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平均点:6.00点 | 書評数:1848件 |
No.328 | 6点 | 弁護側の証人 小泉喜美子 |
(2010/10/02 00:23登録) 作者の代表作。 確かに出版された年代を考えれば、評価する価値は大でしょう。 一言で書評するなら、”シンプルな叙述系作品”とでもいう感じでしょうか。 (1つ前の書評作品(折原)とは大違い・・・) 「シンプル・イズ・ベスト」とも言えますし、「少々物足りない」とも言えます。 今回、集英社の復刻版で読みましたが、「帯」に登場している作家も豪華ですし、解説は道尾秀介ということで、本作品のすごさ・影響度は分かろうというものです。 ただ、サプライズを評価の尺度とすれば、どうしても今現在このような感じにはなってしまいますねぇ・・・ 作者が一番騙したかったのは、「真犯人」なのか「弁護人」なのか今一つ分かりませんでした。(読解力のなさでしょうか?) |
No.327 | 5点 | 倒錯のオブジェ 天井男の奇想 折原一 |
(2010/10/02 00:12登録) 「倒錯」シリーズのやや外伝的作品。 舞台はシリーズでお馴染みの(?)東十条は「メゾン・サンライズ」近くの古めかしい一軒家。 この作品、例によって時間軸がズラされており、それに気付かないまま読んでいると、「どういうこと?」と思わずにはいられない作りになってます。 「天井男」という発想は以前の作品でもありましたが、今回は2階の住人まで巻き込んで、「1階に住む老婆」⇔「天井男」⇔「2階の住人」という三重構造でより複雑化しています。 ただ、今回はちょっと(かなり?)クドイ! 「倒錯」シリーズの特徴といえばそれまでですが、登場人物が勝手な行動をし、それを読者が追い回させられ、最終的には「なんじゃそりゃ?」というラスト・・・ 折原らしいといえばそれまでですが・・・ |
No.326 | 7点 | 白昼の悪魔 アガサ・クリスティー |
(2010/09/25 22:18登録) 中期のポワロ物。 派手な設定はありませんが、丁寧に作りこまれた雰囲気のある良作という感じ。 孤島(陸路はありますが)のリゾートホテルを舞台とする、クローズドサークルでのフーダニットがメインですが、単なるアリバイ崩しかと思いきや、ラストで想像以上の「爆弾」が炸裂します! タイトルもなかなか気が効いてます。「悪魔」という言葉が読者のミスリードを誘うようにできてるんですね(ポワロは最初から気付いていたと言ってましたが・・・)。 ただ、トリックの”肝”である「あのこと」はかなりリスク(バレる)があるんじゃないですかねぇ? 作品中ではみんな納得してますけど・・・ |
No.325 | 7点 | 螢坂 北森鴻 |
(2010/09/25 22:06登録) 三軒茶屋のビアバー「香菜里屋」シリーズの第3弾。 相変わらず流麗な文体、余韻の残るラストで読者を楽しませます。 ①「蛍坂」=何となしに、福山の「桜坂」を思い起こさせる内容じゃないかと・・・ 戦場カメラマンというと、どうしても例の「渡部さん」の顔としゃべり方を思い出してしまうのが難・・・ ②「猫に恩返し」=ちょっと現実離れしすぎてる感じがします。そこまでするか? ③「雪待人」=個人的は本作中ベスト。何より、香月の最後のセリフ「あいつ(工藤)も待ってるんですよ・・・」がかなり気になる。 ④「双貌」=作中作を使った変わった構成。どこが「地の文」かちょっと分かりにくい。ラストも今ひとつピンとこなかった。 ⑤「孤拳」=焼酎って寝かせるとそんなにうまくなるなんて知らなかった! いいこと聞いた! 以上5編。 トータルで見れば、前作「桜宵」より明らかに落ちる。それでもレベルの高い作品集なのは確かです。 それにしても、「香菜里屋」みたいなバーあったらいいなぁ、『2番目に度数の高いビールちょうだい!』(言ってみたい) |
No.324 | 5点 | セント・ニコラスの、ダイヤモンドの靴 島田荘司 |
(2010/09/25 21:51登録) 御手洗潔シリーズ。 時代設定が「占星術殺人事件」直後ということで、御手洗-石岡の名コンビが堪能できる作品。 ①「シアルヴィ館のクリスマス」=本題に入る前の単なる導入部的内容。 ②「セント・ニコラスのダイヤモンドの靴」=セント・ニコラスとはロシア語でいう「サンタクロース」のこと。帝政ロシア時代の女帝エカテリーナⅡ世ゆかりの名品、ダイヤモンドの靴をめぐる誘拐事件の謎を、御手洗が例のごとく神がかり的に解き明かしていきます。 この作品、確かに、初期の名作「数字錠」を思い出させるような心暖まる話。ただ、ミステリーとしての評価はこんなもんですかねぇ・・・ それにしても、エカテリーナⅡ世ってそんな人だったんですかぁ・・・何となく納得。 |
No.323 | 7点 | グラスホッパー 伊坂幸太郎 |
(2010/09/23 23:01登録) 本書もやはり「伊坂ワールド」全開の作品。 独特の言い回しや展開で、前半はちょっと冗長に思えるんですが、途中から一気に加速し、ラストへなだれこむ・・・という感じ。 殺し屋の”鯨”と”蝉”、そして普通の人”鈴木”・・・3人のストーリーが順番に語られ、そしてまるで運命のように1つのストーリーに吸い寄せられていく・・・作者らしい展開です。 あとがきでは、本書を「ハードボイルド」と括っていますが、ジャンルとしては分類不能、あえて言うなら「変な小説」とでも呼びたくなります。(いい意味で) サブキャラもいい味出してます。特に、健太郎と孝次郎の兄弟(?)・・・生意気だけどこんな奴本当にいそうだなぁ。 |
No.322 | 6点 | 撃つ薔薇―AD2023涼子 大沢在昌 |
(2010/09/23 22:45登録) 近未来の東京を舞台としたハードボイルド作品。 主人公は潜入捜査専門の”絶世の美女刑事”ということで、ついつい想像を逞しくして読んでしまいます。(いろいろと) ストーリー的には、まぁ安定感たっぷり、「さすが大沢在昌!」と言うわけで安心して読み進められます。 持ち前のスゴ腕と抜群のルックスを武器に、闇の組織に潜入する主人公涼子、涼子を助ける謎の男、龍・・・謎が深まる中、ラストはやはりサプライズが! という流れ・・・ 何となく、はやりの韓流ドラマを見ているような気持ちにさせられてしまうのが「う~ん」という感じでしょうか・・・(途中から”龍”はイ・ビョンホンの顔を想像しながら読んじゃいました) |
No.321 | 7点 | 心臓と左手 座間味くんの推理 石持浅海 |
(2010/09/23 22:30登録) 代表作「月の扉」で探偵役を務めた”座間味くん”が安楽椅子型推理に挑む短編集。 なかなかいい味わいです。 ①「貧者の軍隊」=密室物ですが、いわゆる普通の密室物とは違うテイスト。 ②「心臓と左手」=個人的には本作品中ベスト。プロット的にはバラバラ殺人などによく登場するものですね。 ③「罠の名前」=カラクリは何となく読めましたけど・・・ ④「地下のビール工場」=あの程度の「機械」がまさかそんなふうに使われるなんて・・・ ⑤「再会」=これは「月の扉」の後日談的な内容。 他2編の全7編。 話の展開は共通しており、大迫警視が誘った食事の席で、座間味くんが警視から聞く話だけで事件を看破していく内容。 ムダを一切省いたストーリーが小気味よく、なかなかの良作だと思います。 |
No.320 | 9点 | シャーロック・ホームズの冒険 アーサー・コナン・ドイル |
(2010/09/19 22:11登録) 記念すべきシャーロックホームズ探偵譚の第一集。 名作ぞろいです。 ①「ボヘミアの醜聞」=初っ端から、珍しくホームズ氏が失敗した作品が登場。 ②「赤髪組合」=知らない人はいない超有名作品。今さら論ずるまでもなくよくできてます。まさに短編の見本。 ③「花婿失踪事件」=本シリーズにおいては、「変装」=誰も気付かないという法則があるようです。 ④「ボスコム谷の惨劇」=フーダニットとしてはちょっと中途半端かな? ⑤「オレンジの種5つ」=この作品、ラストがやや尻切れ気味。ワザとかな? ⑥「唇の捩れた男」=これも③と同様の趣向あり。 ⑦「青いガーネット」=ライトな作品。他に隠し場所はなかったのか? ⑧「まだらの紐」=これも超有名作品。果たして「あれ」が金庫で飼えるのかはさておいて、やっぱり雰囲気は申し分なし。 ⑨「花嫁失踪事件」=花婿の次は花嫁が登場。よっぽど「失踪」するのが流行してたんでしょうか? ⑩「ブナ屋敷」=この作品集、動機は「金銭欲」というのが多い。本作もそうか? 全10編。 やっぱり、「シャーロック・ホームズ」を堪能するのであれば、本作品集は欠かせません。 私もジュブナイルで読んで以降、触れる機会さえなかったわけですが、やっぱりホームズ物をはずして「推理小説」は語れないと思ってしまいました。 |
No.319 | 7点 | しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術 泡坂妻夫 |
(2010/09/19 21:50登録) ヨギガンジーシリーズ。 う~ん。泡坂マジック炸裂!という感じでしょうか。 新興宗教団体の跡継ぎ争いに絡む本筋そのものはトリッキーだけど、噂に聞くほどでもないなーという感じで読んでましたが、さすがに「本書」そのものの仕掛けが分かってみると「?!!!・・・」 よくもまぁ・・・、結構苦心したんじゃないでしょうか? 本を○○るというのも含めて、「遊び心」がありますよねぇ・・・ 泡坂氏が「ニヤリ」とする瞬間が見えるようです。 |
No.318 | 7点 | ビター・ブラッド 雫井脩介 |
(2010/09/17 00:02登録) お笑い系の要素を加えた、雫井版警察小説といった感じ。 ページ数の割にはグイグイ読ませます。 県警捜査一課係長が殺されるという衝撃的事件に新米刑事の佐原が挑みますが、同じ捜一には実父の島尾刑事も在籍、佐原は母親を不幸にした島尾を恨んで決して許そうとしない、さぁ事件は? 2人の仲は?というストーリー。 ラストはこの2つの要素が絡み合っていき・・・予想外の結末を迎えます。 「ビター・ブラッド」とは、ほろ苦い親子関係(直訳すれば”苦い血”)とでも訳すのでしょうか、言い得て妙とでも言いたくなるタイトルです・・・ 島尾の「新米刑事にとって一番重要なのはジャケットだ!」というセリフも笑わせますし、ジャケットプレイは是非実写で見てみたい! |
No.317 | 6点 | 灰色の仮面 折原一 |
(2010/09/16 23:44登録) 初期の叙述作品。 久々に再読。 読んでると、何となく後々の「○○者シリーズ」の“はしり”を思わせる雰囲気があります。 灰色の仮面(=パンスト)を被り、独り暮らしの女性を襲う連続殺人犯、ひょんなことから犯人と間違われる主人公の2人を軸として、途中からどちらが「本当の殺人犯」なのか分からなくさせるという、作者お得意の叙述トリックです。 ラストを読んで何か違和感があったんですが、解説によると、改訂版では初版とラストが変わっているとのことで納得・・・ただ、改訂版ではスッキリしすぎて逆に味わいが薄いような気もしますけど・・・ 採点は辛めですが、ラストまで読ませる力のある作品ですし、割と好きな作品の一つです。 |
No.316 | 5点 | もう誘拐なんてしない 東川篤哉 |
(2010/09/16 23:31登録) 作者お得意のお笑い系ミステリー。 何となく、槇原敬之の昔の曲を思い起こさせるタイトルですねぇ(巻末で解説の大矢氏が同じこと書いてますが・・・) 偶然にもヤクザの組長の娘を助けた主人公が巻き込まれる狂言誘拐、身代金をうまく受け取ったと思いきや、殺人事件に巻き込まれて、さぁたいへん・・・というストーリー。 帯には、本格ミステリーと青春小説の融合なんて大仰なコメントがついてますが、どっちにしても中途半端な出来にしか思えませんでした。 アリバイトリックもごくごく基本的な○○の錯誤を利用したものですし、明らかにパンチ不足気味。 本書の舞台として、下関と門司(もちろん関門海峡も)が詳しく紹介されてますので、土地勘がある方にとってはシンパシーを感じられるかも・・・ |
No.315 | 5点 | シャム双子の秘密 エラリイ・クイーン |
(2010/09/12 21:34登録) 国名シリーズ。 クローズドサークル内の殺人事件や、「読者への挑戦」がないなど、シリーズ中でも異色の作品として有名。 他の方の書評でも触れられてますが、確かに全体的に中途半端感を感じてしまいますねぇ。 異形の双生児や「骸骨」という名の登場人物(すごい名前・・・)など、ちょっとおどろおどろしい雰囲気作りもあり、フーダニットとしての味わいとしては優れていますが、真相は「うーん」という感想。 今回、エラリーの推理は二転三転するのですが、徹頭徹尾トランプによるダイイングメッセージに拘り、推理内容のほとんどがそれだけに終始してしまうのも何か消化不良です。 ちなみに、NYではないためか、いつもの覇気が感じられないクイーン警視の弱気な態度が逆に新鮮でしたけど・・・ |
No.314 | 7点 | 天国からの銃弾 島田荘司 |
(2010/09/12 21:19登録) 吉敷や御手洗といった御馴染みのキャラクターが全く登場しない短編集。 「謎解き」度は薄めですが、作者らしい独特の世界観、イズムが味わえる佳作でしょう。 ①「ドアX」=途中までは訳が分からない展開ですが、ある登場人物の言葉で世界が一変。あと、女性のセックス観の話が妙に身に染みました・・・ ②「首都高速の亡霊」=真相は島田流「偶然の連続」によるもの。高速道路と官僚の話は非常に腹立たしい限りです。 ③「天国からの銃弾」=真相はあまりパッとしませんが・・・やっぱり発想が斬新。 全3編。 3編とも「東京」を舞台とし、それがストーリー上のスパイスとして効いてる感じ。(それも島田作品らしいところでしょう・・・) |
No.313 | 8点 | 顔 FACE 横山秀夫 |
(2010/09/08 23:31登録) 本作もやはり絶品の短編集。 「陰の季節」収録の1編「黒い線」で脇役として登場したD県警の婦人警官、似顔絵のスペシャリスト平野巡査を主人公に据えた作品集です。 ①「魔女狩り」=警察対マスコミ。作者得意の設定です。 ②「決別の春」=意に沿わぬ配置換えをされた平野巡査の心の動きが手に取るように分かります。(同じく、組織の中で働く人間として) ③「疑惑のデッサン」=女の対決。男には分からない世界かもしれません。 ④「共犯者」=意外な犯人と意外な動機。短編には付き物ですよね。 ⑤「心の銃口」=結構な長さで中篇と呼ぶべき。婦人警官と銃・・・なかなか難しいテーマですし、それだけ読む者の心を撃ってきます。 全5編+αあり。 とにかく、作者の筆力には脱帽です。主人公はもちろんフィクションなのですが、そんなことは忘れてしまい、思わず「頑張れ!」と応援したくなってしまいました。 |
No.312 | 7点 | 消えた巨人軍 西村京太郎 |
(2010/09/08 23:16登録) 左門字探偵シリーズの第1作目。 豊富な「誘拐物」のバリエーション、アッと驚く凝ったプロットで有名なシリーズです。 阪神戦に向けて新幹線で大阪へ移動する巨人軍の選手30数名が犯人グループにより鮮やかに誘拐され、球団社長へ5億円の身代金が要求される・・・ やはりプロットの勝利でしょうねぇ・・・左門字対犯人グループの知恵比べのような捜査過程が面白くてグイグイ読まされます。 探偵役としての左門字も実に生き生きと書かれてますし、十津川警部ではなく、こちらをメインキャラにしていたらと残念な気がしてなりません。(もう新作は読めないでしょうねぇ) ちなみに、監督が長嶋、主力選手が王、張本、柴田、堀内・・・という時代の話。(定岡が新人投手として出てきます。なつかしい・・・) |
No.311 | 7点 | 太鼓叩きはなぜ笑う 鮎川哲也 |
(2010/09/08 23:02登録) 「三番館」シリーズ。 本作は創元推理文庫版での同シリーズ第1作。 鬼貫警部や星影龍三を探偵役とする長編の重厚な雰囲気と違い、洒落っ気たっぷり、軽いタッチでグイグイ読ませます。 ①「春の驟雨」=アリバイトリックとしては基本どおりなのですが、見せ方がうまいですね。 ②「新ファントム・レデイ」=W.アイリッシュの名作「幻の女」を下敷きにはしてますが・・・そこはやはり鮎川流のアレンジ。 ③「竜王氏の不思議な旅」=短編ですが、鬼貫物を彷彿させるアリバイトリックが炸裂。ラスト1行が効いてます。 ④「白い手黒い手」=白い手の人物と黒い手の人物・・・バーテン氏の推理はちょっと強引な気がしますけど・・・ ⑤「太鼓叩きはなぜ笑う」=これもやや変格のアリバイトリック物。バーテンの推理法が鮮やかです。 全5編。 短編もうまいですねぇ。バーテン氏をはじめ、私立探偵・弁護士といったシリーズキャラクターの配役も絶妙です。 |
No.310 | 7点 | 悪魔が来りて笛を吹く 横溝正史 |
(2010/09/05 15:22登録) 金田一耕助シリーズ。 作者中期の代表作の1つといっていいでしょう。 『悪魔ここに誕生す』という有名なフレーズが頭にこびりついて離れません。まさに、本作はこの「悪魔」の意味を解明するための物語なのでしょう。 「出生の秘密」というギミックは、作者の有名他作品にもたびたび登場してきますが、第二次大戦前後の波乱の時代とはいえ、何とも言えない偶然=運命のいたずらに心を打たれます。 氏の作品らしく、途中のそこかしこに伏線があからさまに明示されているので、純粋な「謎解き」としてはやや不満が残りますし、神戸~須磨~淡路島の場面はもう少しあっさりしていてもよかったような気がします。 本作は映像作品(TV)でも何度か見ましたが、やはり文書よりも映像でより栄える作品なのかもしれません。 |
No.309 | 6点 | 曲った蝶番 ジョン・ディクスン・カー |
(2010/09/05 15:05登録) フェル博士探偵譚の一作。 タイタニック号沈没に端を発する主人公(ジョン卿)の入れ替わり疑惑や、「悪魔崇拝」「自動人形」など事件の周辺に見え隠れするいかにもカーらしい怪奇趣味が見どころの作品。 「犯人の姿が全く見えず、周りに複数の目撃者がある中で、なぜ被害者は喉を掻き切られたのか?」という、いわば開かれた密室の謎が最大のポイントでしょう。 ただ、真相を見破るのはなかなか困難・・・そんな不思議な○○があったなんて・・・と思わずにはいられません。 2人のジョン卿の真贋についても、割とあっさり片が付いてしまったり、悪魔崇拝についても何か中途半端な気がするなど、評判ほどでもないかなという感想。 まぁ、ラスト(第Ⅳ部)での捻りはなかなか効いていて、トータルでは「さすが」と思わせます。 |