い。サイコパスや刑法三十九条の扱いもステレオタイプな感があり、全体的にいまひとつな印象だった。

No.7 8点 モグ風
(2011/12/26 15:11登録)
ストーリーは一見ありがちそうだがラストまでのもっていき方はよく、完成度高し
リアリティもそこそこ
(タイトル名から予想できると思うが)グロイ描写あるので、それが気にならない人ならお勧めできる。

No.6 9点 蟷螂の斧
(2011/12/11 18:31登録)
著者のインタビューにある「一気読み、どんでん返し、最後の一行で驚いてもらう」の通り、再三のどんでん返しがあり、大変満足です。背景には刑法39条が流れており、ストーリー的に面白い。ただ、エログロ描写もかなりあります。マイナス要素は、警察での暴動シーンで、余分のような気がします。

No.5 5点 まさむね
(2011/11/13 22:30登録)
 ラストはうまく纏めていると思いますね。
 ただし,どんでん返しの一部は,サイコ系として十分に想定の範囲内であって,驚きはありませんでしたねぇ。それと,内容に比して長すぎる印象。戦い(?)のシーンはしつこ過ぎる。そんなに長く必要か?

(以下,未読の方はご注意を)
 何と言ってもタイトルが「○○○男」ですからねぇ。しかもマスコミが名付け親ときた。ある意味で「まさか」でしたよ(笑)。まぁ,いくつかの工夫は施されているのですけれどもね。

No.4 8点 clast
(2011/08/22 01:33登録)
面白かったです。構成の巧みさに唸らされました。
ラストの一行で何とも言えない衝撃を受けました。
登場人物もみな魅力的でいいですね。

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