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ミステリの祭典

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幻の女

作家 ウィリアム・アイリッシュ
出版日1962年01月
平均点7.51点
書評数47人

No.27 5点 ボナンザ
(2014/04/08 16:06登録)
個人的には長編だとアイリッシュの持ち味が薄れてしまうと思う。
とはいえ目次立てなんかも秀逸で、乱歩が絶賛したのもわかるできではある。

No.26 8点 蟷螂の斧
(2013/01/13 20:18登録)
(東西ベスト・再読・タイトル・女④)タイトルに「女」のつくものは、書評分で①さらわれたい女②倒錯の死角~201号室の女③完全犯罪の女、「男」は①七回死んだ男②ハサミ男③脳男④連続殺人鬼カエル男⑤死体を買う男⑥二人の妻をもつ男。自分のなかで、それをシリーズ化して読んでみようと思いつき、第一弾としてこの有名作品の再読となりました。本作では、幻の女の正体が誰であるかは問題とはなっていないのでしょう。当時としては、意外性はかなりあったと思いますし、現在でもサスペンスフルな展開・文章は高い評価を与えられると思います。

No.25 8点 makomako
(2012/12/02 14:54登録)
 翻訳ものが苦手なわたしですが、この作品はとても楽しめました。さすが不朽の名作といわれているだけのことはあると思います。翻訳文もこなれていてよかった。
 読み始めるとなかなか止められない。
 最初はこんなストーリーは分かりきった話になってしまうのではと心配?もしたのですが、どうしてどうして息をのむ展開となる。 古い友人のために一肌脱ぐといった男気のある人物が登場して、大いに感激。友はこうでなくては!とお話に没頭。
 ところがところが、とんでもない方向へ話が展開していく。真相はいかに--。
 結構なトリックなども使ってあるし、わたしなど全く結末がわかりませんでした(まあだいたいわからないんだけどね)。
 ただ、本格物として読むとなんだか「あとだしじゃんけん」みたいなところはあるのですが、良しとしましょう。
 幻の女の正体は多少肩透かしのような感じはしますがこんなものでよいのでしょう。
 とにかく最近読んだ翻訳小説の中で一番熱中したものでした。

No.24 9点 HORNET
(2012/04/30 09:35登録)
 以前から本棚にあったのだが、ずっと放置していた物をやっと読んだ。感想は、「不朽の名作」といわれる評価に納得。確かに、時代を感じさせる大味な所はあるが、そんなことは気にならない。息つく暇もない展開、巧みな筆致、高いリーダビリティ、40年近く前に書かれたものなのに今でも全く色褪せない。期待させておいて振り出しに戻ることのくり返しで、やきもきする感もあったが、それがラストの仕掛けをより引き立たせた。「幻の女」の正体は(作品としての評価とは別にして)、自分は明かされたほうがスッキリするタイプ。

No.23 8点 take5
(2011/08/10 23:07登録)
「夜は若く、彼も若かった。夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった。」
他の方も書いていらっしゃいますが、翻訳上の文章であるという事を加味しても、素敵だなあと思えるフレーズを数多あるミステリーの中で、こうして思い出す訳です。

No.22 7点 isurrender
(2011/08/08 23:28登録)
基本的にはサスペンスなので、トリックというよりスリルを味わう作品だと思う
そういう観点からは、読みやすいしスリリングだし面白かった
「幻の女」は誰なのかっていうわかりやすくミステリアスな謎は現在でもありがちな設定なので、それを相当昔に書いていた本作の評価が高いのは頷けます

No.21 4点 mini
(2011/07/14 09:54登録)
この作品については”幻の女の正体を晒すべきだったか否か”についての自分なりの検証というポイントのみに特化して書評したい
ネット上ではこの件について否定的見解が多いが、私は”あれで仕方なかった”派なのである
”あれで良かった”とまでは言わないが、でも”真相を明らかにしないで幻のままの方が良かった”とは私は思わない

その前に「幻の女」は作者の中でどんな作品なのか?
私はごく一部しかウールリッチ=アイリッシュ作品を読んでないから確固たる事は言えないが、この作品は作者の中でも技巧に偏った作で私の好みではない、点数が低いのはそれが理由
「幻の女」は結局はあの仕掛け一点勝負な感じなんだよなぁ、作者得意の巡礼形式の”巡礼”の部分に魅力が乏しい、
例えば名作「黒い天使」だと、まさにその巡礼部分こそが魅力的で心を揺さぶる感銘が有ったのだが
私はかなり早い段階で感付いたが、「幻の女」という作品は、読者の皆様が”幻の女”に気を取られていると実は狙いは別の所に有ったのさ、と作者は言いたかったのだと思う
だからこそ作者は、”幻の女”の正体なんて実はこんなつまらないものだったのだよ、と対比の意味で正体を晒したのだと思うのだよな
つまり作者の狙いは、わざとあんなつまらない真相を用意したんじゃないのかな、まぁ必要悪みたいな感じでね
いくつかの謎が有って、その内の1つが”幻の女”の正体であって、謎の1つがラストで解明されたとか、そういう本格としてどうかという読み方は読者側が視点を間違えているように感じるんだよなぁ

No.20 7点 好兵衛
(2011/06/14 01:51登録)
ミステリの評価で必ず見かけていたので、気になって。

一番は斬新。こんなミステリってあるんだ。
という印象です。

ミステリの中でも、斜め上をいった感じというか。
「謎」の見せ方にはこういう見せ方もあるんだよ、
ということを教わった感じです。

一番は表題にもあるように、幻の女の存在と謎が
これまで見てきたミステリとは変わっていて
とても面白かったです。
そして、翻訳本としては読みやすかったですね。

****ここからネタバレ****
ただ、犯人の部分は登場人物少なめだけあって。
といった感じです。
あと、皆さんおっしゃるように幻の女は幻だったほうが
いい気がしますね。

No.19 8点 E-BANKER
(2011/04/10 21:43登録)
450冊目の書評は、サスペンス界の巨匠が贈る不朽の名作で。
「ファントム・レディ」の追走劇がNYの街を舞台に繰り広げられます。
~1人街を彷徨っていた男は、奇妙な帽子をかぶった女に出会った。彼は気晴らしにその女を誘い、自宅に帰ると喧嘩別れした妻の絞殺死体を発見してしまう。刻々と迫る死刑執行の日、彼のアリバイを証明してくれる唯一の目撃者"幻の女”はどこにいるのか?~

さすがに「不朽の名作」と冠されるだけはあります。
事件の日以降姿を消してしまった「幻の女」の謎、そして幻の女を追い掛ける中で、次々と消されていく関係者の謎・・・読者の煽り方がうまいですね。
そして、ラストの大ドンデン返しはサプライス感たっぷり!
○○○○の言動は確かに不自然なんですよねぇ・・・「謎」の部分が、そのまま「仕掛け」に直結しているわけで、読者は「なるほどねぇ」と思わされるわけです。(ちょっと分かりにくい書き方ですけど・・・)
もちろん、論理的にみておかしなところはいろいろ目に付きます。
特に、「真犯人が危険を冒してそこまでやるか?」というのは感じるところですし、単に買収しただけですから、警察関係者が少しでも疑問を持てば、犯人側の目論見が瓦解するのは明らかなわけで、かなり結果オーライな計画には違いありません。
ただ、本作にそういう目線は不必要でしょう。
ロジックなんて脇に置いといて、「小説」としての何ともいえない雰囲気や香りを楽しむべき作品だと思います。
本作のほかにも、氏の作品に多大なる影響を受けた作家は大勢いるでしょうし、そういう意味も含めて、”敬意を表すべき作品”という評価で間違いなし!
(「夜は若く、彼も若かった。夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった」・・・確かに名フレーズかも)

No.18 5点 江守森江
(2011/02/20 03:59登録)
以前に映画版を観ておさらいした時の結構あやふやな印象を書くので本作をオールタイムベスト級と思っている方々には前もってゴメンナサイと謝っておくm(_ _)m
しかも、おさらい読書なので文学性を無視して小一時間で済ませたハズ(←この辺もあやふや)
私はミステリーに文学性を求めていない(返って疎ましく思っている)ので有名な書き出しにさほどの価値を感じないし採点も自ずと辛くなる。
タイムリミット・サスペンスの為に仕方がないのかもしれないが、裁判に重きがあるアメリカにしては(中国じゃないんだし)アッサリと死刑判決が下され過ぎ(時代的には問題ないのか?当時のアメリカに詳しくないので認識不足ならゴメンナサイ)な事が気になる。
そんな事は気にせずサスペンスとしてのプロットは素晴らしい。
しかし、これも変に本格ミステリ色があり、今ではドンデン返しな犯人や落とし方まで途中で察せてしまう(似たプロットのドラマとかを観すぎた私が悪いのか?)のでサスペンスとしても弱くなる。
一番問題なのが《幻の女》の正体で、謎のまま放置する結末の方が断然良かったと思える。

No.17 8点 kanamori
(2010/07/17 18:48登録)
アイリッシュ=ウールリッチのミステリをロジック面や理屈で評価するのはナンセンスだと思っています。
本書も納得がいかない点がいくつかありますが、都会のけだるい雰囲気とサスペンス溢れる物語を、独特で華麗な文章で読めるだけで充分満足です。

No.16 9点 kowai
(2010/07/13 23:11登録)
プロットが良いですね。翻訳のせいか、文章も読ませるし。。。でも、幻の女は、そのまま幻で終わらせて欲しかった。その方が幻想的なミステリになったでしょうに。。

No.15 8点 りゅう
(2010/04/05 20:25登録)
(若干のネタバレあり)
 他の方も書かれているが、翻訳にもかかわらず、美しい文章で、芸術的とも言える表現力。登場人物のセリフも決まっている。
 容疑者の親友と恋人が、無罪の証人となる「幻の女」を探し続けるが、あと一歩というところで何度も取り逃してしまうという筋書きが面白い。
 真相は意外だが、設定に無理があり、納得できないものだった。
(特に、死刑執行三日前に、ロンバートがヘンダースンから劇場のプログラムの右上隅を折り曲げたことを聞いて、劇場プログラム買取りの新聞広告を出すくだりがあるが、こんなことをする筈がない。また、ロンバートがカジノ座のプログラムを持ってきた女性を追いかける件もおかしい。)
 真相には不満だが、万人にお薦めできるサスペンスミステリーの古典的名作だと思う。

No.14 9点 あびびび
(2009/12/31 12:57登録)
出だしの文からミステリな香り…。さすがに名作だ。
こういう名作に出会うと睡眠不足は覚悟しなくてはいけない。

海外作家の小説は翻訳で物語の流れに乗れるかどうか決まるが、これは読みやすかった。
映像化したものもぜひ見たい。

No.13 6点 okutetsu
(2009/09/07 23:41登録)
ミステリの手法としては現代ではよく見るものなのでありきたりの印象を受けざるを得なかったですね。
そのうえ僕の好きな映画にプロットが似てるので犯人もなんとなくわかってしまうことに…
幻の女の正体やその幻想さのオチにはなんとなく白けてしまうものがありました。
ただ文章は言われているように綺麗で読みやすく途中までのサスペンスとしての出来は一級品ですね。
やはりこういう古典作品はミステリ初心者の内に読んでおくべきだったと後悔の一冊。

No.12 10点 itokin
(2009/08/08 20:17登録)
これまでの翻訳物のなかで一番楽しめた。登場人物が少なく読みやすくミステリー性に優れさすが名作と思わせる。翻訳物の嫌いな人に特にお勧め。

No.11 10点 測量ボ-イ
(2009/05/27 20:05登録)
これは紛れもない名作です。
魅力的なプロット、話しの展開、サスペンス性とも申し分
なしだと思います。
海外作品だと文章が生硬で、読んでいて苦痛になる作品も
しばしばありますが、この作品に限っては全くそのような
事はなかったです(翻訳者の手腕?)。
よく言われる文章の美しさですが、そのような事を本来評
価できる感性を持っていないこの僕でも何となく判るよう
な気がします。
でも確かに、「幻の女」は最後まで幻の方が良かったかも
しれませんね。
未読の方には是非読んで頂きたい、翻訳物が苦手な方にも
推奨できる作品です。

(2011.6.24追記)
最近再読。
決して映画ファンではないこの僕ですが、はじめて「幻の女」
に出会ったところなど、映画の一シ-ンとして目に浮かびそう。
書かれた年代の古さを感じないという意見もちらほらあります
が、全く同感です。
何だか読んだことある筋書きだ・・という感想をお持ちの方は、
きっとその作品がこの作品を模倣したんだと思いますよ。
やはりいいものはいいです。

No.10 10点 りんちゃみ先輩
(2009/05/09 10:20登録)
さすがに名作ですね、話にテンポがあり、無駄が一切ない。一気に読ませてくれました。おもしろかった。

No.9 8点 frontsan
(2009/02/23 09:20登録)
話の内容自体は、現在のミステリで使い古されてしまった感がありますが、半世紀以上前にこれを書いたということで、プラス1点。

No.8 8点
(2009/02/01 13:07登録)
論理的に考えれば、現実性の薄い真相です。よほど相手に憎しみを抱いてでもいない限り、こんな一歩間違えれば自滅しかねないことまでして、人に罪を着せようとはしないでしょう。接触した人間の中にマーロウほどでなくてもタフな正義漢が1人でもいたら、完全に終わりです。しかもそんな危険な接触の証拠隠滅のために、今度は連続殺人を敢行していくのですから、無茶な犯人です。
そんな欠点はあるのですが、読んでいる間は全然気になりませんでした。まあ、確かに幻だった女自身は蛇足かもしれませんが、あの "The night was young and so was he" で始まる都会的な雰囲気のサスペンスは、極上のうまみを持っていると思います。

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