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ミステリの祭典

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ラン迷宮
二階堂蘭子シリーズ

作家 二階堂黎人
出版日2014年04月
平均点6.33点
書評数3人

No.3 6点 レッドキング
(2022/10/29 18:34登録)
二階堂蘭子シリーズ、第三短編・・いや中編集。
   「泥具根博士の悪夢」 奇矯なマッド博士の五重密室・・四重正方形密室+雪足跡密室・・の刺殺事件。7点  
   「ランの家の殺人」 12年前の夫婦飲毒死事件の再検証。毒混入解決鮮やかだが、密室ネタがぁ(>_<)・・またも
            出ました「液体窒素」・・6点
   「青い魔物」 胃袋抜き取り連続殺人と青い怪物。これも「戦前癩者物」のバリエーションかな。3点
なんだか、だんだん好きになってきちゃったゾ、蘭子ねえさん (^^) ・とりあえずシリーズ最後なんで点数オマケ付き

No.2 6点 名探偵ジャパン
(2019/11/06 15:05登録)
「正統派」なのか、「今どきこんな」なのか、「古式ゆかしい」という表現が一番しっくりくるでしょうか。「怪博士」「異様な建造物」「自称超能力者」「人外の怪物」。もはや「時代遅れ」と言われてもおかしくないような設定、小道具、大道具を用いて、あくまで自分の世界を貫き通す二階堂。ここまでくると好感を持てます。『双面獣事件』と『覇王の死』のやらかしは、これでなかったことに……はできませんが、「今どきこんな」ミステリでも、作者の腕とこだわりでまだまだ胸躍るものが書けるということを知りました。なんだか懐かしさすら覚えました。

驚いたのは、文庫版の解説をミステリ評論家の飯城勇三が書いていたことです。彼は、こういった(物理的トリック重視の)ミステリをあまり好まないと思っていたので、意外でした。

No.1 7点 E-BANKER
(2018/05/01 22:44登録)
「ユリ迷宮」「バラ迷宮」に続く、二階堂蘭子シリーズの短篇集三作目。
今回は自身の名前どおり「ラン」にまつわる迷宮に挑戦ということで・・・
2014年の発表。

①「泥具根博士の悪夢」=作者自身の編んだアンソロジー「密室殺人大百科」(2000年)に収録された作品。雪密室+四重の扉が立ち塞がるという超強力な密室が登場。これはどんなトリック??って興味津々だったのだが・・・解法としては、蘭子のお決まりの台詞「困難は分割せよ」を地でいくトリック。読者でも十分解き明かせるという意味では、実によくできたトリックだと思う。因みに“泥具根博士”とは「鉄人28号」に登場する“ドラグネット博士”のもじりとのこと・・・(知らねぇ・・・)
②「蘭の家の殺人」=中編級のボリュームで本作の核となる作品。過去に起こった毒殺+密室殺人を蘭子が関係者の証言をもとに解き明かすというプロット。作中で触れているように、A.クリスティの「五匹の子豚」が作者の頭にあった模様(巻末解説者はE.クイーン「フォックス家の殺人」により近いと言及してますが)。密室トリックは「そんなこと!」っていう程度のものだし、フーダニットも「意外な犯人」の典型。そういう意味では大したことないとは言えるけど、雰囲気は好ましい。
③「青い魔物」=乱歩の世界をもじった“通俗風”スリラーの匂いがする作品。体全体が「青い」人間など、いかにも作者が仕掛けてきそうなプロットだなーっていう感想。分量も短くて小品。

以上3編。
超大作となった「人狼城ー」以降、作品レベルの劣化が目立つ作者。
前作「覇王の死」も酷くて、「もう終わったのか?」って思っていた矢先の作品集。
あまり期待せず読み始めたのだが・・・

マズマズの満足感という感じかな。
もちろん初期の佳作とは比べるべくもないんだけど、特に①なんかはいかにも「二階堂」という匂いが漂う作品。大げさなこけおどしや前時代的な舞台設定など、ファンにとっては「コレ、コレ!」っていうことになる。
蘭子は相変わらず高飛車&上から目線の極地なんだけど、今どきこんなクラシカルな探偵小説に挑戦するスピリット自体、ある意味国宝級かもしれない。
どんな批判にあっても、やっぱり「二階堂らしさ」は忘れずということで、次作にも期待します。

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