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ミステリの祭典

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増加博士と目減卿
増加博士シリーズ

作家 二階堂黎人
出版日2002年11月
平均点5.67点
書評数3人

No.3 8点 レッドキング
(2024/05/28 06:06登録)
作者言うところの「メタミステリ」(正しい定義なのか?)設定の、密室トリック特化の中短編集、よいなぁ。
   「Yがふえる」 核シェルター密室(そりゃそうだ)殺人。空前(間違いなく)絶後(?)の凶器ネタに 8点(10点満点)
   「最高にして最良の密室」 足跡無き砂浜に、内と外から目張りされた車内での殺人・・模範的三重密室に 8点
   「雷鳴の轟く塔の秘密」 10年隔てた二つの塔密室殺人に、ピラミッド謎解明オマケ付で 8点。で、平均 8点。
※点数は、「メタ」でなく「ちゃんと虚構された世界」での密室であった場合の点数、すなわちオマケ付き、と言う事ね。

No.2 6点 nukkam
(2018/06/26 21:54登録)
(ネタバレなしです) 「奇跡島の不思議」(1996年)には2つの版があって、王道的な本格派推理小説版とメタ・ミステリー版があるそうです。後者は紙の本でなく電子書籍版なので馴染みが薄いかもしれませんが(私も本書を読むまでは存在さえ知りませんでした)、そちらではジョン・ディクスン・カーの名探偵フェル博士を模倣した増加(ぞうか)博士が探偵役を務めています。2002年発表の本書はその増加博士が謎を解く中短編を3作収めたシリーズ第1短編集です。本格派推理小説でしかもメタ・ミステリーを狙っており、随所で「ミステリーの常識」を度外視したような仕掛けがあります。ただ「何でもあり」を標榜しながらも「この真相では読者が納得しないだろう」と節度を意識しているところもありますけど。メタ・ミステリーらしさが最も発揮されているのは「『Y』の悲劇-『Y』がふえる」(タイトルの最初のYは45度傾いています)で、とてつもない凶器に馬鹿馬鹿しい(と思う読者は少なくないでしょう)犯人と動機はインパクト十分です。個々の謎解きは化石のごとく保守的な私は感心するよりは呆れてしまったのですが、メタ・ミステリーとはどういうミステリーなのかが実にわかりやすく説明されているので1点おまけして評価しました。

No.1 3点 しゃんてん
(2003/06/24 18:23登録)
『増加博士と目減卿』(原書房)
 二階堂氏言うところのメタミステリーらしい。連作短編集。『奇跡島の不思議』で出てきた登場人物に加え、フェル博士のパロディ・増加博士とメルヴェール卿のパロディ・目減卿が登場する。彼らは自分が作品の登場人物であることを承知している。
 なんだか、謎々を読まされたような気分。真相は馬鹿らしく、それなりに笑えて楽しいのだが。しかし、問題提起の部分が私には非常に退屈に思えた。フェル博士など、私は知らないので、イメージがわかない。本格ミステリをよく知っている人には楽しめるのだろうが、私にはそれほど楽しめなかった。
 本格ミステリというと、一言であっと驚かせてもらえることを私は期待している。なので、ラストのラストまでそのあっと言う驚きを期待していたのだが、期待はずれ。道化芝居と題された章はどれも作者の言い訳にしか過ぎなかった、そんな印象を受けた。

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