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ミステリの祭典

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法月綸太郎の功績
法月綸太郎シリーズ

作家 法月綸太郎
出版日2002年06月
平均点7.44点
書評数43人

No.43 10点 タピオカ
(2024/10/31 02:25登録)
めちゃくちゃ面白かった!もっと世に知られたり、評価されてもいい、とも思った。

どの短編も(長さ的に中編なのもある)緻密なトリックと法月氏のアクロバティックな推理、論理展開が肝。トリックの凝り具合が好きだ、ロジックが好きだって言う人は是非お手にとってみては?

あえてフェイバリットをあげるとするなら「イコールY~」と「ABCD包囲網」。どちらも中編だけど、やっぱ物語のスケールが大きくなれば、トリックも壮大になるのかなぁ……。

No.42 8点 三枝
(2023/12/29 00:01登録)
※※※ネタバレあり※※※

イコールYの悲劇:風見鶏の記号かと思ったのですが外しました。かといって真相もあまりおもしろいとは…“業界用語”“探偵に届くメッセージが未完成”と定番ネタを組み合わせたわりに約80ページは冗長に感じます。

中国蝸牛の謎:正直やっつけ仕事感が…。大して意味も感じない冒頭文2度目のコピペに、資料丸写しみたいなカタツムリの知識と原稿埋めたかったようにしか見えません。
ネタのキレも悪く、不自然に挿入される窓の建て付けのエピソードに、これまた持ち物として不自然極まりないドライバーと怪しい部分が見え見えです(真相に気付けたわけではないですが)。

都市伝説パズル:「先入観を逆手に取ったトリック」(ノベル版P175)、ミステリーを読んでいてこれ程おもしろい瞬間もないでしょう。
有名都市伝説が現実になるという設定、パズルだけで真相を推理していく展開、綸太郎の気づきからわずか4ページで解決となる鮮やかさ。
どれをとってもお見事です。

ABCD包囲網:ABC殺人事件の亜種として、うまく盲点を突いています。これはまったく読めなかった。
ミステリーでよく突っ込まれる“トリックなんか使うより通りすがりに襲った方が早いのでは”というネタが盛り込まれているのに少し笑いました。

縊心伝心:カーペットの謎から盗聴器の存在まで飛ぶのにいささか論理飛躍を感じますが、その飛躍を受け入れると数々の謎が綺麗に解けるのがポイント。
作中でも言われていますが、まさにパズルのピースがはまる感覚です。
犯人は西澤保彦ならボロカスに書きそうですね。

2話目まで微妙だったのですが3話目以降は出色のおもしろさでした。

No.41 6点 雪の日
(2023/03/28 23:52登録)
イコールYの悲劇...8点
中国蝸牛の謎...4点
都市伝説パズル...6点
ABCD包囲網...8点
縊心伝心...4点

平均6点

No.40 8点 YMY
(2021/06/21 23:36登録)
作者と同じ名前の名探偵、法月綸太郎が難事件を解決するシリーズ。推理作家でもある探偵の父親は警視庁のお偉方という設定。
端正で爽快な謎解き狙いで固めた一冊。その意味で、インターネットに流れる都市伝説と見立て殺人を組み合わせた「都市伝説パズル」は堅い守りを見せる。「ABC包囲網」はクリスティーの「ABC殺人事件」の本歌取りのようで、しかし何だか煙に巻かれたような解決がおかしい。

No.39 7点 ミステリ初心者
(2020/10/24 18:52登録)
 ネタバレをしています。文が長くなりがちなので、なるべく一言ずつ書きます(笑)。

 不可解で変わっている興味深い状況から、納得度の高い結末に至るスタイルの短編小説です。

・イコールYの悲劇
 頭パープリンの私でも"風見鶏"がメモされているとは気づきましたが、後のことは全く分からず、結局ミスリードの円谷朱美説に引っかかってしまいました(笑)。ダイイングメッセージにしては余裕のあるメッセージでしたが、なかなか面白かったです。

・中華蝸牛の謎
 推理小説家の密室のアイディアが用いられた事件で、その前の蝸牛と鏡のうんちくと相まって、私のハードルが上がり過ぎました。ちょっとイマイチ。

・都市伝説パズル
 非常に興味をそそられる状況です。あとがきで書かれていたように、難易度は高くなく、考えればわかるようになっているところが素晴らしい。やたら難解にすれば名作というわけでもないですしね(笑)。犯人から外された容疑者は心理的アリバイによって外されていますが、まあ短編なんで良しです(笑)。

・ABCD包囲網
 明らかに嘘の出頭を繰り返す鳥飼の真の狙いが意外です。私はちっともわかりませんでした(笑)。ただ、警察に出頭すること自体が結構危険だと思います。

・縊心伝心
 ホットカーペットのスイッチが、本来と使わない"下"に入っているところから推理がすごかったです。ただ、被害者は盗聴器を仕掛けられていることがうっすらわかっていた…というのはちょっと私には難易度が高過ぎました(笑)。犯人が、偽装工作としては下策の首吊りを選択した理由には感心しました。

 個人的には、都市伝説パズルが、シンプルながら犯人を考察する楽しさで最も上でした。

No.38 7点 ぷちレコード
(2020/09/23 20:07登録)
「都市伝説パズル」は、見立て殺人の変形とアリバイトリックを融合させる難度の高いテクニックに裏打ちされた凝りに凝った構成に感服。
「イコールYの悲劇」と「縊心伝心」は、何気ない疑問から精緻なロジックを築き上げてゆくダイナミズム、本格ミステリの根源的魅力を満喫させてくれる。

No.37 6点 蟷螂の斧
(2020/01/12 16:57登録)
「イコールYの悲劇」「ABCD包囲網」はオマージュという縛りのある中で、よく考えられた作品であると思います。本サイトで高評価の「都市伝説パズル」は疑問点があり、評価としてはまあ普通といったところ。
①「イコールYの悲劇」 ダイイングメッセージものは、こじつけが多い中、本作は十分納得できます。D・Mものの新機軸で今のところNo.1です。蛇足ですけれど、YはRの小文字「r」が「Y」にも見えると考えれば、不自然ではないと考えます。7点
②「中国蝸牛の謎」 これもオマージュですが、やや無理があるような。5点
③「都市伝説パズル」 第二の容疑者に関し、「もっとほかにやり方があるのに、どうしてそんな回りくどい、手の込んだ計画をたてなきゃならんのだ?」と、あっさり容疑者から排除されます。「えっ!?」と思う次第です。犯人があえてそのように仕組んでいるという可能性が排除できないからですね。本作の他の作品にも回りくどい手の込んだトリックが多々あるわけですから・・・(笑)。ロジックが評価されているようですが、その点どうなんでしょう?。6点
④「ABCD包囲網」犯人の隠匿方法として、非常によく考えられた作品。7点
⑤「縊心伝心」無理やりロジックを構築したような感じを受けるのですが。6点

No.36 7点 ボンボン
(2018/07/12 23:38登録)
なるほど!これがアームチェア・ディテクティブか!という感動(『都市伝説パズル』『縊心伝心』)。いつまでも延々と読み続けていたい気持ち良さ。どの作品もスッキリきっぱりと切れが良く、きれいだ。贅肉が一切ない。
ただ、「ロジック+ドラマ」好きの自分としては、『スイス時計の謎』に軍配。

No.35 9点 ねここねこ男爵
(2017/10/20 23:02登録)
この人の短編集は恐ろしい切れ味を誇りますね。
「都市伝説パズル」をはじめとして必読短編多し。

No.34 6点 虫暮部
(2016/09/04 10:29登録)
 「ABCD包囲網」は酷いな~! なんで犯人のほうからわざわざ警察に接触するんだ。犯人と本命の被害者との間に見かけ上の関係は無い→警察が“動機のある者”を探しても犯人には辿り着かないんだから、余計な工作せずに黙ってサッと殺しとけばいいじゃないか。短編集に再録しないで葬り去ったほうが良かったのでは。
 「イコールYの悲劇」のダイイング・メッセージだが、文字列に既に犯人のファースト・ネームがそのまま含まれているのだから、そこにマルでも付けるほうが早いだろう。ファースト・ネームに欠けている一文字を補う設定なら良かった。“本当の動機”には説得力を感じる。

No.33 10点 青い車
(2016/02/25 23:04登録)
 中段のサスペンスを捨て論理展開の面白さのみでストーリーを支えた印象の話が多いです。特に『縊心伝心』が秀作。高水準な短編集であり、初めての法月作品としてもピッタリです。
以下、各話の感想です。
①『イコールYの悲劇』 捻ったダイイング・メッセージもので、ボールペンの骨っぽいロジックがいかにも作者らしいです。
②『中国蝸牛の謎』 トリックのためのトリックではありますが、あれをカタツムリに見立てたという発想が面白いです。
③『都市伝説パズル』 ほぼ綸太郎と法月警視とのディスカッションのみで構成された作品。血文字の謎をスマートに利用し、その他の別解を丁寧に潰していく緻密さも兼ね備えています。
④『ABCD包囲網』 見え見えの虚偽の自首を繰り返す男に、読者は先の展開が容易に読めません。クリスティーの元ネタを上手くアレンジしています。
⑤『縊心伝心』 ③と同様にディスカッションが中心となっています。現場のありふれた証拠から、「なぜ打撲により死んだ被害者を首吊りに偽装したのか」をはじめとする様々な違和感が解けるのが快感です。

No.32 7点 パメル
(2016/02/17 21:44登録)
人間関係を入れ替え置き換えて別のパターンを見出していく
謎を解決するというよりも事件の構図を
どんどん変形させていく過程の面白さが楽しめる短編集

No.31 8点 ロマン
(2015/10/21 11:36登録)
推理作家の法月綸太郎が探偵役を務めるシリーズの短編集。「ロジックとパズル好きにおススメ」的な紹介に敷居が高いなと感じていたが、これが全くの杞憂。いずれも大掛かりなトリックで驚かせてくれる作品ではないけれど、解けそうで解けない謎を一緒になってあーでもない、こーでもないと考えさせつつ、シンプルな論理がピタリとハマった解答にスッキリさせられるという連続で、思いのほか楽しませてくれる。なかでも「都市伝説パズル」の論理の鮮やかさは秀逸の一言。これならぜひとも著者の長編も読んでみなければと期待をかきたてる一冊だった。

No.30 5点
(2015/05/07 10:55登録)
初めて法月作品を読みました。
ロジックは素晴らしいと思いますが、短編だからかストーリー性に欠け私にはあまり合いませんでした。

No.29 8点 いいちこ
(2015/01/26 11:16登録)
「都市伝説パズル」は世評が圧倒的に高く、短編のオールタイムベストで最上位の評価を受ける作品。
アイデアは素晴らしいが、残された手掛かりが強烈すぎるだけに却って犯人特定を容易にしてしまっているのが決定的に難点。
個人的ベストは「縊心伝心」。
些細な手がかりから、動機・犯行経緯まで明らかにするロジックは「スイス時計の謎」を彷彿とさせる美しさ。
「イコールYの悲劇」はテーマが指定されたアンソロジー収録の短編であるため、やや強引さが目立つが、水準を大きく超えるレベル。
大きく外した作品がない点も含め、短編集としては最高級の部類

No.28 7点 まさむね
(2014/08/27 22:04登録)
 粒ぞろいの短編集。この作者の短編は本当にレベルが高く,ハズレがないですね。
 ベストは日本推理作家協会賞(短編部門)受賞作の「都市伝説パズル」。ド直球の本格短編で,シンプルな構成がこれまたイイ。ラストまで考え抜かれています。この作品のみ再読だったのですが,数年ぶりに読んでも楽しめました。
 次点は「イコールYの悲劇」か。個人的にダイイング・メッセージ系は苦手なのですが,それ以上の捻りとロジカルな解決に満足。
 「ABCD包囲網」の反転も見事。でも,作者本人も認めている「警察は何のために犯人に罠をかけたのか?」という点は気になりましたねぇ。

No.27 7点 haruka
(2014/03/24 23:03登録)
私も「イコールYの悲劇」と「都市伝説パズル」が面白かったです。前者は、ダイイングメッセージものとして、かなりの出来栄えではないでしょうか。後者も、ロジック一本で解決に導くアームチェア・ディテクティブとして出色です。

No.26 7点 メルカトル
(2013/10/11 21:59登録)
再読です。
どの作品もとても丹念に書かれている印象を受ける。じっくり時間を掛けて、ちょっと捻くり回し過ぎのきらいがないでもないが。
しかし、プロットも実に丁寧に練られていると思うし、登場人物が少ないわりに意外性も盛り込んで、実に良く出来た短編集であろう。
個人的に気に入っているのは『=Yの悲劇』と『都市伝説パズル』かな。
さすがにクイーンを標榜しているだけあって、その作風はまさに蘇ったクイーンと言ってもいいだろう。この人は長編より短編のほうが切れ味があって、性に合っているのかもしれないね。

No.25 6点 smk
(2013/10/07 22:26登録)
ロジックとしては面白いんですが、全体的にトリックありきで動機や必然性が弱い印象。短編なので仕様がないのかなぁ。

No.24 6点 TON2
(2012/12/05 10:12登録)
講談社NOVELS
 ダイイングメッセージや密室殺人など、現実には起こりえない、物語のための犯罪状況のパズル。頭の体操として、知的好奇心をくすぐられるものとして楽しめました。

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