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ミステリの祭典

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yoshiさんの登録情報
平均点:4.55点 書評数:116件

プロフィール| 書評

No.116 2点 楽園のカンヴァス
原田マハ
(2023/02/26 01:01登録)
結局「夢をみた」は真作なのか贋作なのか、ブルーピカソはあるのかないのか、二人が読む物語の作者は誰なのか、それらの謎が結局解かれないままなのは、極めて消化不良。
これは作者の「逃げ」でしょう。
最後のオリエとティムの鑑定も、何のロジックもないただの当てずっぽうだし……正直みなさんの評価が高いのが不思議です。
この構成なら二人が読む物語の中に、ただ読み飛ばしただけでは気付かない証拠が隠されていて、それで真贋の判定がつく、という形でなければいけないと思うのですが。
ミステリーとしては一点ですが、途中は面白かったのでプラス一点。


No.115 4点 真実の10メートル手前
米澤穂信
(2021/03/21 12:52登録)
ミステリーとしては謎が小粒で盛り上がりに欠ける。ジャーナリズムのあり方を問うというサブテーマがあるようだが、正直どうでもいいと感じた。何よりも、話として面白くない。


No.114 5点 揺籠のアディポクル
市川憂人
(2021/01/03 21:28登録)
なかなか面白く読めて真相も強烈なのに、何故か物足りなく感じた。
今村某の『屍人荘』でも思ったことだが、クローズド・サークルの外側で起きている事件が大きすぎて、サークル内で起きた事件の重要性が相対的に薄れてしまうのだ。極端なことを言えば、「今さら殺人事件の真相なんかどうでもいいじゃん」と感じてしまうのだ。


No.113 2点 密室蒐集家
大山誠一郎
(2020/11/11 12:41登録)
いやーつまらん。欠点は他の方が的確に指摘しているので敢えて繰り返さないが、そもそも小説になっていない。
こんなのに受賞させるから、本格ミステリ大賞はマニア作家の内輪受け賞と言われてしまうのだろうな。


No.112 3点 アリバイ崩し承ります
大山誠一郎
(2019/12/29 20:20登録)
二作目のトリックに既視感があったのですが、ここに来てダムコップさんのレビューを見て深く納得。でも私、鮎川哲也の「扉を叩く」は読んだ記憶がないので、ひょっとしたら二番煎じではなく三番煎じなのかも知れません。
素人の私が既視感があるトリックが、堂々と使われてる作品が本ミス一位になってしまうとは。ひょっとして投票者の見識は大したことないのかな? と思ってしまいます。
会話の魅力の無さは青い車さんの仰る通り。それだけに一層決め台詞「時を戻すことができました」が浮いていて、うすら寒ささえ感じます。


No.111 7点 medium 霊媒探偵城塚翡翠
相沢沙呼
(2019/09/15 20:19登録)
この作家は作品に個人的性癖を感じてしまってあまり好みではないのだが、これは面白かった。
正直三話目までは微妙な感じで、キャラのあざとさとロジックの貧弱さにがっかりしていたのだが、最終話に入って一気に良作に変化。キャラのあざとさも計算のうちだったとわかって納得。


No.110 1点 IQ84
村上春樹
(2019/09/14 21:07登録)
この本がこのサイトに登録されているとは思わなかった。
読みやすい文章ですらすら読めて、確かに面白い。相当な分量なのに、読む手が止まらなくて一気に読んでしまう。ある種の中毒性のある文体、現代文学として確かにひとかどの地位を今後も占め続けるのでしょう。
でもこのサイトはミステリーとして採点する場なので、謎を解かないで投げっぱなしの本書は当然1点。本当は0点をつけたいところ。


No.109 5点 刀と傘 明治京洛推理帖
伊吹亜門
(2019/07/28 12:19登録)
個別の作品のトリック等は正直いまいち。
せっかく科学捜査のない時代を舞台にしているのだから、
もっと大胆なトリックでも良いのに、妙にちまちましている印象。
本格ミステリ大賞は、雰囲気の勝利かな。


No.108 3点 叙述トリック短編集
似鳥鶏
(2019/07/28 12:13登録)
こんなタイトル付けて、冒頭に読者への挑戦状まで持って来て、この出来はないでしょう。作品個別のコメントを付ける気にもならない。石黒正数のイラストが泣いてるよ。


No.107 5点 ノッキンオン・ロックドドア
青崎有吾
(2018/04/16 00:49登録)
(ネタバレあり)
二つ重大なミスと思われる点があり、高評価は差し控えたい。
一つは金庫だが、逆さまになっていたらダイヤルの数字もさかさまになってしまうのですぐにわかるはずである。まさか6と9しかダイヤルの数字がなかったわけではあるまい。
二つ目は指紋。雪が解けて見ずに濡れたぐらいでは指紋は消えてなくならない。これは少し調べればわかることなので、著者の犯罪捜査に対する知識量が心配だ。


「(付記)
とこう書いたら馬鹿呼ばわりされたので付け加えて置こう
https://www.kinko110.jp/knowledge/kinko_akekata.html
たとえばこういう金庫の場合だ。文字盤の外側の数字は逆さまになる。
そして本文中に「文字盤のみに数字が書いてだる方式の金庫」という記述はなかったはずである(今手元に本がないので確認していないが、あったらそんな感想は抱かない筈)。


No.106 7点 13・67
陳浩基
(2018/03/10 20:23登録)
ひとつひとつの話のトリックは、それほど大したことはない。
日本の本格ミステリー(作者もその大ファンであるらしい)を読みなれている読者は、割と途中で勘付くだろうトリックが多い。
だけど逆年代記という手法でひとりの刑事の人生と香港の現代史を生き生きと感じられる点では読み応え十分。


No.105 5点 虹を待つ彼女
逸木裕
(2018/02/10 15:01登録)
前半は面白かったのだが後半失速した。いくら何でも晴のAI制作だけで最後まで持たせるのはプロット的に無理がある。冒頭の派手な自殺から、ものすごいドラマを期待するのだが、明らかになる晴の人格は意外と普通。最後、晴のAIが工藤ではなく雨を選ぶわけだが、晴がレズビアンであることがわかった以上、工藤にはこの選択はどうすることもできないわけで、やはりそこにはドラマ性が欠けている。従ってラストの工藤の喪失感にも共感できない。


No.104 8点 虹の歯ブラシ 上木らいち発散
早坂吝
(2017/11/14 19:40登録)
ノベルスでも読んではいたのですがレビューはせず、今回文庫になったので再読してみました。
ノベルスは6点くらいだったのですが、文庫はかなり改稿されていて、大幅に評価が向上しました。
ノベルスでは最後の「黄」と「赤」で評価を落としたのですが、そこが特に改稿されて良くなっています(「黄」はノベルスでは意味すらわからなかった)。
問題の「赤」の章も、作者がやりたかったことが初めてわかってスッキリしました(それには深水の解説も一役買っていますが)。
ノベルス版でハマらなかった人も、一読の価値あり。


No.103 2点 今宵、バーで謎解きを
鯨統一郎
(2017/11/14 19:30登録)
何か、いろいろと舐めているように思う。
各種ランキング本の近況欄にスペースをもらいながら、一行しか書かないであとは真っ白のページを作ることで有名な作者ですが、あれはエッセイだからギリ許せるとして、本業の小説の方で読者を舐めてはいけません。


No.102 6点 生ける屍の死
山口雅也
(2017/10/05 16:36登録)
楽しめはしましたが、ちょっと過大評価気味ではないですかね。
今さらながら、アリバイやら物証やら、あらやる推理の手掛かりが、
「死んだ人はもう自力では動かない」という大前提の下にあることを再確認しました。
その前提が崩れた時点で、もう何でもありの世界になってしまう。
SFだという意見も散見されますが、SFだったらどうして死者が蘇るのか、
擬科学的でいいから一言説明が欲しいところ。


No.101 2点 NO推理、NO探偵?
柾木政宗
(2017/09/18 22:03登録)
ノリとしては東野圭吾『名探偵の掟』や深水黎一郎『大癋見警部の事件簿』に近いと感じた。
そしてその二冊は大好きなのだが、これはダメだった。
その理由は東野・深水作品は、一篇一篇が面白くてオチもあり、
時々ミステリーとしてはっとさせられるところもありで、その上でメタをやっているのに対し、
本作はメタありきで、一篇一篇がどうも感心できない出来、というところだろうか。
最終章になってようやく探偵が推理をはじめるのだが、
「メタは人に話したくなる」などという曖昧な理由が、推理の論拠になってしまうというお粗末さ。
正直1点でもいいのですが、やり切った感があるので1点プラス。


No.100 8点 大癋見警部の事件簿
深水黎一郎
(2017/09/02 05:59登録)
あれっ、みなさん評価低いんですね。
私は大変面白く読みました。いまのミステリ界のトピックスや問題点を網羅して、それをいちいちパロディに落とし込むというのは、かなりの技倆が必要だと思うのです。
かといってトリックも使い回しではなく、「逃走経路の謎」や「JAXAの殺人」などのトリックは新味があります。上級者はもちろんですが、初心者が手っ取り早く笑いながらミステリ界の現状を知るにはうってつかかと思います。
なお文庫版は芳井かずみの漫画も入っていて少しお得です。
ただし解説はひどい。そもそも作者の名前が深「見」黎一郎になっている。光文社は校正をしないのか?


No.99 5点 静おばあちゃんにおまかせ
中山七里
(2017/09/02 05:44登録)
スカイツリーの工事現場など、今風の舞台を用意してあるのは好印象。
ただしトリックがいただけない。すべてどこかで読んだことのあるようなものばかり。
以前作者のインタビューで、「あらゆるトリックはすでに出尽くしている」と述べているのを読んだが、もう初めからトリックは使い回しでいいと開き直っているようにも見受けられる。
ラストは……まあ驚きました。


No.98 4点
東山彰良
(2017/08/14 06:37登録)
いきなり野糞のシーンからはじまり、女幽霊の話とか、ゴキブリ大量発生の話とか、エピソードがばらばらで一貫性がない。まあ最終的には祖父殺しの謎を解く話になって行くんだけど、ミステリーとしての評価はあまりできない。20年に一度の傑作は褒めすぎ。


No.97 4点 終章からの女
連城三紀彦
(2017/08/02 03:28登録)
まあ確かに騙されはしました。見抜ける人はまずいないでしょう。
ですが、騙すためだけのストーリーとしか思えなかったのでこの点数で。

二番目の殺人の時は安江が代わりに刑務所に入ってくれるとかならわかりますが、ありえないでしょう。

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