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ミステリの祭典

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アメリカ銃の秘密
エラリイ・クイーン、国名シリーズ 別題『アメリカ・ロデオ射殺事件』

作家 エラリイ・クイーン
出版日1957年01月
平均点5.30点
書評数20人

No.20 4点 じきる
(2023/03/26 21:50登録)
構成は面白いが、いかんせん無茶をやってる印象が強い。犯人にまつわるトリックあたりは結構好きなんだけどね。

No.19 5点 ことは
(2021/10/31 23:08登録)
数十年ぶりの再読。いまひとつの記憶だったが、やはり記憶どおりだった。
初読時に感じたことだが、なにが問題かというと、「xxがxxに気がつかない」とは思えないことだと思う。犯人指摘の場面で「そんなバカな!」と思い、推理をきいたあとも「そんなバカな……」と思った。納得させられない時点で、高得点はつけられない。
今回の再読で初めて気づいた点としては、本作が初期3作「ローマ」「フランス」「オランダ」のアップデートをねらったのではないかということた。.類似点としてよく指摘される「容疑者が多い」とい点だけでなく、構成がかなり似ている。例えば、初日の操作が完了するのは半ば過ぎで、アメリカでは220ページくらい。初期3作と似たようなボリューム感だ。そこまでは操作の段取りに筆が費やされていることも、初期3作と同様だ。
アップデートをねらったと思った点は、下記のような部分なる。「捜査者意外の視点をいれる」「映像的な場面が多い」「シーンが細かい」「章立ても多いし、章の中にも"*"で区切りをいれている」「事件の発生現場が派手」。
これらの改定はリーダビリティを高める狙いだと思うが、確かに読みやすくはなったが、同時に失ったものもあると思う。それは、すこしずつ事件の有り様がみえてくる感覚がなくなってしまったことだ。(事件の発生を2万人が目撃しているのだから当然だ。)けれど、謎解きミステリ好きとしては、これはかなり残念な部分だ。また、そのために捜査の段取りが(銃がみつからないことの)「あらため」としての機能しかなくなっていて、解決を知ってから読むと不要と思える部分も多い。
やはり評価は、クイーン全作品の中でも、下の方にならざるを得ないと思う。
とはいえ、よかった点もある。初読時は、最初に書いた理由で、相当に印象が悪かったが、再読してみると、手がかりの配置とそこからの推理展開は、クイーンらしくて魅力的だった。特に、17章の最後の「ある人物が驚いた理由」は、再読で印象にのこった。また、後半、エラリーが真相に確信をもってくる部分の盛り上げ方はよい。
とはいえ、全体の評価を変えるほどではなく、「構想に無理がある」という評価にはなってしまう。

No.18 4点 レッドキング
(2018/12/31 17:25登録)
2万人の観衆の目の前で行われた二つの銃殺  使用された銃はそこにいた全ての人からもその場のどこからも・・どこからも見つからなかった どこに消えてしまったのか?  一か所(?)だけ盲点の場所があり、読者が「そこ」を導引き出せる描写もたしかにあるにはあったが・・・。兇器消失の「密室」トリックとして おお!って感じになりそうなのに そうした驚きの感動に至らなかった

No.17 6点 虫暮部
(2018/06/25 10:13登録)
 そもそもロデオ・ショーがそんな大規模な興行として成立することがイメージしづらく、文化や時代の隔たりを感じたものだが、“クラブでキャブ・キャロウェイの新曲が演奏されていた”というくだりでなんとなくひとつにつながった。
 第8章、弾道学の場面は基本の再確認という感じで楽しかった。
 あと、これ書いたらネタバレ?犯人がサーカス芸人くずれで銃をすばやく分解して飲み込んだ、と推理したんだけど……。

No.16 5点 クリスティ再読
(2018/01/02 18:03登録)
国名シリーズも本作の後は「シャム」とか「チャイナ」とか、「読者への挑戦」の意味が薄い作品になってしまうので、「国名」らしい捜査プロセス小説の最後の作品、ということになると思う。皆さんあまり評が芳しくないが、評者の希望は「この推理だったらお願いだから写真を付けて!」ということになる。ベルトの推理なんて言葉の描写でどこまで伝わるんだろうか。分からないのが当然な気がする。絵がちゃんとある射入角度の問題は、これ捜査当局が当然引き出していい結論なので、わざわざ名探偵の推理、とされると困っちゃうな...というわけで、謎の構築、というあたりでそろそろ手詰まり感が出てきているように見受けられる。「映画万歳」なわりにどうも知識は中途半端のように感じる。あまり納得のいく犯人ではない。
良い点は舞台装置が派手で「衆人環視の殺人」のハッタリが効いていること。「ローマ帽子」が舞台を生かしきれなかったっことの反省もあるのかな。西部劇が「劇」なことって日本じゃあまり知られていないから、なかなか貴重な小説かもね。

No.15 6点 人並由真
(2017/08/27 11:23登録)
十年単位での再読。拳銃関係の隠し場所トリックは覚えていたが、ほかの情報はほぼ失念。その意味では、初読に近い感じで楽しめた(せっかくだから今回は角川の新訳版で読んでます)。
 改めて真犯人の正体は意外だが、みなさんのご指摘の通り、施条痕の解析の徹底ぶりに比べて、警察捜査陣の被害者の鑑識が、そして周囲の反応があまりにルーズでは? クリスティーの某長編も似たような事例で無理を感じたが、あちらは事象の間に経年があった分だけ、ぎりぎりには小説の枠組み内の説得力がある。
 動機の最後の問題が、とってつけたような仮説で終わるのも息切れ感を抱くし。
 それでも良い意味での軽快さと謎解きミステリの面白さは一定以上に感じられたのでこの評点。

No.14 5点 HORNET
(2016/12/04 22:42登録)
 国名シリーズの中でも小粒という世間の評価を耳にしていたため、読むのが後回しになっていて、ほとんど「シリーズ読破目的」で読んだ。そういう構えがいけなかったのだろう、読んでいてもイマイチ興が乗らず、えらく時間がかかってしまった。(古本で購入したのがかなり昔の版で、狭い行間でびっしり書いてある体裁だったのも手伝った)
 犯人の意外性はなかなかのもので、悪くはなかった。が、それを看破するための手がかりの文章中のちりばめかたが、よく言えば巧妙、悪く言えば意地悪な紛れ込ませ方、と感じた。事件現場や捜査中の言動の描写を、そこまで注意してくまなく読んではいられない性分なので、解決編を読みながら前の部分を何度も繰り直した。
 それに、時代のこともあるので一概にはわからないが、それにしても警察がきちんと捜査しているような案件で被害者の確認はこんなものなのだろうか?とも思った。一方で、銃弾の弾道痕の解析までする科学的な捜査がされているのに…。あまりにアンバランスな感じがどうしてもしてしまう。

No.13 5点 あびびび
(2016/10/05 01:11登録)
早くからエラリーは犯人が分かっていて、「分かっているなら教えてくれ」と、親父。「でもまだ逮捕できる証拠がない…」と引き延ばすパターン。これはどの作品でも見受けられるが、しかし、この作品に限っては大いにミステークではなかったか。

トリックにしても、状況説明にしても、紙一重の際どさがあり、全部は納得できなかった。そこで、解決編で、『これは納得するしかないだろう?どうだ!』みたいに読者を押さえつけるようなところがあり、笑ってしまった。

しかし、2万人の前で殺人と言う設定は、悪くなかった。

No.12 5点 nukkam
(2016/08/24 09:29登録)
(ネタバレなしです) 1933年発表の国名シリーズ第6作となる「読者への挑戦状」付きの本格派推理小説です。大都市ニューヨークの中に西部劇を持ってくるという設定はなかなか面白いアイデアですが登場人物の個性のなさは相変わらずで、カウボーイ、カウガール、女優、ボクサーなど職業的には派手なラインアップなのにまるで印象に残りません。動機がわからなくても犯人を特定できるプロットが多いためか国名シリーズは動機を極端に軽視することがありますが本書はその中でも最悪に近く、思わず「何その動機?」とつぶやきたくなりました。決して駄作ではなく、図解入り解説や意表をつく隠し場所トリックなどの工夫はありますが推理が何度もひっくり返る「ギリシャ棺の秘密」(1932年)や猟奇的連続殺人とスリリングな追跡劇の「エジプト十字架の秘密」(1932年)に比べると「ここが凄い」と言えるだけのセールスポイントに欠けるように思えます。

No.11 6点 青い車
(2016/01/31 23:48登録)
 他の国名シリーズと比べたら一枚落ちる、というのが定説の作品。確かにロデオ・スターがショーの最中で銃殺される、という演出の割には少し冴えない印象です。一番の問題は、これまでは成功していたロジックの緻密さと大胆さの両立が綺麗に決まらなかったところでしょう。細かい推理はそつがないものの、肝となるメイントリックに苦しいところが目立つのは論理性をモットーとするクイーンらしくないマイナスポイントです。個人的に凶器の隠し場所のトリックは面白いと思うのですが、作者にしてはもうひとつの出来という評価は免れないと思います。

No.10 5点 斎藤警部
(2015/10/22 11:41登録)
国名シリーズ第6作にして晴れて母国開催。
殺しの舞台は派手だが、読み物として何処か地味だな。
隠し場所トリックにゃ驚かないが、犯人設定はなかなかのもの。それを突き止めた手掛かりとロジックの交差ぶりも悪くないぜ。

No.9 6点 ボナンザ
(2014/04/08 17:21登録)
地味に好きな作品。
結末も中々に意外。

No.8 5点 アイス・コーヒー
(2014/03/31 13:13登録)
2万人の容疑者と、消えた拳銃の謎に挑む、国名シリーズ第六作。
「読者への挑戦」を前に、アメリカ銃の隠し場所は分かったが、さすがに犯人に結び付くあの手掛かりは見落としてしまった。その点は、エラリーの論理が発揮されていて見事といえるが、いくらなんでもこの犯行計画は実現不可能。「バカミス」というか、何というか…。個人的には「国名シリーズ」の魅力の一つはリアリティだと思うのだが。
また、かなり早い段階で犯人の目星をつけておきながら、大きな損害を出してしまったエラリーも良くない。この方法で失敗したことも数多くあったのに…。
論理という魅力はあるものの、全体としては微妙な仕上がり。

(余談)図書館で借りた本書は創元推理文庫版(井上勇訳)だが、出版年月日のページが切り取られていた。どうやら、93年に入荷した本らしい。しかし、ビル・グラントの息子を「《巻き毛》のグラント」と表記するのは無理がある気がした。ストレートに「カールのグラント」か、「カール・グラント」とすれば良かったのに。

No.7 7点 好兵衛
(2014/03/18 23:54登録)
面白かったです。
面白かったのですが、
肝心の犯人を断定するロジックが。
私には、細かすぎて分かりませんでした。

この一点、気づかれるか、気づかれないかは
人それぞれだとは、思いますが。
小説の文を一言一句逃さずに追っていないと。
犯人を特定できません。
つまり、
犯人を絞るのが、かなり一点ロジックだと思います。
エジプトも、この流れでした。

ただ、エジプトより状況が面白いのと。
細かい複線が、見られたので。
こちらの方が個人的には好きです。楽しめました。

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以下ネタバレです。
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エラリーが最初から分かっていたのには驚きました。
あと、犯人の自殺は逮捕したときに止めて欲しかった。
身体検査とか、しないのでしょうか?
(得点には、入れていませんが。)

読みながら、
後三人ぐらいは犯人候補(登場人物)に入れれるのでは
ないかな?と思いながら読んでいましたが。
あえて、
あの人数に絞った、作者の挑戦的な態度が好きです。

No.6 6点 バード
(2013/09/17 21:34登録)
話の展開としては分かりやすく難読な点は少なかったと思う。しかしマラ・ゲイやトミー・ブラックあたりの人物が持て余されてる感じもありやや不要な展開も多いように思える。

国名シリーズ最大の見どころであるクイーンの論理的な推理についてはキレキレで特に銃の角度による犯人の絞り込みと犯人が同時に二兆の拳銃を扱った事実が犯人=バック・ホーンの説を強めているというのが面白かった。
ただ今回の事件の肝である死体がホーンではないということは流石に警察が介入してることを考えれば無理があるトリックにしか思えない、このようにメインの仕掛けに不満があるので個人的に高得点は与えられない。

これは余談だがミラー=ホーンは分からなかったがミラー=犯人と銃の隠し方法は読者への挑戦の前で当てられたので引き分けくらいかな?

No.5 5点 E-BANKER
(2011/03/21 01:12登録)
国名シリーズ第6作。
2万人の観客が見守るなか、ロデオのスターが銃殺されるというド派手な事件の謎をエラリーが追及します。
~NYのスポーツの殿堂でロデオが行われていた。40人のカウボーイが拳銃を片手に荒馬を操りトラックを駆け巡る。一斉に銃声がとどろく・・・その瞬間、先頭に立つロデオ・スターの体が馬上から転げ落ちた。2万人の大観衆が見守る中で、犯人は如何にして犯行を成し遂げ、凶器を隠せたのか?~

今回の謎は、フーダニットのほか、密閉された競技場というクローズド・サークルから忽然と姿を消した凶器(22口径)について・・・
ということは、変格の「密室モノ」という見方もできるわけですが、その真相はかなり強引というか、「そんなこと!」というようなもの・・・
(2万人の観客やロデオの関係者に対して、さんざん凶器探しをさせられたクイーン警視の立場はどうなる?)
フーダニットの方も、「ご都合主義」と揶揄されてもしようがないかもしれませんねぇ。「読者への挑戦」の中で、「ハリウッドへの手紙」云々という記述をわざわざ入れているのが伏線になってるのが、唯一納得させられたくらいです。
まぁ、ロジック的にはそれほど変ではないような気はするんですが、舞台設定がちょっと難しすぎたような気がします。(なぜ、こんな場所で殺人を起こしたのかが納得いかない)
他の良作に比べて評価が低くなるのも仕方ないかなという感じ。
(エラリーが最初から○○○に気付いていたというのは驚き。いかにそれが推理の帰結とはいえ、いきなりそんな結論になるかなぁ?)

No.4 6点 ミステリー三昧
(2011/01/06 18:34登録)
<創元推理文庫>国名シリーズの6作目(長編)です。
国名シリーズではあまり評判のよろしくない本書ですが、読んでみてそれほど憎い作品とは思わなかったです。しかし「ギリシア棺」「エジプト十字架」さらには「Xの悲劇」「Yの悲劇」と傑作群が数々と発表された時期と比べたら、明らかに品質が落ちていることは確かです。
本書の読み所は2点あるでしょう。1点目に容疑者2万人の中から、如何にして犯人を1人に絞り込むのか。2点目に凶器を如何にして消失させたのか。2点目はなかなか盲点を突いた真相だったから、まぁ良いとして、1点目のフーダニットは問題ありでしょう。容疑者2万人の中からの絞り込みとして、犯人は内部の人間(劇場関係者)or外部の人間(観客)の推理が語られている点は良かった。この点は「ローマ帽子」「フランス白粉」「オランダ靴」など現場が限られた設定においては、必ず推理すべき項目となっているので、エラリー・クイーンらしいロジックと言ってよいでしょう。読者からすれば、登場人物リストを見れば犯人は劇場関係者とすぐ分かるのですが、リアルな現場では断定しようがなく、2万人を対象に物凄く途方もない捜査が繰り広げられます。ちなみにエラリーは、ある1点の手がかりによって見事に犯人は劇場関係者であることを述べています。その点が一番グッときた点でした。
しかし、それでも問題ありとした理由として、意外性の演出がある故に推理が難しくなっていること。〇〇トリックがキモとなっていますが、誰も気づかないご都合主義な状況が許し難い。物凄い捜査のなかに、実施すべき検証が1つ抜け落ちていること、そして、警察、劇場関係者の誰もが気づかないことに違和感を感じました。

No.3 4点
(2009/08/05 21:59登録)
犯人の正体は意外でした。クイーンは以前にも同じような手を使っているのですが、それでもこのヴァリエーションには気づきませんでした。
ただし、問題はなぜ気づかなかったかというところで、現実にはあり得ないことが前提になっているのです。アクション映画や音楽映画などでよく使われるある映画技法がキー・ワードです。この技法はミステリ・ファンにはたぶんおなじみの古典名画『スティング』の中の鮮やかなシーンでも利用されています。そのシーンがどう撮影されているかをDVDででも確認し、その技法が使われた理由を考えれば、クイーンの設定がいかにあり得ないものか理解できるでしょう。さらに状況からすれば、周りにいる人々に気づかれないように発砲できるとはとうてい思えないのも問題です。
また、動機があいまいなままであるのも気になりました。

No.2 4点 Tetchy
(2009/01/04 19:07登録)
まず驚いたのは登場人物表に載せられた人数の少なさ。挑戦状が入っているのにも関わらず、この少なさに戸惑いを感じた。

今回は何か掴みようのないままに物語が進行していく。なんだか作者クイーン自身が暗中模索しながら書いている、そんな印象を受けた。事実、最後の真相解明を読んでも、ところどころ歯切れが悪い。

特に真犯人の真相はありえんだろうと思う。クイーンのミステリは指紋の検証、歯型の採取など通常行う警察の捜査を行わない、ロジックに特化したミステリと認識しているので、そこらへん云々については云わないまでも、あれだけ知っている人が間近に見ていてあの真相はないだろう。

また殺人方法も頭で考えただけで採用したという、至極現実味のない方法である。どう考えても神業としか思えない。

しかし指紋や歯型を利用した科学捜査を行わないながらも、映像による犯行の検証や弾道学を応用した謎解きをやるのだから、混乱して仕方がなかった。
もう作者の都合のいい捜査技術のみを使用している、実に恣意的なミステリだな、こりゃ。

唯一見つからない拳銃の隠し場所に関しては、「おおっ、なるほど」と思ったが、それまで。
やはり国名シリーズ全てが名作ではないということか。

No.1 7点 あい
(2008/10/03 14:17登録)
物語の謎はクイーン作品の中では簡単な方だった。面白い作品ではあるが、やはり国名シリーズの諸作と比べると・・・

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