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ミステリの祭典

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マークスの山
合田刑事シリーズ

作家 高村薫
出版日1993年03月
平均点6.15点
書評数33人

No.33 5点 HORNET
(2020/08/03 20:00登録)
 著者の代表作であり、壮大な構成は素晴らしいとは思うが、ミステリとしては平均的な内容だと思う。それは平均的な水準で面白かったというよい意味でもある。
 ミステリとしては…としたのは、上下二冊を読んだラストに待っていた真相が、冒頭の事件の起こりを読んだ時点で予想した内容のとおりだったこと。経験ある登山者ならばとるはずのないルートで下山した最初の被害者、とるはずのルートで発見された白骨死体、とくれば大体予想はできてしまう。
 ただそれはそれとして、大学の山岳会OBを順に辿っていきながらの刑事捜査の過程自体は力があり、読み物として十分読み応えがあった。
 ラストはちょっとドラマ仕立てな感じがしてしまい、個人的にはあまり好きになれない終わり方だった。

No.32 5点 人並由真
(2016/05/25 20:10登録)
(ネタバレなし)
 少し前の、今年のゴールデンウイーク中に読んだ作品のひとつ。元版のハードカバー版は購入したまま、結局、新規改定された文庫版の方で読んだ。今回が初読であり、映画も観ていない。

 読む前の勝手な印象としては、強大な犯罪者VS個性豊かな刑事たち捜査チームの対決を主軸に描く警察小説かと思っていたが、これは微妙~相応に違った。小説の力点はもっと複数のポイントに分散し(警察内の組織論、過去の事件の真相と軌跡、事件関係者の複合的な相関など)、そのそれぞれが主張してくる。
 重厚感において読みごたえがあったのは間違いないが、終盤まで作者に振り回されて時間が経っていった、そんな感慨も生じる作品。

No.31 7点 ボンボン
(2013/10/18 00:40登録)
キャラクターが活き活きとしていてスピード感がある。独特の世界観。山の刺すような空気が強く印象に残った。なぜだか、自分も気力と体力の限り、働きづめに働きたいと思ってしまった。
ただ、いくつもの犯罪の一つ一つの結果が、捜査の盛り上がりの割りに、どうも肩透かしのような。

No.30 6点 りらっくま
(2013/07/07 21:52登録)
作品自体はミステリというジャンルではないけど、山岳部の
仲間が次々と殺されて、最後、弁護士と刑事との心理戦は
読み応えがあった。中井貴一主演の映画版も観たが、より楽し
めた。というより、小説を読んでから映画版を観たほうが
確実に面白いと思う。

No.29 9点 TON2
(2012/11/04 20:58登録)
私のとっては、最高に面白い作品でした。
警視庁の刑事たちが、チームを組みながらも人間の本性まるだしで事件の捜査を行う過程が、読みごたえがありました。

No.28 4点 蟷螂の斧
(2011/08/19 10:29登録)
文学的素養がない私には、「ドグラマグラ」(夢野久作氏)と同様、理解ができませんでした。では映画ならと思い、観ましたが二作品とも同じ結果でした。

No.27 7点 E-BANKER
(2009/11/15 17:57登録)
直木賞受賞作。
作者の代表作でしょう。
精神疾患を持つ犯人が起こす猟奇的殺人事件と、そもそもの背景である過去の南アルプスでの殺人事件・・・この2つがどのようにつながっているか、というのが本筋です。
ただ、それよりも主人公の合田刑事を含む警視庁の捜査員たちのセリフや動きが実に生き生きして、なるほど警察官というのはこういう人種なのかというのがよく理解できます。(どこまで本当か分かりませんが・・・)
トリックや凝ったプロットが出てくるという訳ではないですが、読み応えのある大作という評価で良いでしょう。
ただ、長い・・・

No.26 4点 いけお
(2009/09/26 11:48登録)
読みにくいと感じたが文章自体は好みの問題だと思う。
スケールは大きくおもしろそうなプロットだが、一つ一つの展開が論理的でなく最後まで夢中になれなかった。

No.25 6点
(2008/11/26 17:08登録)
個人的には、改行が少なく少々読み難い文体の作品だったが、思っていたほど悪い本じゃない。僕としてはミステリとしても満足できた。でも、人によって好き嫌いは分かれるだろうなぁ、という作品。

No.24 10点 touko
(2008/09/10 18:45登録)
ミステリー要素はあまりないですが、犯人像が面白く、警察内部の足の引っ張り合いや主人公の職業刑事としての意地など、面白く読めました。

この作家特有のセンチメンタリズムがいい方向に作用し、独善に陥らないだけの品格や1歩手前で踏みとどまる客観性もあり、情熱と哀惜が伝わってくるとてもいい作品です。

No.23 4点 yoshi
(2008/07/03 20:10登録)
力作だとは思いますが、ミステリとしての評価は低いかな。発想の飛躍がないので、この長さを読み通すのが苦行に近い。苦行の末に最後まで読んでもカタルシスがない。この人は純文学をやっていれば良かったのにと思う。

No.22 2点 sasami
(2008/07/03 07:49登録)
とにかく読みにくかった。
犯人が何も悪くない育ての親を殺したことの説明がなくてなんか納得いかなかったです。
この時点で自分の中で犯人は完全な悪者になったんですが、それでいて犯人をちょっとでも美化するようなラストとかなんか嫌だなって思いました。
読後感のものすごく悪い本でした。

No.21 9点 itokin
(2008/05/03 16:08登録)
高村作品に出会った最初の小説いろんな意味でショックをうけた。これと「レディージョーカー」は、もっとも好きな作品です。

No.20 3点 あびびび
(2007/09/18 19:23登録)
しんどかった。登場人物の中の刑事たちが最後まで区別がつかなかった。純文学のような表現が多々あり、自分のような凡人にはスラスラとはいかない。
自分がマークスの山を登っているようだった。

No.19 3点 ウォル
(2007/07/08 00:33登録)
個人個人の描写は引き込まれるものがありますがミステリーとしての驚きという点では0点ではないでしょうか・・・・。

No.18 6点 くりからもんもん
(2005/05/18 14:09登録)
全編暗すぎ。読むのに疲れる。でも一気に最後まで読んじゃったからおもしろいってことなのかな。

No.17 5点 ラッキー
(2004/08/05 09:37登録)
犯人の行動や犯行の動機がイマイチ理解できなかった。
警察内部のやり取りは凄い迫力だった。合田をはじめ他の刑事達の存在感は素晴らしい。

No.16 2点 ウエストウッド
(2004/06/19 19:04登録)
感情の感じない文章は意図してのものなのか?

No.15 8点 モトキング
(2004/06/01 17:20登録)
傑作。
どこが、とか、どんな風に、といった言葉の必要のない。何か訳のわからない達成感がある。
それは、まだ頭頂部に残雪が積もっている春山の頂上に立っているかのような感覚。
この作品には2つの物語と2人の主人公がいる。
一方は、警察内部の、少し過剰なほどに人間性を剥き出しにし合った警察官の群れの中で、日々能動的に生き続ける人間性を失いつつある一人の刑事。その中で擦り切れ鈍化していく己の自我を自覚しつつも、これまでの生き方を方向転換する気力も、その必要性も見いだせない男の、しかし反射的な行動の連続を積み重ねて捜査を続けていく様が描かれている。
一方は、過去の某かに伴い、人格が明と暗の2極に分かれ、社会的な底辺を彷徨うことを余儀なくされた、刹那な人間的感情の積み重ねで生きる一人の犯罪者。恐らくは、自身の中の2極が、短い人生の中で立ち止まることなく変化し、融合していき、いずれは息絶えてしまうしまうシステムを無意識に認識している男の、最後の花火のような圧倒的人間性の発露が描かれている。
結局、事件発生後、生きて二人が対面することは無く、そして、表面上、2つの精神構造は、全くリンクせず、影響し合う機会すらなかったが、最後、雪山の頂上で、死者と生者という立場で2者が遭遇したとき、我々は言いようのない感覚を抱かざるを得ない。
この瞬間が、このほんの意味。
そう感じた。

No.14 9点 chii
(2004/05/16 00:17登録)
最初と最後の水沢の印象が全然ちがかった。読み終わったあとも印象が大きい作品♪

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