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[ サスペンス ]
マリオネットの罠
赤川次郎 出版月: 1977年07月 平均: 6.55点 書評数: 20件

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文藝春秋
1977年07月

文藝春秋
1981年03月

文藝春秋
2006年11月

No.20 7点 バード 2022/03/26 08:27
赤川次郎さんらしい読みやすい文章とどこからか不協和音が聞こえてくるかのような不穏さがマッチしている。誰にでも薦めやすい佳作という印象。ただ同時に傑作まではいかないとも感じた。
タイトルから例の人がマリオネットなことは容易に想像がつく上、操ってる人も登場直後からうさん臭さが滲み出ており、真相のカモフラージュが弱い。また、マリオネットの動機は終盤に書かれる手記まで一切不明で、うさん臭ささを放っていたものの操ってる人の動機も完全に後出し。この辺の情報の出し方についても改善の余地有りと感じた。

No.19 7点 斎藤警部 2022/03/23 06:24
富豪の地下室に幽閉されていた人物が、或る契機に乗じ逃げ出して、動機不明の連続殺人を犯す。最後のターゲットに向かって人群れの中を堂々と、手に汗握るクライマックスの行き着く先は・・・・ 最終章の締まり具合が見事! 嵐の前の静かな幕切れも良い。

要はミッシングリンクに◯手間置いたってわけか、そんな大層な形で。。。そのミステリとしての重さと奥行きを思えば、ちょいと唐突の気のあるどんでん返しもまぁ許せるか。ただ、最後にいきなりソレで、全体のバランスがグラグラしてないか? 真犯人(と分かってみると、その人の)人物描写に違和感も感じましたよ。 他にも、そんな源義経みたいな殺人の天才が仮にいたとしてアレなのかとか、貴族的人物の貴族性がさっぱり表せてないぞとか、セコい文句の二三も言いたくなりますが、やっぱり床下から一気に持ち上がるような作品の底力には黙らされます。 第一章、所々生硬な表現や展開にぶつかり、おいおい君こんな所で文学気取りの練習するんじゃありませんよと注意してあけたくなったけど、作者の第一長篇なんだし、まあ許容範囲でしょう。

本作の題名、アナグラムで「縄の練馬夫」となるのはいいですが、略して「マリワナ」になるのはちょっと気になりました。

第一長篇とは言えこんな作品(オープニングシーンからしてアレですぜ..)を「母に」捧げる赤川さん。幼少の頃の訳あり家庭環境が影響してるんだろうか、なんてちょっと想像しましたが、まあ実はそんな深い連関も無いのかな。

不意を突く短いフーダニットが途中で襲ったり、某分署の某エピソードを思い出す要素が出たり、ちょっと面白い趣向もありました。 作者も何気に尊敬してそうな賢い大悪党、大悪党以上に許せない行為に走る馬鹿な小悪党、明確に心の欠損が有る中悪党(?)等、作者の人間不信の深淵(?)が覗き見えるような人物像配置も印象的でした。その極め付けは、やはり真犯人設定ですかね。。。。 やめてえーー。。。。  さてさて、タイトルの意味する所は、第一にはあの「メモ」ということになるのかな。もっと広い隠喩にも解釈出来ましょうが、敢えて狭くその「メモ」に留めておいたほうが、ミステリの味わいはより拡がろうと思います。

No.18 6点 take5 2020/06/06 23:44
コロナ禍後、図書館の予約本がどっさり。
これどうして借りたのだったかな?


ネタバレです。


読了後に解説を読んで、
ああ、セバスチャンシャプリゾの
シンデレラの罠か!と、
合点がいきました。
犯人で被害者で証人で、的な。
最後の犯人の語りが多弁で
いらないなあと、私見です。
多作の赤川次郎氏の作品を、
ほとんど読んだことがない私ですが、
大変読みやすくほんの二時間弱で読了。
自分の生まれた頃の作品ですが、
そんなに古くさくないのは、
おフランステイストとサイコな感じが
今でも通用するからでしょうか。

No.17 6点 ミステリ初心者 2020/03/13 18:53
ネタバレをしています。

 三毛猫ホームズシリーズ以来の赤川次郎氏の本を読みました。三毛猫のほうでもそうだったのですが、作品の雰囲気には関係なく非常に読みやすい文章で、2章の街以外はほぼ一瞬で読み終わりました。

 サスペンスとホラーの色が濃い作品でした。2時間ドラマ的楽しさがありました。
 まず、トラック運転手の謎の殺人事件に始まります。この時点でかなり不気味さがあります。
 1章では修一が家庭教師に向かいますが、その館と住民が異様です。地下に幽閉されている女性がいたり、それをバレないように助けようとしたり、いざ助けてみると事件を起こしたり、小説的魅力がたっぷりでした。
 後半では主人公が美奈子となり、精神病院へ潜入します。この章では、よりサスペンス性とホラー性が増しました。西尾みどりの死は、どんなホラーより恐ろしかったです…(ホラーはあまり読んでいませんが)
 最後の章ではどんでん返しがあり、推理小説としても楽しめる構成になっていました。私は、タイトル名(マリオネット)と、推理小説のお約束から、雅子を操っている真犯人がいることは予想できました。しかし、修一の家庭教師は偶然だと思い、真相にはたどり着けませんでした(涙)。修一の計画は、計画と偶然によるアドリブが5:5ぐらいの比率であり、そこがうまく前半の文章の矛盾を無くしています。いいミスリードだと思いました。

No.16 6点 VOLKS 2018/08/27 20:52
久し振りに赤川次郎の作品を読んだ。
彼の文体は本当に読みやすくて馴染みやすい。
これも才能の1つなのだな、と痛感した。
作品自体もなかなか面白かったのでサクサク読めた。
「マリオネット」の意味がラストになってようやく解ったが、ヒロインがなんとも可哀想でいたたまれない。

No.15 6点 パメル 2018/03/07 14:03
ユーモアミステリで有名な作者だが、この作品はそのような特徴は皆無で、ダークな雰囲気を存分に味わうことが出来る。サスペンス調に物語は進行しスピード感があり、意外性のある展開、そして終盤のどんでん返しと楽しませてくれる。
ただし、ある記述にアンフェアさを感じるところが残念。

No.14 7点 まさむね 2017/06/11 17:29
 作者がデビュー後に書き下ろした初めての長編ミステリだそうです。(刊行順では別の作品の方が早いらしいのですが。)
 スッと作品に引き込まれ、次々にページをめくらされました。終盤まで加速度を落とすことなく引っ張るストーリー展開は見事で、良質のサスペンス小説と言えるのではないでしょうか。タイトルの意味が最終盤で浮き上がってくるスタイルも好きです。
 赤川作品と言えば軽快なシリーズものの印象が強く、確かにそれも作者の力量があってこそだと思うのですが、個人的には、作者の力量はこの第一長編にこそ、如実に表れていると思いますね。

No.13 7点 2017/03/19 19:35
旧さを感じさせずスピーディーな展開で楽しめました。

No.12 7点 あびびび 2016/11/01 12:23
パロディ的なミステリは好きではなく、従ってこの作家の作品はあまり手に取らないのだが、初めから終わりまで緊張感があった。

彼女(?)は、計り知れない悲劇となったわけで、そう簡単には立ち直れないのではないか…。

No.11 6点 いいちこ 2016/08/01 18:23
考え抜かれたタイトル、完成度の高いプロット等、作者に対する世評をよい意味で裏切る佳作。
サスペンスではなく、本格ミステリとして執筆されていたら、さらに加点の余地もあった

No.10 6点 りゅうぐうのつかい 2015/11/16 17:36
冒頭の猟奇的な事件、雅子という謎めいた女性の存在、修一と雅子の失踪後に起こる連続殺人、美奈子の療養所への潜入捜査等、スピード感のある展開で、引き込まれる内容。
事件の犯人や背景が徐々に明らかとなり、ただのサイコサスペンスのように感じられ、着地点がなかなか見いだせず、結末が予想しかねた。
終章での上西の指摘には確かに驚いたが、伏線が不明瞭すぎるので、この真相は予想しにくい。
美奈子は、徹頭徹尾、報われない女性であった。

No.9 6点 蟷螂の斧 2012/07/01 20:09
物語と題名の意味が結びつかず、進んで行きます。そしてラストにその意味が分かるというもので中々凝っていると思います。サスペンスものとして読んでいたので、フェア・アンフェアを感じることはありませんでした(ただし、本格ものを意図していたら、アンフェアになると思いますが・・・)。スリル・スピード感もあり楽しめました。

No.8 9点 卑弥呼 2011/08/18 22:28
見事一行でまっさかさまにしてくれました。
時代を感じる作品なので、そこに抵抗がない方であればお勧めしたいです。
一部私にはエグいと感じる部分もありました。

No.7 6点 HORNET 2011/01/30 12:56
<ネタバレぎみ>
 ラストにさらなる真相があるとはそもそも考えていなかったので,アンフェアだとは特に思いませんでした(というかそういうどんでん返しがそもそもアンフェアなのかもしれませんが)。ただ,あのラストによって面白さがグッと増したのは間違いないです。タイトルの意味も納得できました。内容は残酷でしたが。
 軽妙なタッチの作品が多い著者ですが,私は著者のこういう作品のほうが好きです。

No.6 8点 E-BANKER 2010/12/29 23:11
実質的に作者の処女長編作品。
(出版順では「死者の学園祭」の方が早いようですが・・・)
~父は私のことを「ガラスの人形」だと呼んでいた。脆い、脆い、透き通ったガラスの人形だと。その通りかもしれないが・・・森の館に幽閉された美少女と、大都会の空白に起こる連続殺人事件の関係は? 錯綜する人間の欲望と息もつかせぬストーリー展開で、日本ミステリー史上に燦然と輝く赤川次郎の処女長編~

赤川次郎に対する世間の一般的なイメージ(「軽い」とか「多作であり駄作が多い)からはかけ離れた作品ですし、読了後の感想は「いやぁー面白かった」の一言でした。
次々と殺人を犯す美人殺人鬼と精神病院を騙る謎の組織、その巨悪に立ち向かう大学院生とその婚約者という構図なのですが、ハッピーエンドで終わるかと思えた後にさらなるサプライズが待ち受けます。
個人的にはいわゆる叙述的なトリックで時間軸がずらされてるのか? という疑いを持ちながら読んでましたが、そういう種類のサプライズではなかったわけですね・・・
まぁ、とにかく「赤川次郎」という作家の力量を改めて認識させてくれる作品ですし、読んで損のない1冊という評価でよいでしょう。
(フェアかアンフェアかというのは別に気にしなくてよいのでは?)

No.5 7点 kanamori 2010/08/01 20:35
森の中の英国風邸宅に住む姉妹、使用人と家庭教師、そして幽閉されたもう一人の女性、というふうにゴチック・ロマンの定型をとりながら、現代的なネタも加味しつつ、最後に大きなサプライズを用意した傑作サスペンス。
その後、シチュエーション・コメデイとかジュヴナイル小説の方に行ってしまったが、初期の赤川次郎はミステリ・マインドに溢れていましたね。

No.4 5点 (^^) 2009/09/29 05:03
これほど物悲しい話もない。と感じた。
ネタバレになってしまいますが、美奈子も結局マリオネットだったんですね・・・。

No.3 6点 測量ボ-イ 2009/05/05 17:57
サスペンス性は結構あります。赤川氏の作品は三毛猫
ホ-ムズシリ-ズしか知らない人にはお勧めしたいで
す。フェア性云々は何とも申せませんが。

No.2 8点 こう 2008/05/26 00:27
 赤川第一長編です。15~20年前は赤川、西村+社会派全盛で日本の作品をほとんど読まなかった時期がありましたが個人的に赤川作品に対する印象は悪くまったく読んでいませんでした。数年前ようやくこの本をよんで印象が変わりました。
 構成としては連続殺人を起こす犯人がいるサスペンスでよく言われるフレンチミステリ風というのがぴったりです。
 結末、真相が語られる最後も読み応えがあります。明らかにアンフェアすれすれとは思いますがこういうミステリを読ませてくれれば満足と言える作品でした。

No.1 5点 マニア 2008/01/27 03:43
フェアかアンフェアかで賛否両論ある問題作。
自分も結末には納得しかねる感じがあった。「お前かよ!」って・・・。伏線もあるにはあるが、流石にアンフェア感は拭えない。

しかし、物語全体を駆け抜ける疾走感は好感が持てる。単なる量産型作家になってしまった作者の、初期の意欲的な問題作として評価できる。


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