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[ 社会派 ]
海の墓標
水上勉 出版月: 1965年01月 平均: 5.00点 書評数: 1件

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講談社
1965年01月

日本文華社
1967年01月

実業之日本社
1978年03月

No.1 5点 2019/07/29 23:29
北海道根室半島の突端にある珸瑤瑁の村に住む男が、コンブ採りに出てソ連に拿捕されるという事件がプロローグに置かれています。地方の村、特に海浜の寒村を描くのが巧みな水上勉らしい雰囲気のある作品です。昭和37年11月から翌年12月まで雑誌掲載されたもので、この時期は作品内容と密接な関係を持っています。ソ連との間に漁業協定が結ばれたのが昭和38年6月で、連載中だったわけです。犯人逮捕に向かうラストはこの協定を受けて、当初の予定に変更を加えたものでしょう。小説のテーマとしてはうまく結びついていますが、そのため警察が多少間抜けな感じになり、また警察に協力した被害者の友人の存在意義が希薄になってしまっているとも言えます。
真相の大まかな部分は途中で見当がつくものの、証拠不足がネックという展開ですが、十善警部補がいつの間にか事件全容を解明してしまい、捜査過程が描かれていないのはいただけません。


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水上勉
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