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ミステリの祭典

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法月綸太郎の新冒険
法月綸太郎シリーズ

作家 法月綸太郎
出版日1999年05月
平均点7.14点
書評数29人

No.29 7点 斎藤警部
(2021/07/28 06:28登録)
高評価順です。

身投げ女のブルース
これは熱いな! やられた! 諸々全く気付かなかった! もしや、言うたら悪いけど作者の「●●●●の下手さ」がメタなトリックとして絶妙に機能してないか?! 序盤で或る人物を匂わす独特なミスディレクションも効いた! 綱渡り上手いじゃん! ゴン攻めもいいとこじゃん! 締めも文句無し! 9点やっちゃうヨ!!!

リターン・ザ・ギフト
見事に落とされました。。。 ちょっとネタバレっぽいこと言いますが、、交換殺人■■みたいなのが始まっちゃったぞ、もう真相分かっちゃったから早くしてよ、、なんてフンフンしてたら、そこがまさかの目くらましだったのね。。。 うん、これも物語容積かな~り大きいね。 8点強!

現場から生中継
微妙に”穴”をチラ見せするアリバイ不可能興味、畳み掛ける突破否定突破また否定の応酬で、おいおい、こりゃ「樽」か「黒トラ」の平成通信版か?なんて思っちゃったよ。”見切り発車”の謎か、そりゃそうだよな、気付かなかったよ。。って、そしたらこれですよ! ガツンと来ましたよ。。 いや、タイトルが何だかダブルミーニング臭くて気になったんだよな。。 8点!

背信の交点(シザーズ・クロッシング)
すごーく残念な作品! 基本アイデアはたまらなく良いのに。。素晴らしい反転がそこにあるのに。。あーー、もっと鉄道パズル(凄い素材見つけて来たじゃないですか!)の興味津々で引っ張ってからジワジワハラハラ真相明かして欲しかったな、渋目の文章で。 ミもフタもないが、これ◯◯三◯◯が書いてたらなあ。。。 5点弱

イントロダクション 
ふむー。 期待を持たせる役目果たせてないね。 3点

世界の神秘を解く男
んんーーーー なんか、つまらんですよ。 無理しいのコスパが低いてか。  2点強


「イントロダクション」を除くミステリ小説5篇中、実に4篇がかなり意外な犯人像で魅せてくれました。なかなか出来ないこと。
個人の嗜好ですが、前半につまんないの、後半にイカすのが固まってましたね。(だから、最初のうちはこんな高得点付けるとは夢にも..)

No.28 9点 mediocrity
(2021/04/24 03:47登録)
①『背信の交点』
会心作とのことだが、そこそこの出来のトラベルミステリ短編にしか思えなかった。慣れないジャンルだからか、なんだか普段より読みにくいし疑問点も多い。以下気になったこと(ページは文庫本)
・P20、3行目からの段落
「図書館長と司書の穂波が2人で信州に行く予定だった」と最初に書いておいてくれないから、意味を取るのに苦労した。前巻を読んでいれば問題なくわかるのかもしれないが。
あと、細かいけれど、話の流れ的に館長が倒れたのは先週の日曜でなくて、おそらく今週の日曜でしょう。
・P26、4行目
前屈姿勢なのに、なぜ前のページで頭の上半分が見えてるのだろう。
・P26、5行目からの段落
ここも一読しただけでは理解できなかった。同じ車両のこちら側の乗客がいる席???
同じ車両なのは当たり前だから書く必要ないし、進行方向右側と書いてくれればそれで済むのに。右半分だけでもいいか。
・P86、12行目
アレを入れたら明らかに味が変わるから、よほどの味音痴でもない限り分かるでしょう。

②『世界の神秘を解く男』
これは人間心理を巧みに利用した会心作だと思う。シャンデリアが真下に落ちなかった理由も良かった。

③『身投げ女のブルース』
これも文句なしの名作。P182、12行目で、身投げ女を評して「知っている女に似ているような気がした」と書いてあるのに、P183最後で別人だと断定しているのはなぜだろうと思っていたが、解消されてスッキリ。

④『現場から生中継』
鉄壁のアリバイをどう崩すのかと思ったらそう来ましたか。
少し偶然が過ぎるかもしれないですが、納得の解決です。

⑤『リターン・ザ・ギフト』
登場人物が少なすぎて真相は見抜きやすいかもしれないが、そこに行きつくまでの推理が楽しい。かなりややこしくて、正直全部理解する気にはならなかったけど。

全体としては非常にレベルの高い短編集で大満足です。

No.27 7点 メルカトル
(2020/03/15 22:36登録)
名探偵・法月綸太郎が帰ってきた!著者会心の傑作鉄道ミステリー「背信の交点」、オカルトじたての怪事件「世界の神秘を解く男」、法月綸太郎本人が登場しない異色作「身投げ女のブルース」など、テーマと構成にこだわりぬいた中編を収録。本格推理の醍醐味が味わえる“知恵と工夫のエンタテインメント”。
『BOOK』データベースより。

ロジックと意外性が良い塩梅でハイブリッドした作品が多いですね。『リターン・ザ・ギフト』はちょっと煩雑な感じがして、あまり好みではありませんが、他は意外な犯人や反転などを味わえて佳作揃いだと思います。
特に『背信の交点』の構成力、一見単純な事件のように見える裏で、見事なまでの奸計が働いていたという小気味の良い切れ味は、読んでいて思わず唸らされます。
あと好みで言うと『身投げ女のブルース』ですね。綸太郎の登場はありませんが、法月警視を通して綸太郎の推理が披露される形を取っています。これもいいですね、冒頭のスリリングなシーンからは想像できないような展開が待っています。ある意味最も本格らしい本格ミステリなのではないかと思いますね。

ただ、やや文章が硬質でしょうか。ほんの少しで良いから遊び心があってもよかった気もします。でも、凄く真面目に書かれているのには好感が持てました。とても知的な読書体験をした気分になれます。

No.26 9点 虫暮部
(2020/01/05 12:35登録)
 法月綸太郎の小説作品は概ね読んでいると思う。最も印象深かったのが本書に収録の「身投げ女のブルース」である。起点に偶然を含む点はちょっと引っ掛かるが、真相として提示される鮮やかな反転がそれを補って余りある。
 他の収録作も作者のポテンシャルを遺憾なく発揮した(もしくは、余計な寄り道で浪費することを上手く回避出来た)名品が揃っていると思う。

 ただ、以下ネタバレするけれども、「リターン・ザ・ギフト」の最終章を読んでいる途中で、穂波が“腑に落ちない”と言ったことと同じ疑問を私も抱き、それに対する回答には得心が行かない。ところが考えてみれば、偽装交換殺人(未遂)によって、弟を妻殺し犯に見せかけているわけで、理由としてはそれで充分な気もする

No.25 7点 HORNET
(2018/08/25 17:21登録)
 他で読んでいた短編が結構あったので、今回読んだ感想とそのとき読んだ記憶と混ぜた書評になるが、少なくとも謎解きパズラーが好きな御仁であれば一定の満足感は得られる改作集。

「背信の交点・・・作中にも書いてあるが、清張の「点と線」を思い起こさせるような、駅での列車のすれ違いを題材にした話。どんでん返しもあり、◎。
「世界の神秘を解く男」・・・綸太郎が仕掛けたフェイクの実験の、真の狙いのくだりに感心した。〇。
「身投げ女のブルース」・・・後半の急展開、ひっくり返し方はこれが一番◎。「偶然が過ぎる」点には目をつむって楽しみたい。
「現場から生中継」・・・これもまた(というかこっちのほうが)「偶然が過ぎる」が、ネタの発想が面白い。◎。
「リターン・ザ・ギフト」・・・単純な交換殺人に見せかけて、その裏に複雑に絡んでいた仕組みの解明が面白い。〇。

と、少なくとも△はない。楽しめる短編集だった。

No.24 6点 ボンボン
(2018/06/02 17:12登録)
体調が悪かったせいか、単に歳のせいか、面白いのに、読んだ先から忘れて行ってしまうような感覚。それだけ精密にロジックロジックしているということか。
すでに十分完成度の高い展開をしてきたところへ、さらに加えて、最後は忘れずに驚きのひねりを用意してくれるので、来るぞ来るぞ、来たーっ、という満足感を得られる。

ところで、綸太郎と穂波の会話を見ていると、昔、フルーツポンチと柳原可奈子がやっていたコント「通ぶる2人」というネタを思い出す。
「というと?」
「○○○、とあなたは言いたいわけね」
「さすがに飲み込みが早いな」

No.23 6点 パメル
(2018/05/09 01:15登録)
パズル・ロジックを重きをおいた作品ばかりで、さすが短編の名手と言われているだけあって切れ味が鋭い。
その中でも一つの事件からガラリと反転する「背信の交点」と語りの仕掛けとトリックが噛み合った「身投げ女のブルース」が好み。
ただ、登場人物に魅力が欠ける点と、ストーリー自体が地味な作品が多いため、パズル好き以外にはお勧めできない。

No.22 9点 ねここねこ男爵
(2017/11/04 10:04登録)
どんでん返しというか、構造の転換もの中心。
本筋以外でひっかかった所として、
「身投げ女のブルース」女性のコレを手掛かりにするのはすごいw刑事コロンボで近いものを見たことがあるくらい。
「リターン・ザ・ギフト」犯人はなぜ不要な事件を起こしたか?の理由が切ない。

法月綸太郎氏の短編集はやはり素晴らしいキレ味。

No.21 9点 青い車
(2016/02/06 22:32登録)
パズラーとして端正でありながら人間の心を随所に関連付けることで物語としてのコクもあり、傑作ぞろいといっていい出来だと思います。特に『背信の交点』『現場から生中継』『リターン・ザ・ギフト』の三作は絶品です。
以下、イントロダクションを除いた各話の感想。

①『背信の交点』 読み始めたときは時刻表ものか?と錯覚しましたが、ふたを開けるとガチガチの本格ものでした。事件の構図が本作中もっとも華麗に反転しています。
②『世界の神秘を解く男』 超能力のタネは拍子抜けなものの、下劣なマスコミの生態や封建的な学会の事情などを絡めることで印象的な佳作に仕上がっています。
③『身投げ女のブルース』 トリックの前提が大きな偶然に頼っていることを除けばほぼ文句なしです。予想外の方向からの解決に見事背負い投げを食らいました。
④『現場から生中継』 犯人の致命的ミスから生まれた決定的証拠が秀逸です。携帯電話という当時最先端のアイテムからこんな作品を編み出した作者の発想力に脱帽します。
⑤『リターン・ザ・ギフト』 事件が交換殺人であることを早々に明らかにし、その上で様々な可能性を論理的検証でふるいにかけるユニークな作品。最後に浮かび上がる登場人物たちの心情が切ないです。

No.20 6点 いいちこ
(2015/04/24 14:43登録)
本作もクオリティの高いパズラーがズラリと並んでおり、相変わらず短編では群を抜く存在の著者。
真相の意外性では「背信の交点」「身投げ女のブルース」「リターン・ザ・ギフト」が上位。
ただし、「身投げ女のブルース」を筆頭に、ご都合主義の印象が強く、完成度としてはもう一歩。

No.19 6点 ボナンザ
(2014/05/31 22:45登録)
冒険ともどもかなり高水準にまとまっている。
かなり前に読んだが、最近読み返しても面白い。

No.18 6点 蟷螂の斧
(2013/03/17 12:29登録)
「背信の交点」は松本清張の「点と線」を思い出させてくれました。「身投げ女のブルース」は偶然をうまく利用したトリックで感心しました。

No.17 7点 まさむね
(2013/03/03 23:27登録)
 法月綸太郎シリーズの短編集です。ズバリ,高水準で面白い!特に下記の1と3が好み。
1「背信の交点」
 「法月さんがトラベル系?」と思わせておいての終盤の切れ味。作者本人も「会心作」と述べておられます。
2「世界の神秘を解く男」
 雰囲気は嫌いではないのですが,この作品集の中での印象は薄いかな?
3「身投げ女のブルース」
 いやはや,やられました。そう来ましたか…。
4「現場から生中継」
 さすがの反転ですが,この作品集の中での印象は薄いかな?
5「リターン・ザ・ギフト」
 正直フーは分かり易いものの,ラストのホワイが印象深かったなぁ。

No.16 7点 測量ボ-イ
(2012/12/14 19:21登録)
著者の短編集をはじめて読みました。
どれも粒よりの作品ですが、中でも「身投げ女・・」が
よかったかな?次点は「背信の交点」で。
他の方のコメントにもあるように、氏の作品は短編の方
が完成度高いかも。

(2022.12.8 追記)
最近再読。というか、既読作品と気づかず再読し、途中
で気づきました 苦笑
評価そのものは、初めて読んだ当時とほぼ同じです。

No.15 6点 TON2
(2012/12/04 20:27登録)
講談社NOVELS
 「イントロダクション」「背信の交点」「世界の神秘を解く男」「身投げ女のブルース」「現場から生中継」「リターン・ザ・ギフト」の6編。

No.14 6点 りゅう
(2012/01/31 20:54登録)
 いずれの作品も真相に意外性があって良く出来ていると思うのですが、すっきり感がなく、しばらく経てば忘れてしまいそうです。個人的ベスト作品は「身投げ女のブルース」。 
「背信の交点」
 一件落着したかと思われた事件、ある事柄の判明から事件の様相は反転します。事件の成り行きに細かい意味を持たせていくラストの描写は見事です。
「世界の神秘を解く男」
 最後の犯人との対決が見どころでしょうか。〇〇の殺意だったのが残念。
「身投げ女のブルース」
 東野圭吾氏の某作品を彷彿させる、驚きのある真相でした。決定的な証拠(〇〇の色が違っていたこと)が後出しで伏線も不足しているので、読者がこの真相を推理するのは難しいと思いますが。
「現場から生中継」
 電話によるアリバイトリックだと思っていたら・・・・・・。法月が犯人を追い詰めた根拠はちょっと弱い気がします。
「リターン・ザ・ギフト」
 法月と穂波の仮説の検証過程が面白い。第4の仮説が示された時点で真相が予測できました。

No.13 7点 simo10
(2010/08/21 13:41登録)
-ネタばれ含みます-

探偵法月綸太郎の短編モノ第二弾。以下の五作品にて構成されます。

①「背信の交点」:著者には珍しい列車モノだけど本質はワイダニットかな。どの結果でも哀しいです。
②「世界の神秘を解く男」:功名心を利用した恐ろしい罠。ラストの綸太郎がちょっと格好いい。
③「身投げ女のブルース」:これまた著者には珍しい○○モノ。もう一つの事件の存在に戦慄が走りました。
④「現場から生中継」:電話アリバイトリックものは犯人のつまづきがワンパターンなのでイマイチ。
⑤「リターン・ザ・ギフト」:交換殺人をベースにしたワイダニットもの。論理の構築部が多く、やや面倒。

どの作品もレベルが高いです。個人的には③が好きですね。

No.12 7点 seiryuu
(2010/07/29 12:23登録)
今回も読みごたえのある短編5話
背信の交点とリターン・ザ・ギフトが面白かった。

No.11 7点 E-BANKER
(2009/08/30 00:24登録)
名探偵、法月綸太郎シリーズの短編集第2弾。
こちらも高レベルの短編集。楽しめること請け合い。
①「イントロダクション」=?
②「背信の交点」=作者としては珍しい「時刻表ミステリー」。西村京太郎作品を彷彿させる設定ですが、プロット自体は作者らしさ十分。
③「世界の神秘を解く男」=短編にしては何か冗長さを感じてしまう作品。あまり好きでない。
④「身投げ女のブルース」=別の短編集(「パズル崩壊」)で探偵役を務める葛城警部が登場、と思いきや・・・なかなかサプライズのあるオチ&プロット。
⑤「現場から生中継」=短編らしいワン・トリックもの。面白い。
⑥「リターン・ザ・ギフト」=図書館シリーズの穂波が登場。テーマはずばり「交換殺人」。
以上、6編。
法月らしいロジックと稚気に溢れた作品が多くて、さすがに「短編はうまい!」(でも長篇は・・・)
(④⑤辺りが個人的には好き。②も嫌いではないプロット)

No.10 8点 isurrender
(2009/07/22 01:29登録)
どれも高水準
背信の交点 が一番楽しめました
結末が好きです

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