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ミステリの祭典

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平均点:6.00点 書評数:1859件

プロフィール| 書評

No.339 5点 黄金を抱いて翔べ
高村薫
(2010/10/17 22:39登録)
直木賞作家でもある作者のデビュー作にして、かつ日本推理サスペンス大賞受賞作。
銀行の地下に眠る「黄金」を狙う犯罪者グループが主役のコンゲーム的(?)・ミステリー。
ただ、ストーリーの3分の2は犯罪の「準備段階」に費やされ、特に幸田と北川を中心としたメンバー1人1人の背景やキャラクターを独特の筆致で浮かび上がらせています。
そのため、よくいえば「重厚でディテールに拘った作品」と言えますが、逆に「どうも読みにくい」印象が強く残り、同種のミステリーには欠かせない「スピード」や「疾走感」というものからは真逆の印象になってしまいます。
まぁ、これは「好み」の問題なので、どっちが優れているというべきものではないのですが、個人的に言えば、後者の読後感が強く残った作品になってしまいました。
ラスト、実際の強盗シーンが何か付け足しみたいになっているのも「勿体無い」と思います。


No.338 7点 亜愛一郎の逃亡
泡坂妻夫
(2010/10/17 22:26登録)
憎めない迷(?)探偵、亜愛一郎シリーズのラストを飾る作品集第3弾。
①「赤島砂上」=裸体主義者の団体ということは、愛一郎も真っ裸だったということでしょうか?
②「球形の楽園」=短編ではよくお目にかかる趣向、トリック。やや安易すぎる気が・・・
③「歯痛の思い出」=ストーリーとしてかなり面白い。ギャグを織り交ぜたつまらない描写にも「こんな意味があったのか!」と思わされます。
④「双頭の蛸」=正直、トリックの仕組みがよく分かりませんでした。ただ、登場人物のやり取りは秀逸。
⑤「飯鉢山山腹」=トリックそのものは面白いけど、かなり偶然性に頼った無茶な計画のような印象。
⑥「赤の賛歌」=真相の看破は割合容易。作者らしい作品。
⑦「火事酒屋」=ロジックが鮮やかな一作。短編らしい切れ味が光ります。
⑧「亜愛一郎の逃亡」=シリーズの締めくくり。ついに愛一郎と三角形顔の老婦人の正体が明かされます。
以上8編。
作者らしい「稚気あふれた」作品が多く好感が持てますが、前2作以上に”お笑い系”要素が強く、ロジックやトリックという面ではややネタ切れを感じさせます。
個人的な好みでいえば、やはり、「狼狽」>「転倒」>「逃亡」という順番になっちゃいますね。


No.337 4点 疑惑
折原一
(2010/10/14 21:24登録)
長期間続いている「・・・者」シリーズからスピンオフした作品集。
①「偶然」=オレオレ詐欺ネタ。仕掛けはあっさりしたもの。軽~い作品。
②「放火魔」=よくある趣向。若干ひっくり返されますが、サプライズはほんの少し。
③「危険な乗客」=新宿発「ムーンライトえちご」の進行に合わせて2人の乗客の秘密があらわに・・・たいしたことはありません。
④「交換殺人計画」=これもちょっと中途半端かな
⑤「津村泰造の優雅な生活」=ラストは若干のサプライズとややブラックな読後感が残りました。
他ボーナストラック1篇の全6編。
他の書評で、「クドイ!」と書いている折原作品ですが、短編になると「クドサ」は消えましたが、逆に物足りない感じが・・・
これこそファン心理でしょうか? まさに”ないものねだり”かもしれません。


No.336 5点 さらわれたい女
歌野晶午
(2010/10/14 21:14登録)
初期のノンシリーズ。
文庫版解説の法月氏によれば、「葉桜~」に代表される現在の作風につながる出発点の作品ということらしいです。
世間で「誘拐もの」は玉石混交、いろいろな作品がありますが、レベル的にいえば決して高いとは思えません。
何より、いくら似ているとはいえ、ほんとに見間違うかなぁ・・・というのが大きな疑問です。そこがあっさり片付けられてるところは、納得性を下げてしまいます。
プロットそのものは、まあよくできていると思いますし、見せ方の問題だとすれば、ちょっと勿体無い気はしますね。
ラストも既視感たっぷりですが、法月氏のおっしゃるとおり、まさに作者のステップアップの第一歩というべき作品なのかもしれません。


No.335 7点 看守眼
横山秀夫
(2010/10/14 21:03登録)
さまざまな職業に従事する人間の矜持を描いた短編集。
相変わらず高レベルの作品が並びます。
①「看守眼」=刑事になりたかった男(退職した看守)の執念? 1つの物事を継続することの大切さを教えられます。
②「自伝」=展開がやや安易な気がする。
③「口癖」=他人より優位に立ちたいという主人公の心理・・・何となく分かる気がします。(悲しき小市民ですね)
④「午前五時の侵入者」=分かるなぁ・・・保身的な上司ってこういう反応をするんですよねぇ・・・
⑤「静かな家」=作者得意のマスコミネタ。自分のミスを隠したい気持ち・・・よく分かります。
⑥「秘書課の男」=女よりも男の”妬み”の方が嫌らしく感じてしまいますが、気持ちはよく分かる!
以上6編。
組織に生きる人間を描いた作品が多くて、どうしても自分の姿と重ねて読んでしまいます。
ただ、作品の質的には他の佳作よりは落ちる印象。


No.334 7点 白い僧院の殺人
カーター・ディクスン
(2010/10/11 00:31登録)
H・M卿が活躍するカーター・ディクスン名義の有名作。
今さら言うまでもありませんが、「足跡なき殺人」のバイブル的作品です。
本作は「足跡なき殺人」(雪密室)の真相(トリックとは言いづらい)についての、H・M卿の推理に尽きるといっていいでしょう。
確かに見事なロジックで、特に「犬」の存在に係る心理トリックが効いてます。これこそ、本格ミステリーの醍醐味だと痛感させられますね。
ただ、カーの特徴なのか、訳のマズさなのか分かりませんが(多分両方でしょうが)、読みながら『一体、今どういう場面なのかピンとこない』ことの連続・・・
登場人物もモーリスとベネットを除いては、キャラクターがはっきりせず、ストーリーが頭になかなか入らない・・・
というわけで、この程度の評価。


No.333 9点 殺しの双曲線
西村京太郎
(2010/10/11 00:14登録)
ゾロ目(333番目)の書評は、個人的に氏の最高傑作間違いなしの本作で!
初期の本格ミステリーで、特に探偵役は登場しません。
冒頭で「双子トリック」の使用を堂々と宣言しながらも、中盤以降さらに読者を二重三重に欺くという最高レベルの「仕掛け」が炸裂します。
①なぜ、東京の街中で双子の兄弟が引き起こす連続強盗事件とクローズドサークルでの連続殺人が交互に語られるのか、②なぜ、名作「そして誰もいなくなった」を模倣しながらも、相違点も読者へ明らかにしているのか、その他魅力的な謎が目白押し、伏線も見事だと思います。
それでいて、無駄な部分は極力削ぎ落とされており、冗長なところは一切ないのも西村流本格ミステリー・・・
この頃は、印象的かつ画期的なプロットが光る作品をつぎつぎに生み出しており、やっぱり「並みの作家ではない」ことを十二分に感じさせられます。


No.332 6点 雪が降る
藤原伊織
(2010/10/10 23:57登録)
ミステリー色は薄めながら、作者らしい人物造形や深い余韻を残すラストが印象的な短編集。
①「台風」=ビリヤード勝負を背景に、謎の男が引き起こした殺人事件の想い出を振り返るストーリー。
②「雪が降る」=表題作に相応しい佳作。主人公とその同僚の関係は、氏の名作「てのひらの闇」の登場人物を思い起こさせます。
③「銀の塩」=ちょっと中途半端な気がするラスト。
④「トマト」=ショートショート。印象的だが意味はよく分からず。
⑤「紅の樹」=短編ながら作者らしさを感じるハードボイルド。これは「てのひらの闇」のベースとなった作品とのことです。(確かに主人公の名前や出自が共通)
⑥「ダリアの夏」=ハートウォーミングな一作。登場する子供がかわいい。
以上、全6編。
氏の作品に登場する主人公の造形って、だいたい共通してますね。『世間に対しては斜に構えながらも、心の奥底には熱い魂が・・・』 本作もまた同様。
ただ、個人的に短編よりも長編の方が持ち味が出る気がして、この評価です。


No.331 6点 ポンスン事件
F・W・クロフツ
(2010/10/05 22:55登録)
名作「樽」に続く2作目の長編。
探偵役はスコットランド・ヤードのタナー警部ですが、キャラクター的にはほとんどフレンチ警部とイコールのような印象です。
本作品、”いかにもクロフツ”といった作品。
当初有力視された容疑者2人については、タナー警部の丹念な捜査により、アリバイ成立!
ところが、その後登場した素人(容疑者の婚約者)の推理が的中し、何とアリバイが崩れる・・・という展開。何だか「樽」と似てますね。(タナー警部形無しです)
こういった作風自体は嫌いではないんですが、本作は他の佳作に比べると、やや捻りが足りない印象ですねぇ・・・
特に「殺人事件」そのものの真相が「あれ」では、ちょっと肩透かし・・・


No.330 9点 暗闇坂の人喰いの木
島田荘司
(2010/10/05 22:46登録)
御手洗潔シリーズの大作第1弾。
久しぶりに再読しました。
初読時は超長編の割には、レオナ以外インパクトに欠けるような印象でしたが・・・
今回、再読してみて評価が一変。何と言うか、ミステリーやトリック云々ではなく、1編の読み物としての「レベルの高さ」を感じずにはいられませんでした。
他の大作(「水晶のピラミッド」など)に比べて、必要性を疑うようなサイドストーリーも最小限ですし、ある意味、全盛期の作者の力量を十二分に感じることができる佳作でしょう。
ただ、例の物理トリックだけが・・・
方向性としては、「北の夕鶴」や「疾走する死者」と同じですよねぇ。ただ、あまりにもこの偶然はできすぎ!(確率は極めて低いし、あり得ないレベル)
これでは「バカミス」と言われても反論できない。それだけが減点。
でもスゴイ作品。


No.329 6点 赤い病院の惨劇
川田弥一郎
(2010/10/02 00:38登録)
現役医師による長編ミステリー。
今回も、とある地方の大病院を舞台として連続殺人事件が起こるわけですが、真相解明や事件の背景の「鍵」は「ある医薬品」にあるという、純粋な医療ミステリーです。
探偵役は看護学校に通う18歳の素人女性2人というわけで、卓越した頭脳による天才的推理ではなく、ダミーの仮説を立てては壊すの繰り返しで、ラストには真相に行き着くという展開・・・
「見せ方」があまりうまくなくて損をしてますが、準密室からの死体脱出や衆人環視の中での殺人など、トリックのテーマとしてはなかなか唸らせるものはあると思います。
伏線もなかなか巧みなのに、今一つ盛り上がりに欠ける印象なので、ちょっともったいない気がしてなりません。(そこが、某海堂氏と違うところでしょうか?)


No.328 6点 弁護側の証人
小泉喜美子
(2010/10/02 00:23登録)
作者の代表作。
確かに出版された年代を考えれば、評価する価値は大でしょう。
一言で書評するなら、”シンプルな叙述系作品”とでもいう感じでしょうか。
(1つ前の書評作品(折原)とは大違い・・・)
「シンプル・イズ・ベスト」とも言えますし、「少々物足りない」とも言えます。
今回、集英社の復刻版で読みましたが、「帯」に登場している作家も豪華ですし、解説は道尾秀介ということで、本作品のすごさ・影響度は分かろうというものです。
ただ、サプライズを評価の尺度とすれば、どうしても今現在このような感じにはなってしまいますねぇ・・・
作者が一番騙したかったのは、「真犯人」なのか「弁護人」なのか今一つ分かりませんでした。(読解力のなさでしょうか?)


No.327 5点 倒錯のオブジェ 天井男の奇想 
折原一
(2010/10/02 00:12登録)
「倒錯」シリーズのやや外伝的作品。
舞台はシリーズでお馴染みの(?)東十条は「メゾン・サンライズ」近くの古めかしい一軒家。
この作品、例によって時間軸がズラされており、それに気付かないまま読んでいると、「どういうこと?」と思わずにはいられない作りになってます。
「天井男」という発想は以前の作品でもありましたが、今回は2階の住人まで巻き込んで、「1階に住む老婆」⇔「天井男」⇔「2階の住人」という三重構造でより複雑化しています。
ただ、今回はちょっと(かなり?)クドイ!
「倒錯」シリーズの特徴といえばそれまでですが、登場人物が勝手な行動をし、それを読者が追い回させられ、最終的には「なんじゃそりゃ?」というラスト・・・
折原らしいといえばそれまでですが・・・


No.326 7点 白昼の悪魔
アガサ・クリスティー
(2010/09/25 22:18登録)
中期のポワロ物。
派手な設定はありませんが、丁寧に作りこまれた雰囲気のある良作という感じ。
孤島(陸路はありますが)のリゾートホテルを舞台とする、クローズドサークルでのフーダニットがメインですが、単なるアリバイ崩しかと思いきや、ラストで想像以上の「爆弾」が炸裂します!
タイトルもなかなか気が効いてます。「悪魔」という言葉が読者のミスリードを誘うようにできてるんですね(ポワロは最初から気付いていたと言ってましたが・・・)。
ただ、トリックの”肝”である「あのこと」はかなりリスク(バレる)があるんじゃないですかねぇ? 作品中ではみんな納得してますけど・・・


No.325 7点 螢坂
北森鴻
(2010/09/25 22:06登録)
三軒茶屋のビアバー「香菜里屋」シリーズの第3弾。
相変わらず流麗な文体、余韻の残るラストで読者を楽しませます。
①「蛍坂」=何となしに、福山の「桜坂」を思い起こさせる内容じゃないかと・・・ 戦場カメラマンというと、どうしても例の「渡部さん」の顔としゃべり方を思い出してしまうのが難・・・
②「猫に恩返し」=ちょっと現実離れしすぎてる感じがします。そこまでするか?
③「雪待人」=個人的は本作中ベスト。何より、香月の最後のセリフ「あいつ(工藤)も待ってるんですよ・・・」がかなり気になる。
④「双貌」=作中作を使った変わった構成。どこが「地の文」かちょっと分かりにくい。ラストも今ひとつピンとこなかった。
⑤「孤拳」=焼酎って寝かせるとそんなにうまくなるなんて知らなかった! いいこと聞いた!
以上5編。
トータルで見れば、前作「桜宵」より明らかに落ちる。それでもレベルの高い作品集なのは確かです。
それにしても、「香菜里屋」みたいなバーあったらいいなぁ、『2番目に度数の高いビールちょうだい!』(言ってみたい)


No.324 5点 セント・ニコラスの、ダイヤモンドの靴
島田荘司
(2010/09/25 21:51登録)
御手洗潔シリーズ。
時代設定が「占星術殺人事件」直後ということで、御手洗-石岡の名コンビが堪能できる作品。
①「シアルヴィ館のクリスマス」=本題に入る前の単なる導入部的内容。
②「セント・ニコラスのダイヤモンドの靴」=セント・ニコラスとはロシア語でいう「サンタクロース」のこと。帝政ロシア時代の女帝エカテリーナⅡ世ゆかりの名品、ダイヤモンドの靴をめぐる誘拐事件の謎を、御手洗が例のごとく神がかり的に解き明かしていきます。
この作品、確かに、初期の名作「数字錠」を思い出させるような心暖まる話。ただ、ミステリーとしての評価はこんなもんですかねぇ・・・
それにしても、エカテリーナⅡ世ってそんな人だったんですかぁ・・・何となく納得。


No.323 7点 グラスホッパー
伊坂幸太郎
(2010/09/23 23:01登録)
本書もやはり「伊坂ワールド」全開の作品。
独特の言い回しや展開で、前半はちょっと冗長に思えるんですが、途中から一気に加速し、ラストへなだれこむ・・・という感じ。
殺し屋の”鯨”と”蝉”、そして普通の人”鈴木”・・・3人のストーリーが順番に語られ、そしてまるで運命のように1つのストーリーに吸い寄せられていく・・・作者らしい展開です。
あとがきでは、本書を「ハードボイルド」と括っていますが、ジャンルとしては分類不能、あえて言うなら「変な小説」とでも呼びたくなります。(いい意味で)
サブキャラもいい味出してます。特に、健太郎と孝次郎の兄弟(?)・・・生意気だけどこんな奴本当にいそうだなぁ。


No.322 6点 撃つ薔薇―AD2023涼子
大沢在昌
(2010/09/23 22:45登録)
近未来の東京を舞台としたハードボイルド作品。
主人公は潜入捜査専門の”絶世の美女刑事”ということで、ついつい想像を逞しくして読んでしまいます。(いろいろと)
ストーリー的には、まぁ安定感たっぷり、「さすが大沢在昌!」と言うわけで安心して読み進められます。
持ち前のスゴ腕と抜群のルックスを武器に、闇の組織に潜入する主人公涼子、涼子を助ける謎の男、龍・・・謎が深まる中、ラストはやはりサプライズが! という流れ・・・
何となく、はやりの韓流ドラマを見ているような気持ちにさせられてしまうのが「う~ん」という感じでしょうか・・・(途中から”龍”はイ・ビョンホンの顔を想像しながら読んじゃいました)


No.321 7点 心臓と左手 座間味くんの推理
石持浅海
(2010/09/23 22:30登録)
代表作「月の扉」で探偵役を務めた”座間味くん”が安楽椅子型推理に挑む短編集。
なかなかいい味わいです。
①「貧者の軍隊」=密室物ですが、いわゆる普通の密室物とは違うテイスト。
②「心臓と左手」=個人的には本作品中ベスト。プロット的にはバラバラ殺人などによく登場するものですね。
③「罠の名前」=カラクリは何となく読めましたけど・・・
④「地下のビール工場」=あの程度の「機械」がまさかそんなふうに使われるなんて・・・
⑤「再会」=これは「月の扉」の後日談的な内容。
他2編の全7編。
話の展開は共通しており、大迫警視が誘った食事の席で、座間味くんが警視から聞く話だけで事件を看破していく内容。
ムダを一切省いたストーリーが小気味よく、なかなかの良作だと思います。


No.320 9点 シャーロック・ホームズの冒険
アーサー・コナン・ドイル
(2010/09/19 22:11登録)
記念すべきシャーロックホームズ探偵譚の第一集。
名作ぞろいです。
①「ボヘミアの醜聞」=初っ端から、珍しくホームズ氏が失敗した作品が登場。
②「赤髪組合」=知らない人はいない超有名作品。今さら論ずるまでもなくよくできてます。まさに短編の見本。
③「花婿失踪事件」=本シリーズにおいては、「変装」=誰も気付かないという法則があるようです。
④「ボスコム谷の惨劇」=フーダニットとしてはちょっと中途半端かな?
⑤「オレンジの種5つ」=この作品、ラストがやや尻切れ気味。ワザとかな? 
⑥「唇の捩れた男」=これも③と同様の趣向あり。
⑦「青いガーネット」=ライトな作品。他に隠し場所はなかったのか?
⑧「まだらの紐」=これも超有名作品。果たして「あれ」が金庫で飼えるのかはさておいて、やっぱり雰囲気は申し分なし。
⑨「花嫁失踪事件」=花婿の次は花嫁が登場。よっぽど「失踪」するのが流行してたんでしょうか?
⑩「ブナ屋敷」=この作品集、動機は「金銭欲」というのが多い。本作もそうか?
全10編。
やっぱり、「シャーロック・ホームズ」を堪能するのであれば、本作品集は欠かせません。
私もジュブナイルで読んで以降、触れる機会さえなかったわけですが、やっぱりホームズ物をはずして「推理小説」は語れないと思ってしまいました。

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