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こちら殺人課!
レオポルド警部の事件簿
エドワード・D・ホック 出版月: 1981年04月 平均: 6.00点 書評数: 3件

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講談社
1981年04月

No.3 5点 E-BANKER 2021/08/23 21:55
巻末解説によると、本作の主役であるレオポルド警部について、『50編を超える作品のある、シリーズキャラクターの中で一番登場回数の多い』と解説されている。
ホックというと、これまで「サム・ホーソーン」と「サイモンアーク」各シリーズばかり読んでいたためほぼ初見の状態。
当作品集自体は1981年に編まれたもの。

①「サーカス」=裏さびれた街と、そんな街に似合う場末のサーカス一座・・・。そんな淋しい光景が思い浮かぶ第一編。真相はトリック云々というレベルではないけれど、雰囲気同様、淋しい結末を迎える。
②「港の死」=これは「意外な犯人」を狙った作品だとは思うけど、伏線が効きすぎていて手練れの読者ならすぐに察知してしまうのではないか?
③「フリーチ事件」=①同様、淋しい結末を迎えてしまう。あーあ、そんなに死を急がなくても・・・
④「錆びた薔薇」=昔の日活映画みたいなタイトルだな(古ー)。過去の殺人事件の関係者である娘と恋仲に陥るレオポルド警部なのだが、真相はやはり・・・淋しい。
⑤「ヴェルマが消えた」=観覧車から一周回っている間にひとりの娘が消えた! これだけ取ると、ホックお得意の不可能犯罪っぽいけど、真相はかなり緩い。「実は事件の裏側で・・・」というプロットは良いのだが。
⑥「殺人パレード」=華々しいパレードのさなか、馬に乗った男性がライフルで銃殺されるという、一見派手な事件なのだが、真相はなかなかセコイ。でも、なんで自分自身で手を下したのかな?
⑦「幽霊殺人」=妻殺しの容疑者として浮かんだ夫。なのだが、事件の30分前にその夫は交通事故で死亡していた! じゃあ幽霊が殺人を?といういかにもホックらしいプロット。。これは一応トリックらしいものが用意されている。
⑧「不可能犯罪」=このタイトルは・・・看板倒れ。ひとりで運転していたはずの運転手が絞殺されてしまうという事件なのだが、他の方も書かれているとおり、こんなトリックが成立するとは到底思えない。

以上8編。
前半は「意外な犯人」、後半は「不可能犯罪」が中心になっている印象の作品集。
さすがに短編の名手だけあって、手堅い味わいの作品が並んではいるんだけど、「サムホーソーン」シリーズなどと比べると、トリックも小粒で練られていないようなものが多いように感じた。
本作以外に作品集もないように見えるのも、本シリーズの評価につながっているのかもしれない。
(個人的ベストは・・・⑦かな。あとはうーん。特になし。)

No.2 7点 nukkam 2018/06/14 17:00
(ネタバレなしです) 数多くのシリーズ探偵を生み出したホックですがその中でもレオポルド警部シリーズが最も多く、100作を超す作品で活躍しています。それでいながら生前に米国で短編集としてまとめられたのが1985年出版の1冊のみ(但し19作も収められてますが)というのは意外です。国内では1981年に独自編集で8作を集めた本書が最初だと思います。2人の対照的な警察官の捜査が印象的な「サーカス」、無差別連続殺人の「港の死」、倒叙本格派にひねりを加えた「フリーチ事件」、観覧車からの人間消失の「ヴェルマが消えた」などが私のお気に入りです。死人の運転する自動車の「不可能犯罪」はホックは車を運転したことがあるのかと問いたいぐらい目茶苦茶なトリックに唖然としましたが(あのトリックでは普通はまともに走れないし奇跡的に走ったとしても目だってどうしようもない)、全般的には短編本格派推理小説としてプロットがしっかりしていてアイデア豊かな作品が多かったので十分満足できました。

No.1 6点 kanamori 2010/05/21 21:39
レオポルド警部もの8編を収めたミステリ短編集。
観覧車からの人間消失トリック「ヴェルマが消えた」と、絞殺死体が車を運転するという「不可能犯罪」は、ともに謎の不可解性が魅力的な作品。
「港の死」はクリスティ某作のヴァリエーションですが、シリーズものの特性を生かしたプロットが秀逸で編中の私的ベスト。
当シリーズは時系列があるため、出来ればホーソーン医師シリーズ同様に、第1作から順に出してもらいたいものです。


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