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ミステリの祭典

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終着駅殺人事件
十津川警部シリーズ

作家 西村京太郎
出版日1980年07月
平均点5.64点
書評数11人

No.11 6点 zuso
(2024/07/25 22:11登録)
招待状によって集められたメンバーが絢に殺されるという、クリスティーの「そして誰もいなくなった」を想起させる連続殺人。それぞれにアリバイ、密室、偽装などのトリックが仕掛けられる。
青森から都会に出てきた若者たちの孤独が、そのまま物語の持つ寂寥感につながっている。最後に判明する事件の引き金となったある事実は、戦慄するしかない。

No.10 5点 mediocrity
(2021/04/01 02:46登録)
アリバイ崩し部分は、今までに読んだ氏の他作品に比べるといまひとつ。
ゆうづる7号のアリバイを5号で確かめるとか、第三者の作為があったとしてもお粗末すぎる。
上野駅の毒殺の方のトリックも、何かすごいアリバイ崩しがあるのかと思ったらつまらない真相だし、青森のホテル密室殺人、青森駅の待合室殺人も全然面白くない。
事件のトリガーとなってしまったミスは確かに衝撃的で、物語の締めくくりの手紙は強烈な余韻を残す。

No.9 5点 蟷螂の斧
(2019/03/11 09:44登録)
トラベル・ミステリー以前の作品から比べると、トリックはかなり落ちると思います。というより、警察の怠慢さが際立ってしまった作品ですね。動機の謎をメインにして、倒叙式にしたら大傑作になったかも。まあ、雰囲気は良かったです。なお、血液型の問題は1980年でもこれが常識だったのかなあ?。

No.8 3点 いいちこ
(2018/07/02 18:37登録)
作品の底流をなす抒情性等、全体としてのテイストは決して嫌いではない。
ただ、全登場人物が殺されることによって真犯人が判明するプロットとはよいとして、その間実証的な捜査を全く行なわず、情緒的な言動に終始する捜査陣の無能ぶりはいかがなものか。
その他、犯行プロセス全体の合理性・フィージビリティの低さ、トリックのレベルの低さなど、本格ミステリとして評価できる点がない

No.7 8点 斎藤警部
(2015/05/15 22:05登録)
最後、手紙で終わるという小説は割と見かける気がしますが、この『終着駅(ターミナル)殺人事件』の最後の最後で明かされる手紙の内容、というか物語の中での立ち位置に、愕然。
作者のトリッキーな頓知ぶりに脱帽笑いすべきなのか、それとも手紙を読んだ犯人の心情に思いを巡らせ涙するべきなのか、それまでに味わった事の無い感情が押し寄せました。 これぞ本格ミステリならではの、独特な感動の形。

京太郎さん黄金期(?)の長編と言うと、出だしの謎の強烈さがピカ一なのに較べ、物語も半分くらい進むと少しずつテンションが弱まって行き最後は緩めに着地してしまうきらいがあると思うのですが、この作品は最後の最後に一番のクライマックスが来て強烈な印象を残してくれました。

アリバイトリックも密室もさっぱり記憶に残っていない体たらくぶりなのですが、、 素晴らしく鮮明に記憶しておりますよ、このエンディングの衝撃は。

No.6 4点
(2011/09/30 21:38登録)
東北新幹線の開通(まずは盛岡までですが)に向けて準備が進んでいた1980年の作品。上野駅(当時の)が持つ終着駅らしさ、東北の香が語られるトラベル・ミステリです。地方から東京に出てきた人たちの思いは、なかなか熱く語られていて、そこが読みどころになっている作品だと思います。
しかし、謎解き面ではどうも不満です。密室は最初から添え物程度の扱いですが、列車利用のアリバイの方も、他の方も書かれているように、西村作品中でもレベルは低い方でしょう。特にアリバイ成立の元になった経緯にはがっかりです。亀井刑事の行動予測はあまりに不確実ですし、だいたい列車利用トリック解明で、まず時刻表を調べてみないなんて、考えられません。
他にもトイレ密室(というほどでもありませんが)議論の行方、散髪の理由(普通に簡単な変装をすればいいことじゃないかと思えます)など、論理がこれだけいいかげんでは、切れ味も何もあったものではありません。まあ評価できるのは、ダイイング・メッセージの意味ぐらいのものでしょうか。

No.5 5点 江守森江
(2011/01/07 04:00登録)
往路は飛行機だったが、復路を札幌から上野まで列車にし青森の友人宅に寄り道した旅行時に読んだのが「この作品」だったハズ(最近物忘れが激しい)
ウォークマンの繰り返し再生でバックミュージックを石川さゆり「津軽海峡冬景色」にしていた記憶は(青函連絡船は廃止されていたので)ハッキリしている。
スピード化は飛行機に任せてユッタリと鉄道旅行なんて指向は時代遅れなのか?
あの「オリエント急行」すら廃止された現在では、鉄道ミステリは〈ニサス御用達の陳腐な遺物〉に成り下がったとさえ思える。
採点は鉄道ミステリへの愛着とノスタルジーを擽られた分を加点している。

No.4 5点 まさむね
(2011/01/06 23:23登録)
【東北新幹線青森延伸記念(その1)】
 20数年ぶりにナナメ読み。
 新幹線開業によって,青森の玄関口は「新青森駅」になっちゃうのでしょうか。
 で,この作品。日本推理作家協会賞作品だったんですね。
 ちなみに,アリバイトリックは相当にユルイです。トリックというよりも,何と言うか雰囲気(詳しくは亀井刑事にでも…)を楽しむべき作品かもしれません。
 新幹線開業によって,この“雰囲気”を理解できる方も激減するはず。むしろ今が読みドキか(笑)。

No.3 6点 E-BANKER
(2010/11/20 22:39登録)
光文社のミリオンセラーシリーズの復刻版で超久々に再読。
日本推理協会賞受賞作であり、氏のトラベルミステリーの到達点と言うべき作品。
お馴染みの名コンビ、十津川警部と亀井刑事の2人が連続殺人事件を捜査、解決していくわけですが、特に今回は事件の舞台が「青森」というわけで、亀井刑事が主役級の活躍振り。(亀井刑事って、「青森」や「東北」という言葉を聞くと、条件反射のように「なつかしい顔」になるように書かれてます)
トラベルミステリーとしては、まだ3作目(「寝台特急殺人事件」「夜間飛行殺人事件」の次)の本作ですが、上野・青森間を走る寝台特急「ゆうづる」(当時)をメインに据え、安定感たっぷりの展開。連続殺人の「動機」の謎についても、ダイニングメッセージに絡めて、うまく処理しています。
ただ、「アリバイトリック」や「密室トリック」はやや脱力感を感じるレベルのものですし、トラベルミステリー以前の氏の作品レベルに比べれば、決して誉められるものではないでしょう。
こういう作品を読んでいると、新幹線のない時代の「鉄道」に憧れますね。(今や「ブルートレイン」すらほぼ全滅しちゃいましたから・・・)

No.2 7点 文生
(2010/01/21 11:08登録)
動機を巡る謎が意表をついて面白い。
個々のトリックは練り込み不足も感じられるが、盛りだくさんの内容で楽しめる。
氏のトラベルミステリーの中では最高傑作のひとつだろう。

No.1 8点 あい
(2009/01/25 14:10登録)
面白かった。氏の良いところが存分に出た作品だと思う

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