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ミステリの祭典

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飛ぶ男、墜ちる女
広告クリエイター連続殺人

作家 白峰良介
出版日1991年01月
平均点6.60点
書評数5人

No.5 7点 メルカトル
(2023/01/17 22:56登録)
「男」が、飛び降りた。目撃者が駆けつけてみると、そこには「女」の死体が転がっていた。続いて起こる第2の殺人。被害者は死の直前に「オンナは逆から、オトコは反対へ、赤いシルシには裏がある」と謎の言葉を残した。全編にちりばめられた仕掛けと伏線。稀有の言語感覚を有する新人、新本格推理デビュー作。
『BOOK』データベースより。

どうしても読みたいと思い始めて20年以上。現在Amazonで4点出品されていますが、いずれも送料込みで48580円。私が随分前から見てきた限りでは誰も買っていません。そりゃそうでしょう、定価税抜き699円のノベルス本ですからねえ。それが5万近くのプレミア価格、結構な希少価値があるとは思います。しかしそれにしてもこの値段はボッタクリすぎじゃないでしょうか、とても手が出ません。私が入手したのは昨年の事、この価格に比べれば只みたいなものでした、しかも帯付き。私はラッキーでした。一生読めないかも知れないと思っていましたからね。勿体ないので、機が熟すのを待ってから漸く読み始めました。

さて前置きが長くなりましたが、本作一言で表現すると地味。外連味がないのは良いですが、その分文章のキレ味の鋭さが足りない感じがしました。まあ結果読み易くはあったのですが。そして何と言っても冒頭の不可解な状況の謎があまりに魅力的で、それに引っ張られて最後まで興味が薄れず読めたというのが率直なところ。
初期の新本格に並ぶ作品として帯裏に表記されているだけあって、人間が描けてないのはご愛敬。それでも、解決編では芋づる式に謎が解けていく様は、読んでいてスッキリしました。メイントリックも納得です、大技ではないものの、○○を駆使した秀逸なものでした。

No.4 7点 名探偵ジャパン
(2019/09/22 19:39登録)
以前から気になっていた作品だったのですが、先日たまたまブックオフで見つけて購入しました。
「屋上から飛び降りたのは確かに男だったのに、落下地点で死体となっていたのは女だった」この魅力的な謎に対する解答は、なかなかに面白いものだったと思います。目撃されたときや現場周辺の状況、目撃者がいたのが偶然だった、などの情報を整理すると、答えはこれしかないといえるものですが、そこへ導く情報の出し方のバランスがよかったと思います。途中、答えが分かってしまえば「そのままやんけ」と面食らうようなヒントも出てきて、作者のサービス精神があふれています。ダイイング・メッセージの扱いも面白いものでした。

文章も非常に読みやすい快作で、あとがきでも作者自身、もっとミステリを書きたいというようなことを述べていたのですが、本サイトに登録されている著作もこれ一作きりで、「一発屋」みたいな状態になってしまっているみたいですね。何か事情があったのかもしれませんが、これ一作きりで消えてしまうには惜しい才能に思えました。

No.3 7点 nukkam
(2019/06/24 22:00登録)
(ネタバレなしです) コピーライターの白峰良介(1955年生まれ。余談ですが夫人は黒崎緑です)が1991年に発表した長編ミステリーデビュー作です。「広告クリエイター殺人事件」の副題を持っていて広告業界が描かれていますが社会派推理小説ではなく、講談社ノベルス版の作者のことばで紹介されているように「謎と論理を重視した」本格派推理小説です。屋上から男性が飛び降りるのを目撃されたのに墜落現場へ行ってみると倒れていたのは女性の死体だったという序盤の謎が実に魅力的で、謎が追加されていく展開の中盤、理詰めの推理でトリックや犯人を特定する終盤と多くの本格派好き読者を納得させるであろう完成度です。最終章で犯人の自白で明かされる部分は読者が推理しようもないところもありますが全体の中では大きな弱点ではないでしょう。文章は抑制が効いていて地味ですが筋立てがしっかりしているので退屈しません。これだけの作品ですから鮎川哲也が巻末解説で注目の新本格派推理小説家と評価したのはもっともだと思いますが、その後はあまり活躍していないようなのが(私が知らないだけ?)惜しまれます。

No.2 7点 測量ボ-イ
(2011/08/16 13:17登録)
解決は平凡ながらも、謎の提示がシンプル且つ魅力的
でした。
採点は6点レベルかなと思いますが、上記事由と文章
が読みやすいこと、広告業界を扱った新鮮なネタであ
ることを好感してプラス1点。

No.1 5点 江守森江
(2009/05/22 06:12登録)
最初に提示される謎に対してトリックはチャチ。
しかし、オーソドックスな犯人当てで、消去法推理は水準レベル。
最初に掲載されてる広告の使い方も悪くはない。

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