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ミステリの祭典

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ノッキンオン・ロックドドア
御殿場倒理&片無氷雨 

作家 青崎有吾
出版日2016年04月
平均点5.56点
書評数16人

No.16 7点 虫暮部
(2023/12/21 12:59登録)
 Locked の発音は濁らず【ロックト】が正しい。【ドド】になっているせいもあり非常に気になる。

 長編に於けるロジックの編み合わせ方が今一つ肌に合わないかなあと思ったものの、冷たくしないでこの連作集を手に取って良かった。緩い部分や説明不足は見受けられるが大目に見られる範囲内と認めて甘い罠にサレンダー。
 中でも「ダイヤルWを廻せ!」がツボ。アイデアとして面白ければ私は買う。そういうトリックが可能なデザインのものだった、ってことで良いのではないか。

No.15 6点 斎藤警部
(2023/10/28 13:27登録)
ノッキンオン・ロックドドア/髪の短くなった死体/ダイヤルWを廻せ!/チープ・トリック/いわゆる一つの雪密室/十円玉が少なすぎる/限りなく確実な毒殺

ポップな推理ファンタジー。 極軽タッチで本格要素は結構強い。
探偵設定の面白さ、展開の意外性、くすぐりいっぱい、大小パロディ、魅力的な仲間と敵、姑息な手、アラのアラ、目を引く新奇(ノヴェル)なフック群、長いスパンで残る謎。。

「まったく」 彼は、懐かしむように息を吐いた。 「あいつにゃ頭が下がるよ」

中に一篇、ギリ二篇、連城スピリット漂う熱い逆説のブツがあった。但し詰めの甘いディテール頗る多し。そこが気にならない文章だったらなあ・・それこそ連城のような・・と夢想しなくはないが、不満じゃあない。

「僕ら四人は、いまだにその密室の虜なんです」

No.14 6点 zuso
(2021/10/13 22:55登録)
不可能専門の御殿場倒理と不可解専門の片無氷雨という、二人の探偵が登場する連作。謎の種類によって謎解き役が交代するというシステムには新しさを感じた。話はごく短いのに謎解きは意外としっかりしており、自然な形で伏線を埋め込む技能は目を見張る。

No.13 6点 ボナンザ
(2021/08/24 20:54登録)
そこそこ凝った短編集。一つ一つが短いしさらっとしていて、それなりにトリックもしっかりしているので満足度高い。

No.12 3点 mediocrity
(2019/12/22 01:03登録)
若手の中ではかなり期待されている作家さんということで気になって読んでみました。

<ネタバレ大量にあります>


①『ノッキンオン・ロックドドア』
よく考えられた作品だと感じたが、少し考えると無理があると思った。長さが3センチ違うのはうまく隠せたが、高さが3センチ違うのはまず気付く。最後だけ3センチ高くなってる階段を実際に作ってみたらいい。おそらく多くの人がつまづくと思う。最悪じゅうたんがめくれて細工がばれる。
②『髪の短くなった死体』
この作品は前作以上に突っ込みどころが多い。特に『科捜研の女』のファンから大量に突っ込みが入りそうだ。「指紋消えないだろ!」「化粧の成分残るだろ!」「変装とか顔認証でバレるだろ!」等々。服を脱がせる順番を説明していたが、あれもあくまでそういう傾向があるというだけでしょう。
あと、50センチ切断してまだうなじまである髪の毛っていくらなんでも長すぎないですかね。
③『ダイヤルWを廻せ!』
これができる金庫って実際ほとんど存在しないだろうなあ。足があるのは問題外だし、メーカー名が書いてあるのもダメだし、ダイヤル周りも極力シンプルでないといけないし。
④『チープ・トリック』
狙撃者の執念と腕がマンガにしか思えない。電気が切れるのをずっと待ち続けて見事に仕留めたとか。
⑤『いわゆる一つの雪密室』
2作目と同じで指紋の件が引っかかった。
⑥『十円玉が少なすぎる』
全く良いと思わなかった。作者の用意した結論に向かって作者の知識内で推測を続けて行ってるだけに感じた。
⑦『限りなく確実な毒殺』
これも色々と都合が良すぎるように思えた。30分後に溶けるカプセルならまだわかるけど。


全作けなしてしまった・・・。キャラとか設定とかは嫌いじゃないんだけどなあ。特に表題作は指摘した点を除けば好みだ。学園物の長編はおおむね評判がいいようなので今度読んでみようと思う。

No.11 6点 makomako
(2019/05/22 21:14登録)
短編の連作でトリック一発芸の作品がそろっています。
 出てくる人物はかなり軽い感じですが、若々しくて良いと感じる方も多いと思います。
 氏の作品は関東言葉がしばしば出てきて、ことに「みたく」は私にとっては極めて違和感があります。きちんと「みたいに」と書いてほしいなあ。
 全体としては悪くない。次作を期待しましょう。できれば長編でお願いしたいですが。
 

No.10 6点 E-BANKER
(2019/04/07 21:23登録)
~密室、容疑者全員アリバイ持ち・・・「不可能」犯罪を専門に捜査する巻き毛の男「御殿場倒理」。ダイイングメッセージ、奇妙な遺留品など「不可解」な事件の解明を得意とするスーツの男「片無氷雨」。相棒だけどライバルなふたりが経営する探偵事務所「ノッキンオン・ロックドドア」には今日も珍妙な依頼が舞い込む・・・~
2016年発表の連作短篇集。

①「ノッキンオン・ロックドドア」=確かにパズラーとしては面白いし、自分の志向にも合う表題作。初っ端の一編としては理想的とも言えるんだけど、この「Why」はどうかな? 本人が気付いてないなら「○み○」の意味なくない?
②「髪の短くなった死体」=確かに無理矢理感は強い、っていうか満載だし、偶然の要素が多すぎるところはどうかなって思う。でも、こういう逆転の発想は本格ミステリーにとっては大事な要素だろう。
③「ダイヤルWを廻せ!」=“開かない金庫と殺人事件”。二つの事件を別々に追い始めたふたりの探偵だが・・・やがて二つの事件が交叉してくるのは自明。この金庫の謎はどなたかが書かれてるとおり、ちょっと頂けない気はする。どういう表記だったんだろうね?
④「チープ・トリック」=ここから謎の男・糸切美影が登場。ふたりの探偵VS美影という構図。で、トリックなのだが、確かに「チープ」といえば「チープ」。誰もが思い付きそうな仕掛けなのだが、あまりにチープで誰も使わなかったということなのか? でもこういう発想自体は好き。
⑤「いわゆる一つの雪密室」=えー!っていう真相。まぁ短篇らしい小ネタといえばそうなのだが。ちょっとした思いつきだろうか?
⑥「十円玉が少なすぎる」=ふたりの探偵が完全なるアームチェア・ディテクティブに挑む一編。テーマは「50円玉20枚」ではなく、「10円玉が5枚くらい少ない」謎。確かに今の世の中、コレを使ったことない人多いんだろうけど、10円玉っていうとやっぱりコレっていう発想になるんだな。
⑦「限りなく確実な毒殺」=うーん。こんな衆人環視の状況で殺人のリスクを犯す必然性はよく分からなかったが、設定そのものは面白い。因みにこれは架空の毒物?

以上7編。
作者ってこんなスタイリッシュな作品も書けるんだと感心。
こりゃ絶対映像向きだね。最近ミステリー原作の地上波ドラマが多いし、若手俳優をキャスティングするには絶好ではないか?

長編の裏染天馬シリーズなどと比べると、練りきれてないアラも目立つけど、まぁそこは短篇だしっていう割り切りで読めばいいのではないか。キャラも面白いし、どの作品も一つくらいは光る何かが仕込まれてると思う。
ということで続編も出るんだろうけど、これ以上レベルが落ちるとちょっとツライかな。
(個人的には②>①>④かな。あとは・・・)

No.9 6点 青い車
(2018/11/19 21:35登録)
 なんといっても表題になっている第一話に尽きます。一見バカミス的密室トリックのようでいて、その弱さを動機の妙で補強してバランスを保っているのが絶妙。このレベルの短編がもう一つ二つあれば凄かったのですが、二話目以降尻すぼみになっているのがなんとも惜しいです。シリーズを続けるとしたら、もうちょっとネタを煮詰めて欲しい所。

No.8 5点 yoshi
(2018/04/16 00:49登録)
(ネタバレあり)
二つ重大なミスと思われる点があり、高評価は差し控えたい。
一つは金庫だが、逆さまになっていたらダイヤルの数字もさかさまになってしまうのですぐにわかるはずである。まさか6と9しかダイヤルの数字がなかったわけではあるまい。
二つ目は指紋。雪が解けて見ずに濡れたぐらいでは指紋は消えてなくならない。これは少し調べればわかることなので、著者の犯罪捜査に対する知識量が心配だ。


「(付記)
とこう書いたら馬鹿呼ばわりされたので付け加えて置こう
https://www.kinko110.jp/knowledge/kinko_akekata.html
たとえばこういう金庫の場合だ。文字盤の外側の数字は逆さまになる。
そして本文中に「文字盤のみに数字が書いてだる方式の金庫」という記述はなかったはずである(今手元に本がないので確認していないが、あったらそんな感想は抱かない筈)。

No.7 2点 ねここねこ男爵
(2018/02/08 21:03登録)
トリック担当とロジック担当のコンビ探偵という発想は斬新で期待したのだが、表題作以外は設定の意味が非常に薄い…というか、企画倒れの普通のミステリになってしまっている。多分、表題作以外のアイデアが浮かばなかったのだろう…
もう少しうがった見方をすると、タイプの異なるイケメンのコンビということから、同人など二次創作(ひょっとしたらTVドラマ化などメディアミックス)を強く意識したと思われる。それならそれで構わないので設定を活かして欲しかった。その意味で高評価は与えづらい。
それから、見破られないように証拠を提示したりどんでん返しする筆力が不足。具体的には、警察やちょっと観察力がある素人なら気づく痕跡を(書くとバレるため)解決編まで書かない。そもそも服を脱ぐ順番なんて人それぞれだってば。

この作者の他作品を読んでいても強く感じることだが、この作者は論理を勘違いしていて、探偵役がすべてのケースで「シャンプーが一番手前に置いてあるということは、この人物は頭を最初に洗っているのだ!!」とか「3階までよじ登れば犯行が可能。だから趣味でボルダリングしてるコイツが犯人だ!!」みたいな展開をするのだが、それは蓋然性を高めているだけで論理ではない。実際、友人を家に泊めたときに「風呂場でシャンプーよりボディソープのほうが取りやすい位置に置いてあったから、お前って身体を一番先に洗うタイプだろ!」って言われたら何いってんだコイツって思うでしょ?
あまりボロクソに言いたくはないのだけれど、論理の看板を掲げ物凄く細かいことを論拠にする割に別箇所でこれだけ破綻が多いのはまずいだろう。


以下少しネタバレを含む書評。

①ノッキンオンロックドドア:設定が唯一活かされていて、このクオリティが維持されるなら文句はなかったのに…。多分、こういう意外な動機メインでシリーズを展開したかった(けどアイデアが追いつかなかった)のだろう。
②髪の短くなった死体︰もうめちゃくちゃだよ〜。まずコンセプトが早くも破綻。二人探偵がいる意味なし。以下ボロクソにツッコむ。
「水では化粧はほとんど落ちない。というか、化粧を落とそうとした痕跡がある、で十分だろ。鑑識は化粧の痕跡くらい見つけろよ。まぁ、化粧に触れると一気に真相までたどり着くのでわざと書かなかったんだろうけどさ」
「結局実行しなかったにしろ、華奢だといっても50キロはある体を入れて取っ手を持っても破れないダンボールなんて存在しない(取っ手以外を持っても底が耐えられない)。引っ越しやゴミ屋敷処理を一度でもやったら分かる。そもそも男でも女でも一人で持ち運ぶなど不可能だ」
「あの首の絞め跡から何故『髪で絞めた(ドヤァ)』になる?言いたかっただけでしょ。『絞めてから髪を切ったのではなく、髪を切ってから絞めた』が最初からの論理的な帰結だ」
他に服を脱ぐ順番などツッコミどころ。あとこの世界の警察は、取調べ時に俯いてると首の締め跡に気付かないらしい…。「服に合わないストールを巻いてる」とかあったでしょうに。本来この話は、警察が犯人の事情聴取したときに「おや?あなたの首には締められたような跡がありますね?」で解決してしまうんですよ。髪を切ったアイデアは素晴らしい(作中で触れているように他作品のパクリのようだが)。
③ダイヤルWを廻せ:とてもよく出来ている。
④チープトリック:鑑識が「死体を移動した痕跡がある」で終わってしまう。メイドが後始末したにしろ柔らかい絨毯である以上死体移動の痕跡を消し去るのは困難(引きずった跡を消しても死体の下の絨毛で一発)。入射角を見切るメイドも…。アイデアはいいし虫の死骸の手がかりもいいのに。
⑤いわゆる一つの雪密室:悲しくなるほど問題外。批判されるのは分かっていただろうにこれを載せたということはよっぽどネタ不足で困っていたんだろう…
⑥十円玉が少なすぎる:よいのでは。本家もこんな感じだし。
⑦限りなく確実な毒殺:「毒が混入出来ない!凄まじい謎!⇒事前服用!衝撃の真実!!」としたいらしく、ずーっと的外れの議論をしている。服用から作用までインターバルがある毒(確か30分)だと明記されているのに直前に毒を混入する方法ばっかり検討してアタマ痛い。
警察が「どんな毒?」「飲んで死ぬまで30分」「ほーん、30分前のアリバイ調べたろ!」で終わる話では…

どうもこの作者は「ギリシャ棺の謎」のポットや「中途の家」の痕跡からの推理のような「些細な事から立て続けに推理を展開して圧倒する」をやりたいようなのだが、ほぼ万人が納得するであろうクイーンの論理と違って前述の通り蓋然性の話しかしてない。「コイツが怪しいからコイツが犯人!」と言ってるのと大差ない。別の言い方をすると、「目玉焼きには塩コショウが最も美味いから醤油なんてありえない。よって醤油をかけたコイツが犯人だ」と同レベル。んなもんオマエの好みの問題だろうが。

この作者は短編ではエラリークイーンを意識せず、むしろチェスタトン系統を目指した方が良いと思う。「平成のエラリークイーン」は出版社が宣伝のためにつけたものなのだろうから、無視してもいいのでは?
少なくとも現状では短編に全く向いていない。

No.6 6点 パメル
(2017/08/03 13:33登録)
七編からなる短編集
「不可能」担当と「不可解」担当の二人が主人公でそれぞれ得意分野を活かし補い合いながら真相に迫り事件を解決していく
それは無いだろうという部分もあるがそれ以外はトリックのアイデアには唸らされるし新しさを感じる
特に「髪の短くなった死体」はどうしてこのような状況が生まれたかを現場に残された手掛かりから再現してみせ犯人を特定するところなどパズラーの傑作といえるでしょう
このシリーズは続くようなので次回作も非常に楽しみだ

No.5 7点 名探偵ジャパン
(2017/07/26 21:02登録)
新鋭、青崎が新たに送る連作ミステリシリーズ。
スタイリッシュなメインタイトル。お洒落なカバーイラスト。ここからどんな洗練されたロジックを見せてくれるのかとページを開くと、いきなり第1話で、バカミスに片脚突っ込んだ大胆すぎるトリック! どうした? 平成のクイーン。
が、これは作者が引き出しの深さを見せたというまで。相変わらずの高度なトリックとロジックに、魅力溢れるキャラクターたちの軽快なやりとり。これを「軽い」と思われる方もいらっしゃるかとは思いますが、若い読者(作者も若いし)には程よく受け入れられるのではないでしょうか。
外れのない短編集というものを久しぶりに読みました。
こういうものを大手ラノベレーベルで出すことは出来ないのでしょうか。こういった質の高い(そして適度に軽い)本格ミステリをもっと若い人に読んでもらい、ミステリファンの裾野を広げていきたいものです。

二人の探偵、警部補、そしてもうひとりの人物。四人の思惑を乗せて、シリーズは続刊します。

No.4 6点 風桜青紫
(2016/08/26 00:56登録)
さすがは青崎、といったところか。想像以上に完成度の高いパズラーだった。伏線の巧妙さ、真相のカタルシス。個人的な趣味から採点は6点にとどまるが、本格ミステリ好きや青崎ファンは目を通して損はない作品だろう。

とりあえず、私は、表題作の「ノッキンオン・ロックドドア」のインパクトにすべて持っていかれた。ご都合主義のバカミスも、ここまでくれば立派な芸術作品である。

いくつかの作品には重大なミスがあるそうだが、放射線状に並べられたダイヤルの数字が、どうすれば「逆さまになっていたらダイヤルの数字もさかさまになってしまう」のか私にはさっぱりわからないので、まあ、素人は気にしなくても大丈夫だろう。

水につけても指紋が消えないなんてことは名探偵コナンでも描かれている程度にミステリ界の常識なのだが、それをミステリ作家が知らないのだと思ってしまう発想力が心配だ。

No.3 5点 yoshi
(2016/08/25 19:14登録)
(ネタバレあり)
二つ重大なミスと思われる点があり、高評価は差し控えたい。
一つは金庫だが、逆さまになっていたらダイヤルの数字もさかさまになってしまうのですぐにわかるはずである。まさか6と9しかダイヤルの数字がなかったわけではあるまい。
二つ目は指紋。雪が解けて見ずに濡れたぐらいでは指紋は消えてなくならない。これは少し調べればわかることなので、著者の犯罪捜査に対する知識量が心配だ。

No.2 6点 まさむね
(2016/06/30 22:46登録)
 裏染シリーズでお馴染みの作者の新シリーズ。
 How専門とWhy専門の2人の探偵を主役に据えた設定なかなか面白く、推理の反転に巧く結びつけています。また、考えられたプロットで、どの短編も非常にコンパクトながら、伏線、反転が綺麗に織り込ませています。ストレスなく読み進められると思います。
 個人的には、「髪の短くなった死体」、「十円玉が少なすぎる」、「限りなく確実な毒殺」が好みかな。

No.1 6点 kanamori
(2016/04/24 18:59登録)
不可能(ハウダニット)事件を専門とする御殿場倒理と、不可解(ホワイダニット)事件が得意な片無氷雨。探偵事務所の相棒かつライバルでもある2人の探偵が、7つの難事件に挑む連作ミステリ。

これはなかなか面白かった。2人の探偵がそれぞれの得意分野から謎解きのアプローチを試みるという設定がユニークですし、表面上ハウダニットが主眼の事件と思われたものが、実はホワイダニットがキモだったり、その逆のパターンがあったりで、設定を上手く活かしていて、プロットもよく練られていると感じた。
また、探偵事務所のアルバイト女子高生で”癒し系キャラ”の薬子ちゃんをはじめ、レギュラーキャラによる作風はライトノベル風ではあるものの、オリジナリティを感じるトリックや逆転の発想によるロジック展開など、各編ともパズラーとしてのクオリティーが高いと思う。
特に、密室トリックものの”How”より”Why”が強烈な表題作「ノッキンオン・ロックドドア」、髪切断の”Why”が意表をつく「髪の短くなった死体」、伏線と論理のアクロバットが光る毒殺トリックもの「限りなく確実な毒殺」の3編が印象に残った。また、「九マイルは遠すぎる」に挑戦したような安楽椅子探偵もの「十円玉が少なすぎる」は、読者の世代によって難易度に差がありそうですが、オチがしゃれています。

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