たかだいさんの登録情報 | |
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平均点:5.10点 | 書評数:152件 |
No.132 | 6点 | クロスファイア 宮部みゆき |
(2025/03/02 23:35登録) 念じるだけであらゆる物を炎上させるパイロキネシスの能力を持つ女が法から逃れた無法者を私刑にしていくサスペンス物で、そこに秘密組織から来た軽薄そうなあんちゃんや、その辺りの事情は知らないまでも正攻法から徐々に女の存在を知り超能力の存在にも気付いていく刑事らが加わって物語に深みを与えている印象 話の主軸としては、凶悪犯罪者を処刑する事に自己を見出し、自らを「(弾が)装填された銃」と嘯き、あえて孤独を選んだ(もしくは選ばざるを得なかった)女が、とある出会いから『人間』になるも、時既に遅過ぎたという救われない話 能力を生まれ持ったが故に歪んでしまったとも言える女の(作品を通して描かれる)生涯は悲劇的ですが、精緻もしくは繊細な描写のお陰か壊れていながらも人間味のあるキャラに仕上がっている辺り、宮部みゆきらしい作品だと思わされた 正直、上下巻で中々読もうという気にならなかった作品だったのですが、事の他スラスラ読めた印象で、内容そのものも悪くなかったです。スティーブン・キングの某作品を読んでいるとまた違った感想を抱くのかもしれませんが、そちらを未読の私的には意外と面白い作品でした |
No.131 | 6点 | 行動審理捜査官・楯岡絵麻VSミステリー作家・佐藤青南 佐藤青南 |
(2025/03/01 21:12登録) 相手の微細な反応から嘘を見抜いて真実を暴き出す「行動心理捜査官・楯岡絵麻」シリーズの一つで、著者と同じ名前を与えられたミステリー作家「佐藤青南」との対決を描いた長編作品 天性の才能によって人身を掌握して一種のカルトを築き上げた一方、基本的に自身を認めさせる事以外には興味がなく、批判者や後輩には苛烈な攻撃を加えるサイコパスとしての「佐藤青南」は、ミステリーの悪役として結構好きでした 心理学を学び自身を取り繕う事も出来る佐藤と絵麻の(取り調べ室での)対決は特に熾烈で、佐藤が仕掛けた(というか実行した)非常に気の長い狂気染みた犯行に戦慄しつつ、普段はソリが合わない現場組との二人三脚で辛うじて絵麻が佐藤に対して突破口をこじ開ける様は読んでいてスカッとするものがあります あからさまに続きがあると匂わせる終わり方をしているので続きが気になりつつ、(「サイレント・ヴォイス」で感じた個人的な危惧はあるものの)シリーズの他作品も徐々に読み進めようと思います |
No.130 | 5点 | 八甲田山殺人事件 吉村達也 |
(2025/02/28 00:02登録) 温泉好きの志垣&和久井コンビが活躍する「温泉殺人事件シリーズ」の一つで、読後にやるせなさが残る作品 大量の氷と共に湯船に浸かって凍死した女性、女性が死んでいた部屋の借主が真っ先に疑われるも、その男も青森・八甲田山の山中で顔面を殴り潰されて死んでいた… かなり猟奇的な事件で真相が気になる導入であるが、この作品に大掛かりな仕掛けやトリックのようなミステリー的に面白いギミックはない(少なくとも私としては無かったと思う) だが、決して詰まらないとは感じなかった ただ、読み終えて「何で…」とは思わずに居られない『真相』に少なからず胸が痛む。確かに一般的に見て誠実では無かっただろう。身も蓋もない言い方をするなら損な性格だっただけ。故に行き違いが生じて誤解が誤解を生んだ。が、命を払う程の罪か?と問われれば、ほとんどの人はNOと答える。ドミノ倒しのように、悪い方へ悪い方へ歯車が噛み合ったが故の悲劇 ミステリーは好きで色々読んでいるつもりだが、こういったタイプにはまだ出会った事が無かった気がする。とびきり良いとまで言わないまでも、比較的読み易い事もあって悪くなかったです |
No.129 | 4点 | サイレント・ヴォイス 行動心理捜査官・楯岡絵麻 佐藤青南 |
(2025/02/27 20:58登録) 人が無意識のうちに出してしまう反射的な微細行動を見極めて相手の嘘を見抜く事が出来る刑事・楯岡絵麻が活躍するミステリーシリーズの(おそらく)1作目 短編形式となっており、取調室を舞台に、取り調べを受ける被疑者の嘘を見抜き、その先に隠された真実を暴き出すトリッキーな警察小説 相手の油断を誘う言動で侮らせ、不意を突いて嘘を一つ一つ潰しながら追い詰めるというのが大まかな流れとして確立している作品であり、一転して被疑者の嘘を封殺していく様は結構気持ちいいです フィクションとは言え、相手の反応だけで(被疑者自身は一切触れてないにも関わらず)秘密の場所の特定までしてのけるのは実際の所「どうなんだろ?」とか「やりすぎじゃない?」みたいに野暮な事を思ってしまったり、何より前述のように大体の流れが出来上がっているので若干飽きるというかワンパターン気味な印象を受けました |
No.128 | 4点 | 札幌駅殺人事件 西村京太郎 |
(2025/02/25 17:05登録) 西村京太郎作品でお馴染みの「十津川警部シリーズ」であり、特定の駅に注目した「駅シリーズ」とも分類されるシリーズ物の一つ 札幌駅を舞台に、自身を裏切った弟分を殺害して札幌へ逃亡した男を十津川警部らいつものメンバーが追い掛ける普遍的な話かと思いきや、駅内のコインロッカーを悪用した麻薬取引、拳銃を持った殺し屋も現れ、それらが同時進行で事件を起こす事で事態が混迷していくてんこ盛りな作品となってます 上記のように複数の事件が同時に起こる事でボリュームを持たせていると言える作品であり、ある意味では飽きのこない仕上がりになっていますが、ミステリーとして捉えるとちょい薄っぺらい 事態がひたすらにとっ散らかった印象で、盛り過ぎで薄味になってしまっていると感じました |
No.127 | 6点 | 隣はシリアルキラー 中山七里 |
(2025/02/25 12:11登録) 些細な事でも一度気にしてしまうと非常に気になって仕方ない、そんな心理状態が疑心を掻き立てる話の流れが面白いと感じた作品です また、猟奇殺人を繰り返すサイコパスを扱ったサスペンス作品は数多ありますが、そこに、いわゆるどんでん返しとは若干趣きが異なる真実を設ける事で独自の立ち位置を確立している作品でもあるように思います 読む前に半ば想定していた「騙された」というような快感はないのに、前述した身近な心理状態で共感し易い事も手伝って(いい意味で)不思議と満足度はありました |
No.126 | 5点 | 女が死んでいる 貫井徳郎 |
(2025/02/25 11:37登録) 著者としては数少ない短編集の一つで、バラエティに富んだ8編が収録されてます 文庫の解説によると既に2〜3冊の短編集が出せるくらいには様々な形で短編を書いているらしく、著者の拘り故に短編集自体の冊数は少ないのだという この辺りの事情を知ると「なるほど」と思わせる所は確かにあって、総じて収録された短編の質が高い、もしくは一定の水準を満たしているというのはあると思います(話の好みはさて置いといて) 多かれ少なかれどんでん返しの要素がある上で本格、社会派、誘拐物、果てはライトな作風のミステリーまでミステリーの方向性がバラエティに富んでいながら、あからさまに詰まらないと感じる作品が無かったのは流石だと思う。著者の拘りで収録作品を厳選した結果なのだとしたら納得です(解説を読んでの推測なので事実かどうかは分かりませんが) あと、個人的には表題作の「女が死んでいる」が収録作の中では一番読み応えがあって好きで、「殺人は難しい」に関しては作品そのものよりも世に出た経緯というか初出先が面白いなと思いましたね |
No.125 | 6点 | 鑑定人 氏家京太郎 中山七里 |
(2025/02/24 16:44登録) 元科捜研研究員という経歴を有する鑑定人・氏家京太郎と仲間達が事件の物証から真実を暴き出すサスペンス作品 残忍な手口で女性を手に掛け逮捕されたシリアルキラーが、2人の殺害はすんなり認めながら3人目については自分ではないと否認。誰もが極刑を免れる為の悪足掻きと思う中、先入観のない鑑定を心掛ける氏家達にも危険が迫り…と言った内容で、わりとスラスラ読めて面白かったです また、裁判の進行だとか鑑定手順だとか、普通あまり知る機会がないような舞台裏というか裏事情が丁寧に書かれているので、そう言った点でも興味深かった作品になります 各々のキャラクターが重きを置く理と情、拘りや柵、あとは因縁といったモノでの対立関係も強調されて描かれていた印象で、最新技術を用いた科学捜査(DNA鑑定など)で判明する事実に基づき事件の真実が解明されていくという意味では警察小説にも近しい作風かと思います |
No.124 | 5点 | 四捨五入殺人事件 井上ひさし |
(2025/02/24 01:33登録) 読み終えてみるとタイトルにある四捨五入というワードが実に意味深で、ある種の問題提起というか社会風刺的な側面もある作品 割と早い段階で(それはそれで割りかし意外性のある)全容解明と思わせ、いや実はーとして変則的真相が明かされる流れは結構面白かったです とは言え、それならそれで「アレは意味なかったんじゃ?」とか、「だとしてもやり過ぎでは?」と思わなくはない真相でしたので、個人的には若干モヤモヤが残ったわけですが… あと、この作品が書かれた年代としては普通だったのか知らないですが、ちょいちょい度を越したセクハラ発言をするキャラが居て、別に引くとまでは言いませんがなんか寒いな…とは思いましたかね |
No.123 | 6点 | 犬を盗む 佐藤青南 |
(2025/02/20 14:58登録) 犬の視点も挿入される、犬を巡る殺人事件を描いたミステリー作品 気難しい性格で知られる老婆が殺害され、一方で急にアパートで犬を飼い始める男が登場し、その男が連れた犬に見覚えのある女も現れる 関係が見え隠れする朧げな線が徐々に繋がると共に、それに伴う(犬に関する)人間のエゴも浮き彫りになる作品です 個人的に話の流れは割と好きで比較的ライトなミステリーとして楽しめたのと、とある女の末路には若干の同情とそれ以上に胸がスカッとしたというのが正直な感想です |
No.122 | 6点 | 迷路荘の惨劇 横溝正史 |
(2025/02/19 17:22登録) 「金田一耕助」シリーズは相当久しぶりでしたが、相変わらずの怖々しい雰囲気でむしろ安心感があった 天然の洞窟が張り巡らされた元名家の邸宅・名琅荘。前述の洞窟やからくり仕掛けの数々から「迷路荘」と揶揄される屋敷を舞台に、片腕の男が暗躍する連続殺人が描かれます 一筋縄ではいかない人間関係や、この作品の目玉とも言える洞窟探索がなかなか面白く、密室トリックについてはさらっとしてますがある意味で現実味がある辺りに恐さを感じなくもない丁度良い塩梅 敢えて難を挙げるなら書かれた年代上、仕方ないとは思いますが文章が分かりにくい。本筋とは関わりない慣用句や表現に「?」が浮かぶ箇所が少なからず有りました(その辺は私の知識不足かも知れませんが…) |
No.121 | 5点 | 迷路館の殺人 綾辻行人 |
(2025/02/17 19:52登録) 高校の時に読んだ筈だが内容をまるで思い出せない、という事で図書館から借りて改めて読了 読み終えてまず、なんとなく覚えていなかった理由が分かった気がした…話が地味なんだと 門扉に閉ざされ地下に広がる迷路で構成された異質な邸宅ー迷路館という事で、そのらしさを活かした誘導トリックは面白い。次いで、真犯人が分かったと思わせてのどんでん返しは様式美のようだが「やられた」という驚きをもたらしてくれた ミステリー小説としてもシリーズ物としても、面白い作品なのは間違いない ただ、手堅くまとまっている分、印象・記憶には残り辛い作品でもあるようです(実際、私は文庫本のあらすじを読んでも内容が思い出せないくらいには印象に残っていなかった…) あと、相変わらず探偵役のキャラが薄い… |
No.120 | 3点 | びっくり館の殺人 綾辻行人 |
(2025/02/17 10:12登録) 「館」シリーズの一つに数えられていますが、同時に低年齢層向けに書かれたミステリー作品という事も念頭に置くべき作品です そうは分かっていても、シリーズ好きというかタイトルを揃えるならきっちりして欲しい派の私からするとせめて文庫本などへの再録ではタイトルを「吃驚館の殺人」にして欲しかったなと益体もなく思ったりします 肝心の内容ですが、前作(「暗黒館の殺人」)のようなオカルティズムは控えめながら人間の狂気はそれなりに描写されていた印象で、その辺りにも掛かってくる本作のトリックもありきたりに感じたもののある意味言葉が出ない光景だろうなと驚きと呆れに畏怖が混ざった奇妙な感想を抱いた覚えがあります 正直あまり面白いとは思いませんでしたが、本来のターゲットである子供たちが本作を手に取って、それをきっかけに他の「館」シリーズだとかミステリー作品に触れる契機になってくれれば良いなとは思います |
No.119 | 8点 | 時計館の殺人 綾辻行人 |
(2025/02/17 09:25登録) 綾辻行人が手掛ける「館」シリーズで、個人的には「十角館の殺人」よりもこちらの方が好きな作品です スケールの大きなメイントリックや、その伏線の貼り方が秀逸で、なんとか閉じ込められた地下の館から這い出た者(のちに口封じされる)のパニックに等しい驚愕のリアクションだとか、食事シーンでカップ麺が美味く感じないなんてさり気ない所まで、トリックが分かると「なるほど」と唸る部分が多分に含まれ、館シリーズとしてもミステリー作品としてもレベルが高いと感じてます 反面、キャラクターに関しては非常に曖昧で、一応、「奇面館の殺人」以外のシリーズは全て読破済みにも関わらず、メインとなる2人のキャラがイマイチ思い浮かばない。奇人変人なら良いってものではありませんが、キャラ付けに改良の余地がある気はしてます |
No.118 | 6点 | ワトソン力 大山誠一郎 |
(2025/02/16 15:46登録) 「アリバイ崩し承ります」といい本作といい作家・大山誠一郎はこういった形式(短編形式でのシリーズ物)が得意なんだろうか? そんな事はさて置き、本人はごく普通の凡人刑事、しかし彼の周囲にいる者に頭の冴え・推理力を与える特殊能力を持っていた。言わずもがな、特殊設定に基づく短編ミステリー物である 事件は全部で7話あり、それらの合間に差し込まれるプロローグ、インタールード、エピローグもまとめて読むと1本の短編となっている構成。 真っ暗な空間で起きた殺人、飛行機内で毒殺されま男、不可視の凶弾に倒れたオリンピック候補者、バスジャックと同時に発覚した車内の殺人。 一つ一つは小粒な印象もありますが、前述の特殊設定によって容疑者全員が突然探偵となって自説を披露しだす辺りは格式美のようであり、『Aが推理したら穴を突き、次いでBも推理するが否定される、そんな中でCがAやBの推理を一部認めながら正しい真相を言い当てる』大まかに言ってこの流れが確立している点も、本作を楽しみ易い理由なのかも知れない そもそも、1編1編が短編としても短めなので、少しずつ読み進めるのに向いている点で読者に馴染みがない人にも薦めやすい作品でもあると思います |
No.117 | 9点 | 地雷グリコ 青崎有吾 |
(2025/02/15 22:43登録) 個人的にはこの作品を読んでいて真っ先に「ライアーゲーム」を思い出したが、話の内容的に両者は非常に近しいと改めて思いました(あちら程、物騒というかシビアな世界観ではないですが…) グリコ、ジャンケン、神経衰弱、だるまさんがころんだ…大抵の人に馴染みがある分かりやすい遊びを下地にしているだけあってゲーム内容を理解し易く、それらに特別ルールを付与する事で独特の駆け引きが生まれている辺りも上手いと思う。その上での必勝法の模索や盤外戦術も含んだ騙し合いが行われる為、話の流れとして勝つんだろうなとは思っていても一定の緊張感を保って楽しめました ゲームのプレイヤーとなる真兎のキャラクターも、最初こそ人間味を感じない所があってあんま好きになれないかなと不安でしたが、最後まで読むにつれてそんな上辺に隠れた本心が見えてくると一転魅力的に見えてくるから不思議なものです 話題になっていたのとあらすじを聞いて事前に面白そうだとは思っていましたが、実際、読んだ感想としてはシンプルに面白かったので満足しています |
No.116 | 7点 | 牧師館の殺人 アガサ・クリスティー |
(2025/02/15 10:37登録) クリスティ作品として「ポアロ」シリーズと双極を成す「ミス・マープル」シリーズは未だ手付かずだったので、まずはという事で本作を読了 相変わらずというべきか、少し前に「ゴルフ場殺人事件」を読んだ時も思った事ではあるが、推理小説の書き方が上手いなと思う 登場人物の皆が皆それぞれに容疑者たる要因や怪しさを持ち、まして本作は、事件が起きて直ぐに警察へ自首する者(しかも2人)が出る所から話が膨らむ事もあって余計に(良い意味で)混迷するのが読んでいて楽しい また、被害者が遺した手紙、当てにならない時計(時間)、何者かから掛かってくる電話、銃声が聞こえたタイミングや、登場人物たちによる噂や証言も謎に拍車を掛ける ラストの謎解きパートで多少「ん?」と思わない事もない箇所はあったものの、それは些細な事と思えるような怒涛の真相に満足出来た |
No.115 | 3点 | クラリネット症候群 乾くるみ |
(2025/02/14 05:51登録) ある日突然「何者か」に身体を乗っ取られた少女と、壊されたクラリネットと同じ音階が聞こえなくなった少年をそれぞれ主人公とする2編の中編から成る特殊設定の青春ミステリー まず、前者はブラックユーモアが効いている怪作で、そのオチまで思えばむしろホラー小説な気もします。主人公となる少女も含め大体の人物が大なり小なり狂っていて、最後に皆んなで笑ってるシーンで狂気が最高潮に達するというか異様な読後感を与えます 後者に関しては、前述の特殊設定は踏まえつつ、暗号解読の方が主体となるミステリーです。ただ、これ(暗号)もあまりすっきりする代物で無かった上に、やはりオチというかクライマックスに狂気が混じる為、読後感は良くありません 読み易い部類の小説ではあると思いますが、一方で、話に毒が含まれる分好みははっきり別れる類の作品集かと思われます |
No.114 | 5点 | PIT 特殊心理捜査班・水無月玲 五十嵐貴久 |
(2025/02/13 15:56登録) プロファイリングや最新のAI解析などを用いて現場の捜査をサポートする捜査チーム・PITの活躍を描く本格派というか現実的な警察小説 通称「V」と呼ばれる猟奇殺人鬼の人物像解析に始まり、その途中からは「ジャック」と呼ばれる別件の殺人犯に関する捜査や、残虐な手口で現職刑事が殺害される等、一際残忍で難解な事件が幾重にも重なって同時進行するボリュームの大きさに、まずは圧倒される また、チーム内のメンバーも一枚岩でない辺りにも深みが感じられ、プロファイルの向上に務める者、AIの力を過信する者、それらを一纏めに反発して地味な捜査に拘る者…個人個人の思惑や考え方が入り混じり、時に激しくぶつかりながら事件に向き合う様には真に迫るリアリティがあったように思います 警察小説としてかなり骨太な作品である一方、それ故に個人的には読みにくさも感じた作品でした |
No.113 | 5点 | 御堂筋殺人事件 内田康夫 |
(2025/02/12 17:42登録) 内田康夫の旅情ミステリーシリーズ「浅見光彦」の一つで、今回の舞台は大阪・御堂筋 御堂筋で行われたパレードの最中、とある地元の有力企業と契約しているモデルが毒に苦しみ、パレードの乗り物から転落して死亡する 元々が雑誌連載の作品らしく、その第1話に当たる上記のインパクトは悪くない そのモデルの死をきっかけに第二第三の殺人も起こり、その最中には謎の強請り電話が掛かってきたり、更に技術盗用といった社会的な謎まで絡んでくるので、全体像が余計に掴みにくく浅見光彦も苦戦を強いられる そこまで派手な作品ではないものの、エピローグにて事件の全容が解ってくると「ほぉ」と感心出来るくらいには上手く事件の流れが繋がっていて悪くなかったです |