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[ 本格 ]
サム・ホーソーンの事件簿Ⅳ
エドワード・D・ホック 出版月: 2006年01月 平均: 6.00点 書評数: 4件

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東京創元社
2006年01月

No.4 5点 ボナンザ 2020/06/28 00:51
これまでに比べると謎のインパクトは減ったが、この分落差がなくて良かった。

No.3 6点 名探偵ジャパン 2016/09/11 22:13
四作目ともなると、さすがに厭きが……「何だよ」と言いたくなるようなトリックも少なくありません。シリーズ的に中だるみをする頃なのでしょうか。

「偉大なるマンネリ」これは、往年の人気番組「クイズドレミファドン」の司会を務めた高島忠夫が、番組を指して表現した言葉です。決して自虐の発言ではありません。同じ事を続けることがいかに簡単そうで、実は難しいか。それを言い表した名言でしょう。
本シリーズもまさにこの言葉がぴたりと嵌ります。これだけの量の短編を、全く同じ舞台、登場人物で、しかも「本格ミステリ」という量産の効かなそうな題材で書き上げているというのは素直に偉業です。
とはいえ、「偉業」ではありますが「マンネリ」であることも変わらないわけで、一週間に一編くらいの頻度で読んだため、Ⅲから随分と間が空いてしまいました。

他の方のレビューの通り、ベストは何と言っても「革服の男の謎」でしょう。
サム医師と同行した男が、一緒に宿に泊まり朝になると消えていた。それだけならばいいのですが、宿の主人も、昨日会った二人の人物も、「サム医師はひとりだけだった」と証言してきかない。
証言者の三人が、それぞれの思惑で虚偽の発言をしたというのがいい。特に踏切番の男性の理由がうまいと思いました。

No.2 6点 E-BANKER 2012/12/14 21:38
不可能犯罪てんこ盛りがウリのシリーズ第4弾。
今回も、ニューイングランドの片田舎・ノースモントで犯罪が次々と起こります。(こんな町嫌だ!)

①「黒いロードスターの謎」=静かな田舎町・ノースモントで何と銀行強盗が発生! しかも逃げた犯人の乗った黒いロードスターが忽然と消えてしまう。フーダニットにサプライズはないが、自動車の隠し方に一工夫あり。
②「二つの母斑の謎」=ある入院患者と、町のレストランに客として入った2人。この両者の関係がラストに判明し、謎が解明される。これはうまい。
③「重体患者の謎」=サム医師が大ピンチに陥るのが本編。往診に行った重体患者に処方した薬を飲んだ後、その患者が急死してしまったのだ! ただし、トリックそのものは脱力感のあるもの。
④「要塞と化した農家の謎」=これは本シリーズらしい堅牢な密室が舞台。唯一の門の前には、FBIの捜査官が常時見張っていた家の中で殺人事件が発生するのだ。ただ、このトリックはちょっと子供騙しではないか。
⑤「呪われたティピーの謎」=これは秀作。作者の想像した探偵の1人・西部探偵ベン・スノウが話す謎をサム医師が解き明かす・・・というプロットが嬉しい。これはトリックも効いた短編の見本のような作品。
⑥「青い自転車の謎」=テーマは人間消失なのだが、事件の構図自体はいかにも昔の田舎町らしいのんびりしたもの。こんな状況で殺人事件を挟む必要ある?
⑦「田舎教会の謎」=元パートナー・エイプリル看護婦が結婚して暮らすリゾートホテルを訪れるサム医師。エイプリルが産んだ赤ちゃんが洗礼を受けるための教会で何と消失してしまう! けどこのトリックは・・・ちょっとヒドイんじゃない?
⑧「グレンジ・ホールの謎」=ピルグリム病院開設記念パーティーの舞台で発生する密室殺人事件。この時代(1920年代)のアメリカにおける黒人の境遇が窺われる作品。
⑨「消えたセールスマンの謎」=今回は人間消失を扱った作品が多いが、本編もその一つ。ただ、この消失トリックもかなり強引でリアリティは薄いよなぁ・・・
⑩「革服の男の謎」=これは面白い。「いる筈」「見えてる筈」の男を「いない」「見えない」と主張する男女が3組も・・・。サム医師が解明した真相は多重的で面白い。
⑪「幻の談話室の謎」=これは何と「部屋」自体が消えるという大掛かりな謎がテーマ。ただし真相はなぁーんだというレベルではある。
⑫「毒入りプールの謎」=プールから突然出現した男が、その後プール内で毒殺される、というのが本作の謎なのだが、トリックはちょっと分かりにくい。

以上12編とシリーズ外で、ベン・スノウものの「フロンティア・ストリート」を併録。
相変わらず作者らしい切れ味の効いた作品が並ぶ、レベルの高い作品集。
ただ、Ⅰ~Ⅲと比較すると、やや強引なトリックやプロットが目立つような気はした。
ということで、評点としてはこれまでよりは若干のマイナスとしたい。
(個人的ベストは世間的評価も高い⑩かな。⑤も面白い。後は横一線という感じ)

No.1 7点 kanamori 2010/05/22 17:33
本格パズラー短編集の第4弾。
看護婦のエイプリルに変わって一時的にメリー・ベストが登場します。
収録作では、「革服の男の謎」が抜群の私的ベスト。サム医師が知り合った男が突然消失し、目撃者である町の人々全員がその存在を否定するという不可思議性が非常に魅力的。ほかでは、「要塞と化した農家の謎」が久々の密室トリックものの秀作でした。
今作には、西部探偵ベン・スノウものが2作収録されているのも嬉しい。サム医師との共演「呪われたティビーの謎」と「フロンティア・ストリート」が読めたのは収穫。


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