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[ 社会派 ]
修験峡殺人事件
『黒壁』を改稿改題
水上勉 出版月: 1967年01月 平均: 5.00点 書評数: 1件

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集英社
1967年01月

角川書店
1982年11月

KADOKAWA
1985年04月

No.1 5点 2022/05/23 23:17
1961年に『黒壁』のタイトルで発表された作品を、なんと20年以上後の1982年に大幅に手を入れて改題したものだそうです。象徴的なタイトルが、流行のトラベルミステリっぽいものに変っても、中味はやはり水上勉らしい、地方の風俗、風景が印象に残る社会派作品です。
「通産省の出店のようなもの」である近畿地方公益事業部の土木担当課長が行方不明になるのが発端で、その課長が死体で発見される第3章以降(全15章)は、ほぼ警察官の視点から書かれています。水上勉作品にはよく警察に協力する民間人が登場しますが、本作の殺された課長の部下甲斐は、最後にほとんど名探偵っぽい説明を、刑事にしてくれます。でもこれは、近畿の数県の刑事たちが調査結果を持ち寄って真相に迫っていく過程を描いた方が良かったようにも思えます。
しかし、この作家には珍しくダイナミックな迫力のあるクライマックスはなかなかのものです。


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水上勉
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