皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ サスペンス ] ヒルダよ眠れ |
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アンドリュウ・ガーヴ | 出版月: 1957年01月 | 平均: 5.00点 | 書評数: 7件 |
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早川書房 1973年01月 |
早川書房 1979年06月 |
早川書房 2008年09月 |
No.7 | 5点 | クリスティ再読 | 2023/07/14 13:20 |
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さてヒルダ。改めて読み直すと「ヒルダって言うほど悪女だったのか?」と疑問に感じ始めちゃうのが、なかなかに厄介な話。今でいえば発達障害とか実はそういう「思い込みが強くて、周囲に気が使えないキャラ」で、勝手に周囲がヒルダを嫌うようになっていた....なんていうマギレが今では起きてしまっているのかもよ。
もちろん時代柄もあって、ガーヴはそんなこと考えてない。 どちいかいえば「幻の女」の被害者も「悪女」系だったから、それにヒントを受けて、調査が進むにつれ「証人が消える」話を「被害者のキャラが変わる」話にしてみた、というあたりなんじゃないかと思う。 でも、ホント皆さんご指摘の通りで恐縮だが、後半のメロドラマが退屈なんだよね。しかしだ、このメロドラマ調にガーヴっぽさを感じないわけでもないのが、痛しかゆし。困っちゃう。 まあシニカルな結末が好きなら、マックスと結婚したステファニーがどんどんと「ヒルダ化」するとかね、そんな不謹慎な想像もしてしまう。 そのくらい読んでいてモヤモヤし続けだった話である。 |
No.6 | 6点 | ことは | 2019/03/20 00:02 |
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瀬戸川さんの文庫解説に共感。犯人が絞られる展開はあっけないし、後半になってくると視点人物は変わるし、最後の自白は冗長すぎる。
でも、途中の展開は私立探偵小説のようで、少しずつ見えてくるヒルダのキャラクターは、気味が悪くてザワザワする感じでよい。「傑作」「名作」ではないけど、後々まで残る個性的的な「佳作」ではあると思う。 いいところと、残念なところのある、ガーヴの習作というところ。 あ、最後の章(数ページだけだけど)は、ガーヴ印。(お話でも、そんな風にするかよっで感じ。苦笑) |
No.5 | 3点 | 斎藤警部 | 2015/05/22 16:24 |
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このお話、東野圭吾さんが書いてくれてたら、どうだったでしょうかねえ。。
「あまり面白くなかった」がぴったり来ます。 「嗚呼、詰まらなかったな~」と記憶に残る所まで行きません。本サイトを覗いてて「ああ、そう言やぁ」と久しぶりに思い出したくらい。 サスペンスの薄いサスペンス小説。 もっと面白そうな未読の「メグストン」が家にあるから、早く読もうっと。 |
No.4 | 3点 | mini | 2013/10/04 09:58 |
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先月25日に論創社からアンドリュウ・ガーヴ 「殺人者の湿地」が刊行された、論創社がガーヴを手掛けるのは初めてじゃないかな
ガーヴは翻訳には恵まれた作家で、中期の「The Narrow Search」を除けば未訳なのは殆ど後期作に偏っており、「殺人者の湿地」も中期から後期にかけての作である ただガーヴの未訳作を出すなら、1957年という最も脂ののっていた時期で唯一の未訳作である「The Narrow Search」にして欲しかったなぁ 某有名掲示板で、”Aを出すなら、BかCを出せ”という意見が出るとすぐに反論する人が居て、曰く”AだけじゃなくてBもCも出るんだから”などと屁理屈を言う 分かってねえ奴だよな、出版社だってAを出すのに労力を使ってるのだから、その労力が勿体ねえんだよ Aを優先したがためにBもCも永久に出ませんでしたみたいになる可能性もあるのだ、やはり選別は慎重にやらなければ それ出すならこっちを出せ、みたいな意見があるのは当然なんだよ ガーヴみたいに恵まれてる作家はまだいいが、海外では評価高いのに全著作の1~2割程度しか翻訳されておらず不当に無視されまくりの作家だっているのだ さてガーヴの初期作いやデビュー作が1950年の「ヒルダよ眠れ」である ガーヴは初期には本格っぽいのを書いていたのは有名で、ガーヴの本領が発揮されてくるのは中期の50年代後半の作である ガーヴについて私が思うのは、物語の進行過程を丁寧に描く”計画とプロセスを楽しむ”タイプの作家だと思う 例えばさ、小学生とかが明日遠足に行くので前の晩にバッグに何を詰めて持っていこうかいろいろリストアップする楽しみってあるでしょ、案外と遠足当日は大して楽しくなかったりしてね(苦笑) 「ヒルダよ眠れ」もまさに被害者の性格がだんだんと暴かれていく過程の面白さはたしかにあることはある しかしガーヴはこれを本格のカテゴリで書いているのが失敗なんだと思う、作者の資質に合ってない だからプロセスももう一つ面白くない、謎解きは中途半端、いや全てが中途半端な作になってしまっている やはりガーヴの本領は冒険精神とサスペンスの絶妙なバランス、どうしようこうしようと画策するワクワク感が持ち味なんだろう 私はガーヴは3作しか読んでいないが、定評ある「メグストン計画」と「ギャラウエイ事件」が評判通りの2トップなんだと思う しかし当サイトの書評では「メグストン」は1件、「ギャラウエイ」は書評0件である、これは残念 私の好みでは「メグストン計画」よりも特に「ギャラウエイ事件」の方がメチャ面白かった、これを読んでいただければ、比較論として私がなぜ「ヒルダ」にこうも低い点数を付けたのか分かってもらえると思う |
No.3 | 5点 | E-BANKER | 2012/10/14 21:12 |
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1950年発表。ガーヴ名義での処女長編作品。
早川文庫で比較的最近出た新訳版にて読了。 ~仕事を終えて帰宅したジョージを迎えたのは、ガスの充満した台所とそこで息絶えた妻・ヒルダの姿だった。自殺と思えたが、死体に外傷があり警察の追及はジョージへと向かう。逮捕、そして裁判へ。そこへ帰国したジョージの戦友・マックスは、友の無実を信じ独自の調査を始める。だが、ヒルダの周囲の人々に聞き込みを行ううちに、そこに意外な事実が・・・強烈なサスペンスで一世を風靡したガーヴの代表作!~ 「知名度ほどの面白さは感じなかった。」 というのが正直な感想だろうか。 アイリッシュの「幻の女」を想起させるプロットと丁寧な筆致で、発表年を勘案すれば一定の評価はすべきかと思うのだが、いかんせんミステリーとしての面白さには欠けるとしか思えない。 「探偵役」を務めるマックスが、主人公「ヒルダ」の正体を過去に遡って調査を行う。調査が深まるほどに明らかになるヒルダの異常な人格・・・この辺りのくだりは緊張感やフーダニットへの期待感も相俟ってドンドン読者を惹きこんでいく。 ところが、いよいよ終盤に差し掛かった「第12章」で、突然に真犯人が判明してしまい、その後はさしたる山場も盛り上がりもなくラストを迎えてしまう・・・ これはやはりミステリーとしては致命傷ではないか? 極端に言うと、12章以降は字を目で追ってくだけで十分という程度なのだ。 これでは「お勧め!」とは言い難い。 ということで高い評価はできないのだが、ヒルダについて、『(ヒルダは)その後内外のミステリーに登場するいわゆる境界性人格障害やサイコ系のヒロインの先駆けである』という文庫版解説には何となく納得させられた。 (でもまぁ、こんなヒドイ女と離婚もできない男なんて・・・何か身に染みる・・・) |
No.2 | 7点 | 空 | 2012/07/18 21:22 |
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以前は「悪女もの」の代表作の1つのように言われていた作品で、旧訳で最初に読んだ時には、ちょっと違うかなとも感じたのでした。
ところが数年前に出た新訳版では、カバー作品紹介には「悪女」という言葉はありませんし、巻末解説でもほとんど見落としそうなぐらいさりげなく1ヶ所出てくるだけです。最初に殺されるヒルダの特異な人物像が、現代では一般的にもよりよく理解されるようになったということでしょう。彼女には決して悪意があるわけではありません。悪意というのは、人が自分と異なることを認識できるからこそ、抱けるものですが、彼女はただ自分とは異なる他者の存在が理解できないのです。解説では「ゾンビさながらのモンスター・ペアレント」と言っています。 アイリッシュの『幻の女』とプロットに共通点があることが指摘されていますが、アイリッシュ・タイプの刺激的なサスペンスを期待するのは、的外れです。 |
No.1 | 6点 | こう | 2012/02/04 01:51 |
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アンドリュウ・ガーヴのデビュー作です。知らぬは夫ばかりの「悪女もの」ですがとはいっても被害者は大した悪女でもないですしここまで変だったら夫も気づくだろう、という人物造形です。真犯人が見つかる所も結末もあっさりしているのは良くも悪くもガーヴらしい作品です。一応デッドラインサスペンスなんでしょうが緊迫感がないのもガーヴらしいですが真犯人を見つけるのが主ではなく被害者ヒルダの本当の姿があらわになってくるところが面白みなんでしょう。同じテーマでもパトリッククェンティンだとこってりするんですがガーヴの作品だけに甘いです。比較的この作品とギャラウエイ事件の知名度が若干高いかなと思いますがレアンダの英雄やメグストン計画なんかが個人的には好みです。 この作品は個人的にはまあまあだった記憶があります。 |