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ミステリの祭典

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薔薇の輪
チャッキー警部

作家 クリスチアナ・ブランド
出版日2015年06月
平均点5.75点
書評数8人

No.8 7点 レッドキング
(2024/05/13 21:44登録)
われながら何をボケたか、読み始めて、ヘレン・マクロイの作品読んでるって思い違い(表紙見返しゃわかんだろ ^^;)を起こしてしまい、ん?ヘレン・マクロイって、こんなにブラックユーモア弾かせる人だったっけ?て位、ファンキーに飛ばした語り口で・・そりゃ、クリスチアナ・ブランドだからね・・「唇の捩れた男」「闇からの声」スパイスも漂い、べりーぐっどよ。

No.7 5点 ボナンザ
(2022/12/16 21:21登録)
ブランドらしいとぼけた感じはするが、意外と真っ当に終わる一作。

No.6 5点 ことは
(2022/01/23 23:26登録)
チャッキー警部登場作を、連続で読んでみた。
あいかわらず、ブランド特有の仮説の繰り出しはあるのだが、ひとつひとつの仮説の振り幅がちいさいのか、他作品ほど読みごたえがない。
しかし、他作品よりは、かなり読みやすかった。これは翻訳のおかげだろうか? それとも原文から書き込みが濃厚でないからか? 翻訳のおかげならば、他作品も新訳してほしいなぁ。
あと、構成(設定や全体のストーリー展開)をみてみると、もっとよくできたような気がするんだよな。(今もある程度あるが)コミカルな感じをもっと強くして、そのためにはメインの事件を深刻なものではなくして(日常の謎に近いような)……。例えば、スタウトのウルフもののトーンでこのプロットなら、すごく面白くなったような気がするんだけどな。

No.5 6点 nukkam
(2020/03/02 20:19登録)
(ネタバレなしです) 「はなれわざ」(1955年)までのブランドは一流の本格派推理小説の書き手としての名声を確立していましたが、その後は非ミステリー作品を発表したりと作風の幅を広げました。別名義で発表することもあり、1977年発表の本書も初版はメアリ・アン・アッシュ名義でした。序盤はややごちゃごちゃした感じもありますが第4章の終わりで三重事件が発生し、チャッキー警部が登場すると謎解きプロットが盛り上がります。特に第7章からのどんでん返しの連続はブランドならではです。解決がやや駆け足気味ですっきり感が弱いのが残念で、E-BANKERさんがご講評で論じられているように1940年代から1950年代にかけての傑作群には及ばないものの、「暗闇の薔薇」(1979年)とともに1970年代の本格派の代表作だと思います。ちなみにどちらもタイトルに「薔薇」が使われていますが作品間の相互関連はありません。

No.4 6点
(2018/09/14 23:50登録)
チャッキー警部が前回登場した『猫とねずみ』はゴシック・サスペンス系だったようですが、その27年後に書かれた本作も、ブランドお得意の緻密かつ大胆なフーダニットとは違った味があります。容疑者の数はごく限られているというか、事件が起こる前から4人が共犯で何か企んでいることはわかりきっています。中心の謎はスウィートハートがどうなったのかということ、それにシカゴのギャング2人の死亡事件がどう関係しているのかということです。2/3を過ぎたあたりで、チャッキー警部が語る仮説は、読者も既に思い付いていることだろうことくらい、作者も当然承知の上で、だからその仮説では説明のつかない記述をその少し前から散りばめています。ただ、その仮説と真相との距離感が、この作者にしてはどうも弱いのです。
E-BANKERさんも書かれているように、ギャングの描き方がパロディーっぽいのも気になりました。

No.3 6点 猫サーカス
(2017/07/09 21:17登録)
障害のある娘との交流をつづったエッセーで人気の女優ステラ。だが、服役中の凶悪な夫が特赦で出所し、娘に会おうとしたところから事件が起きる。事態は二転三転し、いくつもの仮説が示される。手厳しい人間観察に支えられた冷徹な謎解きは意外な結末へと着地させている。

No.2 4点 E-BANKER
(2016/12/03 20:37登録)
1977年といえば作者最晩年というべき頃の作品。
「猫とねずみ」(1950)以来となるチャッキー警部を探偵役とする長編。

~ロンドンの女優エステラ。彼女の絶大な人気は娘ドロレスとの交流を綴った新聞の連載エッセイに支えられていた。体が不自由でウェールズに住んでいるという愛しのあの子。夫のアルはシカゴの大物ギャングで、妊娠中のエステラに暴力をふるった危険人物だが服役中。しかしアルが病気のため特赦で出所し、死ぬ前にどうしても娘に会いたいと言い出してから・・・。そしてついに勃発した怪事件に挑むチャッキー警部~

これは・・・面白いか?
もしかしたら訳のせいかもしれないけど、作者らしからぬ“薄っぺらい”作品のように思えた。

ブランドといえば重厚な本格ミステリーというイメージを持っていたけど、本作のプロットは何とも頼りない。
殺人事件というよりは、エステラの娘(スイートハート)が存在するか否かという謎を最後まで引っ張っているのだけど、正直なところ長編を支えるほどの軸にはなっていない。
しかもその真相も想定内ときてる。
これでは大作家の名が泣くのではないか?
電話を使ったアリバイトリックは、当時の最新なのかもしれないけど、どうにもこうにもピンとこない。
(イギリス国内の話だから当たり前か?)

それと一番気になったのは、人物描写の薄っぺらさだ。
ギャングのボスとして登場するアルなんて、まるでコントのような造形ではないか?
その他の人物も如何せん感情移入できないしなぁー

さすがに大作家ブランドも寄る年波には勝てなかったということだろうか。
かなり酷評になってしまったけど、最近読んだ作品の中では最低ランクに近い。
やっぱり40~50年代の作品が黄金期ということだろう。

No.1 7点 kanamori
(2015/07/22 12:34登録)
女優エステラの絶大な人気は、ウェールズの農場に別れて暮らす障害児の一人娘との交流を綴った新聞連載のエッセイに支えられていた。しかし、米国で服役中の危険人物の夫が特赦で出所し、死ぬ前に娘に会いたいと言ってきたことから、その山間の農場を舞台に悲劇が起きる--------。

作者晩年の1977年に別名義で発表された長編ミステリ。「猫とねずみ」以来、なんと27年ぶりにチャッキー警部が再登場するシリーズの第2作です。
前作「猫とねずみ」は、女性編集者のカティンカをヒロインとしたゴシック風サスペンスで、チャッキー警部は脇役のような感じでしたが、今作ではチャッキーが探偵役の堂々とした謎解きもの、本格ミステリになっています。
文庫オビの「すべては驚愕の結末のために」というキャッチコピーは、やや大げさに煽り過ぎという感があって、真相は驚天動地というようなものではありません。中核の謎は、フーダニットと併せて、消えたエステラの娘”スウィートハート”の消息ということになるのですが、その生死のみならず、そもそも娘は実在するのか?という疑問を含め、あらゆる可能性が検討される。限られた容疑者たちの嘘と真実が入り混じった証言にチャッキーが翻弄され、立てる仮説が三度四度と覆される展開が面白く、ブランド流本格に衰えは感じられません。
ちなみに、本書の中で個人的な一番のサプライズは、チャッキー警部の奥さんが登場するシーンでしたw

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