home

ミステリの祭典

login
Mの女
桑原銀次郎

作家 浦賀和宏
出版日2017年10月
平均点5.00点
書評数2人

No.2 5点 名探偵ジャパン
(2019/11/11 08:56登録)
この作者の作品はいくつか読みましたが、全般的に説明不足というか、もう少しきちんと書いてくれ、と思うことが多く、本作もそんな感じでした。「お前の読解力が低いだけだ」と言われてしまえばそうなのですが。
それでも、作中人物も事態を把握していなく、読者と同じ視点に立っている、とかならまだ分かりますが、作中人物は分かっているのに読者だけが翻弄されているという構造は、非常に読んでいてもやもやします。

内容自体としては、中盤での反転には驚かされましたし、そのあとに続く展開も興味深いものだったため、もう少し読者に寄り添う姿勢を見せてくれたら、と思うのです。

No.1 5点 メルカトル
(2017/10/17 22:29登録)
それぞれ一人が生き残った鈴木家殺人事件と白石家の放火事件。作家の西野冴子はある人物からの手紙により、両殺人事件は交換殺人ではないかと疑いを持つ。一方友人の篠亜美が付き合い始めたタケルが、鈴木家殺人事件の生き残りではないかという疑惑を抱く。手紙の送り主である白石唯は一向に正体を現さず、謎はますます混迷を深める。
かなり複雑な人間関係なのに、あまりに急ぎ足で進むため、頭の中を整理するのに一苦労でした。しかもそっけない文章でストーリーがすんなり頭に入ってこない印象で、短い作品なのに話に付いてくのがやっとのありさま。もちろん私の集中力が足らないのも一つの要因ではありますが。
しかし、終盤世界が反転します。その辺りの手際は見事だと思います。突然のことで驚きますが、そのいきなりな感じがそれまでのそっけなさと相まって、余計に衝撃を受けることになります。ただ、取材用のレコーダーによる証言は、実名はともかくどのように事件と関わり合いがある人物なのかをはっきりさせて欲しかったと思いますね。文脈から想像しなさいってことでしょうが、やや不親切ではないですかね。
結末はやや不透明感があり、いったい本当の真実はどこにあるのだろうと首を傾げたくなるもので、何とも言えないモヤモヤとした余韻を残します。

2レコード表示中です 書評