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[ 本格/新本格 ]
双蛇密室
上木らいち
早坂吝 出版月: 2017年04月 平均: 6.20点 書評数: 10件

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講談社
2017年04月

講談社
2019年06月

No.10 7点 ぷちレコード 2022/05/22 23:01
かつて藍川の母・誉と内縁関係だったSM作家が密室で殺された。作家にも同じ部屋で倒れていたが、一命をとりとめた誉にも蛇に噛まれたような傷があるも、雨でぬかるんだ建物の周囲には、犯人の足跡も蛇が逃げた跡もなかった。
本書の驚天動地のトリックには、絶賛も批判もあると思うが、空前絶後なのは間違いない。たとえ否定派でも、罪とは、真実とは、探偵の役割とは何かを問うミステリ論の部分には感銘を受けるだろう。

No.9 7点 ミステリ初心者 2022/02/11 23:16
ネタバレをしております。

 明るい作風、読みやすさ、高い本格度が楽しめるシリーズです。今回もまたそうでした。かなり速く読了しました。また、シリーズすべてに言えることですが、一見ギャグやエロなど不要に思える要素も、最終的に推理小説として組み込まれており、技量が高いと思います。

 タイトルの通り、テーマは蛇と密室。2つの大きな密室事件が起こります。
 1つはビルからビルへ飛ぶトビヘビを使ったアクロバティックな密室です。が、これはあまり好みではありません(笑)。犯人が狙い通りに犯行を行った密室であり、よりフェアではあるのですが、ややバカミスな香りもします(笑)。
 もう1つ、足跡とプレハブ小屋の二重の密室がメインだと思います。もっと詳しく書くと、黒太郎はいかにして死んだのか?という問題がメインです。そんな可能性があったとは…全く予想していない展開に度肝を抜かれました。とはいえ、ヒントはちりばめられていました。推理ではなくメタ的な考えではありますが、この作者の書く小説に妊婦・アナフィラキシーショックが登場するならば、もっとよく考えるべきでした…。唯一、難癖をつけるならば、偶然の要素が非常に多く、犯人の狙い通りではなかった密室殺人だったことですね(それもヒントがありますが)。

 総じて、今回も読みやすく、また思考の盲点を突くようなどんでん返しが見られ、満足しました。途中、多重解決のような、らいちの偽解決がありますが、ちゃんとその否定を論理的にできる点はポイントが高いです。

No.8 5点 HORNET 2021/01/31 07:58
 ・・・よくもまぁ、こんな奇抜なミステリを考えるものだと感心してしまう。ぶっ飛んだ発想だが、これこそがこの作者の色であり、らしいのだが。
 藍川刑事の生い立ちに隠された過去の謎を解いていく話。軽い文体と展開、170pほどという長さで、あっという間に読める。そうしたサイズなので、奇抜でおバカなミステリを楽しめばいい、と割り切れるかな。大きく二つの密室の謎を解くのだが、どちらも(とくに二つめは)とても読者が推理して真相を看破するような類のものじゃない。
 繰り返しになるが、よくもまぁ、こんな仕掛けを考えるものだ(笑)

No.7 5点 Kingscorss 2020/08/22 12:57
エロバカ本格ミステリーここに極まるという感じの出来だと思いますが、個人的に真相が気持ち悪すぎてちょっとドン引きしました。

構成、真相、すべてがありえないですが、ぶっ飛んでるので好きな人にはたまらないでしょう。自分もこのシリーズは割と好きなバカミスなんですが、今回はちょっと合わなかったです。

No.6 7点 メルカトル 2020/05/27 22:45
「援交探偵」上木らいちの「お客様」藍川刑事は「二匹の蛇」の夢を物心付いた時から見続けていた。一歳の頃、自宅で二匹の蛇に襲われたのが由来のようだと藍川が話したところ、らいちにそのエピソードの矛盾点を指摘される。両親が何かを隠している?意を決して実家に向かった藍川は、両親から蛇にまつわる二つの密室事件を告白された。それが「蛇の夢」へと繋がるのか。らいちも怯む(!?)驚天動地の真相とは?
『BOOK』データベースより。

正直、らいちの推理を読み終えた時、何だかなあと思いました。しかしそこに思わぬ人物が乱入し、そこから本番の真相解明が始まります。本シリーズに於いて、最もエロと犯行が直接結びついた、最高の一作と考えて良いのではないでしょうか。この密室トリックは余人には思いつかないものです。二番目の密室はどうなのかとか、あまりに非現実的過ぎてバカミスにもならないとか、色々ツッコミどころは有ろうかと思いますが、そんな事はどうでも良いのです、私にとっては。兎に角、その奇想が素晴らしいですし、物語としても面白かったですよ。らいち最高だと称賛したいです。

私の様に奇想天外なストーリーやトリックが好みの読者にとっては持って来いの逸品だと思いますが、一般読者や常識派のミステリファンの受けは決して良くないかもしれませんね。しかし細部までよくよく考え抜かれたという意味で、作者の知恵の限りを尽くしたものと私は考えます。
しかも、らいちならでは藍川ならではの作品には違いなく、このナイスコンビは永遠に続いて欲しいと思いますよ。

No.5 6点 名探偵ジャパン 2019/06/16 00:17
これは凄いです。今まで読んだどのミステリにもないトリックで、私が読み逃している中にも同様のものはないと断言してよいでしょう。本作だけの唯一無二のトリックです。この仕掛けが成立するよう、巻末の参考文献を見ても作者はかなり苦労したことが窺えます。しかも「上木らいちシリーズ」によく似合っているトリックです。
ですが、それが小説の面白さに繋がっているかというと、ちょっと首を傾げざるをえません。
念のため書いておきますと、上記でいう「凄い」のは第一の密室殺人のトリックについてです。第二の密室については……
しかしながら、話の展開上、第二の密室はどうしても必要なわけで、難しいところです。

No.4 7点 ia 2017/11/23 00:25
らいちの言動が優しかったり冷酷に突き放したり、ちぐはぐ
掴みどころが見え隠れするところが魅力だったが
ラストでその魅力を失ってしまった感じ
あの刑事があんなことで絶望に陥ってるのも何か脚本の無理やりが出ている

トリックは新しくエロが決め手なのはグッド
相変わらず序盤がとても面白い
蛇女は個性も設定も中途半端なのでもっと暴れさせたら最高だった

No.3 6点 2017/08/11 08:16
過去に起きた蛇にまつわる2つの殺人事件の謎解きに、援交探偵・上木らいちと、その客であり事件関係者でもある藍川刑事が挑む。
トリックも、伏線もばっちり。物語性もよし。とにかく隙はない。
よくぞここまでやったもの。立派としか言いようがない。
さすがは京大推理研出身者。

で、読み終えて、気持ちよくスカッとしたかというと、全くそれはなし。
どうみてもやりすぎ。スッキリしたのは、自己満足の作者だけ。

ということで評価結果は、可もなく不可もなし。
おそらく相当頑張って書いただろう作品なのに、「可もなく不可もなし」だけの評価は失礼か?
デビュー作の「〇〇〇・・・」のほうが、小気味よかった。

No.2 6点 まさむね 2017/07/30 21:49
 上木らいちシリーズ第4弾。
 いやはや、バカミスであることは間違いないのですが、これを怪作と呼んでいいものかどうか。賛否両論ありましょうが、とにかく、やってくれちゃってます。
 タイトルどおり、蛇がらみの2つの密室が登場。そのうち2つ目の密室は肩透かし感満点でして、さすがにこれはいただけない。無理があり過ぎるし、面白味もない。
 問題は1つ目の密室(物語全体の真相とも言える)。これも無理があり過ぎると言えばその通りなのだけれども、個人的には初めて見たパターンであることは間違いなく、その発想力には驚かされました。らいちシリーズなだけに、藍川刑事がよく見る悪夢の真相の一部は、完全ではないけれども、きっとこの手のものであろういったレベルまでは想像がついたとは言え、全ては見通せなかった。確かに、このシリーズでデビューしたこの作者ならではで、独創的ではあります。
 でも、物語全体としてはどうなのか。その心意気や良しとすべきなのか、いやいや、突っ込みどころ満載で拙い点を(文章も含めて)一つひとつ挙げるべきなのか。どう評価すべきなのか、正直判断に迷うなぁ。

No.1 6点 はっすー 2017/07/27 19:36
なるほど確かに前代未聞のトリックかもしれない…
ただもう一つのトリックがなかなかチープなのでこの点かな


早坂吝
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