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ミステリの祭典

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ギリシャ棺の秘密
エラリイ・クイーン、国名シリーズ 別題『ギリシア棺謀殺事件』『ギリシア棺の謎』『ギリシャ棺の謎』

作家 エラリイ・クイーン
出版日1957年01月
平均点7.66点
書評数29人

No.29 8点 じきる
(2023/02/12 21:29登録)
論理のパワフルさと二転三転するストーリー展開が魅力で、真犯人の衝撃も充分。ボリュームもあるので満足度の高い作品です。

No.28 6点 レッドキング
(2018/12/18 18:44登録)
探偵が、それを元にロジックを紡いでいく「手掛かり」。 だがその「手掛かり」自体が犯人によって仕掛けられた「ニセ手掛かり」だったとしたら・・・それを否定できるロジックそのものという物はない。麻耶雄嵩が「隻眼の少女」で展開してみせた「手掛かり」と「偽手掛かり」の応酬の原型がここにある。でも、あの最後の「手掛かり」のタイプライター自体、さらなる「ニセ手掛かり」ってのも否定できないぞ。そりゃ一応、解決させてるけれど小説だから。
ところで、この真犯人、当時としては斬新だったんだろうか。この属性。この時代の作品で、この犯人ないだろうとちょっと驚いた。

No.27 6点 ミステリ初心者
(2018/11/30 19:39登録)
 ネタバレをしています。※無駄に長い書評をしてしまったため、大幅に短くしました(笑)。

 後半までは、容疑者一人一人を除外していく行為をを楽しめる最高のフーダニットでした。私は何度も読み返し、容疑者がいなくなってしまう事態になり、困りました(笑)。
 解決編を読んだ時は、悪い意味で衝撃でした(笑)。いや、そりゃこの犯人ならば出来るだろう・・・と思ってしまいました。警察まで犯人に含めると、作中全ての登場人物のアリバイ検証をしなくてはならず、本能で犯人候補からはずしていましたね。ただ、この犯人ただ一人にしか犯行ができなかった点は非常にフェアだと思います。好みの話になってしまいますが、フーダニットにおける意外な犯人やどんでん返しは相性が悪いなぁと再認識しました。

 

No.26 7点 いいちこ
(2018/06/08 20:26登録)
登場人物が非常に多いにもかかわらず、犯人と目される人物が限定的で、かつ少数の証拠で容易に絞り込まれてしまう点で、筋肉質かつエレガントな「オランダ靴」には遠く及ばない。
また、プロットに盛り込まれたエピソードやガジェットが、その巨体に見合う十分な効果を挙げておらず、中だるみを強く感じさせる印象。
真犯人の衝撃を買って7点の最下層

No.25 8点 虫暮部
(2018/04/11 10:46登録)
 面白い。少々長過ぎる嫌いはあるが、無理に努力して読み進めている気分に陥ることは無かった。3作目までは未だ習作、エラリー・クイーンが初めて物した傑作がこれ、と私は評価する。
 ところで、粗筋を見ずに本編を読むと、死体発見のくだりは充分驚ける展開である。粗筋コーナーはバラし過ぎ。明かすのはせいぜい“手提げ金庫が消えた(中身は秘密)”まででいいのではないか。或る程度の粗筋を踏まえてそれをなぞるように本編を読む、と言う行為にいつの間にか我々は慣れてしまっているが、それは結構な損だと近年実感している。

No.24 6点 クリスティ再読
(2017/01/04 17:01登録)
本作は頂点であると同時に...袋小路への入り口な気がするな。国名シリーズ最長かつ最高との評の高い本作だけど、いわゆる後期クイーン的問題の前哨戦でもある。要するに「偽手がかりと手がかりの違いは何か?」ということだよね。だから本作も後期の作品同様に、一旦不本意な決着があって、さらなる真相が解明される、という二段構成になる。


(クイーンの厄介なところはどうしてもバレにつながる話をせざるを得ないところで...直接誰とか書かないけど、読むと推理の手掛かりになるバレ話です。)

で...なんだけど、第一部の途中で示されるエラリーの推理だが、これが実はツッコミどころが結構ある。赤緑色盲は皆さんも散々ツッコんでるので評者は繰り返さない(真犯人の作為がないからよし)。で紅茶の出しがらの話だけど、これは見せかけの上で状況に合致しているのを、エラリーがひっくり返し、しかもそれが証言で再度ひっくり返させることになる。でしかもこれは、エラリー以外気にも留めない可能性の高い着目点(ハルキス非盲目説)でもあるから、何のためにやっているのかちょっと疑問に思うような「犯人の作為」なんだよね...でずっとこれが気になって読んでいたのだが、結局この線は「エラリーが飛び付くであろうように工夫した偽手がかり」にしかならない。なので本事件は、エラリーの存在をその前提に組み込んだ、名探偵ありきの犯罪、ということになってしまう...評者の趣味だと、こういうの、モダンじゃないな。
あと、ホテル訪問者の中で最後まで謎で残る人間が犯人だとしたら、結構対象者が狭まるとか、タイプライターの手がかりだけでなく絵の保管場所をどうやって見つけるか?という問題でノックス邸に出入りできた人物、ということになるので、意外に犯人当ては難しくない気がするんだよ(評者は犯人を何となく憶えてたから、公平じゃないけども、読んでて「犯人こいつに決まってるよね...」って印象)。
少なくともメカニカルなタイプライター自体がさほど普及したことがなく、しかも電子式のキーボードで置き換えられた日本で、どの程度納得のいく推理になるか疑問(そもそもそういうタイプライターがレアかさえ日本人は判らない)だとか、いろいろアラは多い。実際、ハルキス邸を舞台にする前半が小説的に退屈で、ノックスを中心とする後半の方が動きがあって面白いのは、リーの文章の好きな評者でも否定できない。
それでも後半(特に読者への挑戦の後も)二転三転するダマし合いみたいな仕掛けがあって面白いと思う。というわけで、重厚な力作だとはもちろん思うし、形式的な面でのミステリらしさ(&ミステリらしいロジックと「意外な犯人とか)では頂点かな、とは思うけど、傑作かというとアラが多くて実は微妙...という評価でいいんではと思う。

No.23 7点 nukkam
(2016/08/18 18:37登録)
(ネタバレなしです) 1932年発表の本書は書かれた順番ではシリーズ第4作になりますが、小説世界では大学を卒業したばかりのエラリー・クイーンが初めて手掛けた事件ということになっています。なぜエラリーが病的なまでに秘密主義で完璧主義なのかが本書を読むとよくわかります。でも個人的には全く共感できませんでしたけど(笑)。緻密で重厚、しかもクイーン作品中最大ボリュームの物語なので読みにくさも相当ですがどんでん返しの謎解きを堪能できました。余談ですがボツになったエラリー最初の推理が個人的には結構気に入ってます。

No.22 8点 斎藤警部
(2016/06/07 22:44登録)
流石の力作。 切れ味より突貫力。 『読書への挑戦』の置き場所が最高。こりゃ萌えるわ。。
多重解決のふりをした様な重層的ロジックの響き合いは眩(まばゆ)いばかり。



【以下ネタバレ!】

まさか登場人物表が犯人隠匿最大のミスリードだったとは!全く疑ってもみなかった!「犯人ではありえない側の人達」だと決め付けていたよ!(なんとか山荘か!) この犯人設定、普通だったら”●ンフェア”の五文字で糾弾されておかしくない所、これだけ重厚な謎解きスクラップ&ビルドの果てにやっと。。という達成感でいい意味で押し切ってしまうんだね。如何にも怪しい人物が本当にまさかの犯人、かと思うと覆される、というパターンを繰り返すからこそ効力を発揮する謀略の目くらまし。それにしても真犯人が警察の人間でなくて本当に良かったと○ン○・○○ィ-世代の私はつくづく思ってしまうのです。

【!ネタバレここまで】



ジョアンはともかく筆跡専門家のユナちゃんが気になるのは、少女時代のユナちゃんを連想させる所為かしら。
それと、愉しい気分のまま快い寂しさを纏うラストシーンがね、すごく好きなんですよ。

No.21 10点 青い車
(2016/01/30 23:19登録)
 完璧な推理機械だったエラリーの失敗を描き、仮説を立てては崩すを繰り返す試みが面白い所です。探偵の推理を先回りするというミステリのタブーに踏み込んだような犯人をいかに追い詰めるかが見もので、その限界を突破したような懐中時計やタイプライターの推理が冴えます。ダ・ヴィンチの幻の作品をめぐる背景もユニークで、500頁を優に超える大著に見合う内容の濃さです。

No.20 9点 ロマン
(2015/10/20 16:15登録)
格段に複雑な構成の作品。『論理』を軸にして、このように展開が二転三転する長大な作品を組み上げるのは流石としか言いようがない。また、読者への挑戦状でも自信をのぞかせているように、犯人の意外性という点でもトップクラスだと思う。ただ、複雑であるがゆえに、全体を通した論理の明快さには欠ける印象も受けた。

No.19 7点 makomako
(2015/05/06 09:50登録)
 以前クイーンは苦手でしたが、新しい翻訳になって読みやすくもなったが、私自身の推理小説に対する感覚も変化してきたのかとても興味深く読むことができるようになりました。
 それにしてもこの小説はすごいですね。よくもこれだけのことを考え付くものです。最初の推理だけで十分に一冊となるところを、次々と変遷させ読者を混乱させてしまう。私など見事に手玉に取られてあれよあれよといいながらこの長い小説を読んでいました。
 クイーンの読者への挑戦で正しい答えにたどりついた事は一度もないのですが、今回はその中でも特別にダメでした。かすりもしない。
 こんな作品を作ったクイーンもすごいですが、正解できた人も本当にすごい。尊敬します。

No.18 6点 mini
(2014/07/31 10:00登録)
昨日30日に創元文庫からクイーン「ギリシア棺の謎」の中村有希による新訳版が刊行された
中村有希は訳文がすーっと頭に入ってこなくて苦手な翻訳者なんだよな、私としては多分新訳で再読する事は無いと思う(苦笑)
「ギリシア棺」は過去に書評済だが一旦削除して再登録

御三家の中でそれぞれ読者によってこの作家が好きという好みが分かれるであろう
クリスティやカーに比較して、クイーンを優先的に特に好むタイプの読者は多分私の感性と合わない読者なのだろうという思いはずっと持っている
何故ならクリスティやカーの方を好む読者だと必ずしもロジックだけを好むタイプじゃ無さそうだけど、他の2人に対してクイーンだけを特に好むタイプの読者って、ミステリー小説にロジックとフーダニットだけを求めるタイプが多い印象なんだよな、それ以外の要素は冗長無駄みたいに言う
しかしこの「ギリシア棺」はロジック以外の面でも魅力を発揮しており、そういう面では「フランス」や「オランダ」よりも進化していると私は思う
ただ舞台設定の面では特徴が無く、大都会の喧騒といった社会風俗的な魅力は後退している、次の「エジプト」での舞台はニューヨークを離れちゃうしね

「ギリシャ棺」は探偵クイーン君がまだ青二才の頃の事件だが、これは探偵役の青春を書きたかったわけではなく、設定上そうでないと都合が悪いからなのは明白だ
初期クイーンに顕著な”属性”による意外性だが、「ギリシア棺」の場合だけは基本設定が固定化してから使うわけにはいかんもんな
従って探偵役クイーン君の若かりし日の事件だからという理由で初心者にこれを薦めるのは明らかに不適切で、国名シリーズ入門には絶対向かないと思う
真犯人の設定に於いてクリスティ作品にも似たパターンのはあるが、クリスティがしら~っと平気で使ってるのに対して、やはりクイーンは細かい面にも気を配るなぁ

※ 以下は決してネタバレでは無いが神経質な人は読まないほうがいいかも

途中で、赤色を緑、緑色を赤、と呼ぶ人物が登場する
原文は不明だが、この人物に”色盲”という語句を使用しているなら、これは作者クイーンの勘違いである
”赤緑色盲”というのは、赤と緑が区別出来ない症状を指すのである
この登場人物は色の区別は可能で、ただ単に色の名前を間違えて覚えているだけだから、頭がアホではあるが色盲ではない
空さんが指摘されていたのはこれでしょうか
ところでカーにも色盲が決め手となる某短篇が有るが、カーは色盲の意味を正しく解釈していた

No.17 8点 sophia
(2014/04/13 17:12登録)
ただ一人怪しかった人物が逮捕されて、「何だよそのまんまじゃないか」と思いきや大どんでん返し。間違いなく傑作なのですが、再読しようという気にはちょっとならないです。登場人物が多いですし、あまり本筋と関係ない部分で謎が入り組んでゴチャゴチャしすぎています。

No.16 8点 ボナンザ
(2014/04/08 17:27登録)
エジプト十字架と並ぶ代表作だけあってボリュームとどんでん返しがすごい。
若き日のクイーンの姿が見られる貴重な作品でもある。

No.15 7点 アイス・コーヒー
(2014/02/18 19:11登録)
美術商ゲオルグ・ハルキスの棺から発見された死体を巡って、若きエラリー・クイーンと真犯人が一騎打ちするシリーズ第四作。
読んでみるとやはり長い。本作の特性上やむを得ないのだが、それにしてもエラリーの引用癖が全開で、冗長な部分がある。せめて、伏線にでもなっていれば…。そして、装飾過剰な点が本作の特徴であるのもまた事実である。
一方で、「ローマ」「フランス」「オランダ」を経て最終形態に達した論理は気合が入っている。捜査と推理の掛け合いが見事で、この点は引き込まれる。また、本作は一見、複雑で異色に思えるが、読み終わって全体を見渡してみると実に単純である。エラリーの最初の事件にふさわしい作品だといえる。
ストーリーの点では、冒頭の遺言書紛失と死体発見のあたりが一番面白く感じられたが、その部分の真相は大したことなかったため少し残念。途中で出てくるダ・ヴィンチの絵に関しては、先日「協会の壁の裏側に、未発見の絵があるらしい」というニュースを耳にして、作中での解説もあって余計混乱してしまった。それにしても、エラリーの「あれ」は徹底しすぎ。

No.14 8点 HORNET
(2014/01/01 13:02登録)
前評判や序文から、「若かりし日のエラリイの失敗談」ということはわかって読んでいたが、にしても面白かった。廃案になる第一の推理にしてもそれ単体でよく仕組まれていて面白いし、二転三転する以降はさらにクオリティが増す感じ。長編とはいえ、そういった意味では何本ものストーリーが味わえているようで、なんか得した気分だった。
 タイプライターの論理はさすがに我々には分からないし、空さん、miniさんご指摘のように色盲の論理は根本的に間違っているなど、気になる点もあるが、その筋書きというか組み立てが精緻で「さすが」。クイーンが最も脂ののっていた時期の力作というのを実感する。
 これを読むまでは「エジプト十字架」が一番好きだったが、大きくそれを越えた感じがした。

No.13 8点 蟷螂の斧
(2013/03/20 21:34登録)
長編で読みごたえがありましたね。誤った推理があっても、論理的であり好感が持てました。(タダの推理としか、思えない小説がある中で・・・)裏のテーマが、ダビンチの絵画の真贋に関するものであり、非常に楽しめました。

No.12 6点 好兵衛
(2012/04/02 22:29登録)
ガチガチのロジックから、
クイーン氏の作風が少し代わったといわれている
だけあって。前三作にくらべとても読みやすいです。

最初の死体発見のひきが派手でスリリング
最後の最後まで ドキドキさせられる展開。

ですが、ロジック点は最後まで
犯人が分からないだけあって
すこし浅いです。

_____________
ここからネタバレです。
_____________


実際探偵が真犯人を特定するまえに、
違う犯人説を推理するのは好ましくないかな。
その時点で、どちらでもよくなってしまうと思う。

そして、もう一人(真犯人)
犯行が出来た状況にいたことから
あんまりどんでんがえってはいないと思う。
最後まで、あいつ(真犯人)
にもできたじゃないか、と私は思って読んでいた。

エラリーが若かったころという設定をつかって
警察側に犯人を置いたのは面白いけれど、
疑いやすくもなる。
(その後も出てくるキャラクターばかりなので)

No.11 9点
(2012/03/07 22:39登録)
本作が出版されたのは1932年ですが、事件が始まるのが10月5日火曜日で、しかもエラリーがまだ大学を出て間もない頃というデータからすると、おそらく1920年のことではないかと思われます。
特にトリックと言えるのは、せいぜいすぐ明かされる死体隠匿方法ぐらいのものでしょうか。しかし、その死体発見に至る流れはうまくできています。そしてエラリーの最初の(失敗した)推理は、真相より犯人の意外性があると言ってもいいくらい。その後平凡な某人物犯人説を経て、「読者への挑戦」少し前あたりから盛り上がってくる謎解き興味は見事です。
ネクタイに関する設定には科学的な勘違いがありますし、タイプライターの手がかりは日本人にとっては(パソコンが普及していても)何のことやらですし、と不満の声もあるでしょうが、個人的にはクイーン節を最も長く楽しめる複雑さということで、最も好きな作品です。
ダ・ヴィンチの完成しなかった有名な壁画「アンギアリの戦い」の部分油絵が存在していたなんてホラ話設定も楽しめました。

No.10 9点 あびびび
(2011/10/11 14:24登録)
エラりークイーン最初の推理は見事に外れ、饒舌だった分恥辱にまみれた。確かに詩人、哲学者などの引用を前面に押しての推理は嫌味たっぷりだった…。

しかし、この作品はミステリのだいご味を存分に味わえた。やや中だるみ感はあったものの、驚くべき真実、どんでん返し風の犯人は、名作にふさわしい切れ味。

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