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ミステリの祭典

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毒よりもなお

作家 森晶麿
出版日2019年03月
平均点6.33点
書評数3人

No.3 6点 ぷちレコード
(2023/01/28 22:10登録)
連続殺人犯は最初に明かされる。自殺サイトの管理人「首絞めのヒロ」ことヒロアキ。親に虐待を受け続けてきたヒロアキの心は「がらんどう」で、醜悪な感情しか詰まっていない。八年前に知り合っていたカウンセラーの美谷千尋は、殺人に手を染めていくヒロアキを救おうと手を尽くす。
ところが、最終盤に全てを覆す衝撃の展開が待っている。端役と思っていた人物が前面に出てきて驚きの告白をするのだ。張り巡らされた伏線が収斂していくのだが、読んでいて時空がゆがむような感覚に襲われた。
作中にある「狂気はそんな遠い場所にあるわけではない」という千尋の思いとも響き合い、今という時代の一断面を突き付けられる。ずしりと重い読後感が残る。

No.2 6点 名探偵ジャパン
(2019/10/10 13:46登録)
最後の大仕掛けを「驚愕のラスト!」と取るか、「作者の逃げ」と取るか、それとも「今時ミステリには『驚愕のラスト』のひとつもなきゃ駄目だよ」という「作劇上のノルマ」と取るか。
こんなことを書いてしまうくらいですから、私はこれはあまり成功していないなと感じました。当初の熱量でもって真摯に物語を着地させてほしかったと思います。そうなると、本作のジャンルは「本格/新本格」ではなく「サスペンス」になりますが、それでも全然構いません。二人の主人公の決着をきちんと描いてもらいたかったです。残念な一作です。

No.1 7点 虫暮部
(2019/03/26 12:20登録)
 首絞めヒロのキャラクター設定も良いが、何よりも、語り手が周囲の心情を顧みず手前勝手に詮索して何の反省もしない様子について、傍迷惑な奴だな~と思いつつ共感出来ないまま読み進められる痛い書きっぷりが見事。
 で、八合目までは文句無しだったのだが……結末で示される“意外な設定”は要らなかったんじゃないか。期待通りの形でしっかり締めれば充分なのに蛇足を付けちゃった感じ。
 パクりだという意味ではないが、Y氏の某作と設定に共通点があり、雰囲気としても似通った印象を受けた。

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