名探偵ジャパンさんの登録情報 | |
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平均点:6.21点 | 書評数:370件 |
No.310 | 7点 | サマー・アポカリプス 笠井潔 |
(2019/11/30 15:25登録) 中盤に差し掛かる手前くらいまでは、「やばい! 俺、この本投げちゃう(いわゆる「壁本」ではなく、難しすぎてギブアップしちゃうという意味で)かも!」と思っていたのですが、辛抱して山を越えて読み切って良かったです。 突き詰めちゃえば、世界の転覆を狙うテロリスト集団が送り込んでくる刺客と、探偵矢吹駆との対決がこのシリーズの図式のようで(矢吹シリーズは一連の連続ストーリーのため、前作の内容や犯人が以降の作品内で出てくるのは仕方のないことで、それなくしては話が成立しないのだと私は思います)、「名探偵対犯罪組織」という極めてオーソドックスな対立構図を、ここまで分かりにくく複雑に描けるのが逆に凄いよと思います。 作者の頭が良すぎるため、単純な「正義対悪」の構図ひとつを描くのにも、(作者自身が)納得できるだけの膨大な知識と思想を注ぎ込みまくらなければならなかったり、矢吹が「じっちゃんの名に賭けて!」的な単純な迎撃態勢をとることなく、刺客との対決に消極的なのも、このシリーズを分かりにくくしている要因な気がします(文庫版の解説で奥水光が、探偵小説に登場する名探偵のことを「いやに勿体をつけるばかりで眼前の事態には頑なに介入せず、したがって犯罪を未然に防がず、「驚くべき真相」が露呈する瞬間まで、犯人のほしいままな振る舞いを座視し続ける探偵の、ほとんど共犯者ともいうべき曖昧な態度」と書いていますが、矢吹に対する当てつけにしか聞こえないのは私が本作を理解しきれていないからでしょう)。 ただ、各事件の様相はまことに「ド本格」していて非常に好みです。「撲殺と弩とで二度殺された死体」いいじゃない。「完全な密室内で首つり死体」いいじゃない。解決も竜頭蛇尾になることなく素晴らしく、これらのアイデアをもっと凡人にも分かりやすい形で作品化できていたら……いや、できなかったからこその笠井潔なんだろうなと思います。でも、この不器用さもかわいいです。 続編の『薔薇の女』も当然読みますよ。 |
No.309 | 6点 | バイバイ、エンジェル 笠井潔 |
(2019/11/17 23:39登録) 新本格真っ盛りの時代の作品かと思ったら、初出は1979年ということに驚きです。この時代にこんな「ガチ」な本格が出ていたとは、もうオーパーツと言ってよいのでは? 首切りトリックの真相など、ミステリとしての骨子は素晴らしいですが、作者が評論家でもあることが関係しているのでしょうか、ミステリを出汁にして作者の主義主張を読まされた、という印象も強かったです。 次回作以降を読むかどうか、悩ましい作家(シリーズ)です。 |
No.308 | 5点 | Mの女 浦賀和宏 |
(2019/11/11 08:56登録) この作者の作品はいくつか読みましたが、全般的に説明不足というか、もう少しきちんと書いてくれ、と思うことが多く、本作もそんな感じでした。「お前の読解力が低いだけだ」と言われてしまえばそうなのですが。 それでも、作中人物も事態を把握していなく、読者と同じ視点に立っている、とかならまだ分かりますが、作中人物は分かっているのに読者だけが翻弄されているという構造は、非常に読んでいてもやもやします。 内容自体としては、中盤での反転には驚かされましたし、そのあとに続く展開も興味深いものだったため、もう少し読者に寄り添う姿勢を見せてくれたら、と思うのです。 |
No.307 | 6点 | ラン迷宮 二階堂黎人 |
(2019/11/06 15:05登録) 「正統派」なのか、「今どきこんな」なのか、「古式ゆかしい」という表現が一番しっくりくるでしょうか。「怪博士」「異様な建造物」「自称超能力者」「人外の怪物」。もはや「時代遅れ」と言われてもおかしくないような設定、小道具、大道具を用いて、あくまで自分の世界を貫き通す二階堂。ここまでくると好感を持てます。『双面獣事件』と『覇王の死』のやらかしは、これでなかったことに……はできませんが、「今どきこんな」ミステリでも、作者の腕とこだわりでまだまだ胸躍るものが書けるということを知りました。なんだか懐かしさすら覚えました。 驚いたのは、文庫版の解説をミステリ評論家の飯城勇三が書いていたことです。彼は、こういった(物理的トリック重視の)ミステリをあまり好まないと思っていたので、意外でした。 |
No.306 | 6点 | RPGスクール 早坂吝 |
(2019/10/10 13:57登録) 「俺だって、しち面倒くさい本格ミステリばかりじゃなくて、こんな安易な設定の冒険バトルものを書きたいぜ」という作者の想いが表出した(完全に評者の偏見です)ユルい前半から、ガチガチロジックが支配する後半の「特殊能力ミステリ」に大胆に舵を切ります。やっぱりミステリ作家はミステリを書かないとね。 作中に存在する「特殊能力」についてのルールは全て、ミステリ編が始まるまでに提示されていて、本格として申し分なく、特に「死体移動のトリック」は既存のパターンに新しい要素を加えた独自のもので、これはなかなか面白かったです。 発刊から四年も経過していますが、未だ(2019年10月現在)文庫化していないというのは、人気がなかったのでしょうか? ライトノベルレーベルで出していたら、もっと読者に恵まれていたと思います。 |
No.305 | 6点 | 毒よりもなお 森晶麿 |
(2019/10/10 13:46登録) 最後の大仕掛けを「驚愕のラスト!」と取るか、「作者の逃げ」と取るか、それとも「今時ミステリには『驚愕のラスト』のひとつもなきゃ駄目だよ」という「作劇上のノルマ」と取るか。 こんなことを書いてしまうくらいですから、私はこれはあまり成功していないなと感じました。当初の熱量でもって真摯に物語を着地させてほしかったと思います。そうなると、本作のジャンルは「本格/新本格」ではなく「サスペンス」になりますが、それでも全然構いません。二人の主人公の決着をきちんと描いてもらいたかったです。残念な一作です。 |
No.304 | 6点 | 法月綸太郎の消息 法月綸太郎 |
(2019/10/01 15:03登録) 名探偵・法月綸太郎の作品集としては、実に七年ぶりの本だそうで、特に「あべこべの遺書」が収録された「7人の名探偵」を未読の人にとっては、「生きとったんか、ワレー!」と言いたくなる、まさに(作者もあとがきで触れていましたが)相応しいタイトルです。 今や作家・法月綸太郎は小説家とミステリ研究・批評家の二足のわらじを履く文筆家なわけでして、その性格がモロに反映された作品集となっています。 で、その「研究家」としての二編は、「凄いことを発見、研究して書いているのは分かるけど、(私が浅学なせいで)いまひとつピンとこない」というのが正直なところで、作中に触れられている数々の古典を読み込んでいる方であれば、また違った(というか本来の)楽しみ方ができるのでしょうね。確かにこれは小説にする必要はなかったかもです。 「まっとうなミステリ小説」である残り二編は、これぞ法月の面目躍如! と言いたいところなのですが、どちらも魅力的な謎に合理的な解決が図られるのはいいとして、短編向きのネタではなかったのかなと思います。この二編を中編に膨らませたものと、研究家としての二本を別個に刊行したほうがよかったように感じました。 |
No.303 | 7点 | 飛ぶ男、墜ちる女 白峰良介 |
(2019/09/22 19:39登録) 以前から気になっていた作品だったのですが、先日たまたまブックオフで見つけて購入しました。 「屋上から飛び降りたのは確かに男だったのに、落下地点で死体となっていたのは女だった」この魅力的な謎に対する解答は、なかなかに面白いものだったと思います。目撃されたときや現場周辺の状況、目撃者がいたのが偶然だった、などの情報を整理すると、答えはこれしかないといえるものですが、そこへ導く情報の出し方のバランスがよかったと思います。途中、答えが分かってしまえば「そのままやんけ」と面食らうようなヒントも出てきて、作者のサービス精神があふれています。ダイイング・メッセージの扱いも面白いものでした。 文章も非常に読みやすい快作で、あとがきでも作者自身、もっとミステリを書きたいというようなことを述べていたのですが、本サイトに登録されている著作もこれ一作きりで、「一発屋」みたいな状態になってしまっているみたいですね。何か事情があったのかもしれませんが、これ一作きりで消えてしまうには惜しい才能に思えました。 |
No.302 | 5点 | 殺人鬼がもう一人 若竹七海 |
(2019/09/14 15:54登録) この作者の書く硬質な文章は、相変わらず独特の癖があって読みにくいです。 第一話で、主人公の刑事が何の説明もないまま、容疑者から盗み取った当り馬券を勝手に換金して横領するというひどい描写が入ったので、「何かのシリーズもので、この主人公のキャラクターを理解したうえで読まないといけないのかな?」と疑いましたが、シリーズではない単独の短編集のようですね。この突き放し感も若竹七海の持ち味(?)です。 ミステリとサスペンスどちらに寄せるのかが曖昧だったり、話によって語り手がころころ変わったりして(主人公の刑事がほとんど出て来ない話もあります)、総じてブラックな話ばかりという共通点以外に、ちょっと私には作者の狙いを読み取ることが出来ませんでした。 |
No.301 | 6点 | おやすみ人面瘡 白井智之 |
(2019/09/10 10:54登録) なんだかんだ言っても、他の作家にはない絶対的に独自の作風を確立していることは凄いなと思います。 ちょっとお近づきになりたくない……という奇天烈なキャラクターしか(相変わらず)出てきませんが、そんな人たちでも、推理パートになると理路整然と筋道立ったことを言い出して議論する(ミステリなので当たり前ですが)のが白井智之作品の奇妙な魅力で、いつも笑ってしまいます。 |
No.300 | 10点 | エラリー・クイーンの冒険 エラリイ・クイーン |
(2019/08/25 17:04登録) 本格ミステリ短編集のマスターピースとも言える重要作品ながら、初訳から実に60年近くもの年月が経って、2018年にようやく新訳が出ました。国名シリーズが十年前くらいに角川から新訳が出たりしたのに比べると、この動きの遅さは異常ですが、とにかく喜ばしいことです。 内容について、今さらどうこう言うレベルのものではないのですが、もしミステリ作家を志す人がいて、「何か勉強になるいい本ない?」と聞かれたら、私は迷わず黙って本書を差し出すでしょう。 クイーン作品が優れているのは、謎の提示と解決だけでなく、その間に「説得力のある推理」がきちんと組み込まれていることです。それをやるためには、きちんと「手掛かり」を余すことなく出しておかなければならず、かつ、それが出てきた途端に読者にトリックがばれてしまうような、安易なものでは意味がありません。この辺りのさじ加減がクイーン作品は実に絶妙で、読んでいて「すぐに分かった」と拍子抜けすることも、「分かるかこんなもん」とか「確かに『書いてあった』けどさあ……」と、もやもやを感じることもまずありません。 これは恐らく、作者が読者に、謎を「解かせまいとしているか」それとも「解かせようとしているか」の違いなのではないでしょうか。「本当は解いてもらいたくないけど、本格だし『フェア』を貫かないといけないから、かなり遠回しに書いておこ。これで文句ないだろ」という、「フェアであることのアリバイ」として手掛かりが書かれた本格は、どうしても「もやもや」が残ってしまいます。作者がドヤ顔で、「分からんかったやろ! でも確かに『フェア』に手掛かりは書いてたもんね! バーカバーカ」(言いすぎ 笑)と読者に喧嘩をふっかけているような作品も散見されます。そこへきて、クイーン作品は大人です。「ここに注目してくれれば解けたのですけどね」と、やさしく教えてくれるような感じです。そう言った意味では、冒頭作の「アフリカ旅商人の冒険」は(これが一番最初に収録されていることも含めて)実に象徴的です。 本格ミステリは「作者と読者の知的勝負」ですが、それは一方がマウントを取って相手を戦闘不能になるまでボコボコに殴りつける「リアルファイト」ではないはずです。新訳で本作を読み直してみて、古き良き、この短編集のような余裕のある大人な本格ミステリがもっと増えてくれるといいなと思いました。 ちなみに、本書評をもって私の書評が300に達しました。せっかくの記念なので、何かビッグタイトルをと思い本作を選びました。 今後ともよろしくお願いいたします。 |
No.299 | 5点 | 叙述トリック短編集 似鳥鶏 |
(2019/08/14 23:54登録) 帯の惹句でハードル上げすぎ、という作品には数多く出会ってきましたが、タイトルそのものでハードルを上げるというものに初めて遭遇しました。 で、この手のハードル上げものの御多分に漏れず、本作も自分で(本作に至ってはタイトルで上げているので、編集者とか無関係に本当に作者自身でハードルを上げています)上げまくったハードルを越えることは出来なかったと感じました。 このタイトルで勝負するならば、ダムコップさんがおっしゃるように「時系列誤認トリック」は必須項目であると思います。普通に連作短編になっているので、全然違ったタイトルで出してもよかったような。新人ではない、名前も売れてる作家ですので、奇をてらう必要はなかったのではないかと。 (と、ここまで書いて、「作者自身がタイトルでハードル上げすぎ」の作品に、ドラマ化もされた『推理小説』というのがあったことを思い出しました)。 |
No.298 | 6点 | 長野・上越新幹線四時間三十分の壁 蘇部健一 |
(2019/07/18 09:23登録) そんなに悪くないと思います。悪くないどころか、表題作のアリバイトリックは結構好きだったりします。蘇部健一作ということと、作者自ら「出来の悪い二時間ドラマ」とか書いちゃうから、読む人に付け入る隙を与えて、調子に乗らせてしまうのだと思います。 |
No.297 | 7点 | 殺人犯 対 殺人鬼 早坂吝 |
(2019/07/16 15:04登録) クローズドサークル、館トリック、見立て殺人、密室、ミッシングリンク、アリバイ、○○トリック、それに伴う○○誤認トリック、(ちょっぴり特殊設定(らしきもの)も出てきます)と、現時点における本格ミステリの主要ガジェット全てを注ぎ込みました。とでも言いたくなる、トリック、仕掛けの大盤振る舞いです。オールトリック総進撃です。しかも、それらがぶつ切りになることなく、みんなが支え合って(?)一本の長編ミステリを構築しています。 『双蛇密室』のような新トリックの創作から、本作のような既存のトリックを組み合わせたものまで、コンスタントに良作を上梓し続けているこの作者は、本当に器用だなと感心します。 |
No.296 | 6点 | 巨大幽霊マンモス事件 二階堂黎人 |
(2019/07/16 00:25登録) 「双面獣事件」を経て「覇王の死」に至ったところで、本格ミステリではない遠いところに行ってしまった感のあった「二階堂蘭子シリーズ」でしたが、久しぶりに刊行された本作はなかなかに「本格」していました。 同シリーズの「ロシア館の謎」の続編という位置づけなのですが、その「ロシア館」自体が相当昔の作品のため、たぶん誰も読み直そうとはしないまま本作を読んでしまったのではないでしょうか(私もそうでした)「ロシア館」は短編で量もないので、ついでに一緒に収録してしまったほうがよかったかもしれません。 |
No.295 | 7点 | 木乃伊男 蘇部健一 |
(2019/07/16 00:07登録) 蘇部健一がこんなものを書いていたとは(笑) 衝撃シーンをイラストで表現するという得意の試みは良いのですが、私が読んだものは文庫版だったため、紙が薄く、どういうシーン(イラスト)が描いてあるのか、ページをめくるまでもなく紙を透かして分かってしまいます。ここは何とかして欲しかった(透けない厚手の紙を使うとか)非常にもったいないです。 そして、話題の(?)ラストのイラスト。こ、これは…… |
No.294 | 6点 | 崩れる脳を抱きしめて 知念実希人 |
(2019/07/16 00:01登録) ライトノベルみたいな完全無欠の主人公(イケメン)と、不治の病で余命幾ばくもないヒロイン(美人)との恋愛要素に、大どんでん返しなんて荒技を組み合わせれば、それはもう、売れないわけがありません。売れる小説の教科書のような作品です。世の売れないミステリ作家の人たちは、これを読んで売れる小説というものを学ぶべき。 これはあざといですね。そして、あざと面白いです。読了後にプロローグを読み返すと、その本当の意味が分かるなど、小技も効いています。それのなのに高得点を付けるのに躊躇してしまうのは、個人的にあまり好きじゃない設定、舞台のためかもしれません。「安易だ」と言いたいところですが、書いているのが現役の医師なので、ぐうの音も出ません。 |
No.293 | 6点 | 優しい密室 栗本薫 |
(2019/07/09 13:58登録) 70年代後半~80年代の匂いが凄いです(当たり前ですが) 時代性を取り込んだ(作者が意図してかどうかは別として)作品というものは、月日の経過という摩擦に耐えられなくなるものと、かえって「いいレトロ感」が熟成されるものと二種類あると思いますが、本作は間違いなく後者でしょう。 トリックも年代に相応しい(?)「いかにも」なものが使われていて、そちら方面での驚きはありませんが、本作はそういったミステリ的なものよりも、80年代を生きた主人公の青春小説として味わい深いものがありました。 |
No.292 | 7点 | ジークフリートの剣 深水黎一郎 |
(2019/07/08 14:12登録) 面白かったですねぇ。 最後の最後に披露される大ネタ「ジークフリートの剣」は、これ、感動していいんですよね?(笑)ここに至るまでの数々の仕込み、「ああ、あれも伏線だったのか!」ということも含めてが一気に氷塊して、非常にすがすがしい気持ちで読書を終えました。 私は今後、本作のタイトルを思い返すたび、いえ、それどころか全然別の場所、媒体で「ジークフリート」という固有名詞を目にするたび、この「大ネタ」が否応なく思い出されてきて、こみ上げる笑い、じゃなかった、感動を止められないと思います。よく「恐怖と笑いは紙一重」なんて言いますけれど、感動と笑いもそうだと私は思いますよ。いい話です。 |
No.291 | 7点 | アルファベット・パズラーズ 大山誠一郎 |
(2019/07/08 11:10登録) 序盤は作者得意の「トリックを中心に回る世界」的な話が連続しますが(缶のままお茶会って……)、最終話「Yの誘拐」で様相は一変します。 ここに書かれた子どもを誘拐された父親の手記が非常に読み応えがあり、作者がいつも書いている無味乾燥に近い文体は、トリックを際立たせるためにわざとしていることだったのか? と疑ってしまいました。 ミステリ的にも多重推理による反転が効いていて、中編という分量もほどよく、終始緊張感を孕んだまま読み終えました。とはいえ、「Yの誘拐」を十分堪能するには、それまでの三作の短編を読んでいることが必須ですので、これから読むという方は、「Yの誘拐」だけ読めばいいのかな、とは思わずに、飛ばさずに最初から順番に読んでくれるようお願いします。 |