皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 本格/新本格 ] 魔眼の匣の殺人 剣崎比留子シリーズ |
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今村昌弘 | 出版月: 2019年02月 | 平均: 7.48点 | 書評数: 33件 |
東京創元社 2019年02月 |
東京創元社 2022年08月 |
No.33 | 5点 | いいちこ | 2024/02/24 16:25 |
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これほどまでに特殊な前提が設定されると、その解決に対し、当方のハードルが自然と上がってしまうところ、プロットそのものがいま一つで、それを華麗に超えたとは到底言い難い。
犯行動機にせよ、犯行の態様にせよ、著者の筆力の低さも相まって、説得力を欠いており、それを成立させるために少なくないご都合主義的な設定が置かれている点でも減点。 細部にわたって考え抜かれている点は伝わってくるものの、高く評価することは難しい |
No.32 | 9点 | mozart | 2023/07/29 10:12 |
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前作がとても面白かったのでちょっと過度に期待しながら読みました。で、まったくもって期待通りというか想像以上の面白さでした。
読みやすい(ややラノベ風?の)文章とか読者に寄り添ったネーミングの解説などは言うまでもないのですが、意外な動機の妥当性とか探偵による謎解きの合理性に加え衝撃の事実を伴う最後のインパクトなどミステリー好きを十分に満足させるエンターテインメントを連発できる作者には感服しました。 |
No.31 | 7点 | びーじぇー | 2023/05/18 23:29 |
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好見村という僻村を抜け、崖の向こう側の真贋地区に建てられているのが「魔眼の匣」だ。ここには班目機関が撤収後も住み続けるサキミという老婆がいた。ところが村と行き来できる橋が焼き落されてしまう。剣崎比留子たちと同じバスでやってきた二人の高校生、車の故障などで迷い込んだ親子など、サキミを含めた十一名が真贋地区に閉じ込められてしまう。
サキミは村人に「十一月最後の二日間に、真贋で男女が二人ずつ四人死ぬ」という予言を告げていた。そして予言通り一人が不慮の死を遂げる。「世界」とキャラクターは前作を踏襲しているので、前作に言及されている部分がある。ネタバレは巧妙に回避されているが、順番通りに読んだ方がいいだろう。 典型的なクローズドサークルものだが、真っ先にそういう状況で実行する殺人の合理性に言及するなど、定型に甘んじない姿勢を感じる。そして本書の論理に影響を与える最大の要因が「予言」である。予言の真偽、予言に向ける信用と心理への影響が複雑に絡み合い、真相という未知数解明へのロジックが複雑化されたことに目を瞠らされた。 |
No.30 | 9点 | 密室とアリバイ | 2023/05/03 09:35 |
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斑目機関を生み出した功績は計り知れない |
No.29 | 8点 | みりん | 2023/02/03 23:02 |
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予言能力をテーマにした作品のオチとして素晴らしい落とし所だと思います。
ハードカバー(初版)では99ページの8行目でサキミ(偽)が「奉子さん」ではなく「泰子さん」と呼んでいて、人物入れ替わりの伏線だろうなあ…この作者のことだから後々に奇想天外なトリックを用意してるぞと思っていたら普通に誤植でした笑 文庫本では修正されているのか気になります。 |
No.28 | 7点 | ボナンザ | 2022/11/20 19:25 |
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二作目としてのプレッシャーに見事応えた良作。 |
No.27 | 7点 | okutetsu | 2022/09/14 23:29 |
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さらっと読めて面白い作品だった。
さすがに動機のところは強引さを感じるところだが一応丁寧にそこまで追い詰められる要因を描いているのでありの部類だと思う。 ミステリとしては論理的でよくできているなと感じる反面、なんかあんまり伏線とか解決編に感動とか驚きがなかった。 とはいえ好きなシリーズなので次も楽しみである。 |
No.26 | 7点 | メルカトル | 2022/02/22 23:32 |
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その日、“魔眼の匣"を九人が訪れた。人里離れた施設の孤独な主は予言者と恐れられる老女だ。彼女は葉村譲と剣崎比留子をはじめとする来訪者に「あと二日のうちに、この地で四人死ぬ」と告げた。外界と唯一繋がる橋が燃え落ちた直後、予言が成就するがごとく一人が死に、閉じ込められた葉村たちを混乱と恐怖が襲う。さらに客の一人である女子高生も予知能力を持つと告白し――。ミステリ界を席巻した『屍人荘の殺人』シリーズ第二弾。
Amazon内容紹介より。 流石に前作と比べるとワンランク落ちる印象は拭えません。今回は予言と言うか千里眼が背景にあり、それ程突飛な設定ではありません。過去に何度も使い古されたテーマなので新鮮味はないですね。それをどう料理するか、例えば普通の作家なら二つくらいプロローグを用いたりするのではないでしょうか。その方がオカルトチックになり得ますしね。しかし敢えてそうしなかったのは本格の旗手としての自負があったからかも知れません。 真相は若干後出しな面もありますが、一応筋の通った理路整然とした推理が見られます、特に行動心理学的見地から納得の行く解決を導き出していると思います。様々な要素を取り込んでいる割りには全体的に地味な気もしますが、なかなかの力作ではないでしょうか。後半へ進むほど面白くなってきます。動機も確りとした下地がありなるほどと思いました。 まあでも、あの人がいないのはやはり寂しいものがありますね。 |
No.25 | 8点 | 猫サーカス | 2022/02/14 18:30 |
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必ず的中する予言を相手に廻して闘う名探偵の物語。剣崎比留子と葉村譲は、かつて超能力の研究が行われていた施設を訪れた。そこに住む老女は、あと二日のうちにこの地で四人死ぬと告げる。外界から孤立した施設に足止めされた十一人のうち、誰が命を落とすのか。本書には百発百中の予言をする老女のほか、絵を描くことで近い未来を予知できる人物も登場する。比留子は予言の成就を食い止めるためにある手を打つが、果たしてそれは有効なのか。連続死を阻止できなければ名探偵とはいえないだろうし、かといって簡単に阻止できるならば畏れに足るほどの予言ではない。この作劇上のジレンマに作者がどのような決着を与えるかが読みどころ。その決着に先立ち、比留子は譲に、これはミステリの解決編ではなく、自分と犯人との人生を懸けた死闘だと宣言する。事件に一応の決着がついたあとの伏線回収も見事で、謎解きの論理性においては前作を上回ったのではないか。 |
No.24 | 9点 | ぷちレコード | 2021/12/07 23:07 |
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「あと2日で4人が死ぬ」という予言が横たわる中で、人は何を考え、どう行動するのか。舞台設定こそ前作の「屍人荘の殺人」より地味かもしれないが、超自然的な現象とロジカルな謎解きを組み合わせる手並みの鮮やかさは前作以上といっていいでしょう。
「クローズドサークル」や「人が死ぬごとに減っていく人形」といった定番過ぎる題材とも真正面から向き合っている。ミステリの名探偵はなぜ、警察を待たずに関係者を集めて犯人を名指しするのか。クライマックスでは、パロディとして扱われることの多いこんな疑問に対しても、本作ならではの回答をぶつけている。 |
No.23 | 6点 | E-BANKER | 2021/08/23 21:54 |
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大ヒットとなった前作(「屍人荘の殺人」)に続くシリーズ第二弾。
今回も世間的には高評価で迎えられている様子で、個人的にも楽しみ。楽しみすぎて、本来なら文庫化を待つはずだったのが待ちきれずに単行本で読了。 2019年の発表。 ~その日、「魔眼の匣」を九人が訪れた。人里離れたその施設の孤独な主は預言者と恐れられる老女。彼女は葉村と剣崎をはじめとする来訪者に「あと二日のうちにこの地で四人死ぬ」と告げた。外界と唯一繋がる橋が燃え落ちた後、予言が成就するがごとく一人に死が訪れ、閉じ込められた葉村たちを混乱と恐怖が襲う。さらに客の一人である女子高生も予知能力を持つと告白し・・・~ 今回も独特のロジックは健在。舞台は完全なるCC。 そして、今回の作品世界を支配するのはずばり「予言」。必ず当たる、決して外すことのない「予言」。 CCに集まった男女の心中にはこの「決して外すことのない予言」が重くのしかかることになる。 そして剣崎の推理も、この「予言」に対する考察を中心として展開される。 そういう意味では、この「特殊設定」はやはり作者の作戦勝ちと言っていい。前作の特殊設定が強烈すぎたため、何となく本作が地味に感じてしまうんだけど、本作もかなりのもの。 やはり、現代の本格ミステリーは「特殊設定」なしでは成立しないということなのだろう。 そして、終章。剣崎から語られる真相。他の皆さんの書かれているとおり、確かに一定の満足感は得られた。 ただ、どうもな・・・。手放しで喜べないというか、スッキリしない感覚を覚えたのも事実。 「動機」については、まぁ置いておくとしても(でも、正直不自然さは拭えない。剣崎がいみじくも語ったとおり、CCが解け警察が介入してきたとき、真犯人はどうするつもりだったのだろうか? 暴かれないという確信でもあったか)、アリバイにしても共犯者にしても、どうにも安易な取扱いになりすぎに思える。 作品の雰囲気としても、CC内でひとりひとり殺されるという状況にしては、どうにも緊張感がなさすぎる。サスペンス感を十分に出せる設定だけに、もう少し読み物としての面白さを出してもらいたかった。 ということで、世評ほど高い評価というわけではないかな、というところ。 |
No.22 | 8点 | 文生 | 2021/08/14 11:03 |
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前作の『屍人荘の殺人』と比べると話自体は地味なのですが、特殊設定を活かしきったロジックが素晴らしかったです。シンプルで極めてロジカルでありながら、同時にクレイジーな真相は特殊設定ミステリのお手本だといえます。 |
No.21 | 9点 | じきる | 2021/01/11 17:53 |
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特殊設定を組み込んだミステリとして非常に楽しめました。
大ヒットした前作からロジック・完成度共に更なる進化を見せています。 今後のシリーズにも大いに期待したい。 |
No.20 | 9点 | 葉月 | 2020/12/20 23:16 |
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「屍人荘の殺人」もそうですが、やはり本格ミステリとしてレベルが高いなあ、と思います。騙しの技法自体が特に新しいというわけではないのですが、使い方が上手いです。ラノベ調は好悪の分かれるところでしょうが、気にならない方には面白く読めるのではないでしょうか。 |
No.19 | 6点 | 雪 | 2020/12/13 09:36 |
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W県の山奥にある“魔眼の匣”と呼ばれる奇妙な建物を、その日九人の男女が訪れた。予言者と恐れられる人里離れた施設の孤独な老女は、葉村譲と剣崎比留子をはじめとする来訪者に「あと二日のうちに、この地で四人死ぬ」と告げる。外界と唯一繋がる橋が燃え落ちた後、予言が成就するがごとく一人が死に、閉じ込められた人々を混乱と恐怖が襲う。さらに客の一人の女子高生も自らの予知能力を告白し――。
『屍人荘の殺人』絶賛の後を受けた、シリーズ書き下ろし第二弾。斬新な超常要素を絡めた、意欲満々のクローズドサークル展開には相変わらず素晴らしいものがありますが、前作に比べるとちょっと緩め。数少ない登場人物のうち三人は小学生と高校生。編中男女共犯説がピックアップされてるので選択肢は元より少なく、主人公ペアを除くと犯人二人はほぼ特定されてしまいます。謎解きと密接に関連しているとはいえ、事故死の多さもストーリー的に戴けません。Kingscorss さんの評にもあるように、ラノベ調のノリが増えたのもやや残念なところ。 逆に良くなったのは超常要素。ガチ論理で押し通したとは言え前作のアレに拒否反応を抱いた向きには、絶妙な前提条件を加えることで劇的に仮説推論を増やした本書の方が許容し易いでしょう。大技連発の『屍人荘』とは真逆を行く、小技の的確な組み合わせ。加えて伏線の配置や秘められた構図の逆転は、こちらがより効いています。メインとなる壊された時計の手掛かりも、前作以上に論理的。 ただ後半かなり挽回するとは言え、総合的にはパワーダウンした感無きにしもあらず。処女作が強烈だった分色々苦しいとは思いますが、テクニックは相変わらず達者なので次回作以降にも期待しましょう。 |
No.18 | 6点 | Kingscorss | 2020/08/26 01:12 |
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デビュー作である前作のプレッシャーがある中で出した続編の二作目。うまく雰囲気等の流れを引き継ぎ、シリーズとしての方向性(斑目機関を背景に超常現象を絡めた本格ミステリー)も決定づけた今作。
あっぱれな出来だと思います。しかし、やはり前作ほどのインパクトがない分トーンダウン。ただ、シリーズの根底の超常現象を絡めたミステリーとしては発想力が卓越しており、今回も素晴らしい構成だと思います。次回以降もなんの超常現象が絡んでくるのか楽しみです。 個人的に残念だったところはラノベっぽいやりとり(好きな人には悪いが…)部分が増えたところ、本格ミステリーにありがちなミッシングリンクで結ばれてた関係者たち全員が偶然一箇所に集まってしまって閉じ込められるという安易な設定や、たくさんある偶然&アクシデントに対して瞬間的にトリックを天才的考察でひらめいて即実行できる行動力バリバリで機転がききまくる犯人、お決まりのベタな叙述等に多少興ざめしましたが、最後のどんでん返し的終わり方は良かったです。 高評価されてる人ばかりの中で言うのは恥ずかしいですが、最後のやつがなかったら割と駄作だったと思います。最後のやつの説明で犯人のリアリティのなかった犯行動機にもすこし現実味が湧きましたし。 何にせよ次回作も期待大です。 |
No.17 | 7点 | レッドキング | 2020/08/19 21:40 |
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① フーダニットのロジック:何故に室内は荒らされていたのか? 室内にあった物品aが破損されたことを隠すため。 何故に物品aは破損されたのか? 物品aの現況が犯人Aを指し示す充分条件証拠であったため・・・クイーン有栖川有栖に劣らない見事なるロジック:9.5点。
② ユニークなホワイダニット:乱歩「幽鬼の塔」横溝「獄門島」(後者はチトずれるが)思わせるユニーク世界設定の動機:5点。 ③ トリック:室内外二種の足跡トリック:4点・・で、(9.5+5+4)÷3=6.166…今後の期待込めておまけして、7点。 ※この人、小説文体チト頂けないが、ミステリ根幹は「ホンモノ」だな。「クイーンばりロジック」よいが、麻耶雄嵩みたいな「とんでもロジック」には走らないでほしいなあ。 |
No.16 | 8点 | 白い風 | 2020/01/04 16:21 |
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前作の「屍人荘の殺人」が凄過ぎたからね(笑)
それにしてもこの作者のチャレンジ精神は素晴らしいと思った。 今回は”何故、クローズドサークルで殺人を犯すのか?” 過去にもクローズドサークルの作品は沢山あったけどそこにスポットを当てた所は私は高評価ですね。 ただ、冒頭の手紙とラストの言葉・・・この作品はまだ起承転結の単なる”承”なの?? M機関と剣崎との因縁からこのシリーズはまだまだ続きそうですね。 第3巻も早期に発刊してほしいね。 |
No.15 | 8点 | 測量ボ-イ | 2019/12/28 10:04 |
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氏の第二作ですが、なかなかの出来栄えです。
個人的な好みはこちらの方が上かな? 有栖川氏が作りそうなロジカルな構成に好感。 (以下ネタバレ) 死んでしまう4名(男女各2名)を予想して臨みましたが、 1名だけ外しました。 最初に死ぬ人は・・・いかにもですよねえ。 犯人は生存者が絞られてくるので、この僕でも的中しました が、その推理過程に好感持てます。 動機に不満な方もおられるようですが、僕にとっては許容 範囲でした。 |
No.14 | 7点 | haruka | 2019/08/22 22:43 |
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前作ほどの緊迫感はなかったけれど、今回も予言という非科学的な題材を扱いながら、最後は論理的に着地しており、しっかりどんでん返しも用意されている。次も読みたいと思わせる作家です。 |