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[ 青春ミステリ ] 卒業 セーラー服と機関銃・その後 星 泉 |
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赤川次郎 | 出版月: 1987年07月 | 平均: 4.00点 | 書評数: 1件 |
角川書店 1987年07月 |
角川書店 1989年04月 |
角川書店 2006年09月 |
No.1 | 4点 | 人並由真 | 2019/04/09 02:27 |
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(ネタバレなし)
目高組の解散から一年。かつての女子高校生組長・星泉は普通の学生生活に戻り、高校三年生の11月を迎えようとしていた。そんななか、行きつけの商店街では地上げ騒動が巻き起こり、かたや泉と因縁ある裏社会の大物・浜口がその件に関連して彼女の助力を願い出た。さらに町では、「目高組四代目組長・星泉」を自称する娘が恐喝行為を繰り返し働き、その罪を本物の泉に被せるが……。 『セーラー服と機関銃』の9年後に書かれた続編。作中の時間では1年しか経っておらず、なんとなく評者の記憶の彼方にも残っている懐かしい名前が、作中で健在な人物も亡くなってる者も、続々と出てくる。 気楽に軽いキャラクターミステリとして読めば楽しめるかと思ったが<実は登場人物AとBは××だった……>のパターンが3つも4つも出てきて、さすがにこの狭い世界の臆面の無さぶりには鼻白む。まあテンポよくストーリーを進めるため、アクチュアリティーなんか端っから放棄している作りなんだけど。 意外な犯人も全然意外じゃないのはまあいいのだが(よくない)、特に何の伏線も手がかりもなく、ただ最後に実は……と明かすだけ、というのもなあ(第一の殺人の方の謎解きもこの上なく適当だし)。刊行当時には黙ってても設定だけでソコソコ売れそうだったから、ミステリとしてはギリギリまで手を抜いた、ということだったのか? 佐久間の後継者ポジションのキャラクターは、まあまあだったかな。それと目高組残党の<彼>ひとりだけが泉のために馳せ参じる場面だけは、『マフィアへの挑戦』の「抹殺部隊ふたたび」編みたいな感覚でちょっと良かった。 とはいえカドカワノベルズ版の謳い文句「書下ろし長編ラブ・サスペンス」の「ラブ」の部分は全くもって、この程度で? という感じだが。 新世代編のパート3も書かれてるんだよな。何のかんの言っても気になるから、そのうち読むかもしれない(笑・汗)。 |