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ミステリの祭典

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TON2さんの登録情報
平均点:5.65点 書評数:330件

プロフィール| 書評

No.290 3点 黄金仮面
江戸川乱歩
(2013/01/21 18:49登録)
講談社「江戸川乱歩全集6」より
 明智小五郎もの。アルセーヌ・ルパン=黄金仮面で、著作権の問題などなかった時代の作品です。作者が大衆受けするものを書いたというように、ミステリーというよりも紙芝居的活劇譚です。


No.289 6点 盲獣
江戸川乱歩
(2013/01/21 18:46登録)
講談社「江戸川乱歩全集6」より
 エログロの極致です。話の途中でだれますが、最後に触覚による芸術を生み出したことで収まりがついています。
 緑魔子、船越英二出演の映画も見ましたが……。


No.288 5点 QED 出雲神伝説
高田崇史
(2013/01/21 18:43登録)
講談社NOVELS
 出雲とは、島根・鳥取ではなく、奈良にも兵庫にもあるそうです。記紀の国譲りの出雲は、はたしてどこなのかという謎です。
 あいかわらず殺人事件はちゃちで、ご都合主義です。


No.287 7点 陰獣
江戸川乱歩
(2013/01/21 18:39登録)
講談社「江戸川乱歩全集3」より
 耽美的ではありますが、乱歩としては珍しい正統派の長編探偵小説です。作者の投影と思しき「大江春泥」なる探偵小説作家を狂言回しとしています。


No.286 7点 パノラマ島奇談
江戸川乱歩
(2013/01/21 18:37登録)
講談社「江戸川乱歩全集3」より
 うり二つの男が富豪にに成り代わり、妄想として描いていたパノラマ作成の夢を実現していく。
 パノラマ島の様子は文章のみで語られますが、実際に一度はこの目で見てみたいと思いました。(浅草にあったというパノラマ館なる見世物にも興味がわきます。)


No.285 4点 溺れる人魚
島田荘司
(2013/01/21 18:31登録)
原書房
 ミタライものの短編集で、「溺れる人魚」「人魚兵器」「耳の光る児」「海と毒薬」の4編。
 話がロボトミー手術、ナチスのキメラ作成のための生体実験、毒薬兵器などとトリッキーすぎてついてゆけませんでした。


No.284 4点 六の宮の姫君
北村薫
(2013/01/21 18:28登録)
東京創元社
 芥川龍之介の「六の宮の姫君」についての謎を、菊池寛との関係から推理し解いていく物語です。文学部の女子学生が、卒論のテーマとして芥川を選び、数々の書物からヒントを得て推理を進めていきます。
 ミステリーといういよりも、卒論の書き方のような感じで、違和感がありました。


No.283 3点 カンナ 吉野の暗闘
高田崇史
(2013/01/17 18:31登録)
講談社NOVELS
 ついつい読んでしまうシリーズですが、中身が希薄です。また、必ず起こる殺人事件もとってつけたような感じで、特に今回はこんなことで人を殺すのか、ましてや実の子をと思ってしまいました。
 作者の引き出しがなくなってきたのではないでしょうか。
 


No.282 5点 カンナ 天草の神兵
高田崇史
(2013/01/17 18:27登録)
講談社NOVELS
 カンナシリーズ第2作。舞台は天草。
 天草四郎は3人の姉がいる四男だったのになぜ四郎なのかという謎が解かれます・また、天草の乱は領主の苛斂誅求による百姓一揆の側面と、キリシタン弾圧によるキリシタンの蜂起の側面がありますが、幕府は一貫して百姓一揆として扱ったということです。
 1作目の「飛鳥…」に比べると、謎解きと民俗学的興味が格段に落ちます。


No.281 7点 Zの悲劇
エラリイ・クイーン
(2013/01/17 18:23登録)
ハヤカワ・ミステリ文庫
 ドルリー・レーン4部作の第3作。
 レーンのほかにサム警視の娘ペイシェンス・サムが探偵役です。レーンものの中ではあまり評価が高くないですが、それなりに楽しめました。
 上院議員とその兄の医学者や売春組織の女ボスたちが牛耳っているまちが舞台で、その州の刑務所では毎週水曜日に死刑が執行されるということになっています。
 死刑執行場面も具体的に描かれていて、謎解きが冤罪者の死刑執行直前というのは、少々あざとい感じがしました。


No.280 6点 三つの棺
ジョン・ディクスン・カー
(2013/01/16 18:48登録)
ハヤカワ・ミステリ文庫
(ネタバレ)
 有名なフェル博士の密室講義がある古典的名作です。
 鏡を使ったトリックは、すっきりしない感じがしました。
 登場人物が横文字なので、切れ切れに読んでいると、誰が誰だかわからなくなるという翻訳ものの欠点に悩まされました。


No.279 7点 カンナ 飛鳥の光臨
高田崇史
(2013/01/16 18:45登録)
講談社NOVELS
 QEDの作者の新シリーズですが、同じように歴史・民俗学に関するものを扱っています。
 この作品では、聖徳太子の正体ついて考察し、大化の改新について通説の逆の見方を示しています。
 QEDの桑原崇のマニアックな薀蓄よりは分かりやすく、面白いと感じました。


No.278 7点 長い長い殺人
宮部みゆき
(2013/01/16 18:40登録)
KAPPANOVELS
 10人の10の財布が語る形式の連作短編集です。
 人間は自分が好きで、誰もが自分は特別な存在だと思っているが、世間から見れば普通の存在であり、これが年齢を重ねるにつれ分かってくる。しかし、大人になっても自分が特別な存在であると意識している病的なモンスターがいる。
 この作者は、こうした人間感情のちょっとした隙間を描き出すのが上手です。


No.277 9点 火刑法廷
ジョン・ディクスン・カー
(2013/01/16 18:34登録)
ハヤカワ・ミステリ文庫
 探偵小説かと思えば怪奇小説、怪奇小説かと思えば探偵小説という作りになっていて、こうした作風が1930年代にすでになされていたことに敬意を表します。
 最後の衝撃の恐ろしさは最高です。


No.276 6点 容疑者Xの献身
東野圭吾
(2013/01/16 18:31登録)
文藝春秋
 先に映画を見てしまったので、本来なら最後のどんでん返しに興奮するところですが、ネタばれ読書で残念でした。昔、「読んでから観るか、観てから読むか」というコピーがありましたが、今回は観てから読んで失敗しました。(映画はほぼ原作に忠実で、よくできていました。)
 トリックは新鮮な驚きでした。
 大学卒業以来10年以上経っているのに、石上のことを友と考えている湯川の思いはいかばかりだったのでしょうか。
 恋愛、友情といった「愛」の名のもとに、いかにも他人を大切に思っているように思えますが、湯川にしても、石上にしても、花岡靖子にしても、皆自分勝手でわがままではないか。そう考えると、案外薄っぺらな内容のように思えました。


No.275 7点 悪霊の館
二階堂黎人
(2013/01/15 18:54登録)
講談社文庫
 二階堂蘭子シリーズ長編4作目。
 密室、双子、名門一族の相続財産をめぐる惨劇など、ミステリーのツボがおさえられています。
 また、魔女伝説の部分はオカルトで、カーの作品を連想させます。


No.274 5点 緋文字
エラリイ・クイーン
(2013/01/15 18:49登録)
ハヤカワ文庫
 物語の4分の3まで、クイーンと相棒のニッキーが、妻が不倫をしていることにより不仲となっている友人夫妻の世話を焼く話がえんえんと続きます。妻と間男との密会現場を尾行するクイーンは、まるでストーカーのようです。
 最後の最後にミステリーらしいどんでん返しがあります。
 ピューリタン社会における未亡人と聖職者のあやまちを描いた、アメリカ文学の古典・ホーソンの「緋文字」をベースにしています。


No.273 4点 毒草師 白蛇の洗礼
高田崇史
(2013/01/15 18:42登録)
朝日新聞出版
 シリーズ2作目で、もう飽きてしまいました。
 トリックの設定に無理があると思います。また、登場人物のお茶会での自殺もいただけません。どう考えても死ぬほど追いつめられているとは思えません。


No.272 10点 薔薇の名前
ウンベルト・エーコ
(2013/01/15 18:31登録)
東京創元社
 以前にショーン・コネリー主演の映画を見たときから読みたいと思っていましたが、ようやく図書館で借りました。
 著者はイタリア人の哲学者で、記号論の権威です。
 舞台は1327年の北イタリアのベネディクト修道院。そこを訪れた修道士パスカヴィルのウィリアムと弟子のアドソが、修道院内で起きた修道士連続殺人の謎を解きます。分類としてはミステリーですが、中世キリスト教社会の様々な様子が描かれていて大変興味深い作品です。
 皇帝勢力と教皇勢力の世俗支配をめぐる争い。キリストは何物も私有しなかったとする清貧派と富を持つことを認める教皇派の神学論争。拷問、火あぶりなどの苛烈な異端審問。貞淑であるべき修道士の肉欲と愛への考察。書物は、それを伝えることに意味があるとする者と、それを読み新たな思考を生み出すことに意味があるとする者との対立……などが語られ、ヨハネの黙示録に見立てた連続殺人が起こります。
 また、ウィリアム=ホームズ、アドソ=ワトソンという典型的ミステリーの形式となっているとともに、博学で人生経験豊富なウィリアムが、有能ではあるが若く幼いアドソを鍛え上げる師弟の物語でもあります。


No.271 4点 リベルタスの寓話
島田荘司
(2013/01/15 18:26登録)
講談社
 「リベルタスの寓話」「クロアチア人の手」の中編2編。
 作者はボスニア・ヘルツェゴビナのクロアチア人、セルビア人とモスリムの民族内戦を勉強したらしく、それがベースになっています。
 いずれの作品もミタライは直接登場せず、電話のみで事件を解決します。

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