皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ サスペンス ] ギャラウエイ事件 |
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アンドリュウ・ガーヴ | 出版月: 1959年01月 | 平均: 7.67点 | 書評数: 3件 |
早川書房 1959年01月 |
早川書房 1980年01月 |
No.3 | 7点 | ことは | 2019/08/29 00:44 |
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冒頭の二人の出会いから再会まで、とても楽しく読める。
ここの流れはいかにもガーヴ。なるほどクロフツ風との評がでるのもわかる緻密さ。いい。 そこから一転、剽窃事件へ。試行錯誤の道行きが楽しい。最後は冒険小説風で、ここはちょっとベタすぎかなぁ。 どうしてもいいたいのは、ラスト! ああ、これは、エピローグが必要でしょ! 読んだ人、わかるよねぇ。 |
No.2 | 8点 | クリスティ再読 | 2018/11/26 21:34 |
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あれ、本作まだ1つしか評がないや。残念だねえ、本作なんて知る人ぞ知る鉄板の面白作品なのに。ガーヴのツートップとして「メグストン計画」と並ぶ名作である。「ヒルダ」なんて読んでる場合じゃないよ。
新聞記者レニイはジャージー島出会ったメアリという女性と恋に落ちるが、メアリの父である探偵作家ジョン・ギャラウェイに新作の剽窃疑惑がかかり、サレ側としてギャラウェイを追求したアマチュア作家が殺害された容疑で有罪の判決を受けてしまったのだ! メアリはあくまで父の無実を信じ、メアリに恋するレニイはその盗作と殺人の容疑を再調査するのだった...しかし剽窃の証拠もいろいろ揃っていて、なかなか突破口が見つからない。どうなる? という話。ジャージー島で出会ったメアリが突然姿を消す謎がまずはレニイの調査能力の小手調べ。ここでレニイの堅実だがしつこい調査能力をデモしてみせるのが、ガーヴの上手いところだろう。改めてガッチリ証拠の揃った剽窃の謎をレニイは追求して、トリックを暴くことになる。仮説を組み立てては調査しては崩れ、といったあたりをそれこそ「サスペンス」と捉えて読むのがいいのだろうな。筆致はリアルで、仕掛けは凝っているが納得のいく真相である。 で最後はガーヴらしく廃坑での追っかけっこのスリラー&冒険小説のサービスあり。またイギリスのミステリ業界が背景になっているので、特にモデル小説とかそういうわけでないが、ややメタなところを面白がっているテイストが少しだけある。 ギャラウェイや登場する作家たちも「探偵作家」とはなってるが、剽窃されたとなった小説は「海底四十尋」ってタイトルでね。狭義の「推理小説」と冒険スリラーを区別したがらない、イギリスの業界体質も見て取れると思うよ。まさに本作、そういう「足の推理小説」と「ラストの冒険スリラー」が合体した好例みたいなもんだね。 |
No.1 | 8点 | mini | 2014/08/18 10:03 |
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先月末に論創社から、アンドリュウ・ガーヴ「運河の追跡」、ジェイムズ・リー・バーク「太陽に向かえ」、金来成(キム・ネソン)「魔人」の3冊が同時刊行された
今年の論創は毎月複数刊行が続いていたが先月は一挙に3冊、いや頑張ってんなぁ、息切れしないでね その3冊、恒例の刊行前早い時期の当サイト登録は無視されてましたが、やはりガーヴもバークも本格じゃないからでしょうかね、本格以外のジャンルは冷遇ですね ガーヴの最盛期は「メグストン計画」と「ギャラウエイ事件」の2トップが書かれた1950年代半ばだと思われるが、今回出た「運河の追跡」はその両作の丁度間に書かれた50年代で唯一未訳で取り残されていた作だけに期待大だ 「メグストン計画」も面白いのだが、後半の展開がどうせこうなるだろうと予想出来てしまうのがちょっと難点だ、アイデア自体は良いだけに惜しいところ 2トップのもう一方「ギャラウエイ事件」は「メグストン」を上回る面白さである 「ギャラウエイ事件」はガーヴ得意の冒険要素は終盤にオマケで付け加えたか位の分量でしかなく、ガーヴファンには物足らなくて作者の本領が発揮されているとは言い難い 話の大部分は地道な調査と調査結果の検討に費やされるという地味な展開である いや本当に地味、主人公も新聞記者もアマチュア探偵役だし、一応殺人事件は絡むがそこに重点が有るわけではなく、中心は推理作家の盗作スキャンダルとやはり地味 アマチュア探偵役だから殺人事件の調査はプロの警察組織には到底歯が立たない、そこで関連する剽窃事件の方から切り崩していく作戦なのである しかも探偵役が仕事の合い間に調査に没頭する動機は彼女への恋心であって、そもそも探偵役自身が盗作事件の免罪晴らしに懐疑的なのである、だから時々これ以上調査を続行すべきか心が折れそうになる 普通に考えたらとても面白い話になりそうなシチュエーションとは思えない ところがこの地道に地道を重ねるが如しの地味な調査が抜群に面白いのである、こんな面白いミステリー小説は滅多に無い ミステリー小説の面白さって案外こういう展開に有るのではないかと主張したい 地味というのは欠点ではない、地味だからこその面白さなのだ、地味な捜査小説好きな私としてはドンピシャに嗜好のど真ん中である つくづく私はこういうのが好きなんだなぁと思う |