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ミステリの祭典

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静おばあちゃんにおまかせ

作家 中山七里
出版日2012年07月
平均点6.00点
書評数8人

No.8 5点 yoshi
(2017/09/02 05:44登録)
スカイツリーの工事現場など、今風の舞台を用意してあるのは好印象。
ただしトリックがいただけない。すべてどこかで読んだことのあるようなものばかり。
以前作者のインタビューで、「あらゆるトリックはすでに出尽くしている」と述べているのを読んだが、もう初めからトリックは使い回しでいいと開き直っているようにも見受けられる。
ラストは……まあ驚きました。

No.7 6点 名探偵ジャパン
(2017/08/23 20:44登録)
安楽椅子探偵の静おばあちゃんが、年寄りの知恵を駆使して日常の謎を解決していく、ゆるいミステリ。かと思いきや、「ブロンクスのママ」的な不可能殺人事件のオンパレード。マニアックすぎない謎と、軽めのトリック、キャラクターで、連続ドラマ化いつでもスタンバイOK。
おばあちゃんがちょっと説教くさい面がありますが、程よい長さの短編で気軽に読めます。ただ、ラストのサプライズは必要だったかなぁ。「連作短編集には最後にサプライズを入れなければならない」という慣習で、無理矢理突っ込んだのでしょうか。

No.6 6点 測量ボ-イ
(2016/10/09 17:30登録)
初めて読んだ氏の作品。感想はまずまず。
本格度は意外とありますが、トリックのオリジナリティに欠ける
のがやや残念。
ただこれで氏の評価をするのは早計なので、他の作品も読みます。

No.5 6点 まさむね
(2016/01/03 19:07登録)
 文庫版解説で佳多山大地氏も述べているのですが、いやはや、まずはタイトルと表紙に(勝手に)騙されましたね。静おばあちゃんが日常の謎を解く安楽椅子モノと思っていたところ、思いっきり人が死ぬ連作短編でしたね。
 正直、個々のトリックは既視感のあるものばかりでしたが、謎自体は非常に興味深く、本格指向は明確です。法とは何か、人を裁くとは何か等々、社会派的な側面も含めて、個人的には結構好きなタイプでしたね。静おばあちゃん、その孫娘「高遠寺円」、若手刑事「葛城公彦」のキャラも嫌いではなく、連作短編として上手く纏まっていると思います。ただし、ラストに関しては賛否が分かれるかも?

No.4 6点 E-BANKER
(2015/10/12 18:08登録)
~警視庁捜査一課の刑事・葛城公彦は平凡な青年。天才的な閃きにも鋭い洞察にも無縁だが、ガールフレンドの高遠寺円に助けられ今日も難事件に立ち向かう。法律家を志望する円のブレーンは元裁判官の静おばあちゃん~
2012年発表の連作短篇集。

①「静おばあちゃんの知恵」=神奈川県警の刑事が銃殺される事件が発生。容疑者は被害者と犬猿の仲の刑事で、線状痕も合致してしまう・・・。トリックは相当強引な気はするのだが、一応ロジックも嵌っていて冒頭の一編としては及第点。そういえば、こういう犯人像って今まであまりお目にかからなかったように思う。
②「静おばあちゃんの童心」=憎まれ役の祖母が殺され、子供や孫が容疑者とされるのだが、全員に鉄壁のアリバイが立ち塞がる・・・という展開。アリバイトリックは陳腐なのだが、これも真犯人がやや意外。
③「静おばあちゃんの不信」=新興宗教に纏わる殺人事件が舞台となる一編。密室から消えた死体がメインの謎となるのだが、そのトリックが凄まじい。
④「静おばあちゃんの醜聞」=建築中の東京スカイツリー(らしき建築物)の屋上が密室殺人の舞台となる一編。とにかく高くて揺れて、とてもではないが被害者を殺しに行けない(?)なかで、真犯人はどうやって殺害したのか? これも変形の密室殺人なのだが、解法そのものはそう褒められたものではない。でもまぁ舞台設定の勝利かな。
⑤「静おばあちゃんの秘密」=円の両親がひき逃げにあった事件についても同時進行する第五話。メインの事件は厳重に監視されたホテルの部屋で起こる密室殺人事件。堅牢な密室なのだが、トリックについてはうーんっていう感じ。それよりも静おばあちゃんの「秘密」にびっくりしたんだけど、これってあまり意味がないような気がして・・・

以上5編。
各タイトルからお分かりのとおり、ブラウン神父の作品集をモチーフとした作品なのだが、特別プロットが似ているというわけでもない。
(そういえばシャーロック・ホームズの作品集をモチーフとした作品もあったよな・・・「要介護探偵の事件簿」)
作者らしくどの作品にも不可能状況や密室など本格ミステリーのガジェットが盛り込まれ、最終話となる⑤では、連作作品集らしいサプライズも用意されている。
そういう意味では“痒いところに手の届く”水準に仕上がっている、或いはそのように仕上げようとした作品。

ただし、手放しで褒めるというレベルではなく、悪く言えば「ありきたり」の連作短篇集と評する方も多いかもしれないかな。
でも私個人は決して嫌いではない。(円のキャラクターを含め・・・)
(個人的順位は③⇒①で後は同レベルって感じ)

No.3 7点 makomako
(2015/03/01 10:04登録)
これは結構好きです。題名からすると日常の小さな謎をばあさんが解くと思っていたが、これが大間違い。
 トリックは大掛かりで、しかも不可能密室。確かにこのトリックはどこかで読んだことがあるなあとは思うのですが、それを上手に話に溶け込ませている。登場人物もなかなか魅力的。
 本格物では既存のトリックを使用するのは禁じ手のようにされていますが、こういった話の中へうまく溶け込ませればずい分楽しめます(まあ私がトリックを忘れているため驚いた後であれ?となっているのではありますが)。
 でも一番のサプライズは最後のシーンかも。やられた!

No.2 6点 メルカトル
(2015/01/30 22:13登録)
孫娘円(まどか)が持ち込んでくる日常の謎を、静おばあちゃんが安楽椅子探偵よろしく解明していく物語、ではない。
基本的には真っ当な本格ミステリで、れっきとした殺人事件を扱った短編集である。しかも、不可能趣味が加味されており、トリックなどに新味はないものの、どことなく引き込まれる筆力はさすがだと思う。
流れとしては全話を通して共通しており、刑事の葛城が奇妙な殺人事件を担当する→円に協力を求める→円が静おばあちゃんに事件の概要を伝える→静おばあちゃんがあっという間に真相を暴く→円が葛城にそれを教え、事件解決というもの。
最終話では意外すぎる真実が明らかになり、口あんぐりとなること間違いなし。続編を期待するも・・・な感じに。
個人的には第一話が特に印象深い。最終話では涙を誘うシーンもあり、粒揃いの短編集と言えるだろう。

No.1 6点 kanamori
(2012/11/26 21:00登録)
若手刑事が女子大生に事件を相談し、その女子大生は元裁判官の祖母に謎解きを相談するという、カバーイラストやこの構成だけを見ればライト感覚の連作短編集ですが、各編とも不可能トリックを中心によく考えられた本格ミステリです。
個人的ベストは第2話の「静おばあちゃんの童心」で、現場に残された雑誌に関するミスディレクションと消去法推理が巧妙です。「~の不信」以降の後半3編は、いずれも密室殺人もので、トリックの独創性には欠けるものの、現場の設定を活かした小道具の使い方に工夫があります。
最終話「静おばあちゃんの秘密」の連作を通した”秘密”には唖然。なるほど、ブラウン神父シリーズとタイトルの並びを違えて、「~の秘密」を最終話にもってきた理由はこれですか。

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