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ミステリの祭典

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切られた首
コックリル警部シリーズ

作家 クリスチアナ・ブランド
出版日1959年01月
平均点6.33点
書評数3人

No.3 7点 レッドキング
(2024/04/26 22:45登録)
首切り連続殺人の雪密室付きミステリ。雪「密室」は在るけれど、本格物のHow妙味よりも、サイコホラー風味が美味しく・・「そろそろと押入れの扉が開き始めた・・」(ギャー)。
怒涛の波状ダミー解決・・デビュー時からやってたのね・・に、「最後の数行」の余韻エンド。あれって、ひょっとしてドンデン(・・)? いいねぇ。

No.2 6点 人並由真
(2018/12/16 14:55登録)
(ネタバレなし)
 何十年ぶりかの再読のはずだが、首切断の方法以外はほとんど忘れていたので、初読に近い気分で楽しめた。
 全部で200頁ちょっととブランドのなかでも薄めの方だし、初っぱなから事件が起きるのでサクサク読めるが、例によって中味は濃い。容疑者の枠を一度狭めておいてからまた……という筋の組み立てとか、後半になって堰を切ったように続々と思わぬところからも飛び出してくる推理の上書きとか、これこそ正にブランド。堪能しました。しかし唖然としたというか、いくら大昔に読んだとはいえ「俺はこのネタを忘れていたのか!?」と驚いたのは、本作の根幹を占める真相についての着想。これはほとんど、イカれた新本格ではないか(webの一部の評でバカミスっぽいといってるのも、まあ、わからなくもない。個人的には大歓迎だったが)。
 一方で冒頭から提出された大きな二つの謎の興味に対する笑っちゃうほどのファールぶりや、前述の首切断の「絶対にそんなにうまくいかないよ」といいたくなるようなハウダニットとか、素晴らしさの反面の妙なツッコミどころも満載。あとコックリルって、こんな名探偵キャラクターだったっけ? とちょっと違和感を覚えた。まあデビュー編だからね。
 評点は作者がブランドでなければ7点でいいけれど、今回はこのくらいにしておこう。まだ未読&再読予定でとってある数作に、もっと高い評点をあげられそうだから。

No.1 6点 nukkam
(2017/12/30 00:17登録)
(ネタバレなしです) 長編作品として2作目にあたる1941年発表の本書は6作の長編といくつかの短編で活躍するコックリル警部シリーズの第1作でもある本格派推理小説です。タイトル通り首を切られる死体が登場するのですが描写はむごたらしさを感じさせません。首切り手段はさりげない説明ながら印象的でしたし、巧妙なミスディレクションもあります。但しブランドの後年の作品を先に読んでいた立場から言わせてもらいますと、本書はブランドならではの謎解きの切れ味がまだ散発的です。コックリル警部が事件関係者と以前からの知り合いだったという設定も上手く活かされていないし、暗く不気味な雰囲気の中に性格の明るい登場人物を配しているのも(容疑者という立場なので難しいところもあるのですけど)十分な対照効果を上げてはいないように感じます。本格派の良作と評価するには値する作品ですが、ブランドの真の実力が発揮されるのはやはり次作の「緑は危険」(1944年)からだと思います。

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