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ミステリの祭典

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チョコレートゲーム

作家 岡嶋二人
出版日1985年03月
平均点6.41点
書評数27人

No.27 6点 みりん
(2024/09/01 03:46登録)
昭和の推理作家協会受賞作。
ずっとひた隠しにされていた"チョコレートゲーム"が私にも馴染みのあるものだったとは… 中学校は社会から隔絶した閉塞空間。そんな歪な環境が時には大人も驚愕するほどの闇を生むことも…将来子育てをする際に心がけるべきなのでしょう。
いやしかしこの作家はやたらめったら読みやすい。会話中心だからかな?

No.26 7点 斎藤警部
(2022/02/07 16:39登録)
刺さるぜベイベー、痛いくらいのリーダビリティ。序盤より仮説は溢れる、時に定まる。いっけん甘い感じのタイトル、これはつまり、何のアナロジーだったら渋いわけだ? よく考えるんだ。。。。。。。
主人公は小説家の男。近頃様子のおかしい中学生の息子が或る日、青あざだらけになって帰って来る。父親と口論の末出て行った息子の行方が知れない時間帯、クラスメイトが屍体となって発見される。息子のつぶやきによれば、何もかも「ジャック」のせいだと言うが。。さあ、ここからの高速展開が凄い。読者諸氏、疾走しよう!

しかし、昔の講談社文庫表紙絵はネタバレに何の躊躇もないみたいで、いくらなんでも引きますな。。 新装版の、意味ありげで(いちげんさんには)何も悟らせないような絶妙なイラスト表紙、素晴らしいです。

..丁度ど真ん中ストレートの位置で、そのホップしまくる激アツ、激悲な激ミステリ分水嶺展開! すぐさま満ち出でる両サイド攻め上がりまくりの制圧力! 圧倒的状況証拠の竜巻急襲! そこに熱い涙で沁み渡らせんとする、誰も知らないもう一つの状況証拠。そして、文字通り斜め上からの容赦ない逆流。ごもっともな違和感反論。。得体の知れない大きなホワットダニット興味持続から、終盤の或る地点を境に切っ先鋭いフーダニットの糾弾へと突入! ラジカセ、タオル、◯◯の話題。。カナリヤなんとかへの意地悪いオマージュかと錯覚するトリック譚もあったりして。。アナログ家電トリックの盲点はそこそこ上手く突いてたかな。アリバイ偽装に関わる何気に興味深いロジック展開などもあるが、やはり本格のスリルよりサスペンスの冷気が上回る。 チョコと言えば、バレンタインか、「アレ」か、、んー、結構ミスダイレクトされまして、青あざ等の原因がまさか「アレ」の延長のナニにまつわるソレのコレかと妄想してたら、、普通に●●の結果だったのか。。そこんとこちょっとまあ、本格と見たら弱い。 そういや冒頭近くに大胆伏線もあったよなあ(ちょっとバレバレでしたが..) 狂気と、理知と、狂気と、理性と、、 親子、夫婦、友人、恋人、、ラストシーンは哀しいだけでなく、静かに熱い。泣けますね。

これ、伏字にしたところでネタバレ一直線かも知れませんが、本篇、岡嶋二人「○○シリーズ」の一篇にカウントされるんですかね。

No.25 5点 ミステリ初心者
(2021/03/07 19:03登録)
ネタバレをしています。

 本格度はそれほど高くないですが、文章がうまいのか、テンポが良いのか、一気に読了しました。
 とはいえ、内容はちょっと暗いです。主人公は息子が事件に巻き込まれた父親。それまで息子を顧みることがなく、その変化に気づけないことで息子が死んでしまいます。そのことについて苦悩するシーンがちょっと読みづらかったです。

 推理小説的要素は、中学生連続殺人事件の裏で一体何が行われていたのか?と、その犯人ですが、一番大きいどんでん返しはチョコレートゲームの黒幕です。
 チョコレートゲームの詳細がわからない序盤はいじめられっ子のような印象だったのが、後半にはライ○ーゲームのヨ〇ヤさながらに見えました(笑)。
 犯人と共犯者によるアリバイトリックはいまいちでした…。

No.24 5点 人並由真
(2020/08/23 14:27登録)
(ネタバレなし)
 本サイトでも人気の岡嶋二人作品を久々に読もう、と思って手に取った。気づいたらこの人(たち)の作品は、これまで『そして扉が』と『パステル』しか読んでない(汗)。

 本作は日本推理作家協会賞受賞作ということもあって、ホホウ! と思いながら読み出したが……。
 うーん、一気に読めたし、それなりには面白かったけれど、ほぼ全ての面において賞味期限切れの昭和ミステリという感じ。
 この内容で今日びもし、講談社タイガ文庫あたりの新人作家が出したとしたら(作中の技術部分とかをアップトゥーデートしたとしても)、たぶんまず100%、世の中からはスルーされるよね?
 素直にミステリとして読んでも、黒幕の正体は意外といえば意外であった。が、一方で主人公の行動が中途半端なので、そこら辺に疑問が残る。なんで最初の被害者の家に赴き、(もちろん遺族への気配りをした上で)情報を求めるとかしなかったのだろう? あと、アリバイ工作の手段だけど、当時のテクノロジーの範疇でまだほかにもやりようもあるよね?

 そういえば初期の頃の岡嶋二人って、赤川次郎の上位互換みたいにSRの会の一部あたりで評されていたのを今、なんとなく思い出した。個人的には『そして扉が』が大好きで高く評価しているので、(私的にはまだまだ未読作がある)スゴい作家のように思っていたが、そんなに構えないで今後つきあわなくてもいいかも。まあこんな勝手な物言いが即断に終わることも願っております。

No.23 6点 HORNET
(2019/09/29 20:15登録)
 作家業の父親が、父親にありがちな放任主義というか、「理解あるように見せているがようは面倒で関わらないだけ」で息子を放置していたら、大変なことに巻き込まれていた。息子を亡くしてから痛烈に後悔し、息子に着せられた殺人犯の汚名を晴らすべく東奔西走する。

 書かれた時代や、日本推理作家協会賞を受賞したことから察すると、「中学生による闇の世界」ということがかなり衝撃的だったのだろうか。悲しむべきことに時代が進むにつれて若い世代の実情はさらに荒れ、現代ではそれほどのインパクトはない。
 とはいえ、父親を主人公にして事件の様相から真相解明までを描く過程のリーダビリティはさすがで、読ませる力があった。
 最後に刑事とともに真犯人のもとにいく件はかなり緊張感のある展開で、非常に読み応えがあった。

No.22 6点 まさむね
(2018/06/18 22:36登録)
 リーダビリティが高く、グイグイと読まされました。ほぼ一気読みに近かった。トリック自体に特筆すべき点はないのですが、伏線の配置や転換も含めて、巧く纏めている印象です。
 他方、もっと根深い組織的な闇があるのかと思いきや…うーん、事件後になぜ同級生たちが揃って口を閉ざそうとしたのか、違和感も残りました。親父と警察が「チョコレートゲーム」に関して、しっかりと情報共有するべきであったろうに。ミステリとは直接関係ないけれども、何とも切ない話ではあります。

No.21 7点 ねここねこ男爵
(2018/01/18 20:51登録)
面白い。
本格ではなくサスペンス色が強い。読みやすく、テレビの2時間ドラマに最適かと。

「誰の協力も得られないまま死んだ息子の冤罪に立ち向かう孤独な父親」という話の都合上仕方ないのだが、チョコレートゲームがなんなのか生徒がひた隠しにする理由が無いのが最大の欠点。ゲーム参加者はクラスの一部だけだし、事件の最中なら巻き添えを警戒するだろうが、ある程度時間が経てば無関係な生徒は証言するだろう。人が何人も死んでいる上に証言しても何ら咎められることはない(むしろ感謝される)のだから。少なくとも口が滑ってからの「そんなこと言ってない!」は不自然。濡れ衣を着せられた生徒の彼女が黙ってるのはとても不自然。チョコレートゲームとは何なのか?を出来るだけ引っ張らないと間が保たないのでそうせざるを得なかったのが読者に伝わってしまうのはマイナス。無粋なツッコミなのは承知しているのだが。

No.20 5点 いいちこ
(2016/02/15 13:51登録)
親子の断絶による家族の崩壊と、それが招いた中学生の暴走を描き出す社会派的プロット。
本格ミステリとしての仕掛け・トリックは平凡で、食い足りなさが残る印象

No.19 6点 パメル
(2016/01/20 01:39登録)
事件の予告や意外な真実をあくまでも推理によって
見つけ出す展開には本格ミステリの楽しさが溢れている
ただ親子間における理解の断絶を徹底して描いた深刻な
内容の為雰囲気はどんよりと重い

No.18 5点 ボナンザ
(2015/10/23 11:00登録)
読みやすさは流石。
話としてはとても面白い。

No.17 6点 CHABI
(2015/08/29 23:52登録)
読みやすさは抜群でしたが、トリックがちょっと軽すぎますね。
他の部分で高評価を得ている作品だとは思いますが、個人的には不満が残ります。
あとは、警察を愚かに描き過ぎな気がしました。

No.16 7点 E-BANKER
(2011/09/02 22:39登録)
作者初期の代表作の1つ。
日本推理作家協会賞受賞作。
~学校という荒野を行く、恐るべき中学生群像。名門・秋川学園大付属中学3年A組の生徒が次々に惨殺される。連続殺人の原因として、百万円単位の金が絡んだチョコレートゲームが浮かび上がる。息子を失った1人の父親の孤独な闘いを辿るショッキング・サスペンス~

短い作品ですが、よくまとまってるし十分楽しめた。
今からざっと25年前の作品ですから、中学校と中学生を取り巻く環境が若干違ってる気はしますが・・・(今だったら、こんな無責任な学校や教師、モンスターペアレンツから猛攻撃に遭いそう!)
でも、まぁ「実は、影からこの人物が糸を引いてました」という手練手管はウマイ。
中学生が次々と殺されるというショッキングな展開のなかで、子供に無関心だった父親が、息子を信じ続け、ついには真相を見つけるというのが唯一の救いになってる。
(こういう所が、母親と父親の愛情の違いなんだろうね)
正直、トリックはショボいですが、トータルでは好評価の1冊。
(これを読んでると、J○Aのテラ銭がいかに高いのかがよく分かる・・・でも嵌るよねぇー)

No.15 6点 isurrender
(2011/08/15 16:08登録)
長編にしては短い作品なので若干中身が薄いかなという気もします
ただ、今から20年以上も前の話だが、今読むと実際に起こりそうな事件に思え、時勢に敏感な作者の技量を感じる

ネタバレ
表紙がトリックというか、謎の解明にかなり大きなヒントを与えているのはどうなんだろう?

No.14 8点 ウィン
(2010/09/25 12:02登録)
この本が刊行されたのは、ずいぶんと前だ。
年号がまだ昭和のとき。
それにも関わらず、この作者は何年も先のことを予想していたのか、引きこもりなどの問題を取り入れている。
おそらくこの本が刊行された当時は引きこもりなんて、あったとしてもそんなに問題視されていなかっただろうし、そもそも問題ですらなかっただろうと思う。
そして、ストーリー自体も非常に面白い。
しかも読みやすい。
あっという間に読めてしまった。この作者の作品で今読みたいのは「クラインの壺」と「99%の誘拐」。
ハマってしまいそうだ。

No.13 5点 りゅう
(2010/07/13 19:33登録)
 文庫本の解説を読むと、作者は本作品を「半径数メートルの至近距離にある謎、物語の主人公は父親、謎は彼の息子」と語っている。主人公にとって、犯人探しはどうしても解明しなければならない謎解きであったのだろう。トリックは平凡で、本格的視点から見ると少し物足りない。息子が犯人でないことを証明し、犯人を絞り込むロジックには感心した。

No.12 6点 測量ボ-イ
(2010/04/01 23:09登録)
題名から想像するに軽いタッチの作品かと思いきや、以外と
シリアスな内容でしたね。
一応犯人探しの体裁をとっており、かろうじて本格推理とい
えそうですが、社会派色が強い印象。従い採点は辛めです。



(ここからネタばれ)
謎の解明に競馬がからむところが、この作者らしかったです。

No.11 5点 nobiinu
(2010/03/23 01:31登録)
自分は学園ミステリが好きなんだなと再認識させてくれた作品。学園が舞台であれば、探偵がおじさんだってかまわない。というか、この作品に関しては、探偵がおじさんだったからこそ、高校生との壁が生まれて、ストーリーが盛り上がったのだろう。
ただ、前述の方もいますけど「ジャック」の正体は表紙でわかっちゃうんですよね。これは大きな減点。

No.10 9点 りんちゃみ先輩
(2008/11/23 10:25登録)
もっと早く、何とか周りの大人たちが助けの手をを差し延べることはできなっかたのか?などと真剣に考えてしまいました。家庭・学校問題を考えさせる物語。ミステリーとしても最高でした。でもお父さんは頑張ったと思う。

No.9 7点 vivi
(2008/10/04 18:03登録)
貫井徳郎氏の『天使の屍』を先に読んだのですが、
私はエンターテイメントとしてはこちらの作品の方が面白かったです。
こういう泥沼には、子供といえどハマっていきそうな世相ですもんね。

表紙がネタバレだと、私も激しく思いました(^^;
まあ、伏線として比較的初期から文章中に潜んでいて、
読み取ろうと思えば、分かる内容ではありますが・・・

No.8 6点 いけお
(2008/09/20 21:05登録)
大まかな内容は知っていたがそれでも楽しめた。ラストもいいと思う。

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