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ミステリの祭典

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たかだいさんの登録情報
平均点:5.05点 書評数:198件

プロフィール| 書評

No.178 4点 アンフェアな月
秦建日子
(2025/05/09 21:45登録)
0歳児が誘拐され、犯人からは具体的な要求もない。不可解な誘拐事件から始まる奇妙な事件の顛末を、型破りな女刑事・雪平が追う人気シリーズの第2弾
とりあえず、文章は読み易く、展開もスピーディで、ほどよいサスペンスを楽しめる作品ではあったかと思います
一方、話の内容としては、並。若干、物足りなさが残る感じ
ミステリーとしての質は微妙なながら、軽い読み物としては手頃で悪くなく、各章毎に黒塗りに白字で煽り文(?)が挿入される演出も含めでそこそこ楽しめる作品だとは思いました


No.177 5点 月光亭事件
太田忠司
(2025/05/09 19:37登録)
個人的には好みな大掛かりな仕掛け(トリック)が目玉の、古き良き(?)推理小説
あまりに大掛かり過ぎて実現性という点では欠片も現実味を感じませんが、(多少苦笑いしながも)それもまた良い
純粋無垢な少年探偵(見習い?)と、レジェンドの後を継いだベテランの私立探偵、そこにあからさまに怪しげな導師や、導師が居着いた家の面々など、ちょっと古風な少年漫画的なキャラクターが彩りを添えて話は非常に読み易いと感じました


No.176 6点 バビロンの迷宮
天野裕美
(2025/05/05 21:13登録)
パソコン通信の黎明期に、PCゲームをテーマにして書かれた当時としては先鋭的な作品
スマホが普及し、SNSも数多ある現在、パソコン通信に掛かる費用だのフロッピーだの絶妙に古くて懐かしい部分も多く出てくる内容でした
とは言え、そう言った時代背景の古さはありますが、作品としての質は高めな気がします
二転三転する展開は(最終的な真相も含めて)面白いですし、キャラクターも自然体で良かったと思います


No.175 6点 無人島ロワイヤル
秋吉理香子
(2025/05/05 07:34登録)
とあるバーで知り合った人々が、各々が選んだ2つのアイテムだけを持って無人島に置き去りにされるサバイバルサスペンス
脱出出来るのは1人、生き残れば莫大な賞金も手に入るという王道的なバトロワ系です
ただ、良かれ悪かれ雰囲気は他のバトロワ系と比較してやや軽めなテイストである為、そこまで胸糞要素や鬱要素はなく、読みやすい
逆に言えば、バトロワ系にしてはあっさり味で、突き抜けてはいない
あと、主人公の恋人のお嬢様があまり好感が持てず、少々ウザったかった…
総じて、バトロワ系としては重すぎず軽すぎずで読み易い作品でした


No.174 4点 謎を買うならコンビニで
秋保水菓
(2025/05/05 07:26登録)
コンビニを舞台とし、主人公も「コンビニ専門」を自称する素人探偵という変わり種設定が光るミステリー小説
良かれ悪かれ設定の面白さが目玉で、それ以外は並かなという印象
コンビニのトイレで発生した殺人に、その周辺で起きた猟奇殺人も絡んできてボリュームが無いわけではないですが、そこまで驚く真相ではなかったかな、と思いました
軽い読み物としては、読み易さもあって丁度良かったです


No.173 6点 仮面病棟
知念実希人
(2025/05/03 22:40登録)
銃を持った強盗が、負傷した人質を連れて病院に立て篭もる事から始まるサスペンス小説
ただの(と言ってもそれはそれで重大な事件だが)立て篭もり事件かと思いきや、次第に明るみになってくる病院内の不審な点、犯人の不可思議な行動や、何かを隠している院長など、不穏な動きがあちこちで起こる中、元精神病院という隔離された病棟からの脱出劇がスピーディに描かれていて飽きませない
病院の秘密に関してはそんな気がしていた内容でしたが、事件の全容に関してはどんでん返しな真相もあって楽しめました


No.172 4点 首なし人魚伝説殺人事件
司凍季
(2025/05/03 18:55登録)
マネキンの首が添えられた首無し死体。第一発見者が少し目を離した隙に、マネキンの首は髑髏に置き換わっていた。かなり猟奇的で、いかにも本格ミステリーらしい謎である。そこに、同じ被害者女性が20キロも離れた2つの場所に同時に存在していた、という謎もダメ押しのように追加されるのだから、期待値は自ずと上がる
ただ、読み終えた今となってはハードルを上げすぎてしまった感はあり、真相というかトリックの全容が分かった時に感じたのは「へぇ」という何とも微妙な感想
首を切った理由付けはまあ良いとして、それに付随するアリバイ工作があまり面白味がある代物じゃない。というか、有りがちなパターンだった気がする
総評として、出だしは良いが尻すぼみというか、どこかで読んだような印象が残る微妙な作品でした


No.171 6点 さよなら、シリアルキラー
バリー・ライガ
(2025/05/03 17:12登録)
シリアルキラーの父から特殊な英才教育を受けた青年が、猟奇殺人の捜査を通じて父親の呪縛から逃れるべく苦悩する変わり種の青春ミステリー
投獄済みの父親の影に常に囁かれ、いつか自分も殺人鬼に堕ちるのではないかと苦悩し、周囲と距離を取ろうとしつつも、親友や恋人に支えられて自分を保とうともがく様が印象深く、そのキャラクター性が好きな作品です
一方、本作に登場するシリアルキラー「ものまね師」に関しては、正体も含めて可もなく不可もなく。やっている事は残虐だが、元に対して全体が近くなりさえすれば多少の妥協は許容する辺り、結局はものまねだからか芯がない。だからか、あまり魅力には映らない
とは言え、その作品(と言うかシリーズ)の味は十分出ていて面白い作品でした
続編や、完結編も読みたいと思います


No.170 3点 刑事の慟哭
下村敦史
(2025/04/30 21:40登録)
読んだ印象が何となく湿っぽく、今まで読んだ警察小説の中でも異彩を放つ独特さを感じた作品
過去に警視庁のメンツを潰した事から捜査活動で不遇な立ち位置に立たされる爪弾き者の刑事が主人公で、一見ハードボイルド系の一匹狼タイプと思いきや、信念のようなモノはありつつ諦観した感じの草臥れたキャラクターという時点で警察小説の主役としてはだいぶ変わっている
ただ、個人的にそこより気になったのは人間関係のギスギス具合で、基本的に捜査本部の上層は主人公を嫌悪しているし、他の刑事も「余計な事すんなよ」的な対応ばかりで、そうゆう話なんだろうけど読んでいて不快感が増すばかり…
どうにも胸糞に感じられる人間関係が好きになれない作品でした


No.169 3点 「天の酒」殺人事件
日下圭介
(2025/04/29 16:40登録)
酒に関する拘りというか蘊蓄は面白かったが、ミステリー小説としては正直イマイチに感じた
提示される謎は興味深いのに、仕上がりが2時間サスペンスっぽいとでも言うか、あまり盛り上がりが無かったように読んでいて思った。良かれ悪かれ平坦な物語って感じ
密室の状況下で3人もの人間を死傷させた手段はまずまず良かったとは思うが、パーティ会場での毒殺については結局の所、ある種の偶然と解釈したが良いのだろうか…?
あと、本来の標的に対して巻き添えをくった人の数があまりに多くないだろうか…。なかなかにクレイジーが犯人である


No.168 6点 殺しの双曲線
西村京太郎
(2025/04/26 19:24登録)
トラベルミステリーで有名な作家「西村京太郎」の代表作として『終着駅殺人事件』と共に挙げられる事が多い(と感じる)作品
冒頭で双子のトリックである事が明確に語られ、実際、双子である事と捜査の原則を悪用した強盗事件が起こり、雪山で孤立したホテルで同時進行する殺人事件がどう結び付くのかが非常に興味深かった
読み終えた感想としては、強盗事件の方は双子設定が活きていて十津川警部と対決させても面白そうだな思った反面、ホテル側の双子は若干「?」というか意味があったのかよく分からない
事件としては真相も含めて悪くないのだが、その辺が引っかかったのと、犯人の動機が(約1名はともかくとして)どう考えても理不尽な逆恨み以外の何者でもないのが…
とは言え、多少気になる箇所はありましたが、代表作と言われるだけの面白さもあったかと思います


No.167 8点 致死量未満の殺人
三沢陽一
(2025/04/25 22:20登録)
最初に自分が犯人であるという名乗りから始まる本作は、てっきりそうゆう方向性=倒叙ミステリーかと思いきや、実際にはもっと入り組んでいて面白い
主要人物の4人全員から恨まれていた女が中毒死し、その場で犯人探しを始めるも、誰も毒を入れたタイミングややり方が分からず、結果的に事件は時効を迎えて現在に至る
なかなか謎として興味深く、その毒殺トリックも興味深かった。個人的には、同じく毒殺を扱った作品として印象深い東野圭吾の『聖女の救済』に次いで、面白いトリックだったと思う
また、全体の1/3辺りから怒涛の謎解き(真相解明)が始まるわけですが、一つの真実に対して、第二、第三の真相、そこに更なる事実…と二転三転では収まらない意表を突く事件の全容にも唸らされた
『致死量未満の殺人』とはよく言ったモノだと、満足感のある作品でした


No.166 5点 そこに無い家に呼ばれる
三津田信三
(2025/04/23 22:32登録)
著者・三津田信三が、とある蔵から見つかった3つの文書に記された怪異を読み解いていくホラーシリーズの第三弾
幽霊屋敷が舞台の当シリーズにおいて、今回のテーマは『存在しない家』という矛盾した題材が取り上げられている
個人的に本書に関しては恐いというより気味が悪い作品だと感じた
その一方で、著者の趣味だと思われるホラー作品に関する言及であったり、自身の著作に関するあれこれが頻繁に出て来るので、メタ的なストーリーというか実話風なお話なのだと理解・解釈はしていますが、その辺が理由で話に乗り切れなかった部分はあった気がします(あくまで私の主観ですが…)
どうせなら他作中に言及しない独立した作品が読みたい所です


No.165 4点 ホラー作家の棲む家
三津田信三
(2025/04/23 21:03登録)
個人的に『禍家』がホラー小説として文句なしだったので、同じ著者・三津田信三のデビュー作と聞いて期待した作品
引き寄せられるように移り住んだ邸宅を舞台に、そこに住む事となるホラー作家が体験する現実パートと、その作家による小説=作中作パートが交互し、後に発見されるミニチュアハウスや邸宅に隠された因縁・奇縁が明かされ、最終的に虚構と現実どっちがどっちか…みたいなパターンの作品
決して詰まらなくはなく、ホラー作品としての恐さもあるが、若干、話にややこしさが感じられたのがホラー小説としては残念に思った点です
結果として、ちょっとハードルを上げ過ぎたかな…といった所で4点評価に落ち着いた感じになります


No.164 8点 禍家
三津田信三
(2025/04/23 20:43登録)
ここ最近読んだホラー小説の中でも抜群に怖く、これまでに読んできたホラー作品の中でもトップレベルの良質なホラー小説
いわゆる幽霊屋敷物でストーリーとしては比較的ありきたりながら、作中での怪異シーンに擬音が多用されているのに(ホラーで陥りがちな)陳腐さがなく、語り口が上手い怪談師による怪談のように効果的に恐怖心を煽ってくる
一部ミステリー的な要素もあったりするが個人的にはオマケ要素で、その辺りを抜きにしたホラー作品として純粋に面白く、何より恐い
ホラー小説のオススメを聞かれたら真っ先に本作を挙げたいくらいにはお気に入りの作品です


No.163 2点 横浜ランドマークタワーの殺人
斎藤栄
(2025/04/22 21:08登録)
あらすじは非常に惹かれるモノがあったが、中身は正直、味のないガムのように感じられました
何より、主人公の警部があまり好きになれない人物で、言うなれば劣化版十津川警部な感じ…
事件の捜査に対するストイックとも言える姿勢こそ十津川警部とダブりますが、婚約者が誘拐されたにも関わらず(しかも上司は彼女の身の安全を優先して良いと言っているのに)犯人追跡に固執しているようにしか思えず、「身の安全は勿論だが」みたいな記述はあったかと思いますが白々しいとすら思ってしまった。結構、そうゆう場面がちらほら見受けられたので印象としては非常に悪いです
また、オチに関しても漠然と「こうかな?」と思っていたまんまの真相だったのでラストまで擁護できるポイントが見つからないまま読み終えてしまった形となり、残念な作品だったと言わざるを得ません


No.162 4点 湯煙りの密室
中町信
(2025/04/19 18:59登録)
読み易さはある程度保証できるが、この作品の肝と思われる密室トリックが「………」な出来栄えで残念感がある
実際にそうゆう事例もあるんだろうけど、それ言っちゃったら何でもアリじゃない?と思ってしまった
事件の真相だったり、そこに至る流れそのものは悪くなかったと思うので余計、がっかりの念が強く出た感じです


No.161 2点 ロウフィールド館の惨劇
ルース・レンデル
(2025/04/16 21:04登録)
文字が読めなかったが故に家族4人を惨殺した…どうゆう事?と思わせるあらすじと、犯人とその結末分かっている中で如何にして惨劇が起こったのかに焦点を当てたサスペンススリラー的な流れは期待するに余りある
だが、ただそれだけの作品で、以下はあっても以上はないと個人的には感じた
とにかく文盲である事だけはひた隠しにするユーニスの異常性はともかく、それ以外で褒めるポイントが私としては見付けられない
スリラー小説としてはなんか詰まらないし、基本的に(作家によって読み易いor読み難いはあっても)文章そのものに違和感を覚える事はあまりない質ですが、そんな私でも気が散る程の稚拙な文章…
特に序盤辺りの『今こうしておけば』だの『気付け』だの誰視点だよとツッコミたくなる安っぽい表現はライトノベルでもそうそうお目にかかれない陳腐さで、その時点で正直読む気は大分失せました(一応根気で読み進めましたが…)


No.160 4点 蜃気楼・13の殺人
山田正紀
(2025/04/16 20:22登録)
村おこしのマラソン大会で男が苦しみ悶え、やがて参加者13人もの人間が姿を消した。更に、例の男は木の枝に身体を串刺しにされた状態で発見され、その後、収容された遺体は忽然と消えてしまう…
なかなかインパクト溢れる魅惑的な謎を提示してくれると、読む前には大いに期待させてくれた作品
ランナーの集団消失トリックや、村の古文書に擬えて犯行が行われた経緯などは話が練られていて上手くまとまっている印象を受ける一方、空を飛んだトラクターのトリックは完全に蛇足感があり、本作に探偵役と言える人物が居ない…事もないという曖昧な状態で話が進む為、なんだかすっきりした解決が望めないのも読んでみて妙に心地が悪い
更に言うなら、寂れた山村が舞台なのはいいとして排他的な気風がかなり濃く描かれる為に読んでて気分が悪く、一応の主人公である健一の行動もただただ痛々しいだけで好感を持てる要素が見当たらないのもキツい…
謎は魅力的だが、中身が残念。そんな感じのミステリーでした


No.159 7点 Cの福音
楡周平
(2025/04/15 00:06登録)
コカインの密輸ルートを巡るクライムミステリー作品で、最終的に五部作となる楡周平のデビュー作
アメリカー日本間を密輸する仕組みがかなり練られていてリアリティがあり、そのルートを横取りしようと暗躍する者との対峙も手に汗握る
また、主人公である朝倉恭介のある種ダークヒーロー然としたキャラクターが本作の魅力をより引き立てており、友人であったルームメイトの死すら踏み台にしてその友の父=マフィアと繋がりを持ち、麻薬密輸と日本市場の開拓という大役を掴み取る様は読んでいて妙に気持ちが良かった

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