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[ 警察小説 ]
果断
隠蔽捜査シリーズ
今野敏 出版月: 2007年04月 平均: 7.23点 書評数: 22件

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新潮社
2007年04月

新潮社
2010年01月

No.22 5点 パメル 2020/04/01 18:07
拳銃をもった強盗犯の立てこもり事件を巡る物語。いわゆるキャリア組の警察署長がさまざまな角度から描かれ、さらに凶悪事件の意外な裏側が暴かれる警察小説。
立てこもり事件が長引いた場合、警察責任者がどんな選択をしても、あちこちから非難されるのは必至でしょう。強行突破はたいがい最後の手段である。人質の人命を第一に考えるのはもちろんのこと、武装した警察官も命がけで任務を果たさねばならない。さらに背後では警察内部の複雑な対立関係が絡んでくる。
本作では署長の立場から、こうした凶悪事件の最前線における表裏が克明な筆致で描写されており、一般の捜査員を主人公にした警察ドラマとは大きく異なった葛藤とサスペンスを盛り込んでいる。犯罪と警察の問題のみならず、トップに立つ者の「決断と責任」という困難な問題が、鋭く描かれている。
警察内部の足の引っ張り合いの、いわゆる暴露ものがメイン。前作に比べ、ミステリ色は濃くなっているがこれは「竜崎物語」。

No.21 7点 take5 2019/06/14 23:58
警察物としては、主人公に肩入れできて、
大変読みやすい作品です。
きっと、こうありたいという信念を体現してくれるからかと思います。
そして、古い古ーいこうあって欲しい奥さんや
子供たちが描かれる、悪くいえばご都合主義の極致、
しかし次回作を読みたい私は、
古いご都合主義な人と言えるでしょう。

No.20 8点 haruka 2015/12/30 17:30
大森署長になっても竜崎のぶれない言動が読んでいて心地よい。

No.19 8点 蟷螂の斧 2014/05/15 11:46
1作目の隠蔽捜査より楽しめました。エンタメ系と捉えているので、細かいことには目をつぶりましょう(笑)。警察関係の方から見れば、題名にかかる判断や行動等は大いにクエッションマークがつくものと思いますが、それはそれで楽しめればいいのでは・・・。金融関係者としては、半沢直樹シリーズ(TV)は食指が動かなかったのですが、妻や子供たちは大いに楽しんでいました。そんな感じで本作を捉えています。普通のことを普通に言うと「変人」扱いされることはよくあることですね。大昔の話ですが、金融機関は融資をするため企業の決算分析に力を入れるのですが、自分の会社(金融機関)の分析をほとんど行っておりませんでした。これではおかしいと言うとよく「変人・奇人」扱いされたものでした。竜崎の心情が理解できます(笑)。今や金融庁検査はこれが主流となっています。かなり横道へ逸れてしまいましたが・・・。このサイトに投稿を始めたころは、ミステリーは謎である、よって謎のない小説は低評価としていましたが、ジャンル別が導入(発案者ならびに管理人の方に感謝)されてからは、考えが変わってきました。本格系、サスペンス系、エンタメ系などジャンルを考慮するようになりました。また作品が書かれた年代も考慮するようになって来ました。進歩か?。この書評が600冊目となり、ちょっと関係ないことを書いてみたい気分でした。

No.18 7点 いけお 2012/05/27 01:43
前作と比較して、半端なミステリ感を加えたのが減点ポイント。
ミステリ部の完成度が高まった続編に期待したい。

No.17 6点 こう 2012/01/21 00:21
個人的には主人公竜崎のキャラクターがぶれてなければこのシリーズは楽しめます。
 変わり者なのに家庭での妻や息子、娘とのコミュニケーションが良好な所も気に入っている点です。伊丹や口が悪いけれど実は優秀な戸高など脇役たちも気に入っています。
 不満点としては竜崎の行動が結局階級が高いことと伊丹との関係があるから通用しているんであってただの署長であれば出来ないだろうということと事件の真相がお粗末だなあということです。戸高の優秀さを示すためでしょうが彼一人が気付くポイントもそんなに鋭いとは思えません。それは3以降でも毎回感じる所です。
 肝心の事件については不満もありますが竜崎の言動や家族、脇役たちとのやりとりが好きなので楽しめました。というより3以外は楽しめています。

No.16 7点 あびびび 2011/06/14 17:27
相変わらず、竜崎は清廉潔白、不動心を持つ警察官の鑑である。しかし、この竜崎の態度、行動がそれまでの警察を揺るがすものとすれば、警察は魑魅魍魎の世界なのか?

ただ、今回の事件で、立てこもり犯が死んだ時に、突入したSATが撃ったのかどうか分からないなんてありえない。その他、いろいろな設定は疑問符がついた。

No.15 8点 3880403 2011/04/05 23:48
前作のキャラのほうが個人的には好きだったが、今作も面白かった。
警察小説好きなら楽しめると思う。

No.14 7点 ムラ 2011/02/11 05:21
(ネタバレあり)

やはり竜崎というブレのないキャラや、それに負けない妻がカッコイイ。なんだかんだで責任に右往左往される伊丹とのコンビでさらに際立つと想う。
一作目では完全に憎まれ役な戸高も今回ではいいキャラに仕上がってましたね。主席監察官の小田切も渋い感じですねぇ。
作品自体も最初の事件をきちんと返していて飽きずに読ませられる。
だけど、実は人質が犯人かなんてポカを起こすかなぁという疑問。
今回よりも追い詰められ、その問題に立ち向かった一作目と比べちゃうとどうしても劣ってしまうのも残念。

No.13 5点 シーマスター 2011/02/05 23:58
世評は随分高いようだが、どうもよくわからない。

そもそも、「小料理屋で口論が聞こえた」「その後そこにいくら電話しても誰も出んわ」「2発の銃声音が聞こえた」・・・これだけで【人質、立てこもり】事件と決めつけ、刑事達のほかに早々にSITやらSATやらまでもがゾロゾロ出てくるのはあまりにも大袈裟というか警察側の独り相撲に感じられるのは事情知らずというものだろうか。
また、そこまでしてせっかく使ったファイバースコープでもっと真相に迫る情報を得られたはずではないか?

そして最初に突入した隊員達は犯人が生きてたか死んでたか全くわからなかったってこと?
相手が立ってたか倒れてたかもわからなかったってこと?
相手が撃ってきたかどうかもわからないって?
目をつぶって突入、狙撃したのか?

その後ゴチャゴチャあってから、終盤一気に盛り上がる捜査は緊急性もない(心配なら見張りをつけておけばいいだけ)のに自分達の意気高揚にまかせて夜中だろうが何だろうが多数の非番の警察官、科捜研の職員のみならず一般市民すら平気で叩き起こすフルスロットルぶり。

最終的に判明した事実も、「事件の際にそんなことも調べないで【人質、立てこもり】と大騒ぎしてたのか」と思わせられるところが大だし、例の隊長の後出し証言もありえんだろう。

「主人公のキャラクターで読ませる小説」というのも分かるが、その点では前作を越えるものは何もなく忌憚なく言えば、このカッコよくも非現実的なキャラ描写にも「少々飽きてきた」。
こういうのは新しい要素が盛り込まれているのでなければ、一度だけの物語だから感動するのではないかとすら思えてくるんだよね。
そこでふと気づいたのだが、自分が前作を「かなり楽しめた」のはこの「キャラへの感動」によるところ以外に、ハッピーエンドかどうかも知らなかった、つまり「もしかしたら悲惨な結末が待っているのかもしれない」と思いながら読めた、それほど作品に対して無知で臨めたところが大きかったようだ。

No.12 8点 HORNET 2011/01/10 20:25
 「竜崎氏のキャラクターだけ」と言われれば確かにその通りかもしれません。しかし逆に言えば,それだけで読めてしまう魅力が竜崎にはあるということ。キャリアでありながら原理原則を貫くその姿勢,「わざとらしいほど」そのギャップにとまどい感じ入る周りの人間とその描写,読んでいて思わずにんまりしてしまう文章です。
 ミステリ要素は入れ込まんとして入れ込んだ感があるので,それでこれならば十分満足。今野敏および隠蔽操作シリーズにはまった作品です。

No.11 6点 itokin 2010/12/01 09:52
竜崎だけのキャラクターで読ませる本。ミステリー性も余り無く、同じ表現の繰り返し、ご都合主義も目立つ。ただ、さらっと読めるだけと感じた。

No.10 8点 2010/11/22 22:06
ミステリー性はそれほどありませんが、竜崎のキャラクターとストーリーの上手さで一気に読みました。

No.9 8点 VOLKS 2010/11/12 02:54
他の人の書評にもあるように、本当に「竜崎氏」という人物は魅力的なキャラだ。
「仕事人間・竜崎」職場で『頭脳』として働く反面、本当は仕事だけではなく非常に人間味溢れる部分も持ち合わせている、と読者に感じさせる「家庭」の部分にも触れているあたり、このシリーズの面白味に奥行きが出ているように感じる。
ただ、個人的にはシリーズ1作目の方がインパクトがあったかな。

No.8 9点 ZAto 2010/10/17 22:38
一層キャラクターに磨きをかけていく竜崎だが、周辺の人物たちも竜崎と絡むことで生命を吹き込まれていく。
まさに今野敏のプロットの巧みさを痛感させられる一編だった。
第一作が「真のエリート官僚とは何ぞや」と読者が理解していく小説だったとすれば、今回のは読者に竜崎伸也という男を追認させていく小説だといえるのではないか。

No.7 6点 E-BANKER 2010/07/05 00:21
日本推理協会賞&山本周五郎賞のW受賞作。
世間的にも評価の高い作品です。
キャリア警察官僚の主人公、竜崎の心理描写や大森署をはじめとする警察機構での対立や人間模様については、確かによく描きこめてますし、良質の警察小説の”匂い”を感じます。
ただ、本筋であるはずの立てこもり事件そのものの謎がちょっと陳腐すぎるのが玉に瑕ですねぇ・・・
事件のからくりが単純すぎるので、ミステリーとしては世間ほどの評価をしにくいというのが本音です。
あと、本筋とは全然関係ないですが、前半部分で竜崎がPTAや教師連中に言う言葉があまりにも正鵠をついていて、非常にすっきりさせられました。

No.6 8点 りんちゃみ先輩 2010/03/31 20:29
警察内の人間模様、竜崎のキャラクター、この2点がこのシリーズのすべてだと思う。それだけでおもしろく読ませてくれる、すごい小説だ。次作も早く文庫されないか、待ち遠しい。

No.5 7点 2010/03/11 11:30
西上心太の解説によれば前作『隠蔽捜査』よりもミステリー的な味付けが濃いということだが、本当にそうだろうか。たしかにラスト100ページ(文庫版)ごろ(刑事・戸高の疑問が表れた時点)から物語は急展開に進み、にわかにミステリーらしくなりおもしろくなることにはちがいない。でも私はその段階で結末が読めてしまった。実は早いうちから、戸髙が感じたものと同じ疑問を抱いていた。だから、私にとってミステリー要素が濃いとはいえない。むしろ、ラストをどう締めくくるのかまったく読めなかった前作のほうがミステリーとして楽しめた。本格マニアが躍起になるフーやハウ、ホワイばかりでなく、読者に展開やラストを簡単に読まれないようになっていることも、ミステリーとして重要な要素だと私は思っている。そういう意味で本書はミステリー要素が不足しているように思う。しかも、所轄警察署が舞台のテレビ的なストーリーは陳腐な感がし、そこも前作より評価が落ちる要因となっている(前作は第1作ということによる衝撃もあったが)。とはいっても本書は、竜崎伸也のキャラと、読みやすさ(ストーリーの良さ)と、著者の文章テクニックとが有機的に結びついて読者を惹きつけてくれているから、傑作にはちがいない。

(ちょっと余談)
今野氏は女性ファンが多いと聞く。男の世界を描いた小説が多いのになぜ、とはじめは不思議に思っていたが、何作か読むうちに、これだけ心理描写が多くてしかも上手ければさもありなんと納得した。氏の作品にはハードボイルドもあるようだが、まともなハードボイルドになっているのだろうか、すこし疑問だ。まあ氏のテクニックなら大丈夫なのだろう。次回はぜひ氏のハードボイルド作品を読んでみよう。

No.4 8点 simo10 2010/02/27 20:43
この作品は一作目に比べ、幾分ミステリ要素はあるので点数制限の枠もそれなりに取り払いました。
本作でも主人公の人物像は一作目から全くブレおらず、前作に引き続きその魅力を堪能できます。また、主人公の新たな職場での活躍ぶりと、その回りの人間関係を楽しめます。
二作目にしてマンネリ化してるとも思われる「最初は嫌だった登場人物が実は…」的なパターンがあるのですが、どうにも私はこのパターンが好きなようだ。作者の見せ方が巧いんだろうけど。
意外な人物の名探偵ぶりも楽しかった。
幼少期にこのシリーズを読んでいたら、警察官になりたいと本気で考えたかも。

No.3 8点 Take 2010/02/06 02:15
ミステリの要素など、正直、おまけのようなものだった。

なぜ、これほどまで竜崎を魅力的に感じてしまうのか。
その点に、自問自答してしまう。
息子との会話がなんとも可笑しい。

どうにも嵌ってしまったらしい。
きっと、近い内に、続編を読むのだろう。


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