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ミステリの祭典

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刺青殺人事件
神津恭介シリーズ

作家 高木彬光
出版日1951年01月
平均点7.74点
書評数38人

No.38 10点 密室とアリバイ
(2023/05/01 20:35登録)
心理的密室が本当に美しい ホワイダニット大賞No.1

No.37 8点 みりん
(2023/02/08 06:58登録)
ミスリードが上手いと感じた。

No.36 8点 じきる
(2020/12/31 06:00登録)
ミスリードの技巧が光る名作古典。
個人的には『人形〜』の方が好みだが、こちらも古さを感じさせない出来に仕上がっている。

No.35 9点 まさむね
(2020/03/14 19:09登録)
 作者のデビュー作にして、名探偵・神津恭介の初登場作品。作者は幼い頃から刺青に興味があったとのことですが、その刺青の活かし方が抜群で、正統派の本格作品に色を添えています。否、色を“添えている”というよりも、色そのものが作品って感じか(ちょっと意味不明か)。種々のミステリベスト選出モノで常に取り上げられることも納得です。

No.34 6点 レッドキング
(2019/05/25 12:46登録)
密室バラバラ屍体から刺青を施したトルソだけが消えていた「首無し殺人」ならぬ「胴無し殺人」。そのトリックが探偵に見破られること自体を目的とした「針と糸トリック密室」。トリックが見破られてこそ意味を生じるっていう密室構成の目的がユニーク。残念なのは、この針と糸トリック、ちと分りづらい。

No.33 4点 虫暮部
(2018/05/07 10:07登録)
 刺青と言う題材が雰囲気作りに上手く生かされているとは思う。

 以下、気になったことをネタバレしつつ記す。
 まず細かいこと。中盤で逮捕されたU氏の、犯行現場に侵入した際の証言。“浴室に電灯が点いていたのは知っていたが、水の流れる音だけで、誰もはいっている様子はないので、外からスイッチをひねって消した”。空巣の最中に何故そんな中途半端な(浴室内を確認するでなく、かと言って手を触れずに放置するでなく)行動を? そもそも何故“水音がする・電灯が点いている”家に空き巣に入るのか。その時点で退散しとけって。

 そして重大なこと。入れ替わりは必然性が希薄。主犯にとって、共犯がいざとなれば殺してもいい程度の相手なら、始めから共犯を殺しても同様の効果が望めるのでは?アリバイ工作等で役立ってはいるものの、共犯の存在自体がリスクなわけで、費用対効果としてどうなのか。共犯の方が主導的立場だったならまだ判るが、読み返してもそのあたりは藪の中。と言うか、そりゃないぜ主犯、共に生き延びるための入れ替わりじゃないのかよ!?

No.32 7点 パメル
(2017/03/25 01:01登録)
禁断の三すくみ「大蛇丸」「地雷也」「綱手姫」の刺青を彫られた三兄妹の運命は?
密室状態でのバラバラ死体が胴体だけが持ち去られたのは何故か?
事件の陰に暗躍する謎の女の正体は?
とミステリとしてワクワクさせてくれる要素が満載で惹きつけられる
密室殺人事件を隠れ蓑に使った「心理の密室」という二段構えの仕掛けはお見事
残念な点は犯人が早い段階で予測出来てしまい意外性も無いところ

No.31 6点 風桜青紫
(2016/07/13 18:51登録)
最近、高木彬光は自分に合ってないんじゃないかと思い始めているんだが、最初に手に取ったこの作品はなかなか楽しめた。胴体のない死体、和風密室、読者への挑戦状となかなか魅力的なモチーフで惹きつけてくれる。超天才スペックなのにどこか抜けてるカミーのキャラもいい。とまあ、アイデアは充実してるんだが、同時代の横溝正史と比べると、話の演出で一歩及ばず、といったところか。

No.30 9点 青い車
(2016/05/18 00:27登録)
・なんとなく地の文章が野暮ったく洗練されていない
・事件と推理を描くことにのみ注力されているため、物語として見ると起伏がない
・常太郎が唐突に現れるという都合のいい展開も気になる
・神津恭介は確かに頭脳明晰だが、それに比較して警察や松下研三が愚かすぎる
・犯人が読んでいる途中から露骨に怪しい

 以上のように難点が多い作品で、特に筆致の泥臭さはいかにもデビュー作という感じがします。それでも高得点を付けたいのは、密室の扱いのユニークさに感動を覚えたため。物理トリックと心理トリックを絡ませてみせたテクニックには作者の情熱のようなものが伝わってきます。みっつの殺人すべてを、ちょっとした不自然さに着目することで論理的に読み解いていくのもヴォリューム感たっぷりで贅沢です。そして何より、エログロの強烈なイメージを与える刺青というモチーフがすばらしい。『人形はなぜ殺される』と双璧をなす傑作といって差し支えないと思います。

No.29 6点 了然和尚
(2015/11/28 19:56登録)
本サイトで人気の「人形」の方を読む前に、ちょっと復習で35年ぶりぐらいに再読。角川S48年版です。メインの双子に関するトリックと密室の仕組みは35年間記憶してました。犯人の相方の方と、動機周りの状況は忘れていましたが楽しめました。犯人のアリバイがしょぼすぎて、死体の密室への持ち込みという工夫まで曇らせてる感じがしました。こんな、単純なごまかしのアリバイならむしろない方がいい感じでした。構成要素はいいと思うのですが、「なんでこれがこうなる必要があるのかな」みたいな、まとまりの悪さが気になるデビュー作でした。
神津恭介もちょっと淡白に表現されている感じで物足りない登場に思えましたが、そういえばD坂の明智も本陣の金田一もこんな雰囲気でデビューしてたなと思い出しました。

No.28 9点 ロマン
(2015/10/20 14:15登録)
高木彬光のデビュー作。デビュー作にしてかなりクオリティが高い。密室の物理的トリックは心理的トリックの煙幕というのも面白い。顔の無い死体のすり替えトリックも、胴体の無い死体のトリックから注目をそらす効果があり、非常によくできている。

No.27 8点 いいちこ
(2015/08/27 18:06登録)
個々のトリックや犯人特定に至るロジックに突出した点はないものの、プロットの完成度や、個々の材料を有機的に連動させてミスリーディングに誘い込む手際が抜群。
古典と呼ぶに相応しい水準の正統的な本格ミステリと評価

No.26 9点 斎藤警部
(2015/06/17 12:02登録)
昭和30年代フェティッシュの私も、この昭和20年代濃厚ムードには骨の髄までやられます。
処女作で密室と○○の二大トリックを惜しげも無く見せ付ける意気は流石。○○トリックの方がより物語の根幹に関わる大トリックですが、密室の方もなかなかどうして。物理的密室トリックと心理的密室トリックと二つ並べておいて、一見心理的なほうが上等と単純に思いがちだけど実は物理的なほうがあってこその心理の罠、という見えない補完性が唸らせます。その密室トリックもまた、もうひとつの○○トリックを見破る伏線であり目くらましでもあり。実に重層構造。

それにしてもですね、言わずもがなですが、高木さんの頑強無比な推理小説構築力に較べて、筆の滑りの詰めが甘いこと甘いこと! 水をも漏らさぬ天才の筈の神津探偵が何かというと間の抜けた言行を晒すのは本当に滑稽。だけどそんなアンバランスが不快でなくむしろ心地よく感じられてしまうのはやはり、高木さんの人徳こそ為せる業なのでありましょうか。。 

No.25 8点 あびびび
(2015/05/02 17:57登録)
30年前に読んだが、まったく内容を忘れていて再読。アガサ・クリスティはほとんど犯人を当てたことはないが、この作者とは相性が良く、「人形はなぜ殺される」もすぐにトリックと犯人は分かった。

この作品もだいたいの構図がすぐに浮かんできた。さすがに密室トリックと、アリバイトリックは分からなかったが、犯人は『○○しかない!』と、思った。しかし、再読して良かった。稀代の名作であることは間違いない。

No.24 9点 ボナンザ
(2014/04/08 00:40登録)
あまりにも有名な名作。初めて読んだのは中編版だったが、そのトリックには唖然とさせられた。
絶対のおすすめ。

No.23 6点 ミステリ初心者
(2014/03/08 17:13登録)
ネタバレを含みます


 刺青と密室にすごくセンスを感じました。
 この刺青殺人事件、かなりミスリードが凝っているような気がします。
死体の発見の順序、密室とその死体がなくなっている点、刺青と蛞蝓、どうしても第一の殺人と第二の殺人の本当の順序を勘違いしてしまうし、密室のほうを重視してしまいます。そもそもタイトルが刺青殺人事件だし・・・刺青を持ち去ることに意味があると考えてしまいますよね。それが罠なんですね たぶん。


 以下不満点。
主には、挑戦状がある以上、論理によって犯人を当てることを難しくするものが不満です。

 犯人に協力者が多すぎる。犯人のアリバイを作っていた女性の証言ですが、犯人以外の嘘を混ぜると犯人当てが困難な気がします。神津にしても、カマをかけてうそを見破りましたが、久が犯人と決めたこと元にした推理に思えました。唯一、利害が一致している証言だ、とかは、どうとでもいえます。

 犯人の協力者が、犯人の予想してない行動をとっている。犯人の、すべて狙い通りでほしいです。絹枝の行動がさらに犯人当てを難しくしてます。

 犯人当てとは関係がない、好みの問題なのですが、
絹枝と珠江?がそっくりなことを利用した、殺人時間のずらし、それによるアリバイ工作。密室によって本当の殺人現場の隠蔽。写真の工作?による綱手姫の存在。 これらには、ぐっと来ませんでした。ちょっと、似たような密室ものを、過去に読んでしまったせいかもしれません。

No.22 9点 TON2
(2012/11/04 02:10登録)
 女の体に彫られた刺青の持つ妖しさが、推理小説として以上に官能を覚える作品です。
 密室の物理トリックを心理トリックの捨て石にするというのには、うならされました。
 途中で読者への挑戦状が出されているが、犯人と最初の死体の謎には思い至ったものの、完全には解くことができませんでした。

No.21 9点 蟷螂の斧
(2012/08/31 17:37登録)
(再読)高評価の「人形はなぜ殺される」より本作の方が、やはり良い(好み)ですね。トリックはこれしかないと読者に思わせるのですが、その真相がなかなか解らない。これこそ心理トリックの醍醐味だと思います。再読なので、伏線もしっかり張ってあることを確認しながら読むことができました。解説(小泉喜美子氏)にある「日本推理小説史上に燦として妖しき光芒を放つ作品」ということでしょう。

No.20 9点 okutetsu
(2012/08/20 16:53登録)
面白い!
犯人が見え見えで、神津の心理的な推理の仕方もちょっとどうかと思ったりはするけど、トリックは盲点を突いていて面白かった。
一つのトリックに2つ以上の意味を持たせるものは基本的に優れていると思う。
これが処女作という作者に感心するばかりである。
「人形はなぜ殺される」に並ぶ傑作だと思う。

No.19 8点 いけお
(2012/07/12 02:26登録)
物理トリックを心理トリックの捨てネタにしたり、トリックがすごい。
刺青の三すくみのくだりとかが重要な要素で、プロットに無駄がない。
とても完成度が高い。

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