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ミステリの祭典

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レッドキングさんの登録情報
平均点:5.27点 書評数:888件

プロフィール| 書評

No.768 6点 わが職業は死
P・D・ジェイムズ
(2023/11/14 11:53登録)
犯罪証拠を検査判定する研究所を舞台にした殺人事件。始めから、Whom:被害者が誰になるかは明らかで、容疑者達に如何に納得できる動機があるか詳述されて行く。固陋・頑迷・小心な科学者達より、女達のキャラ・・猟色家の美女、愛されて育った愛すべき娘、愛されずに育った狷介な女、人好きしない女流作家、病的な少女(この娘の将来を憂える)、哀れっぽい街娼・・女達のキャラ描写がユニーク。秘儀的情事・兄妹相姦・レズビアン等の爛熟した珍味を醸しながらも、直球・・「捻り」さえストレート・・で進行するWhoダニットミステリ。


No.767 5点 赤朽葉家の伝説
桜庭一樹
(2023/11/11 06:10登録)
「いつか採点しよ思ったまま数年過ぎた」作品その六。山陰地方を舞台にした、三部構成、女三代クロニカル。ミステリとしては、巻頭と終末の「人体ストップ映像」ドンデン返しに尽きるてのが、逆に凄い。※これも、オマケ点数。


No.766 6点 私の男
桜庭一樹
(2023/11/11 06:06登録)
「いつか採点しよ思ったまま数年過ぎた」作品その五。生ぬるくかつ果てまで行っちゃったダークな男女・・何気に真の父娘(オトろしかぁ)なのね・・のピカレスク。時系列を逆に遡ったところが、ミステリ。※点数オマケ。


No.765 4点 幻の女
ウィリアム・アイリッシュ
(2023/11/11 06:01登録)
「いつか採点しよ思ったまま数年過ぎた」作品その四。「青い鳥はいつも傍にいた」ならぬ「黒い悪魔はすぐ隣にいた」落ちサスペンス。オープニング ” 夜は若く、彼も若かった(シビれるぅ)・・”と、女が被っていたカボチャ帽子のインパクトだけに、この点数あげちゃう。ミステリとしては、うーん・・・


No.764 5点 冒険の国
桐野夏生
(2023/11/09 06:30登録)
「幻の処女作」とな (別ネームでロマンス小説だかがあるらしいが)。「第三の新人」(吉行淳之介安岡章太郎でなく島尾敏雄庄野潤三)の家庭危機小説や向田邦子ドラマ、後の沼田まほかる等と同臭の、一見、平穏な日常情景に潜む緊迫と狂気。本格では・・いや、そもそもミステリでさえないかもしれないが、点数オマケにあげちゃう、「この手」のに甘いんで。


No.763 5点 キリング・ゲーム
ジャック・カーリイ
(2023/11/07 23:17登録)
「刑事が追い求めた殺人鬼も、刑事を追い求めていた・・」 「ロカールの交換法則」「メンヘラ倒叙と驚きの操り・・」ジェフリー・ディーヴァー既視感、+フロストシリーズ十八番の vsやな奴上官バトル。(犯人の真の標的は上官だったんだよーん、てバラして、憎まれ役上官に赤っ恥かかせた方が、スッキリ面白かったと思うが・・)
※この作家の翻訳、滞っているねぇ。じゃんじゃん訳して出版してほしく。


No.762 6点 家蝿とカナリア
ヘレン・マクロイ
(2023/11/01 22:28登録)
ヘレン・マクロイ第五作。原題「Cue for Murder:殺しの合図」よりも、和題「家蝿とカナリア」の方が美的やね。
籠から放たれた小鳥が心理的な、凶器の柄に纏いつくハエが生理的な、犯人Whoの「証拠」てな結論を、初っ端に宣告するところがNice。糖尿病ネタが巧妙かつ鮮やかに伏線プレゼンされてたら、7点付けても良かった。


No.761 7点 少女を殺す100の方法
白井智之
(2023/10/28 22:17登録)
5編から成る中短編集。全作に、「サトコ」と言う名の左半身赤痣(あしゅら男爵!)の女が登場するが、連作ではない。
    「少女教室」 クラス21人中20人惨殺から犯人1人を特定する、麻耶雄嵩ばり「超」ロジック。
    「少女ミキサー」 乙一「SevenRooms」にアニメ「Blood-C」をソースした、おぞましくもロジカルなサスペンス
    「「少女」殺人事件」 「超」ロジックは面白いが、「ノックス十戒」全部掲げとかなきゃ、「ふぇあ」でないじゃん。
    「少女ビデオ」 目を背け吐き気を催す、グロ・残虐・ヘド・・吉本隆明(古いか)なら「倫理」と表現した程の
           「果てまで行っちゃった」描写。ここまで行くと、過激表現と言う以前に、作者の心底に澱んだ
           何か、としか言いよう無く、それが・・信じがたいことに・・「救い」ある未来と両立する。
    「少女が街に降ってくる」 出ました、十八番のトンデモ「SF」設定・・真相解明、バタバタ立て込み過ぎだが。
文庫本の解説では、1編につき20人殺され×5編でタイトルの「100」だと・・ん?そーか?  全体で(平均でなく) 7点


No.760 2点 殺戮の狂詩曲
中山七里
(2023/10/25 23:06登録)
御子柴礼司シリーズ第六弾。今回の依頼人は、老人施設入居者9人を惨殺した介護士。かたや、幼女バラバラ殺人犯14歳元少年あがり弁護士、こなた、悪びれず屈託もなく老人殺戮の「正義」を語る被告。まんま、「神戸少年生首事件」と「相模原身障者殺戮事件」がモデル。有罪明白で死刑判決以外あり得ない事件。何でこんな分かり切った裁判の弁護を引受けたの?Why? がミステリ主幹のはずが、「操り真犯人」落ち・・これが見え透いたネタで・・にシンプルに接ぎ木される。


No.759 6点 吸血鬼の仮面
ポール・アルテ
(2023/10/24 00:25登録)
ドラキュラ・青髭・カーミラ・幽霊といったホラーの定石に、密室殺人や降霊会・・ディクスン・カー十八番を重ね、そこへ、カー定番ベタドタLOVEろまん混ぜて、カー必殺「鏡トリック」サービスまでも付けちゃって・・・


No.758 4点 死体をどうぞ
ドロシー・L・セイヤーズ
(2023/10/20 09:47登録)
ドロシー・セイヤーズ第七作。人好きのしない気難しい女流作家と、贅を極め、女の嗜好も悪食珍味(「フクザツなお味ぃ」)志向になったか、彼女のストーカーと化した大富豪「貴族探偵」。偶然出くわした死体を巡る真相を求めて、計34章に及ぶ「証言?」が続く。退屈な前作「五匹の鰊」と違い、超高級(一見お断り)床屋などユーモア小説として面白い。ミステリとしては・・クロフツtrafficアリバイトリック標準。あの時、女が死体を見つけていなければ、犯行目的は外していたが、ばれることもなかった、てなヒネリ落ちがgood。
※最新中華ミステリの「色覚異常」、90年前の当作の「血友病」、相も変わらず優性遺伝ネタが好きね、ミステリ。


No.757 8点 厳冬之棺
孫沁文
(2023/10/17 22:28登録)
” ついに現る!中国のジョン・ディクスン・カー ”
て、ことで、お通し2皿に、大皿3ディッシュの密室フルコース、さらに犯人Whoツイスト一皿付き・・太好了!
      「地」見立て、入口水没密室に、1点。
      「水」見立て、犯人消失密室に、3点。 
      「空」見立て、頭部切断密室に、2点。                 
      そこに、先付け密室と嬰児殺しネタへ+2点。犯人ドンデン返しは・・むしろ残念で -1点。
      さらに、密室を前面に出す態度に好感、1点おまけ。計、8点。
このサイトで知り初めて読んだが、何か大らかやね、中華ミステリ。大和民族よりも人間がスレてないのか、漢民族。猟奇殺人SMネタは許されているのね、中共検閲。
※「ガンダム」「ウルトラマン」日本料理店etc・・作者、日本マーケット狙ってんのかな、考えすぎか・・・再見!


No.756 6点 髑髏の檻
ジャック・カーリイ
(2023/10/15 23:17登録)
親に捨てられ地下へ売られ、拷問の様な過酷な幼少期訓練を得て、ローマ剣奴や闘犬闘鶏の如く、「地下格闘家」となった男達・・タイガーマスク「虎の穴」やね。残虐ここに極まる連続殺人との連結や如何に・・肛門から腸内にぶち込まれた灼熱コテ棒!(๏Д⊙)!!って・・・。今回は相棒の女刑事と情事に落ちる主人公・・女検死医や女報道記者、毎度ながら三十路四十路の曲者女がお好きで、大人の男やねえ・・。 あのペットの超混血犬「ミックスアップ(!)」がよいな。
※「永遠の仔」「白夜行」アンドリュー・ヴァクス、このところ同主題の小説を偶々思い出すが、巷でも新興宗教・アイドル事務所の、似た様な茎=年少者「虐待」報道が喧しい・・今までがスルーし過ぎだったのかもね。


No.755 4点 屍鬼
小野不由美
(2023/10/13 08:09登録)
「これ採点しよ思ったまま数年すぎた」作品その三。半ば閉ざされた山里集落を舞台にした、人間vs「吸血鬼」「人狼」のサスペンスロマン。生血しか食せず闇でしか生きられない吸血鬼はイヤだが、人間の食生活も可能で日光も平気、その上に永世可なら、もう神状態じゃん「人狼」。


No.754 7点 山妣
坂東眞砂子
(2023/10/13 07:58登録)
「これ採点しよ思ったまま数年すぎた」作品その二。雪山深くに生息する伝説の山姥・・中世近代~現代「父系権威家族」日本のアンチテーゼの如く伝承された・・山姥の生きた浪漫物語。別に本格ミステリでもなんでもないが、敬意を表して点数大いにオマケ。


No.753 4点 永遠の仔
天童荒太
(2023/10/13 07:56登録)
これを採点しよう思っているうちに数年が経ってしまった。同年の何かの賞(?)争いで「白夜行」に勝った(負けた?)とか。話としてはあっちの方が全然面白かった。ミステリとしては・・うーん、「意外なWho」を評価点として掬い・・。多くの読者から自身の過去を綴った手紙が寄せられ、「自分は、傷を負った人々の為に存在する作家だと自覚した」とか。その自覚が、優れたミステリを紡ぎ出す結果に繋がる事を、願って已まない。
※最近の喧しい「ジャニーズ問題」報道と、偶々、このサイト評でアンドリュー・ヴァクスを眼にして・・彼も同じ事に拘っていた・・この作品思い出した。


No.752 4点 チョールフォント荘の恐怖
F・W・クロフツ
(2023/10/09 21:32登録)
クロフツ第二十七作。資産家弁護士の撲殺事件。互いの利便の為に弁護士と「契約」再婚した女を視点に、女の愛人や、十二分な動機持つ被雇用者等のWhoダニット。「本格派」でも「社会派」でも「変態派」でもない、「人生派 (名言やね解説者)」ミステリ。フレンチ視点転回の後半はいつものパターンで・・わが「本格派 σ( ̄^ ̄) エッヘン!」採点基準では・・
せいぜいこの点数かな、「人生派」。


No.751 5点 赤毛のストレーガ
アンドリュー・ヴァクス
(2023/10/08 07:28登録)
ああ、このシリーズ読んでたなぁ。何とかマスティフ(だったか)てな犬とは思えない怪物メス犬や、ボードに躰を乗せて道を漕いで行く上半身だけ男、巨人ぬりかべ武術家、マッドな武器発明家ら異形仲間が実に良かった。ハードボイルド言うより、バットマン風アメコミ半ダークヒーロー物だったな。


No.750 6点 あなたは誰?
ヘレン・マクロイ
(2023/10/06 22:09登録)
ヘレン・マクロイ第四作。二重人格に色覚異常・・今ではベタ過ぎるネタが中央に居座わり、当時(真珠湾攻撃の頃なんだよな)は斬新なネタだったのかな。イケメン上院議員と裏で操る妻(クリントン&ヒラリーみたい(..))、ニューヨークのクラブ歌手女(「今晩会える?」「んな先の事分からない」に出てきそ)、女流通俗ロマンス作家とその息子の青年医師、議員の姪にして医師の幼馴染娘、甘党食い意地男、空想上の女と会話する少年・・登場人物タイトに絞って、相当高いぞ、りいだびりてぃ。ミステリで「別人格」出しちゃうと、双子ネタなみにズッコケる事多いが、そこはシンプルかつ巧みに物語が編まれてて点数オマケ。色盲ネタの伏線&ロジックが鮮やかにプレゼンされてたら、7点付けても良かった。


No.749 8点 名探偵のいけにえ 人民教会殺人事件
白井智之
(2023/09/30 11:56登録)
作者第七(連作短編集含め)長編。「ナミ」のミステリならば、メインネタで出て来るレベルの密室トリックを、オードブル・八寸と言うより付だし・お通しの如く初っ端から軽いジャブで放ち、本編に入り、なんだ、「フツウ(ホメ言葉よ)」のミステリも書けるんじゃん、白井智之・・・と思わせといて・・・ウォっーとお!!!

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