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[ 社会派 ]
野の墓標
水上勉 出版月: 1961年01月 平均: 5.00点 書評数: 1件

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新潮社
1961年01月

東方社
1966年01月

朝日新聞社
1972年01月

集英社
1978年04月

No.1 5点 2011/06/28 21:30
昭和30年台の繊維業界を舞台にした連続殺人を扱った、いかにも社会派らしい作品です。ただし、殺人動機は社会的背景を持ってはいるものの、企業犯罪と言うには個人的すぎるようです。そのあたり、『海の牙』とも共通するように思いますが、この作者の個人と社会との捉え方なのかもしれません。
事件自体については、冒頭で墜落死する男をやとって看板を描かせた意味がないというところが不満です。そのようなことをしたために、被害者の弟である雑誌記者や警察が疑念を抱くことになるわけですから、ストーリーを成立させるためのご都合主義と言われてもしかたがないでしょう。雑誌記者と刑事との視点を交互に使っていく手法も、それほど効果的とは思えません。
とはいえ、殺人現場の一つである京都嵐山の奥から、綾部の方の情景描写はさすがですし、上述の点を除くと犯罪計画も無理なくできています。いい意味で時代性を感じさせる作品と言えると思います。


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水上勉
1982年12月
蟲の宴
平均:5.00 / 書評数:1
1976年08月
ヨルダンの蒼いつぼ
平均:5.00 / 書評数:1
1967年01月
修験峡殺人事件
平均:5.00 / 書評数:1
1965年01月
海の墓標
平均:5.00 / 書評数:1
1964年01月
吹雪の空白
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1963年01月
薔薇海溝
平均:6.00 / 書評数:1
死火山系
平均:6.00 / 書評数:2
飢餓海峡
平均:7.83 / 書評数:12
1962年01月
平均:6.00 / 書評数:2
若狭湾の惨劇
平均:6.00 / 書評数:1
海の葬祭
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死の流域
平均:6.00 / 書評数:1
1961年01月
野の墓標
平均:5.00 / 書評数:1
雁の寺
平均:5.00 / 書評数:2
1960年01月
火の笛
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平均:5.00 / 書評数:1
巣の絵
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海の牙
平均:6.00 / 書評数:4
平均:6.00 / 書評数:2
1959年01月
霧と影
平均:7.50 / 書評数:2