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ミステリの祭典

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予告殺人
ミス・マープル

作家 アガサ・クリスティー
出版日1951年01月
平均点5.77点
書評数22人

No.22 5点 虫暮部
(2022/07/26 16:54登録)
 ACの割とよくあるパターン、しかも私があまり好きじゃないタイプ。

 こんな広告がシレッと掲載されちゃう。00年代日本の某作では、公序良俗に反する広告の為に社員を抱きこみ、彼が馘首される前提でその後の生活費として大金を投じていたものだが。

 三人目が殺される場面で、被害者はこの人が怪しいと気付いていたのに何の警戒もしていない。この場面は不要では。

 パトリック・シモンズといえばザ・ドゥービー・ブラザーズのギタリストと同姓同名。作者には何の責任も無いが、違和感ありまくり。

No.21 7点 レッドキング
(2021/04/14 20:43登録)
悪ふざけとしか思えない「殺人お知らせ」に興味津々釣られ集まる近隣者達。お知らせ時間通りに現前で生じてしまった殺人劇は、事故か自殺で処理されるべきところ、遺産相続をめぐる第二第三の連続殺人へと発展して・・・。
第一殺人のトリック解明や第三殺人のサスペンス展開もなかなかだが、読ませどころは第二殺人の「愛憎悲劇」。
「自分の過去を覚えていてくれる最後の人間がいなくなると、人はひとりっきりになるんです。・・・私の少女時代を覚えている人は、もう誰もいません・・もう、誰も・・・」

※1950年発表作品なので、時代的に、明確には書かれてないが、ヒンチクリフとマーガトロイドって、間違いなくレズビアンのパートナーだよね。この主題、第二殺人にも無意識的に働いていて、クイーン「最後の女」でのこの手のテーマの扱い方よりも遥かに素晴らしい。

No.20 6点 人並由真
(2020/10/05 02:10登録)
(ネタバレなし)
 1950年の英国作品。ミス・マープルものの長編第4作。

 評者は少年時代に本作を読んで以来、ウン十年ぶりの再読。読み直すまでトリックもストーリーも犯人も、まったく忘れていた。特に印象深い場面もなかった。
 しかし最近また、乱歩の古い記述とかたまに目にすると、改めて本作への高い評価が気になってくる。一体どこがそんなに凄かったんだっけ? という感じで一念発起して、古本で買ったHM文庫版のページをめくり始めた(ちなみに初読はポケミスの方である)。
 それでまた、いつものように登場人物メモをとりながら読み進め、ほぼダレないで最後まで楽しんだ。

 読了後に本サイトのレビューを拝見すると途中で犯人がわかったという方も多いみたいだけれど、残念ながら評者は当てられなかった(汗・涙)。けっこう大技を使ってはいるのだが、そのギミックが(中略)というやや破格な感じだけに、まさかもう(中略)と油断したこともある。
 二つ目の殺人の謎のホワイダニットの真相は、ある種の無常観と残酷さで結構好みかもしれない。
 一方で、やはり本サイトの少なくない方が指摘しているように<予告殺人>があまり(中略)なのは残念。殺人者ののちのちの行動の流れからしたら、かなりアンバランスではある。

 改めて、乱歩はどの辺を具体的に良いと思ったのであろう(当該の文章は、読後まだ見返してはいない)。犯行の事前予告という趣向は乱歩当人もあれやこれやの自作でやっているけれど、その辺にシンパシーを感じたか? いやまあ、そこまで単純な理由ではないと思うが。ああ、そういえば(以下略)。

 ミドルサイズのギミックの(中略)的な設け方はパワフルなものの、反面、もろもろの趣向が先走った感もあって、その辺で相殺。
 トータルな評価としては、秀作にかすりかけた佳作というところ。マープルものでは中位の出来でしょう。個人的には、少し前に初めて読んだ『牧師館の殺人』の方が、小説的な面白さもろもろ合わせて好きかもしれない。
(しかし結局、最後まで、前に読んだ際の記憶はなにひとつ甦らなかったよ。それもまた我ながらスゴイが~汗・笑~。)

 最後に、HM文庫版の127ページ。ミス・マープルがハメットの作品を読んでいた、という叙述にはぶっとびました(笑)。実際に何を読んだかは書かれていないけれど、いったいどの作品だったのか? 
 本作は1950年の作品だから、作中の事件が仮に1940年代の後半に起きたとして、すでにハメットの長編は全部その十数年前に書かれているし、40年代後半からEQの編集で短編集も続々と刊行されている。あれこれ想像してみるのも楽しいね。
(そーいや、以前に小鷹信光の記述で知ったけれど、あの「ブラックマスク」にもクリスティーの作品は何か短編が一本だけ掲載(たぶん再録?)されているんだよな。)
 かたや、はたして生前の晩年のハメットは、この『予告殺人』を読む機会はあったのだろうか? 本作が刊行されてから10年くらいは生きてたハズだし。
 今回再読してみて、この作品で一番評者の心に響いたのは、実はここ、ハメットのくだりだったかもしれない(笑)。

 評点は客観的に見れば7点は十分にとっているんだけど、くだんの乱歩の高評に異を唱えてちょっときびしめに(その乱歩の物言いを改めて読めば、なるほど! と思うかもしれないが。まあその場合は、また点数を変更しよう)。

No.19 5点 HORNET
(2019/07/21 15:21登録)
 初めの事件のシーンと、そのあとの刑事の聞き込みでの一人一人の証言を見比べた段階で、犯人の予想はつく。割と平板な展開が長く続いたのち、やはり犯人はその人だったという感じで、クリスティ作品の中では際立つものではなかった。犯人の正体を含む、事件の背後関係の構築とその解明過程はクリスティらしい面白い内容だった。
 タイトルからも「新聞紙上に殺人の予告広告を出す」ということに対する意味や仕掛けに期待をしていたのだが、それとは別の部分でのトリック解明が主になるため、何となく思っていたのと違うように感じてしまうこともあった。人を集める必要はあったと思うが、新聞広告などする必要があったのかと考えだすと、「予告殺人」と冠された作品への期待に応えるものにはなっていないような気がした。

No.18 5点 E-BANKER
(2016/04/29 14:04登録)
1950年発表の長編。
ミス・マープルものの長編としては、「動く指」に続いて五作目に当たる作品。
原題は“A Murder is Announced”ということで、「予告(または発表)された殺人」という方がピンとくる(と思う)。

~その朝、新聞の広告欄を目にした町の人々は驚きの声をあげた。「・・・殺人お知らせ申し上げます。12月29日金曜日、午後6時30分より・・・」 いたずらなのか? 悪ふざけなのか? しかし、それは正真正銘の殺人予告だった。時計の針が予告された午後6時30分を指したとき、銃声が響きわたる! 大胆不敵な殺人事件にミス・マープルが挑む~

やっぱりマープルものとは相性が悪い・・・
そう再認識させられた本作。
タイトルや紹介文からすると、かなり派手で大掛かり且つドラマティック、っていうイメージを持ってしまうし、そこに期待感を抱く。
でもそこはマープルものですから・・・
今回はいつものセント・メアリーミードからは離れているけど、相変わらず田園風景広がる英国の田舎町が舞台なわけです。

最初の銃撃事件こそ目を引くものの、その後は尻つぼみ気味。
これはやっぱり「龍頭蛇尾」と書かれても致し方ないだろう。
フーダニットについてもクリスティの典型ともいえる奴で、かなり分かりやすい部類。
ということで、高い評価はつけられないという感じになる。

・・・などと辛口の評価をしてますが、
旨いのは旨いですよ!
それは何といってもクリスティですから!
読者をミスリードさせる手腕は天下一品。
大勢の登場人物を用意し、ひとりひとりをうまい具合に配置させてるなぁーと改めて感心。

でもやっぱりクリスティはポワロものが断然面白いという結論に今回も落ち着いた次第。
(マープルの良作にはまだ出会えていない・・・)

No.17 6点 青い車
(2016/03/06 21:15登録)
ミステリーの評価は時代によって移ろうもののようで、本作は後年評価が下がってしまった典型に思われます。
トリックは独創的で、他の代表作と肩を並べられるものといっていいでしょう。実験まで行って執筆したという裏話も面白いです。しかし、いかんせんストーリーが平板で、クリスティーにしては珍しくあまりグイグイ読ませる勢いがありません。逆に推理の対象となるのが第一の殺人のみで、第二の殺人はあくまで成り行きで付随したものに過ぎない、という悪い意味でクリスティーにありがちな弱点も気になります。犯人も特に意外ではなく(動機まで推理するのは難しいけど、勘でピンと来てしまう感じ)、フーダニットとしての魅力も薄いです。
現在、マープル・シリーズのベストに挙げる人とイマイチとする人に大きく分かれています。僕は擁護したい派ですが、アガサならこれよりも面白いものは沢山あるよ、というのが本音ですかね。

No.16 6点 斎藤警部
(2016/02/15 15:48登録)
幸いこれは相性の良いクリスティ。犯人”だけ”は瞬殺で見えてしまったけど、それでも充分に楽しい”追い詰め読み”が出来ました。言い間違えの伏線はちょっと際どいモンだったスけど、動機、事件の背景は最後まで上手に隠蔽されましたねえ。連続殺人の中に一つ、その動機を単純に「●●じ」と呼ぶのが憚られる微妙な経緯のものがありますね、記憶に残ります。

(以下音楽ネタ)
それにしても主要登場人物の「ブラックロック」なる姓はバッドブレインズあたりを連想させずにはいられませんでした。ROCKじゃなくてLOCKだけど。あと、その人のファーストネーム「レティシア」が井上鑑の凄く好きだった同名曲を思い出させずにいらりょうか。。(ほんとはそっちの方は旧いフランス映画『冒険者たち』のヒロインから取ってます)

No.15 8点 makomako
(2015/09/05 17:55登録)
 新聞に殺人の予告。そして集まった人たちの中で意外な殺人?と被害者が出る。実に奇抜な発想。こういった物語はだいたいかなりへんちくりんな人間が登場し、むちゃくちゃと思われる筋立てとなりがちなのだが、さすがクリスティーはきちんと話を作り上げていました。ちゃんと手がかりも示してくれているのだが、やっぱり全然犯人は分かりませんでした。
 私はこの作品、好きです。このサイトでは評価がやや低いようですが、本作品はミスマープル物の最高傑作と評価する方も多いのです。私も本作品は傑作と思います。残念ながら全作品を読んだわけではないので最高かどうかは分かりませんが、今まで読んだマープル物の内では一番と思いました。
 唯一欠点としては、外国人のメイドのミッチーがやたらうるさく、めちゃくちゃな人間として描かれているところぐらいでしょう。我々にとってはヨーロッパやアメリカは同じ感じがするのですが、イギリス人にとっては大陸の人やアメリカ人はおおいに異質な人種なんだということがよくわかる。

No.14 6点 nukkam
(2015/08/22 05:56登録)
(ネタバレなしです) 1950年発表のミス・マープルシリーズ第4作はマージェリー・アリンガムが誉め、クリスティー自身もお気に入りだった本格派推理小説です。犯人の小細工が多少やり過ぎ気味ではありますが伏線の張り方は丁寧で、しかもそれを読者に気づかせないカモフラージュの仕方が実に巧妙、まさに巨匠のテクニックを堪能できます。予告殺人という派手な演出に目が行きがちですがしっかり考え抜かれた動機も印象的です。クリスティ再読さんのご講評でお気に入りとされている、「みんな出かける、殺人に!」には私も思わずにんまりです。書かれた時代はもはや本格派黄金時代ではなく、当時であっても古めかしい作品だったと思いますがクリスティーはそれでいいのだと言いたいです。

No.13 6点 了然和尚
(2015/07/23 11:42登録)
改めてクリスティーを続けて読んでみると、天一坊物とでも呼べそうな、なりすましと口封じのための殺人というのが多いですね。今までその印象が薄かったのですが、本サイトのランクでも上位にはこの趣旨の作品は入ってないというのは面白いですね。本作では、「誰が犯人か」から「次に誰が殺されるか」、「誰が偽物か」と推理のポイントが移っていくのが面白かったですが、3人も偽物が出てきてしまっては、もうなんでもありですね。

No.12 6点 クリスティ再読
(2015/03/29 15:29登録)
マープル物としては平均点くらいの出来だと思う。
乱歩が気に入ったのはこれが一種の遠隔殺人みたいな趣向になるからではかろうか...「殺人広告」の真相が肩透かしなのが惜しい。あまり真相も意外には感じなかったので、まあ普通程度の評価。マープル物は初期と後期で雰囲気が全然違うんだよね....これは初期の集大成、といったところか。ロジック的なポイントとして「実はそれまで面識のない親戚が本当に親戚か?」を逆にひねったあたりがあるんだけど、全体的な流れの中では埋没している。それよりも第二の殺人で大体誰が犯人かめぼしがつくあたり、手数が多いわりに効果が上がっているとは思えない。

でもこの作品の良いところ...というと、「今日はたのしい殺人日/五月のように爽やかよ/村の探偵、総出です/みんな出かける、殺人に!」というお気楽なミステリ・フィルクが素晴らしい! コレだけのために1点加点したくらいのお気に入り。

で最後にタイトルが微妙。原題も内容的にも「広告殺人」とか「殺人お知らせします」とか、そういう意味でしょ。

No.11 5点 ボナンザ
(2014/06/20 02:27登録)
マープルものの最高傑作とされるが、やや他の代表作と比べると・・・。
いつも思うけどクリスティーは人間入れ替え過ぎだろ。

No.10 5点 蟷螂の斧
(2013/05/10 16:15登録)
(クリスティの自薦10の一冊)動機、プロットは良く考えられていますが、テンポ、展開がイマイチという感じがしました。最初の事件のみで、一話押し通した方が面白かったような気がします。つまり、最初の事件のトリックが途中で、マープルによってほのめかされてしまい、謎解き(ハウダニット・フーダニット)の面白味が半減してしまったということです。

No.9 6点 あい
(2013/04/20 01:28登録)
最初の殺人は状況や不可解さ、予告殺人など様々な要素が混ざり合って魅力的だったが第二、第三の殺人などは雑な感じがして、流してしまう様な感じだった。しかしマーガトロイドの口走った事からの推理はとても面白いなと感じた。

No.8 6点 好兵衛
(2011/04/23 16:31登録)
予告殺人、新聞に殺人が予告されて、
ぞくぞくとその家に集まってくる村人達。

といった引きが面白い作品です。
第一の殺人の状況が面白く、最初の方はとても楽しめました。

弱点は、犯人の予想がしやすい。やはりここだと思います。
ぎりぎり分からない、の難易度の設定は難しいと思いますが。
ロジック面からではなく、雰囲気(構成)から犯人のめぼしが
ついてしまう。というのは、よくないかな?と思います。

そこから、
めぼしをつけてしまうと後半が長く感じてしまいます。

ミスマープル物だからでしょうか。
これは、マープルじゃなくてもピンと来てしまいます。

No.7 8点 toyotama
(2010/12/03 07:50登録)
話の筋が他の作品と同じようになりがちですが、やっぱり良く出来てると思います。

No.6 6点 星屑の仔
(2010/08/25 00:57登録)
小さな村で起きた連続殺人事件。
個性豊かな登場人物に、奇妙な捜索癖を持つ探偵マープル。

事件の背景などをみると、凄く練られたプロットの存在に気づく。
事件としては面白いけど、ただ登場人物の危機感がイマイチ伝わってこなかった。

でも読みやすい。

No.5 6点
(2010/08/01 20:58登録)
4~5点ならともかくminiさんの非常に低い評価に驚いてAmazonをチェックしてみたら、意外に評価が真っ二つに分かれている作品なんですね。個人的には乱歩ほどではないにしても、むしろ擁護派。
「殺人お知らせ申し上げます」という広告が地方新聞に載るという始まりがなかなか楽しいですし、なぜそんな殺人計画にしたのか、また殺人動機は何かという中心問題に対する答もすっきりできています。
ただし第2の殺人発生時点までで、ミステリをちょっと読みなれた人なら動機は不明でも、この展開なら犯人はこの人物だと完全に確信できてしまうところが弱点と言えるでしょう(「小説構造上」から推測可能という意味では読者はミス・マープルよりはるかに有利です)。また、2重のレッド・へリングもこの構成ではほとんど不発です。
最初の殺人だけの中編にまとめていれば、本当に代表的傑作にもなり得たという気がするのですが。

No.4 4点 江守森江
(2010/01/26 22:01登録)
これまたドラマを2種類観た作品。
だらだらしたドラマを観てから図書館でおさらいするとスラスラ読めて実に楽チン。
内容的には同じマープル物の水準作「ポケットにライ麦を」に及ばないレベルで先の方々同様にクリスティーの代表作ではないと思う。
図書館でのおさらいで、クリスティー作品が殆ど貸出されず棚に並んでいる事に寂しさを感じた。
それでも、書庫にしまわれず手に取れる辺りがミステリーの女王ではある。

No.3 5点 文生
(2010/01/20 16:28登録)
私もこの作品がなぜクリスティの代表作のひとつに挙げられているのかが理解できない。
それなりのうまさは感じますが、これといって特筆すべき点がないように思います。

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