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[ サスペンス ]
カリオストロ伯爵夫人
怪盗ルパン
モーリス・ルブラン 出版月: 1973年01月 平均: 6.00点 書評数: 3件

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東京創元社
1973年01月

偕成社
1983年09月

早川書房
2005年08月

偕成社
2005年09月

No.3 8点 クリスティ再読 2022/10/25 19:29
皆さんカリ城が好きすぎるんだね....確かに名作だけど、クラリスといえば「ロリコン」という言葉を流行らせたネタ元だし、当時は「へのへのもへじ」という批判も大きかった記憶があるんだがなぁ。

それはともかく、本作は至って大人向き。「黒蜥蜴」で言うなら、エロスに満ちた乱歩原作側よりも、愛の不条理の三島由紀夫の戯曲のテイストが強い。ラウールとジョセフィーヌとのガチの恋愛劇と読むのがいい。ちなみにジョセフィーヌは「カリオストロ伯爵夫人」ではないからね。「夫人」じゃないのだよ。comtesse だけど、設定上「カリオストロ伯爵」の女性継承者だから、しいて言えば「カリオストロ女伯爵」。しかも「ルパンになる前」のラウールの愛人かつ師匠の立場で、修道院の秘宝を巡って、愛人であっても競争相手であることを両者が熟知しつつ、愛しあいながら騙しあい戦いあう、という評者の絶妙の萌えポイントを突いてくれたのだ!

わたしの美しさは嘘ではないわ、ラウール。戻ってくれるわよね。だってわたしの美貌は、あなたのものなんだもの

いやいや、愛の名セリフというべきでしょうよ。この「地獄の女」ジョセフィーヌが発揮した残忍さに、ラウールは「突然あらわれた肉食獣の顔」を見てしまう....それまでは「勝ち負け」はあっても愛は変わらなかった二人の関係も、ついに決裂。ラウールがジョセフィーヌの愛を断ち切るためには、何としてもこの「勝負」に勝ち、「師匠」を弟子が圧倒的に凌駕しなければならないのだ!

そういう小説。このオリジナリティ溢れる愛のかたち。これがあるから、クラリスなんてどっかに吹っ飛んでしまうよ。

No.2 5点 E-BANKER 2014/05/26 23:09
1924年に発表された長編作品。
ルパン三世「カリオストロの城」のモチーフとなった作品というのは有名で、もはや説明不要だろう。
ルパンの若かりし頃の冒険譚なのだが、発表年でいうと作者後期の作品ということになる。

~世紀の怪人物の末裔と称し、絶世の美貌で男たちを魅了するカリオストロ伯爵夫人ことジョジーヌ。彼女は権謀術数を駆使する怪人・ボーマニャンを相手に、普仏戦争のどさくさで失われた秘宝を巡る争奪戦にしのぎを削っていた。その闘争の最前線にひとりの若者が割り込む。その名はラウール・ダンドレジー。彼こそは、のちの怪盗紳士アルセーヌ・ルパンその人だった。妖艶なる強敵を相手にした若きルパン、縦横無尽の大活躍!~

ネームバリューほどの作品ではなかったなぁ・・・という感じ。
冒頭に触れたとおり、ルパン三世の劇場版で親しんだ方も多いであろう本作。
(もちろん筋書きはかなり違うのだが・・・)
しかも、ルパンがまだまだ血気盛んな20歳という設定。美少女クラリスとの逢引(表現が古いな!)シーンから始まる本作。
しかし、序盤早々にカリオストロ伯爵夫人と遭遇するや、その美貌の虜になり、早速男女の仲となる・・・
やっぱり、ルパンは昔からルパンだったということ。
ただし、その後ルパンはこの二人の女性の間で行ったり来たりすることになる・・・
(浮気性だねぇ・・・)

普通の作品なら、当然秘宝を巡る争奪戦が本筋ということになるのだが、本作ではそれが霞んでしまっている。
何よりカリオストロ伯爵夫人のキャラクターが強烈すぎるのが理由なんだろうけど、そこがどうも気に食わない感じだ。
ラブストーリーもいいのだが、やっぱりルパン対好敵手のワクワクするような冒険譚というのが求める作品になるので、他の有名作と比べると評価は下げざるを得ないだろう。

まぁルパンものを読み続けている方にとっては外せない作品ということにはなる。
(カリオストロ伯爵自体は実在の人物とのこと・・・知らなかった!)

No.1 5点 Tetchy 2009/07/07 22:58
ルパン若かりし頃の事件。
最初にルパンが心奪われたのは稀代の女盗賊だったという、いかにもおフランスな物語ではありませんか!
これに触発されて乱歩は『黒蜥蜴』を書いたとか書かなかったとか。
でもなんかやっぱり大味な感じ。
云わずもがなだが、宮崎駿監督の『カリオストロの城』のモチーフとなった作品だが、宮崎監督はうま~くいいところを採ってますな。


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