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ミステリの祭典

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オリエント急行の殺人
エルキュール・ポアロ/別題『オリエント急行殺人事件』

作家 アガサ・クリスティー
出版日1954年03月
平均点7.66点
書評数50人

No.50 8点 みりん
(2024/03/20 13:15登録)
人生で初めて読んだミステリ長編は『Yの悲劇』で短編はホームズ。でも、人生初のミステリー(映像作品)はこの『オリエント急行殺人事件』なので思い入れのある作品。まあ、1974年の本国の映画の方ではなく、松嶋菜々子が主演の邦ドラの方なんですけどね・・・そして親に途中でネタバレされましたが(笑)

いまさら原作を読む。まあ当然ではあるが、ネタを知ってから読むと少し退屈。これを何も知らずに読めた方は幸せでしょう。しかし、この作品を機にたくさんのミステリと出会えたので8点未満はどうしても付けられません。

No.49 9点 mediocrity
(2021/12/07 06:20登録)
大作だと思って読み始めたんですが、意外と短い作品でした。『ナイルに死す』が長かったから余計にそう感じたのかもしれませんが。
殺され方で真犯人を暗示→誰も単独犯になりえない→衝撃の結末、という流れはそれだけでお見事だと思います。
9点にしましたが、ストーリー自体は動きがほとんどないので、読んでいてそれほど楽しくはなかったですね。

No.48 6点 じきる
(2021/04/19 14:45登録)
アイディアは独創的で素晴らしいが、一個の小説としては解決編に至るまでが単調で少しダレるかも。
未読の方はネタバレ食らう前に読みましょう。

No.47 8点 Kingscorss
(2020/08/12 13:54登録)
大分前に映画で見てトリックやプロットは知っていましたが、初めて原作を拝読。

素晴らしいの一言。映像で端折られたりしたところもじっくり説明されていてとても楽しく読ませてもらいました。ミステリーの古典的教科書の一つなので何年経っても色褪せないです。唯一?映像で見るより劣っている点は登場人物が多いので文字表記だけでは各人をなかなか覚えられないのが… いや、別に把握してなくても全然楽しめますけどね。

クリスティーの有名な著作四天王のオリエント急行の殺人、ABC殺人事件、アクロイド殺し、そして誰もいなくなった、これらをネタ知らずに読める人は幸せすぎます…

自分は全部トリック知ってから原作読んだんですよね…あと50年ほど早く生まれていれば…まぁネタ知ってても面白かったですが。

No.46 7点 虫暮部
(2020/06/04 11:52登録)
 メインのネタはどうしたって忘れようがないけれど、詳細についての記憶は曖昧、と言う状況で読み返すと、本作は一幕の舞台劇の如し。いやむしろTVのドッキリ企画か。役者による芸風の違いも(それなりに)書き分けていて見事。肩に力が入ってつい失言しちゃう人。素のままで通したようなハマリ役。そして別人格を演じ切った名優。
 国際色豊かな登場人物達についてのさまざまな偏った片言(イタリア人はナイフを好む、とか)からは、国粋主義や階級社会に対する痛烈な皮肉を感じた。

No.45 4点 レッドキング
(2019/06/05 10:44登録)
被害者でなく容疑者達の「ミッシングリンク」解明の話。これほど、名優を揃えて映像化して映えるミステリってないんじゃないか。名優達に演じられる「それぞれの役割を演じている容疑者達」、素晴らしくならないわけがない。
ミステリ小説としては・・・映像作品の「無難な台本」「読んで損のない原作」。それにしても「全世界のあらゆる階層からなる容疑者・・」って、「白人の、上流から、せいぜい下の上の階層」ってところじゃん。

No.44 7点 ボンボン
(2018/02/17 23:41登録)
安心と信頼の面白さ。無邪気に楽しむことができた。(これまでネタバレを耳に入れないように、どれだけ気を付けてきたことか。まあ、ちょっと入ってしまったが。)
ただ、意外に粗くて企画頼みなつくりなので、本当は結構深みのある話なのに、その骨組みだけで最後までいってしまうのがもったいない。
「ポアロ、二つの解決法を示す」の人間味が良かった。

No.43 9点 ALFA
(2017/03/16 10:57登録)
採点はむつかしい。
とにかくこのトリックを小説化しただけでもう満点ともいえるし、その分犯行のリアリティや、謎解きの楽しさが犠牲になっているともいえる。
でも読まないより読んだほうが「一度目は」思いっきり楽しいのでこの評価。
映像に向いた作品と見えて、映画もTVドラマもそれぞれ名作になっている。
映画はオールスターの演技合戦が見もの。アルバート・フィニー(ポアロ)の速射砲のような尋問を「食い」ながら返していくウェンディ・ヒラー(公爵夫人)の緊迫感あふれるやり取りが印象に残っていたがDVDでは別テイクになっていた。
TVドラマ版は重厚でシリアスな改変は見事だが、一部のキャスティングが物足りない。
追記 ケネス・ブラナーの最新作も楽しい。ジョニー・デップの絵に描いたような悪役がいいし、堂々たる英国紳士になってしまったポワロは笑える。
いずれも評点9。

No.42 8点 いいちこ
(2016/10/27 20:37登録)
クリスティ再読さんの書評に共感。
本作の真相が比類なく独創的で衝撃的であることに疑いの余地はなく、これだけで9点・10点の評価に値する。
また、12名の乗客を書き分ける筆力と、それに起因するリーダビリティにも最高級の評価。
ただ、探偵の真相解明プロセスにおいて、多くの巧妙な伏線が活かされているものの、大筋としては極めて直感・情緒的なもので、論理性を欠く点は大きな減点。
その結果、作品中盤で多くの紙幅を割いた乗客への尋問や調査が十全に活かされたとは言えない。
犯行時間が極めて長くなることで、容疑者が抵抗し、また探偵が察知する可能性がある点等、犯行のフィージビリティにも疑問が残る。
以上を加減算してこの評価

No.41 10点 青い車
(2016/01/31 19:03登録)
 私にとってナイルに次ぐナンバー2のクリスティー作品です。この題材ではアンフェアなことがやり放題にも思えますが、ポアロは見事論理的に真相を探り当てています。さまざまな記述が最後になって活きてくる細かい技も作者ならではでしょう。一つ触れておきたいのは、TVドラマ版では本作はかなり後半になって作られたということです。ドラマで最後に見せたポアロの険しい表情は最終作『カーテン』を意識したものであることが見て取れ、そういう意味では制作側は非常に原作を理解していたといえます。

No.40 9点 ロマン
(2015/10/21 10:54登録)
雪に閉ざされたオリエント急行の中で一人の男が殺された。体にはバラバラの十二の刺し傷。乗客は十二人。果たして犯人は誰なのか、そしてバラバラの傷が示すものは・・・。言わず世知れたアガサ・クリスティの代表作の一つ。『アクロイド殺し』と並び、推理小説をもっと自由な存在へと導いてくれた作品。

No.39 4点 クリスティ再読
(2015/08/16 21:01登録)
この作品を読み直すのはほぼ40年ぶりである...こんな企画をしようと思わなければ、本作を読みなおそうなんて考えなかっただろう、と思うくらいに本作の再読性は悪いんだよね。で実際に読み直した印象は「長い短編」である。とくに戦後のクリスティは小説的な充実度が高まるけども、本作にそういうものを要求してはいけない。
まあこういう真相だと、中盤の各乗客への尋問もあまり意味のある内容がないし、多すぎる乗客の個性を追及もできないし...と、中盤の興趣がかなり削がれている上に、ポアロも急に真相に気がついてしまったりして、真相へ迫る紆余曲折もないんだよね。「長い短編」ってそういうことだ。

でまあ背景がリンドバーグ誘拐事件を下敷きにしているのは有名な話だけど、要するにこれ「アメリカ」がテーマ。で「民族のるつぼ」アメリカなので....というあたりで、単なるエスノジョーク風のステロタイプの展覧会に堕しているあたり、評者に言わせるとクリスティの限界なんだよね。趣向を思いついて無理に書いたのだろうか....リンチとか陪審裁判とかアメリカ的なニュアンスは明白だよね。

まあだからこれは有名作だけどただの「長い短編」。長編作家クリスティの本領発揮というわけではまったくない。

(完全ネタバレ)やはり評者の判断は、どうしても真相に納得がいかない...という点にある。雪の中で停車した静かな列車の中を、大人数がウロウロしているのに、隣室の耳さとい老人であるポアロが全然気が付かないのは不自然だ。部外者が乗っており、かつ雪で停車している想定外の危険な状況なのだから、計画は中止するのが大人の判断ってものでしょう?

No.38 8点
(2015/06/23 09:56登録)
列車内での殺人。犯人は10数人の乗客、乗員の中の誰なのか。
クリスティー作品の中でも人気の作品。
仕掛けが有名で、その後の流用もあります。
好きな点、上手い点としては、被害者が一人ということ、ポワロの最初の推理の対象人物があの人だったこと、そしてポワロの謎解きの締めくくり方、ですね。

本作は2度読み、3度読みにも耐えられる内容となっています。
といっても、伏線を確認しながらという理由ではなく、つぎのように解釈したからです。

この作品はじつは、ミステリーというよりはむしろ
(ここから少しネタバレ風)

忠臣蔵なんですね。
直近の年末か年始にテレビで放映された、三谷幸喜版の「オリエント」を観て、そう思いました。
このドラマには第2部があって、そこで、あだ討ち(殺人の実行)までのエピソードが明かされる。これが第1部と同じぐらいに面白い。
こんな作り方、楽しみ方もあるのだなと感心しました。そして今回の再読。
背景を想像しながら再読すれば、忠臣蔵と同じように、なんどでも楽しめます。

当然ですが、本格ミステリーとしての価値は、仕掛けを知らずに読む1回目にあります。
その際に、フェアと感じるか、アンフェアと感じるかは読者しだい。
私は、本書が本格ミステリーであると標榜する以上、アンフェアと判断されてもしかたなしとは思います。が、それでも当時楽しめたので、潜在的に忠臣蔵を感じとっていたのかもしれませんw

以上の理由で、再読でも面白い。
本作のジャンルは、本格ミステリーではなく、本格ミステリー風復讐モノ超娯楽作品なのです。

好きな作品なので以上のように擁護しましたが、正直なところ、再読はやはりねぇ~(笑)。

No.37 7点 斎藤警部
(2015/05/26 12:13登録)
幸いにもネタバレ無しで、同じ中学の友達から借りて読んだものです。

(ここから微妙にネタバレ的)
ところが創元推理文庫さんの冒頭惹句の無神経な(?)言葉選びでピンと来てしまったのですね、もしやこれは。。と。 本当にそうなんだろうか。。と緊張感たっぷりに楽しく読めました。となると様々な伏線がいちいちいかにも怪しく見えて、面白かったなあ。でも開けっぴろげ過ぎる手掛かりと言いきめの粗い話の展開と言い、そんな大傑作とまでは思いません。 もう少し真犯人ミスディレクションや、それと直結する詰まったストーリーテリングに心を砕いたらもっと驚愕の、そして深みのある感動の結末になるだろうに、物語の終着駅までまっすぐ飛ばし過ぎなのでは。。 

でも、やっぱり代表作には違い無いですよね。んで子どもにミステリーを勧めるならとりあえずこれとかアレとかは後回しにするのが大人の責任でしょう。 あとこの大ネタは長編小説や映画の中だからこそ活きるんであって、安易に推理クイズに流用するのは大罪の上にアホの骨頂だと思いますよ。 それにしても、何か語らずには通り過ぎられない問題作。 流石、企画の女王アガサです。

No.36 10点 sophia
(2014/05/31 00:36登録)
小学生の時に児童向けの読み物みたいなので読んだのが最初。
こんなのがアリなのかと衝撃を受けたのを覚えています。
本格的にミステリーにはまったのは大人になってからですが、間違いなくその礎となっている作品です。
ラストに解答が2つ提示されるというのが趣深い。

No.35 6点 ボナンザ
(2014/04/08 17:37登録)
アクロイドの影に隠れた感はあるが、これも衝撃的な作品ではある。
今となってはネタバレなしで読める人の方が少ないかもしれないが・・・。

No.34 4点 ウエーバー
(2014/03/30 00:54登録)
ネタバレありです。

容疑者全員が犯人だなんて冗談でしょ。バカにされた気分で後味が悪い。

No.33 8点 take5
(2013/08/18 21:37登録)
映像のイメージが強い方も多いのではないでしょうか?
異国情緒トリックと、やはり女史はすばらしい。

No.32 4点 バード
(2013/07/24 08:02登録)
名作相手に申し訳ないが低評価。
物語としては終始列車内での取調べで動きもなくひたすら淡々と進み起伏がないそれゆえどうしても退屈さを感じさせてしまう。それでもクリスティ作品なら期待できるとなんとか読んでいったが最後が・・・。
自分は〇〇ものは嫌いなのだがまさか一人以外全員〇〇とはね、これじゃ取調べなんて全部ただの茶番だし犯人当てもあったもんじゃないと思う。新しい試みといわれればそれまでだが自分には合わなかった。

No.31 9点 メルカトル
(2013/03/02 23:51登録)
この作品は、私が思うにクリスティーの代表作の一つではないだろうか。おそらく多くの読者がこの意見に賛同されると思う。それくらい意外性のある、クリスティーらしい大仕掛けの逸品であろう。
アリバイ崩しがメインかと思わせておいて、実は究極のフーダニットだったという、いかにもなアイディアには脱帽せざるを得ない。
それにしても、さすが灰色の脳細胞を誇るポアロだけのことはあり、これだけの事件を見事に解決に導いているのはさすがだ。
事件そのものは、考えてみれば単純なものだし、容疑者も完全に限定されているので、簡単に解けるかと言えば決してそうではない。
単純なトリックほど盲点になりやすいという、好例ではないかと。
余談だが、アルバート・フィニー主演の映画もDVDで観たが、こちらも面白かった。お薦めである。

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