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[ 本格 ]
サム・ホーソーンの事件簿Ⅰ
エドワード・D・ホック 出版月: 2000年05月 平均: 7.17点 書評数: 12件

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東京創元社
2000年05月

No.12 6点 蟷螂の斧 2021/11/17 15:44
①有蓋橋の謎 7点 屋根付き橋の途中で馬車が消失。橋の手前まで轍があるが・・・
②水車小屋の謎 8点 水車小屋の火事で撲殺死体が発見され、被害者が前日に鉄道便で送った手提げ金庫の中から日誌が紛失・・・火事の理由が秀逸
③ロブスター小屋の謎 5点 小屋からの脱出マジック。鎖で手足を縛られたマジシャンは喉をナイフで切られた。自殺?・・・
④呪われた野外音楽堂の謎 7点 野外音楽堂の舞台に現れた黒マントに首縄をつけた怪人が町長を殺害し、閃光とともに消えた・・・動機が良い
⑤乗務員車の謎 9点 車両は金庫室になっており乗務員が中に滞在。その密室内で乗務員が殺され宝石が奪われた。ダイイングメッセージはelf(妖精)とあった・・・ハウダニットばかりにミスリードされ完全に騙された(笑)。宝石の隠し場所も、その特徴を生かしておりGood
⑥赤い校舎の謎 7点 校庭でブランコをこいでいた少年が、十数秒、目を離したら姿を消した。そして親元に身代金を要求する電話が・・・このトリックは思いつかなかった(苦笑)
⑦そびえ立つ尖塔の謎 4点 牧師が尖塔の中に入った。保安官が中に入ると牧師は刺殺されていた。そこにジプシーの男がいたが犯行を否認する・・・
⑧十六号独房の謎 4点 留置場からの脱出。傑作「十三号独房の問題」のオマージュではあるが・・・
⑨古い田舎宿の謎 3点 強盗が裏口の廊下から二度も消失・・・脱力系
⑩投票ブースの謎 5点 選挙の日、投票ブースで刺殺された。周りには誰もいなかった。凶器もない・・・動機が?
⑪農産物祭りの謎 5点 タイムカプセルが埋められたがその中に死体が・・・仕組みがよくわからない
⑫古い樫の木の謎 7点 パラシュートで降下したスタントマンは着地した時、針金で首を絞められ死んでいた・・・成程
⑬長い墜落 7点 ビルから飛び降りてから3時間45分後に死体が発見された・・・それしか考えられない(苦笑)

No.11 8点 あびびび 2017/10/13 12:15
久しぶりに楽しめた短編集だった。長編にすればもっと謎が深まりそうな題材もあったが、サム・ホーソーンが軽いフットワークで推理する。中には、現実的に無理なのでは?というのもあったが、これはこれで楽しめた。

しかし、これだけトリックを使って、後の作品は大丈夫なのか?と思ってしまう。

No.10 8点 nukkam 2016/09/09 15:08
(ネタバレなしです) ホックは何人ものシリーズ名探偵を生み出していますがサム・ホーソーン医師のシリーズは歴史本格派であることとほとんどの作品で不可能犯罪を扱っているのが特徴です。1996年に出版された第1短編集の本書は1974年から1978年にかけて発表された12作品が収められており、作中時代は1922年3月から1927年9月にまたがっています。全部で70を超すシリーズ短編を書いただけに当たり外れはありますが本書は当たり作品が多く、謎の提示、推理の積み重ね、合理的な謎解きと本格派推理小説の基本を守った作品が並んでいます。ホワイダニットとしても面白い「水車小屋の謎」、よく考え抜かれたトリックの「ロブスター小屋の謎」、留置場からの脱出を描いた「十六号独房の謎」が私のお気に入りです。なお創元推理文庫版は非シリーズ作品の「長い墜落」をボーナス追加していますがこれは蛇足で、シリーズ作品のみで統一した方がよかったと個人的には思います。割を食ったのが非シリーズ短編集の「夜はわが友」(1991年)で、米国オリジナルではこちらに「長い墜落」が収めてあったのに創元推理文庫版では削除の憂き目にあいました。

No.9 6点 名探偵ジャパン 2015/11/04 11:37
一発トリックものの短編集。
まず不可能状況を想定して、それに見合うトリックを考えていった、という作りなのかなと思った。
「屋根付きトンネルに入った馬車が消える」
「一度埋めたタイムカプセルから死体が出てくる」
「パラシュート落下した人間が、空中にいる間に絞め殺されている」
どれもとびきり魅力的な謎で、早く解決を知りたい、とページを捲る手が早くなってしまう。「まあ、それしかないよね」という当たり前のトリックであることも多いのだが。
しかしながら、これだけのトリックを、短編に惜しげもなく投入する太っ腹ぶり。(現在なら、本作の中でも気の利いたトリックを使って、中編や長編を書いてしまう作家が多いだろう)
禁酒法時代の話で、その反動なのか、語り手である年老いたサムが、聞き手にやたら酒を勧めてくるのが面白かった。

No.8 6点 斎藤警部 2015/07/08 00:09
主人公の風貌通り、サラっとヒョロっと爽やかに謎が解けて行く。が、物足りない感じがしないのは何故だろう。やはりそれなりに深い謎と深い解決がずらりと並んでいるからか。好きな雰囲気の短篇集だ。ゆったりした田舎町で次々と起こる不可能犯罪。。(って。。。) 
さてすっかり忘れていましたが、本シリーズは老医師サム・ホーソーンが若い頃の探偵譚を若者に語って聞かせるという、まるで半七捕物帳みたいな形式だったんですね~
シリーズ番外篇「長い墜落」も、何だか熱いぜ。

No.7 7点 ボナンザ 2014/10/26 23:47
サム・ホーソーンシリーズでも最高とされる一冊目だけあって不可能犯罪のオンパレード。
おまけの長い墜落もハウダニットとホワイダニットを合わせた名作。

No.6 7点 りゅう 2012/01/28 15:21
 全編不可能状況を示す謎が提示されていながらも、合理的な解決がなされているハイレベルな短篇集。アイデアの面白さという点では、チェスタトンに似ているのでしょうか(チェスタトンの作品は一作しか読んでいませんが)。文章に関しては、チェスタトンよりもはるかに読みやすいと思います。個人的ベスト作品は「水車小屋の謎」。
「有蓋橋の謎」
 真相は予想どおりと言うか、それ以外有り得ないだろうと言うもので、拍子抜けしました。
「水車小屋の謎」
 トリックが秀逸、真相も凝っていますが、それ以上に伏線の張り方の見事さに感心。
「ロブスター小屋の謎」
 あの道具を使うのかなとは思いましたが、記述内容だけでは現場の状況がわかりにくく、犯人や具体的な方法は推理できませんでした。
「呪われた野外音楽堂の謎」
 犯人が衆人環視下で犯行に及んだ動機には説得力がありました。犯人が消えた方法に関しては、そんなものだろうと思っていましたが。
「乗務員車の謎」
 「elf」という単語はそう言えば〇〇でした。真相は確かに状況をうまく説明できています。よく考えればわかったかもと思いました。しかし、宝石はそんなところに隠せるのでしょうか?
「赤い校舎の謎」
 意外な盲点でした。これもあちこちに伏線が張られていて感心しました。
「そびえ立つ尖塔の謎」
 犯人が行なった偽装ですが、危険すぎてうまくいくとは思えません。
「十六号独房の謎」
 脱獄の手法はちょっと拍子抜けでした。
「古い田舎宿の謎」
 二日続けて強盗騒ぎが起こった理由にはなるほどと思ったものの、真相及び脱出方法は肩透かしに感じられました。
「投票ブースの謎」
 ナイフの隠し場所、投票用紙が1枚足りなかった理由にはなるほどと思いました。
「農産物祭りの謎」
 本作品集の中でも飛び切りの不可能状況です。トリックの仕組みがわかりにくいですが、面白いアイデアだと思います。
「古い樫の木の謎」
 登場人物の設定をうまく利用したトリックでした。
「長い墜落」
 ホーソーン医師が登場しない番外編。マクラヴがエレベーターで気付いたことや最後のオチはなかなかでした。

No.5 7点 E-BANKER 2011/10/15 21:38
数多いホックの短編シリーズでも最も登場回数の多い探偵役、サム・ホーソーン医師が主役の作品集。
氏の作品らしく、どれも不可能趣味溢れる作品ばかり。
①「有蓋橋の謎」="屋根”の付いた橋を一方から渡ったはずの馬車が向こう岸までの間で忽然と消えた謎。消えるどころか、御者の死体まで発見されて・・・作中でホームズ物の名作「ソア橋」が引き合いに出されてますが、直接の関連はありません。
②「水車小屋の謎」=鉄道便で送ったはずの金庫入りの書類が、到着した駅では消えていた謎。消えるどころか、送り主まで焼死させられて・・・推理クイズとかでよく出てきそうなトリック。分かりやすい伏線が張られてるので、真相に迫るのは簡単かもね。
③「ロブスター小屋の謎」=婚約披露パーティーの余興に呼ばれた奇術師が密室で殺された謎。これもある小道具が伏線として書かれてますので、何となくトリックは分かりましたが・・・
④「呪われた野外音楽堂の謎」=アメリカ独立記念日のコンサート会場で衆人環視の中で町長が殺されたが、犯人が忽然と消えた謎。本編が一番御都合主義っぽいトリック。何も衆人環視のなかでこんなことしなくても・・・と思ってしまう。
⑤「乗務員者の謎」=密室となった列車の乗務員室から大量の宝石が盗まれ、乗務員までも殺された謎。一見すると、相当堅牢な密室に見えましたが・・・真相はちょっと肩透かし的。「○○には気をつけろ!」っていうことかな。
⑥「赤い校舎の謎」=突然姿が消え、神隠しのように誘拐された少年の謎。これも、真相は「なーんだ」というような感想。電話のトリックは古き良き時代を感じさせる・・・
⑦「そびえ立つ尖塔の謎」=クリスマスの日。町の教会にある尖塔内(密室)で牧師が死んでいた謎。これはまぁ現実的な解法かなぁ。
⑧「十六号独房の謎」=牢破りを得意とする伝説の犯罪者。そして、今回も監視の目が光っていた独房から消えてしまった謎。要は「一瞬の隙をついた」っていうことなのだが・・・あまり誉められたトリックではないでしょう。
⑨「投票ブースの謎」=今回は最も狭いスペースの密室で起こった殺人事件。何と、投票ブース(例の、金属板で仕切られただけのやつね)内で町長候補者が殺されてしまう! これはものすごい難問と思っていたら、あっさり解決。実にあっけない。
⑩「農産物祭の謎」=別に農産物祭自体に謎があるわけではない。記念日に大観衆の中で埋めたはずのタイムカプセル。すぐに掘り返してみると、そこには何と死体が・・・という謎。トリックはちょっと読者レベルでは分かりにくいなぁ。
⑪「古い樫の木の謎」=パラシュートで降下中に絞め殺されたスタントマンの謎。本編が一番感心した。短編らしい切れ味のあるトリック&プロットの見本のような作品。だからテニスボールねぇ・・・(でもこれで現役医師が騙されるのだろうかという疑問は感じたが)
⑫「長い墜落」=本編のみ、ホーソーン医師とは無関係の作品。あるオフィスビルから墜落したはずの男が、数時間後に地面に落下した謎。不思議だよねぇ、普通に読めば。これもさすがに面白い。
以上12編。
密室ものを中心に、作者の代表作をセレクトしており、どれも水準級またはそれ以上の作品が並んでいます。トリック自体は眉唾なものや、トリックのためのトリックも混じってますが、まずは十分に楽しめる作品集でしょう。
(個人的には⑪⑫に感心。名作①もなかなか。)

No.4 7点 2011/08/29 10:43
全作、トリックに特化した不可能犯罪モノです。
私のお気に入りは、「十六号独房の謎」と「古い樫の木の謎」。これらは名編だと思います。「古い樫の木の謎」のトリックは、必死に考えたのですが、すべてハズレでした。ホーソーン医師もミスを犯したぐらいだから仕方ありませんね。
トリックだけの推理小説は読む気がしないと言う読者は多くいますが、そんな方にも、たとえ2,3編でもいいから読んでもらいたいなぁ、と薦めたくなるほどの出来の良さです。わずか2,30ページの中に、(納得がいくかどうかは別にして)事件の背景や動機も織り込まれていて、すべての作品がたんなる推理ゲームではなく、小説としての品格が具わっています。アメリカの古きよき時代の田舎町の匂いが漂ってきそうな描写もいいですし、回想による穏やかな語り口も好ましいですね。
国内でも、横山氏や連城氏、阿刀田氏などの変格短編ミステリを読み飽きたときのために、本格ミステリ(特にトリック偏重型)の作品集をどんどん出してくれる短編の名手を見つけておきたいですね。あまり詳しくはないのですが、有栖川氏、東川氏あたりなのでしょうか。

No.3 8点 isurrender 2010/10/06 00:07
どれも非常にハイレベルな短編集
戦前のアメリカの田舎の様子を知ることが出来、昔の映画でも見ているような気分になる

No.2 8点 kanamori 2010/05/22 16:48
隠退したホーソーン医師が、過去に携わった事件を訪問客を相手に回想する形態をとっていて、シリーズほとんどが不可能犯罪を扱っている非常にパズラー志向の高い短編集です。
第1話の「有蓋橋の謎」はあちこちのアンソロジーに収録されていて、最初に読んだ当シリーズの短編なので思い入れが強い作品です。ほかでは、「十六号独房の謎」がフットレルの名作に挑戦した脱出トリックもの、「古い樫の木の謎」は空中スタントマン飛行士の不可能殺人で印象に残りました。
ボーナス・トラックの非シリーズもの「長い墜落」も秀作です。

No.1 8点 あい 2008/04/05 16:08
不可能犯罪のオンパレードでなかなか楽しめる一冊。


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