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ミステリの祭典

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そして誰もいなくなった

作家 アガサ・クリスティー
出版日1955年06月
平均点8.67点
書評数91人

No.91 8点 みりん
(2023/02/26 23:33登録)
中学生の時に読んで以来の再読 
本格推理小説の歴史を大きく動かした一冊としてその地位を確固たる物にしているこの作品。
原点にして頂点とまでは言いませんが、あらゆる本格ミステリの元ネタであり続けながら、いま読んでも面白い古典作品というのは珍しいですね。

No.90 9点 じきる
(2020/09/28 18:42登録)
私ごときが今更あれこれ言うまでもない。不朽の名作。

No.89 10点 Kingscorss
(2020/08/26 01:39登録)
説明不要の傑作中の傑作。今なお同じ設定や同じトリックがパクられまくり(リスペクトと言う名のもとに)使われまくられる超超有名な作品。古典中の古典。

内容は説明不要。未読の人はとにかく読んでください。この作品含めて、もしアガサ・クリスティーの作品に使われるトリックやプロットにパテントがあるなら世の中のミステリーの半分は特許違反でなくなるんじゃないでしょうか。

もし初読みして、どっかで見たことあるトリック、あの作品やあのドラマと似てるから面白くなかったという人たち、いやいや、全てが二番煎じでパクリですから。

個人的に残念なのが内容ではなくて、人種差別問題のせいで島の名前や人形の名前が何回か変更になってること。最初はニガーでもちろん即アウト。その次はインディアン島、インディアン人形に変更され、これも差別でアウト。現在は兵隊島、兵隊人形になってます。なのでハヤカワ文庫の清水俊二訳をおすすめします。

いや、もう未読の人は必読です。アガサ・クリスティー古典四天王(他はアクロイド殺し、ABC殺人事件、オリエント急行殺人事件)のこれを読まないとミステリーは語れません!

No.88 10点 猫サーカス
(2020/04/06 19:23登録)
孤島の別荘に招かれた十人の客が、マザーグースの「十人のインディアン」の歌詞のとおりの死に方で、次々死んでいき、そして誰もいなくなるというお話。全員を殺そうとしていることが明らかな犯人が十人の中にいるらしくて、次第に残る者が少なくなっていき、生き残った全員が互いを疑心暗鬼の眼で見始める面白さは、当時の推理小説にはないものだった。不可能性の種明かしは最後にあるが、トリックなどはもうどうでもよくなるほど、その展開の面白さに圧倒された。

No.87 10点 まつまつ
(2020/03/02 23:29登録)
この作品を「トリックがいまひとつ」と評する方もいたが、「罠」だけではミステリは読めない。登場人物が多いのに、ひとりひとりが鮮明である。そして、犯人の計画も完璧である。


No.86 10点 ◇・・
(2020/03/02 18:27登録)
外部と連絡が取れない孤島や雪山の山荘などに、見知らぬ男女が集まり、次々と殺されていく、というのが孤島ものの基本パターンだが、これは本作によって確立された。
映画的なカットバックが多用され、テンポが早く一気に読める。犯人探しなどしている暇もない。常識的には最後に残った一人が犯人なのだが、そう単純ではない。
ミステリには連続殺人がつきものだが、三日間に十人も殺されるのは前代未聞であろう。だが、ひとつひとつの殺人には密室トリックがあるわけでもないし、作品全体を貫く奇抜なトリックもないし、クリスティー作品でお馴染みのポアロやミス・マープルといった名探偵も登場しない。
大胆な着想と、読者をとらえて離さない筆力によって支えられた名作である。

No.85 9点 mediocrity
(2019/04/14 05:51登録)
先に読み始めたABC殺人事件は2割くらい読んで止まってるのに、こっちはよほど面白かったみたいで1週間くらいで読んでしまった。トリック自体はそれほどでもないけど構成が素晴らしい。後半の誰が語ってるのかが分かりにくい短いモノローグがいいですね。
ところで、2章で a nigger in the woodpileて表現が出てきて、何で突然黒人が出てくるんだろう、熟語かなと思ってweblioさんに入れたら、定義が「(計画を台なしにしたり、困難を引き起こすような)思わぬ要因」となっていて、こいつが犯人なのか?と思ってたら実際その通りでとまどってしまった。ここの翻訳どうなってるのだろう?

もうちょっと調べた感じ「インディアン島か。うーん。裏に何かありそうだな」と「インディアン島か。うーん。見えない障害があるな」と、ちょっと違った意味があるみたいだ。上の訳だとミスリーディングだと文句言われそうだし、下だと犯人ばらすなよと文句を言われそうだ。

No.84 8点 モンケ
(2019/03/30 23:02登録)
「犯罪、バンザイ、カンパイ!」みたいにハシャいで、「うっ・・」って殺されちまう男。あれ、笑う場面ですよね?

No.83 10点 おっさん
(2018/08/04 15:25登録)
まるで童話のような。
書架の、退色し手擦れのした、清水俊二訳のポケミス改定版を手にとると、本格的にミステリを読み出した小学校高学年の、ただ無邪気で幸せだった日々が、思い出されます。
新たに創刊された、ハヤカワ・ミステリ文庫の第一回配本のラインナップに選ばれ、その際カバーを飾った、真鍋博の、デフォルメされた島の突端に立つインディアンが印象的な装画もまた、ただただ懐かしい。
お話は――いまさら紹介するまでもありませんね。
第二次世界大戦が勃発した1939年に発表されながら、そうした時代の動きに超然とし――しかし評論家なら、一般市民を巻き込む大量殺戮に、後付けで「象徴」を見出すかも――「娯楽としての殺人」の極みのような趣向に挑んだ、クリスティーのライターズ・スピリットの結晶ともいうべき、型破りにして(なおかつ、それが後世、ひとつの型となった)万古不易の作。
本格ミステリ? 否。その尺度からすれば、これはクリスティー自身の、他の綿密にプロットが計算された秀作群にくらべれば緩いかもしれません。
にもかかわらず、「無敵の人」の夢想した殺人絵図が、まるで何かに後押しされるように完成していくプロセスを、ほかならぬ「神の視点」で語り(騙り)きった、この変格ミステリの迫力は、他を圧しています。
インディアン島、それは筆者にとって、「すべての終り」の地。残酷な運命劇の舞台にふさわしい、ミステリ界の、ダークなネバーランドのような存在なのです。

で終わってもいいのですが……今回、思い立って「クリスティー文庫」の、長年“積ん読“だった青木久惠の新訳版(2010)に目を通したので、いくつか補足をしておきましょう。

現行の原書ペイパーバックでは、差別用語の規制から、‘Indian’が‘Soldier’に改定されているようで、それを翻訳の定本にした新訳では、島の名前が「インディアン島」から「兵隊島」に改まり、作品のモチーフとなる童謡の歌詞に出てくる「インディアンの少年」も、「小さな兵隊さん」に変わっています(原書テクストの改変、そして翻訳テクスト指定の元凶は、おそらくクリスティーの孫にして、本書になくもがなの序文を寄せている「アガサ・クリスティー社」の理事長マシュー・プリチャード。長年の読者の思い出を、どうしてくれる)。それでいて、早川書房では、作者生誕120周年を記念した新訳の文庫入りに合わせ、前述の真鍋博の装画カバーを復活させるという愚挙に出て(嗚呼、兵隊島に屹立する謎のインディアン!)、その定見の無さに、筆者は頭をかかえたことです。

清水俊二の旧訳に、一部、問題箇所があり、作者がフェアプレイに配慮したうえでの読者へのミスリードが、アンフェアな表現に誤訳されているという指摘は、乱視読者こと、読書の達人・若島正の「明るい館の秘密――クリスティ『そして誰もいなくなった』を読む」(初出『創元推理』1996年冬号)で詳細な分析とともになされており、じつは清水訳がハヤカワ文庫の文庫内文庫である「クリスティー文庫」に編入された2003年の時点で、すでにくだんの問題箇所は、臭いものに蓋をするような形で、なんの断りもなく修正されていた(清水氏は1988年に逝去されているので、編集部の一存と思われる)わけですが、最新の青木訳も、ミスリード部分の訳文は、若島教授の指摘に沿ったものになっています。このへんは、「訳者あとがき」をつけて、何か一言、あってしかるべきでした(「永遠の目標」と題された、赤川次郎の巻末エッセイだけでは、本書の「解説」としては不充分)。
そして、どうせ「新訳決定版」を出すのであれば、清水氏の旧訳で、他にアンフェアな表現となっている「意訳」箇所(第十四章、第1節の冒頭)も、原文に即してフェアな表現にすべきだったのに、こちらは清水氏同様の「意訳」でアンフェアなままです。若島氏の指摘した部分だけ、直せばいいというものではないですよ。これは、訳稿をきちんとチェックできない、編集部の問題でもありますが……残念。

No.82 6点 レッドキング
(2018/05/19 12:58登録)
トリックしょぼすぎ

No.81 9点 ALFA
(2017/03/18 13:18登録)
いわずと知れたクリスティの三大前衛ミステリの一つ。他の二作同様、ネタバレを食わなかった幸運な人だけが人生に一度楽しめる。
展開は邦題通り、猛スピードで次々に人が殺されていく。推理する暇はあまりないから終盤まではミステリというよりスリラーテイスト。
真相は最後に明かされるが、犯人のダークな心象は後期のクリスティ作品にも通じるものがある。
こんな着想を単なるパズルミステリに終わらせない力量はさすが。
それだけでもう満点だが、最後から二番目の「死」を心理的な可能性に頼った点でマイナス一点。

No.80 8点 imnottheonlyone
(2017/03/14 10:00登録)
 記憶を失ったらあらすじを知らない状態で読み返したい本、第一位。

No.79 8点 パンやん
(2016/10/29 08:41登録)
過去に友人のネタバレで避けてきたが、アレンジ、オマージュ、パロディが溢れてきたのもあり、新訳にて完読。実に読み易く大いに楽しめたが、インディアンが兵隊になっていたりして、古典の邦訳に相当の苦労が窺える。が、『殺しの双曲線』同様、名作は色褪せないのだ!

No.78 10点 あびびび
(2016/07/12 23:52登録)
女性が活躍する場面は見たくない…の昔気質の男だったが、クリスティを読んでからどうでも良くなった。この作家は凄い。

だと言うのに、この作品は書評していなかった。もちのろん、10点満点である。何が嬉しいかと言うと、色々な作品に対して正攻法でありながら、妥協せず、独自の評価が熱い?いいちこさん(名前を出してすみません)がこの作品に10点満点をつけられた時、「うぉー」とうなってしまった。

No.77 6点 風桜青紫
(2016/07/10 23:17登録)
『アクロイド殺し』や『オリエント急行の殺人』については、そのジャンルの先駆的作品でありながら破格の完成度だと思っているが、『そして誰もいなくなった』については過大評価すぎやしないかと思う。クローズドサークル&クリスティー流ミスリードなんて最高のお膳立てだし、普通に面白い作品だと思うけど、「本格マニア」を自称してる人がどうしてこれに10点をつけているのか不思議でたまらない。

No.76 10点 初老人
(2016/06/24 02:46登録)
このような作品に対して、今まできちんと向き合ってこなかったのは痛恨の極みだといっていい。おそらく初読時の混乱や驚愕といった感情が邪魔をして、正面から相対する事を、本能的に避けたのだろう。この作品はそれほどまでに畏怖の念を抱くよう読者である私に求める。
この作品のプロットである骨格部分、および物語の進行については大変ムダがなくすっきりした構成ではあるが佳作の域を出てはいない。では何がこの作品の価値を押し上げているのか。当然孤島に集められた招待客全員が死亡したあとの仕掛けである。
だが無論読者のレベルは今や飛躍的に上がってきておりこのトリックに引っ掛かる読者は現在にはそうそういないだろう。
長年に渡り読み継がれており物語自体のはらむ魅力は認めつつ、現代のミステリ読みの基準に照らし合わせると人物造形の平板さやトリックの実現可能性に多少の疑問の余地が残る。以上、自分なりに粗を探そうと粘ってはみたものの、却って作品の価値を高めるだけの結果に終わったようだ。

No.75 10点 いいちこ
(2016/05/17 18:35登録)
舞台設定とプロットの奇想が余人の追随を許さない。
多数の登場人物の描き分けと心理描写の手際、スピード感とサスペンスに満ちた筋肉質な骨格、登場人物の合理性を欠く行動、納得感に欠ける動機等々、そのディテールには毀誉褒貶があろうが、大胆極まる着想がそれらを問題にさえしていない。
明かされる衝撃の真犯人とそのトリック、印象的で美しいラストシーンを含め、ミステリの歴史における1つの金字塔

No.74 10点 青い車
(2016/01/27 22:25登録)
サスペンスフルな展開、巧みな心理描写、最後に明かされる強烈な犯人像のインパクト、すべてが一流です。クリスティーが華麗なプロット作りに秀でていることを示した最高の例だと思います。たとえトリックが古びてもこのスピード感あるストーリーの構築は永久に推理小説のお手本となるものでしょう。

No.73 10点 ロマン
(2015/10/20 11:33登録)
10人の客人が招待されたのは岩肌にそびえる屋敷だった。そこで告げられたのは客人たちが犯した罰せれられることのない犯罪の歴史。次々と客たちが殺されていくが、依然として犯人は分からないまま。世間から隔離された孤島でいったい何が起こったのか? テンポよく進んでいくストーリーは小気味よく、張り巡らされた伏線は緻密で隙がない。さあはじめよう、判決と断罪の晩餐会を。

No.72 8点 斎藤警部
(2015/09/30 00:36登録)
世に屹立する、特別な推理小説。

犯人設定にあと一歩、動機の意外性にあと二歩、更なる強烈なダメ押しがあったなら、個人的にも10点は間違いなかった。 結末の意外性がちょっと薄かっただけで2点も損した。それだけ中盤の分厚さに圧倒されたってわけだ。

とにかく、激しく面白い必読の名作に変わり無し。アガサクの異色作にして代表作。外界から隔離状態での不思議と抒情あるサスペンスは唯一無二の窒息感覚。

そうそう、このお話は終わり方がとても印象的です。 ”フランス白粉”とは違うけど、犯人の名前で最後を締めるしね。  

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