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ミステリの祭典

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トリック・シアター

作家 遠藤武文
出版日2010年06月
平均点5.00点
書評数5人

No.5 4点 E-BANKER
(2013/09/29 20:13登録)
「プリズン・トリック」で第55回江戸川乱歩賞を受賞した作者。受賞後の最初の長編が本作。
前作に続いて、読者を驚かすトリック&プロットに拘った作品に仕上がっているか?

~同日同時刻、500キロメートル離れた東京と奈良で起こった二つの「殺人」。容疑者として浮上したのは同一人物だった。謎を追う刑事たちの前に、今度は閉鎖病棟での密室殺人が発生。三つの事件がつながり、驚愕の真実が明らかになる! 乱歩賞受賞作を超えた作者渾身の長編ミステリー第二弾~

何とも荒削りな作品だ。
他の方の書評では「詰め込みすぎ」という言葉がよく出てくるが、それよりも作者の狙いというか、書きたいことが分散しすぎて結局最後までよく分からないまま終わってしまった、という感じ。
前作「プリズン・トリック」でも、ラストの大技一本勝負という感じで、中盤は破綻して穴だらけという評価だったのだが、本作でもその辺りはあまり改善されなかったようだ。

①同じ時間に殺された二人の容疑者が同一人物=アリバイ崩し、②閉鎖病棟での殺人=密室。
ミステリー的にはこの二つが本作の大きな「肝」となるはずだったのだろうけど、正直なとこ途中からそんなことそっちのけで公安絡みの社会派を思わせるような動機探しがメインとなってしまう。
結局、①②とも常識的な線で解決が付けられ、タイトル的に本格ミステリーっぽいガチガチの仕掛けを期待した分、肩透かしをくらったような脱力感を味わってしまった。
ラストもなぁ、衝撃的ではあったが、何だか救いのない気分・・・。

作者が注力しただろう「事件の背景、構図」についても、登場人物の書き込み不足が響いてちょっとリアリティに欠けるのが痛い。
主役級の安孫子警視正をはじめ、捜査陣となる刑事を大勢登場させ過ぎたのも失敗かな。
ってことで、ネガティブな感想ばかり書いてしまいましたが、作者の筆が持つエネルギーというか情熱みたいなものは感じさせてもらった。
それが救い。

No.4 6点 いけお
(2012/06/04 00:57登録)
魅力的な謎があり、整合性もある。
細かい部分の完成度が高まればよりよかった。

No.3 5点 まさむね
(2010/10/18 19:46登録)
前作(プリズン・トリック)同様,評価が微妙ですね。(前作を読んだ上で,この作品に触れた方が楽しめると思います。)
提示される謎はなかなかに魅力的ですし,前作における欠点を修正しようとする姿勢も買うのですが…
でもやっぱり,詰め込みすぎじゃないかなぁ。もっとシンプルでもいいと思うんですよね。
また,相変わらず(一部の者を除いて)人物表現が拙いような気がしてしまいました…映像として浮かんでこないというか…。
その薄い人物表現の中で人間性のコアな部分をも描こうとするから,分かりにくくなるのかも?(単に私の読解力不足なら,大変申し訳ございません)。

って何だかんだ言って,前作同様,魅力は否定できないんですよね。
続編があるような結末だったし,今度こそ次回作に期待かな。

No.2 4点 虫暮部
(2010/10/09 10:17登録)
 事件関係者の行動を充分説明するだけの裏打ちとしての心理描写が足りないと思う。「被害者」たちは何故そんなことをしたのかよく判らない。行動自体は面白いのだけれど、「人物」ではなくてゲームの駒のようだ。

No.1 6点 白い風
(2010/08/15 23:35登録)
同時殺人・3月21日の仲間の死亡など内容は面白いとは思った。
そのトリックも理由も納得の範疇だね。
また、警察庁「裏店」の警視正・我孫子のキャラも面白い。
でも、主人公の本多刑事とテロの関係は要らなかったのじゃないのかな?
前作もそうだけど、ちょっと詰め込み過ぎだよね。
この辺りをカットすれがもっと面白かった気がするね。

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